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過去を知る、今代の記憶を知る、次の一手を探す為に⑯
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階段を下り、地下室に入ると「灯りつけるからちょっとまってね」彼女の声が聞こえてくるが返事を返す余裕がない、それよりも、この地下に入った瞬間、湧き上がる感情を抑えるのが大変だった…
階段に備え付けられている灯りで薄っすらと見える地下室の雰囲気に心が、心が
「はい、これでよしっと、上から車椅子取ってくるから、ソファーで待ってて」
張り裂け…ることは無かった。
懐かしさも微塵も感じねぇなぁ、何処だよここ…
何でそう感じたのかって?だってぇ、私が知っている地下とは違い過ぎるんだもん。
ソファーに座らされてから、もう一度、周囲を見渡してみるが…
私が知っている光景とは大きく違っていて、懐かしさも何も感じない、完全に別!わかりやすく感じたことを表現するなら!長年ずっとずっと住んでいた部屋、そこに返ってきた!って思ったら、完全に他人の部屋になっているような感覚!!他人の匂いや気配がして、ちょっと落ち着かない!
今代の地下は、大きな試験管がない!私の時は所狭しとスペースを奪っていたのに!ない!あの圧迫感!閉鎖感が好きだったのに!無いの寂しい!!
その代わりさぁ、小さな試験管が数多く並んでいる。小さいって言っても、私の両足くらいなら…ギリギリ入るかな?って、サイズ。
団長が言ってたからさ培養とかどうのこうの、もしかしたら、大きな試験管があればってさ淡い期待を抱いていたんだけどなぁ…
もしかしたら、私や彼女の新しいボディでもあるのではないかってさ…
淡い期待はしていたけれど、そういうのは無さそうかな。
せめて…彼のボディでもあればって思ったりもしたけれど、今代の私はそういうことを望んでいなかったの、かな?
小さな試験管が並んでいたり、見覚えがある魔道具が有ったり、知らない魔道具が置かれているこの地下室をもう一度、見当たせる範囲で見渡していく。
感じることはもう一つ、地下の研究室にしては…小さすぎる。
研究規模も、大きさも、全部が小さい…
ここにあるのは、先も述べた小さな試験管、恐らく培養管が幾つか、見えない所にもありそう、それと、机が三つ?ある。
後は、私が座っているソファーに、そして、壁には本棚がいくつか…
めぼしいのはほんっとそれだけ、特大サイズの錬金釜も無ければ、培養液を大量生産するための設備も無い…何を研究していたのか、規模が小さすぎるんだよなぁ。
後、目に入ったのがあれだよね。
奥に視線を向けるとドアがある、方向的にも、それの場所は変わらずって感じ。
あの扉の向こうには大型魔石が用意されていると見ていい、かな?疑問に感じるのがドアの規模も小さい、普通のドア、厳重なロックがされていない気がするから、あの先に大型の魔石などの設備があるのかちょっと自信がない。
「はい、車椅子持って来たよ」
ガシャっと車椅子が置かれる音と同時にやや低音の声が響き渡る。うん、彼の声に凄く似てる、気持ち高音域だけど、低い声に近づけば近づくほど彼の声に似る。
「ありがとう、疲れたでしょ?隣座りなよ」
ポンポンっと音を立てる様にソファーを叩くと、ソファーから少しだけ埃が舞う。っということは?最近、誰もこの地下室に来ていないのだと物語ってくる。
「うん」
隣に座って直ぐに背もたれに体重を預ける様に背伸びをし、んあーっと間延びした声が聞こえてくる。
「はぁ、ここに来るの…懐かしいなぁ」
「埃が目立つから、一ヶ月は、きてないんじゃないの?」
あー、そうかもっとさらっと流す辺り、この地下室は左程…重要な拠点ではないのかもしれない。
「この埃っぽい感じ、何処かで嗅いだことがある匂いな気がするんだけど、思い出せない」
つい、舞った埃を吸い込んでしまった感想を溢してしまうと
「埃の匂い?んー…この匂い、屋根裏部屋に入った感じしか、私はしない、姫様は色んな場所に出向いているから、そのどれか?」
天井を見上げながら返事を返してくれる。
ん~…何処だろう?貴族のお屋敷に及ばされしたとしても埃っぽい場所なんて無い、貴賓室、来賓室が埃っぽいのはダメダメ過ぎない?
