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過去を知る、今代の記憶を知る、次の一手を探す為に⑨

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後は、気になったのがこれ、力の伝達…
これがあるからこそ、小型魔石の数が多くなくても魔力を補充する為に必要な魔道具を運搬するというリスクを完全に無くすことが出来ている。
方法も理にかなってはいる、ちょっとロスが目立つけれども、その程度誤差と感じてしまう程に優秀な魔道具。

魔力を帯のように束ねてから、魔道具から魔力の帯を目標に向けて打ち放ち、放たれた魔力の帯、それを受け取る為の魔道具も用意されている、大元は教会に設置してある人から魔力を搔き集める魔道具をベースにして改良してある。

放たれた魔力の帯から急速的に魔力を吸収し即座に魔石へと流す魔道具

これにより膨大な魔力を消費する魔道具を手軽に持ち運ぶことが出来る、作戦の幅を大きく向上させるために必要なモノ…それが建設予定として書かれている塔ってことか、日付的に、もう完成してそうな気がする。
遠くに魔力の帯を飛ばす為に、塔を建設して、死の大地の果てにも魔力の帯を届ける様にしてある、闘う事に対して心が折れていても、何れ来る戦いに備えて準備は怠ってはいなかったってこと、なのかな?

それとも…戦況が切羽詰まって用意した、のかもしれない…
現状の戦況は、後で確かめる予定だから、それによって今代の私が何を望み行動をしていたのかも理解するときがくるだろうね。

この力の伝達、心底から今代の私に拍手を送りたい!
これさえあれば…無限の魔力を何処にでも届けることが出来る。
やろうと思えば、うん、ケーブルで魔石と私を繋がなくても、直接帯をぶつけて魔力を得ることも…出来る可能性がある!

まぁ失敗するとその魔力量を吸収し損ねて死ぬかもしれないけど、やれる可能性がある!

魔力の帯を受け止める魔道具を改良して、背中にバックパックのように取り付けてしまえば?射出する魔力の帯、その出力を調整すれば?

うん、いけそうな気がする。

つまり、それが可能であるとすれば、あの時の私と同じように魔石から魔力を得て、無限の動力によって動き続ける事が出来る戦士が活動できる。

嗚呼、そうか…繋がった…
今代の私が研究していたのは、そこに焦点を当てていたんだ…
スピカに全てを託すのではなく、姉として…彼が戦わなくても良い世界に向けて、準備はしていたんだ…

惜しむらくは…
思い描いた世界によって、気が付いてしまう。
今代の私が残した研究が何を意味するのか、誰の為に用意していたのか…

嗚呼、そうか、だか、ら?だ、から…
団長、は、男性の肉体としてのこした、かった?

■■■くんがいつ、目覚めても良い様にするため、だったんだね…
この改造術をあの肉体に施して、彼が目覚めれば…
彼の知識や技能があれば…

始祖様に届きえるほどの力を得ることが出来たんじゃないの?

もしかして、私は…その時点で失敗していた?
彼を、犠牲にするっという考えを持てなかったから、その決断を下せなかったから?だから、まけ、たの?

…っは、だとしたら、負けていいよ。
愛する人を犠牲にして得られる未来なんていらない。

なんてね…そもそも、それが敗因とは思えれないんだよなぁ。
困ったことにさ徹頭徹尾、0から1までぜ~~んぶ、敵の手のひらの上で踊ってた気がするんだよなぁ~~…

うん、敵の楔、敵の罠、全てを知りえていない時点でさ、私に勝ちの目は無かった、無かったんだよなぁ…


名も知らない…
unknown、彼を知ることが出来なかったのが敗因のひとつ…でもあったけどね。


同じ轍は踏まない、同じミスはしない、同じ判断ミスは…しない。
だから、決断しないといけない
ううん、決断するしかない


誰を…改造するのかを…


その結果、後ろ指を刺されても仕方がない、魔女として後世に語り継がれるなんて罪、そんな覚悟、とうの昔に決めてきている、例え、私が生きた時代と違えどね。私を代表に選んだ時点で総意の元でしょ?

…粛清対象となる、ううん、なって見せるくらいでちょうどいいんだよ、私は。

元々さ、こう言ってはダメなのはわかってる、それでも、わかっては、いたんだよね、勝ち目なんて無いって…
負けるのが普通、どう考えても勝ちの目なんて無い、だから、負けてもしょうがないって、薄々、ううん、何度目かの絶望を味わってから感じてた。

絶望的な戦力差を見ないようにしていただけ…

過去の私がダメでも反省点と修正点を把握している私なら出来るって必死に己を鼓舞して足掻き続けてきただけ。

辛酸を舐めさせられ続けるように何度も何度も絶望を味わい続けてきた、苦く苦しい想いばかりをしてきた…
馬鹿でも気が付く、勝ち目なんて無いって、私達では彼らに勝つための力が、力量が、知恵が、知識が足りていない。

そんなの…痛い程、わかってる、助けて欲しいって、何度も叫んでる。
でも…届かない、どんなことをしても助けに来てくれない。

始祖様は、私のメッセージを受け取ってくれない…
助けて、くれない…きっと、始祖様からすれば、助ける価値なんて無いのかもしれないって何度もなんども…思った、過去の瞳達が嘆き悲しみ痛みを…加護の中に叫び続けても…何も返事何て帰ってこなかったから。