かといって、町の宿ではない、用意された宿が汚かったら用意した人の面目丸つぶれだよ。
ん~…どこだろう?
思い出そうとしても、思い出せない。ってことは、遠い記憶、かも?
…実家のころの記憶かな?だとしたら思い出せないのも無理はない、だって、私はもう…敬愛するお母様の顔を思い出せないから、私は…私の記憶は…混濁し過ぎている。
言葉に詰まっていると天井を眺めていた彼女が仰け反った体を真っすぐに戻し此方を見て「直ぐに思い出せないってことはさ、えっと…」
途中で言い淀む…
そこで黙るってことは団長も気が付いているってことかな?ほら?私って実家のころの話をしたくないって色んな人に話したことがあるから、そのワードは禁句になってたりする。
「たぶ、ん。幼い頃の記憶かも?思い出せないんだよなぁ」
「そぅ、いうの、あるよね…」
反応に困られても此方も困るってーの。ったく、そういうところは空気読めてるのが不思議なんだよなぁ。
「…えっと、確か、実家の方で動物と一緒に生活していた、よね?」
あ、違った、言い淀んでいたんじゃなくて、単純に団長も私との会話を思い出していただけっぽい。
「どうしてか、私もね、わからないんだけど、ほら?犬だっけ?その、犬の匂いが近いんじゃない?」
「…いぬ、かぁ…確かに、あの子達って屋敷のあっちこっちを探検してるから時折、埃まみれになってるから、それ、かも?」
うん、そんな気がしてきた、あの子ってほら、私を見つけると飛びついてくることが多かったから、その時、かな?…だとしたら納得かも?
「団長って、犬、見たことあるの?」
たしかー…王都で犬を飼ってるのは貴族だけだと思うけれど、ごく一部で番犬として飼っているご家庭が居てもおかしくない、犬は古くからの共生動物だもの。
「ううん、無い、無いんだけど、どうしてかな?…なんかこう、知ってる、気がする、どうしてだろう?」
両の掌を合わせて優しく擦った後、自身の手を見つめている。
もしかしたら、彼なら団長の事を知っているかもしれない、何時か…魔力に余裕がある時に問い合わせてみてもいいかも?
「…」
「…」
唐突にお互いの会話が止まってしまう。
団長は不思議そうに自分の手のひらを見つめ続けている。
うん、私としても何か話題があるわけでもないし、ちょっとした休憩も終わりを告げてもいいかな?
「ここでは、何を研究してたの?」
次に進む為のステップを踏むと、現実に戻ってきたのか団長が
「えっとね」
ソファーから立ち上がり机から紙と木の板を持ってくる
再度、私の隣に密着する様に座り、木の板の上に紙を置き、ペンを滑らせていく…そっか、研究に関する内容は筆談だった。
白い紙の上をペンが躍っていくのを見守っていると、徐々に足跡が増えていく。
踊る様に描かれていく足跡を読んでいく
ここでは、肉体の培養に関係することを主に研究していました。
主に、私が研究していました。内容は女性の体を作ることです。
姫様は姫様で色んな事を研究していました、私が悩んでいる時に一緒に考えてもくれました。
姫様が研究していた内容は、私はよくわからなかったので知らないです。
たぶん、そこにある机か、本棚に研究ノートがあると思うので後で病室に運んでおくね
っと、筆談で押してくれたんだけど、最後の部分は口でもよくない?っという野暮なツッコミはしない。
「ってところ、かな?」
「そう、なんだ、なーほーね?」
地上のドアに罠を仕掛けているからさ~、何か、こう…人に知られてはいけない特別な研究をしているのだと期待したんだけど、気を付けるような内容じゃない、わけじゃないのか?団長が研究している内容がもろに禁忌か?そう、だよね、魔女裁判モノか?んー…でも、んー…新しい医療への試みってことでお目こぼしは…無理か、自然による出生じゃない時点でアウトか。
なら、真に警戒していたのは人サイドってところかな?あと、念のためにって感じかな?
「えっとね、あと、私が知っていることってなると、姫様がここに実験室を作った理由を説明してもらった、んだけど、ごめん、うろ覚え。たしか、温度や湿度を一定に保ちやすいからうんたらかんたらって理由だったかな?っで、筆談委になった理由がえっと、たしか~…研究に関係する内容を口で言うよりかは筆談の方が効率的だから、だったかな?どうせ後々にメモとして残すのだからどの道、書くから筆談でいいじゃんって理由、だった、かな?」
「ふーん…」
内容を聞く限り、それっぽく聞こえる辺り、地下に対して訳ありだっていうのは、団長には…秘密にしていたってところかな?
そんな事を考えていると
「懐かしい?」
首を傾げ乍ら此方を見てくる、私のころの記憶と違って女性の顔してる。
可愛い。こんな時でも薄くお化粧してるんだもん。
きっと、彼が身体操作の術を用いて出来る限り女性の体へと近づけようとしていたんだろうね、努力の末って感じが伝わってくる…美しい。
っとと、いけない、ぼんやりと美しさに引き込まれて行くところだった…
じっと返事を待っている猫を可愛がってあげないとね…いや、どっちかっていうと犬、かな?犬っぽいよね団長は、猫はメイドちゃんとか、No2かな?
「あー…うん、懐かしいよ、本当にいつ以来なのか、覚えてないのが残念だけどね」
返事を返すと、腕を組んで頭を下げて困った顔をしている?
「えっとね、怒らないで聞いて欲しい」
何だろう畏まっていうってことは、とんでもない事だったり?
「怒らないよ?」
まぁ、こういう返し方でさ、ちゃんと嘘偽りなく報告しても怒られた経験しかない言葉だけどね!
でも、怒らないでって言われると、こう返すしか無いよなぁ~…うん、今になってお母さんの気持ちがちょっと理解できた、気がする。
上目遣いで申し訳なさそうに私の顔を覗き込みながら、そっと手のひらを私の太ももに置いてくる。
ダメだよ?こういう態度、私以外にしちゃ?一発KOだからね?
「うー…ん。とね、その、ここで研究していたことって、ほっとんど成功したことが無かったから、姫様はいっつも呆れた顔をしてた、だからね、その、今もだけど、当時の私は、馬鹿な私がどんどん貴重な素材をダメにしていたから、今も昔もその事に対して怒ってたりするのかなぁって…怖くて、聞けなかった」
目に見えない筈の▲耳が垂れ下がり、立てていた尻尾が丸まっていくようなイメージが伝わってくる!うん!このしょげた雰囲気!悪さをして怒られるってわかってるときの犬!
階段に備え付けられている灯りで薄っすらと見える地下室の雰囲気に心が、心が
「はい、これでよしっと、上から車椅子取ってくるから、ソファーで待ってて」
張り裂け…ることは無かった。
懐かしさも微塵も感じねぇなぁ、何処だよここ…
何でそう感じたのかって?だってぇ、私が知っている地下とは違い過ぎるんだもん。
ソファーに座らされてから、もう一度、周囲を見渡してみるが…
私が知っている光景とは大きく違っていて、懐かしさも何も感じない、完全に別!わかりやすく感じたことを表現するなら!長年ずっとずっと住んでいた部屋、そこに返ってきた!って思ったら、完全に他人の部屋になっているような感覚!!他人の匂いや気配がして、ちょっと落ち着かない!
今代の地下は、大きな試験管がない!私の時は所狭しとスペースを奪っていたのに!ない!あの圧迫感!閉鎖感が好きだったのに!無いの寂しい!!
その代わりさぁ、小さな試験管が数多く並んでいる。小さいって言っても、私の両足くらいなら…ギリギリ入るかな?って、サイズ。
団長が言ってたからさ培養とかどうのこうの、もしかしたら、大きな試験管があればってさ淡い期待を抱いていたんだけどなぁ…
もしかしたら、私や彼女の新しいボディでもあるのではないかってさ…
淡い期待はしていたけれど、そういうのは無さそうかな。
せめて…彼のボディでもあればって思ったりもしたけれど、今代の私はそういうことを望んでいなかったの、かな?