この試練を乗り越えるだけの力を授けられているのに、助けが必要ってこと自体が可笑しいのはわかってる、そう思わないと、見捨てられたという事実に心が圧し折れて立ち上がる力を失ってしまうから、見ないようにしてきた。

だから、私は人類の未来を信じる。始祖様が与えてくれた力があれば、私達はどんな試練でも乗り越えれるはずだと、信じる。
最後の最後、人類が笑って勝利を勝ち取ることが出来るのに時間が必要だって言うのなら、どんな方法をしてでも、非道なことを決断してでも、私は、汚名を被り、時間を稼ぐ。

明日を歩む為なら…人類が生きる為には、地獄のような想いを繰り返したとしても…負ける闘いも必要だって、そうでも思わないとさ、何度も何度も殺され続けてきた私達が報われないっての…

でも、それも、本当のホントにこれが…最後になる。
死ぬのなら、残して死ぬ、希望を、未来を…

そんな願いを込められていたのかもしれない、今代の私が研究していた研究の一つ…
人体を改造する術の中に、どう考えても、どう譲歩したとしても、粛清対象としか思えれない程に醜悪な研究、禁忌に近い非道なものが…有る、実験もカエルなどを用いて実験済み。

それを施すのは…施すべき対象は…
締め付けられる胸に手をやると【・・・】彼もいっしょに頷いてくれている気がする。

うん、そうだよね、そうなるよね…

扱いきれる人物何て、私以外に有り得ない。
改造する内容を考えると、どう考えてもどう転んでも、人に施して良い内容じゃない。

だって…人を捨てる改造だもん…
完全に人という種族ではなくなる。元に戻す方法は…
たぶん、無いに等しい。

私がもう一人いれば、話は別かもしれないけれど
たぶん、無理、今代の私が、私の器を用意しているとは思えれないし、たぶん、ゼロからの培養はしていないんじゃないかな?
それをしているのであれば、お母さんがスピカを産む必要ってないじゃん?
だから、たぶんだけど、私達の地下はない、そもそも、地下は敵のテリトリー、迂闊なことは出来ない、かといって地表でそんなのを実験していれば誰かに見られると魔女裁判。

特別な理由がない限り、命の冒涜と断定されるような実験は出来やしない。

死んだあとだったら幾ら断定されても問題ない。
私そのものが…ううん、私という物質が魔道具となり、最後の切り札とするって考え、今代の私は、やっぱり私だね…

人が考え実行する内容じゃない。
私の時は彼がいた、傍に彼がいた…
だからこそ、彼を…愛する人を守る為ならどんな業も背負う覚悟だったけれど…
今代の私がここまで独りで抱え込み、生きるのに…どんな苦悩をしてきたのか、想像を絶するよね。

ただ、この悍ましき研究には一つの可能性が見いだせている。

もしかしたら、最悪、時計の針が止まろうが、これを用いれば先がある。っという意味合いも込めて研究していたのかもしれない…
惜しむらくは…それを自身に施す前に敵が動いたって事かな?

パラ見だけど凡そは読んだかな?
音を立てるように本を閉じ、項目ごとに仕分けた場所に本を置き、ドアに視線を向ける、耳を澄ましてみるが歩いてくる音は聞こえてこない。

次の本が運ばれてくるのを待とうかな、その時にメイドちゃんにいくつか質問をしたい。

もしも、これで最後だとしたら、近況の私に関しては日誌が残されていないことになるからね。

そうだった場合は、近いうちにさ、私の傍に居続けていたであろう人物達に声を掛けて、情報を得たいかな。

近況の私がどの様に動いていたのか、知る必要がある。
今代の私が何を思い何を願い何を欲し何を目的として生きたのか、消えてしまった彼女の意思を出来る限り…引き継いであげたいから。

大変かもしれない、一人一人、私に抱いている印象何て違ってくるだろうから、どれが最も真実に近いのか、判断に困るかもしれない…
つっても、聞く相手を絞れば、判断に困るようなことは、ないかな?
だって、私の傍に居続けてくれた人で思い当たる節は、お母さんか、団長、後は、メイドちゃんでしょ?思い当たる人物なんてすぐに思い浮かぶ。

だとすれば~、此方から呼び寄せなくても、彼女達であれば、自然と私のもとに集まってきてくれるから、慌てて一人一人捕まえて話を聞き急ぐ必要も無し!

今は…うん、次の本が運ばれてくるまでの間、やることもないし、流し読みで欲しい情報だけを抜く様に読んでしまった今代の私が歩んだ道を丁寧に一枚一枚、噛み砕き飲み干していこうかな…

分厚く丁寧に製本されている日記のような日誌、その表紙を撫で、手に取り一枚一枚、今度はゆっくりとゆっくりとページを捲り、彼女の人生を飲み干していく…


感傷に浸る時間なぞ、私には与えてくれないのだと告げられる。
ドアを激しめに叩く音によって黄昏てしまいたくなるような雰囲気が激しい音によって壊されていく。

この激しく雰囲気を壊す感じ、不思議かな、誰だかわかってしまう。
私の中にある彼女のイメージと、今代の私が感じている彼女のイメージに若干の乖離がある気がするけれど、空気が読めない感じは一緒のような気がする。

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