小さな試験管が並んでいたり、見覚えがある魔道具が有ったり、知らない魔道具が置かれているこの地下室をもう一度、見当たせる範囲で見渡していく。
感じることはもう一つ、地下の研究室にしては…小さすぎる。
研究規模も、大きさも、全部が小さい…
ここにあるのは、先も述べた小さな試験管、恐らく培養管が幾つか、見えない所にもありそう、それと、机が三つ?ある。
後は、私が座っているソファーに、そして、壁には本棚がいくつか…
めぼしいのはほんっとそれだけ、特大サイズの錬金釜も無ければ、培養液を大量生産するための設備も無い…何を研究していたのか、規模が小さすぎるんだよなぁ。
後、目に入ったのがあれだよね。
奥に視線を向けるとドアがある、方向的にも、それの場所は変わらずって感じ。
あの扉の向こうには大型魔石が用意されていると見ていい、かな?疑問に感じるのがドアの規模も小さい、普通のドア、厳重なロックがされていない気がするから、あの先に大型の魔石などの設備があるのかちょっと自信がない。
「はい、車椅子持って来たよ」
ガシャっと車椅子が置かれる音と同時にやや低音の声が響き渡る。うん、彼の声に凄く似てる、気持ち高音域だけど、低い声に近づけば近づくほど彼の声に似る。
「ありがとう、疲れたでしょ?隣座りなよ」
ポンポンっと音を立てる様にソファーを叩くと、ソファーから少しだけ埃が舞う。っということは?最近、誰もこの地下室に来ていないのだと物語ってくる。
「うん」
隣に座って直ぐに背もたれに体重を預ける様に背伸びをし、んあーっと間延びした声が聞こえてくる。
「はぁ、ここに来るの…懐かしいなぁ」
「埃が目立つから、一ヶ月は、きてないんじゃないの?」
あー、そうかもっとさらっと流す辺り、この地下室は左程…重要な拠点ではないのかもしれない。
「この埃っぽい感じ、何処かで嗅いだことがある匂いな気がするんだけど、思い出せない」
つい、舞った埃を吸い込んでしまった感想を溢してしまうと
「埃の匂い?んー…この匂い、屋根裏部屋に入った感じしか、私はしない、姫様は色んな場所に出向いているから、そのどれか?」
天井を見上げながら返事を返してくれる。
ん~…何処だろう?貴族のお屋敷に及ばされしたとしても埃っぽい場所なんて無い、貴賓室、来賓室が埃っぽいのはダメダメ過ぎない?
かといって、町の宿ではない、用意された宿が汚かったら用意した人の面目丸つぶれだよ。
ん~…どこだろう?
思い出そうとしても、思い出せない。ってことは、遠い記憶、かも?
…実家のころの記憶かな?だとしたら思い出せないのも無理はない、だって、私はもう…敬愛するお母様の顔を思い出せないから、私は…私の記憶は…混濁し過ぎている。
言葉に詰まっていると天井を眺めていた彼女が仰け反った体を真っすぐに戻し此方を見て「直ぐに思い出せないってことはさ、えっと…」
途中で言い淀む…
そこで黙るってことは団長も気が付いているってことかな?ほら?私って実家のころの話をしたくないって色んな人に話したことがあるから、そのワードは禁句になってたりする。
「たぶ、ん。幼い頃の記憶かも?思い出せないんだよなぁ」
「そぅ、いうの、あるよね…」
反応に困られても此方も困るってーの。ったく、そういうところは空気読めてるのが不思議なんだよなぁ。
「…えっと、確か、実家の方で動物と一緒に生活していた、よね?」
あ、違った、言い淀んでいたんじゃなくて、単純に団長も私との会話を思い出していただけっぽい。
「どうしてか、私もね、わからないんだけど、ほら?犬だっけ?その、犬の匂いが近いんじゃない?」
「…いぬ、かぁ…確かに、あの子達って屋敷のあっちこっちを探検してるから時折、埃まみれになってるから、それ、かも?」
うん、そんな気がしてきた、あの子ってほら、私を見つけると飛びついてくることが多かったから、その時、かな?…だとしたら納得かも?
「団長って、犬、見たことあるの?」
たしかー…王都で犬を飼ってるのは貴族だけだと思うけれど、ごく一部で番犬として飼っているご家庭が居てもおかしくない、犬は古くからの共生動物だもの。
「ううん、無い、無いんだけど、どうしてかな?…なんかこう、知ってる、気がする、どうしてだろう?」
両の掌を合わせて優しく擦った後、自身の手を見つめている。
もしかしたら、彼なら団長の事を知っているかもしれない、何時か…魔力に余裕がある時に問い合わせてみてもいいかも?
「…」
「…」
唐突にお互いの会話が止まってしまう。
団長は不思議そうに自分の手のひらを見つめ続けている。
うん、私としても何か話題があるわけでもないし、ちょっとした休憩も終わりを告げてもいいかな?
「ここでは、何を研究してたの?」
次に進む為のステップを踏むと、現実に戻ってきたのか団長が
「えっとね」
ソファーから立ち上がり机から紙と木の板を持ってくる
再度、私の隣に密着する様に座り、木の板の上に紙を置き、ペンを滑らせていく…そっか、研究に関する内容は筆談だった。
白い紙の上をペンが躍っていくのを見守っていると、徐々に足跡が増えていく。
踊る様に描かれていく足跡を読んでいく
ここでは、肉体の培養に関係することを主に研究していました。
主に、私が研究していました。内容は女性の体を作ることです。
姫様は姫様で色んな事を研究していました、私が悩んでいる時に一緒に考えてもくれました。
姫様が研究していた内容は、私はよくわからなかったので知らないです。
たぶん、そこにある机か、本棚に研究ノートがあると思うので後で病室に運んでおくね
っと、筆談で押してくれたんだけど、最後の部分は口でもよくない?っという野暮なツッコミはしない。
「ってところ、かな?」
「そう、なんだ、なーほーね?」
地上のドアに罠を仕掛けているからさ~、何か、こう…人に知られてはいけない特別な研究をしているのだと期待したんだけど、気を付けるような内容じゃない、わけじゃないのか?団長が研究している内容がもろに禁忌か?そう、だよね、魔女裁判モノか?んー…でも、んー…新しい医療への試みってことでお目こぼしは…無理か、自然による出生じゃない時点でアウトか。
なら、真に警戒していたのは人サイドってところかな?あと、念のためにって感じかな?
「えっとね、あと、私が知っていることってなると、姫様がここに実験室を作った理由を説明してもらった、んだけど、ごめん、うろ覚え。たしか、温度や湿度を一定に保ちやすいからうんたらかんたらって理由だったかな?っで、筆談委になった理由がえっと、たしか~…研究に関係する内容を口で言うよりかは筆談の方が効率的だから、だったかな?どうせ後々にメモとして残すのだからどの道、書くから筆談でいいじゃんって理由、だった、かな?」
「ふーん…」
内容を聞く限り、それっぽく聞こえる辺り、地下に対して訳ありだっていうのは、団長には…秘密にしていたってところかな?
そんな事を考えていると
「懐かしい?」
首を傾げ乍ら此方を見てくる、私のころの記憶と違って女性の顔してる。
可愛い。こんな時でも薄くお化粧してるんだもん。
きっと、彼が身体操作の術を用いて出来る限り女性の体へと近づけようとしていたんだろうね、努力の末って感じが伝わってくる…美しい。
っとと、いけない、ぼんやりと美しさに引き込まれて行くところだった…
じっと返事を待っている猫を可愛がってあげないとね…いや、どっちかっていうと犬、かな?犬っぽいよね団長は、猫はメイドちゃんとか、No2かな?
「あー…うん、懐かしいよ、本当にいつ以来なのか、覚えてないのが残念だけどね」
返事を返すと、腕を組んで頭を下げて困った顔をしている?
「えっとね、怒らないで聞いて欲しい」
何だろう畏まっていうってことは、とんでもない事だったり?
「怒らないよ?」
まぁ、こういう返し方でさ、ちゃんと嘘偽りなく報告しても怒られた経験しかない言葉だけどね!
でも、怒らないでって言われると、こう返すしか無いよなぁ~…うん、今になってお母さんの気持ちがちょっと理解できた、気がする。
上目遣いで申し訳なさそうに私の顔を覗き込みながら、そっと手のひらを私の太ももに置いてくる。
ダメだよ?こういう態度、私以外にしちゃ?一発KOだからね?
「うー…ん。とね、その、ここで研究していたことって、ほっとんど成功したことが無かったから、姫様はいっつも呆れた顔をしてた、だからね、その、今もだけど、当時の私は、馬鹿な私がどんどん貴重な素材をダメにしていたから、今も昔もその事に対して怒ってたりするのかなぁって…怖くて、聞けなかった」
目に見えない筈の▲耳が垂れ下がり、立てていた尻尾が丸まっていくようなイメージが伝わってくる!うん!このしょげた雰囲気!悪さをして怒られるってわかってるときの犬!
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