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今代の私は… ⑧
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ふぅっと、小さな溜息を零し、姫様の机の上にあるメモ用紙と鉛筆を手に取り【お風呂に入ってますby団長&姫様&メイド】っと書いてNo2の胸の上に置いておく
そのまま、三人で大浴場で汗を流し、三人並んで牛乳を飲んで、食堂に向かい食事を済ませる。
三人仲良く病室に帰ってきて思い出す。
病室の前に置かれている木箱をみて…
しまった、姪っ子ちゃん、姫様に会いたかったんだった。
ごめんねっと、心の中で謝り、病室に入り車椅子から抱き起して姫様をベッドに寝かせる
「パジャマとしてジャージ持って来たから、寝る時は誰か呼んで着替えさせてもらってね」
「…」
凄く不服そう、病室でスケスケのネグリジェはダメだよ?
「わかってる。皆迄言うなし!こんな場所で!油断するとアレが来るかもしれない場所で!そんな危険な恰好してみ?襲われるってーの!」
アレ?って何だろう、直ぐに思い浮かんだのが昼間の出来事、姫様は彼に!!
そうだった、姫様、嫁に来ないかって誘われてたんだった!
姫様の言わんとすることが何となくわかる、王様は傍若無人っていうもんね?
「木箱ありがとうね、取り合えず、少しでも本を読みたいけど、リハビリは?」
「取り合えず今すぐは無いかな?今日はもう終わりにしてもいい軽くマッサージはしよう、かな?…それと、医療班の中で余力がある人から全員から魔力を貰う?」
魔力が空っぽかもしれないので、提案してみるが、嫌そうな顔をしている。
たぶんだけど、魔力を渡せる医療班、一人一人と会うのが面倒だと考えてるんだろうなぁ
「わかった、それじゃ私が皆から魔力を受け取ってくるから、私経由で」「うん!よろしくね!」
輝く様な笑顔!もう!我儘なんだよなぁ!私がその提案するの待ってたでしょ!
姫様の我儘にはなれたもの、これくらいなら可愛いくらい。
「それじゃ、医療班の皆に分けてもらってくる、メイドちゃんはどうする?」
「えっと、私は」
ちらっと姫様の方を見てる、そうだよね、姫様が用事があるのだとしたら傍に居るべき
言い淀んでいるメイドちゃんを見て姫様が
「用事があるならそっちを優先していいよ?」
すこし申し訳なさそうに言う一言にメイドちゃんの表情が一瞬だけ変わる?
眉間に一瞬だけ皺が出来たけれど、どうしたんだろう?
「いえ、ありません。私の仕事は姫様の傍に居る事です。」
視線を姫様の方へと向けると、特におかしなところはなく、何時も通りだけど?
「とはいってもなぁ、少し寝てから本を読もうと思ったんだけど、それでも、傍に居る?」
此方を一瞬だけ見た?どうしたんだろう?何でこっちを見たんだろう?
「はい、傍に居ます!出来る事なら!ずっと立って姫様の隣に」
「それはダメ、私はブラックな関係を築くつもりは無いからね?休める時に休む」
視線をメイドちゃんに向けてどんな表情をしているのか、メイドちゃんの口角が上がってる?んー…メイドちゃんの感情が読めない。
元々、感情が読みにくい、そういう人だって知ってるから別にいいか。そもそも私ってさ、空気読めない馬鹿だからいいですよー、っだ。
「でしたら、その、ご用がある時は絶対にまずは、私に声を掛けてくれませんか?」
「良いけど、本当にいいの?」
姫様の視線がメイドちゃんから此方に向けられる?何だろう?どうしてこっちを見るの?
「はい、珍しいですね、そういったお気遣いをしていただけるなんて」
「…んふ~、そりゃぁ、私は出来る女だもの、何となくね、わかるよ?」
口角を上げてメイドちゃんを見てる、何でだろう?ちょっとNo2を彷彿とさせる笑顔。
除け者にされているような気がしてきた。なら、今ここに私が居る必要性はないってことだよね?
二人だけで通じる何かがあるみたいだし、私は私のすべきことをしよっと!
「それじゃ、私は医療班の皆に声を掛けてくるね、病棟に運ばれてきた人達の状況を把握するいい機会だし」
回れ右をして病室から出ようとすると
「No2は起こさなくても良いよ、あの感じだと朝までか、もしくは、夜中に起きるだろうから」
そうだねっと頷いてから病室を出る。
廊下に出ると静かな病棟、状況を確認するって言っても、ある程度は把握してる。
怪我をした人たちは、殆ど退院しているだろうからね、戦況が落ち着いているのであれば、暫くは医療班としては、落ち着くのだろうか?
『ううん、それはない、ないよ。』
…姫様の記憶が首を横に振って警告してくれる。
『嵐の前の静けさだよ』っかぁ、先を読めない私でもこの先に待ち受けている戦いが激しいのだけはわかる、それなら、今のうちに出来る準備をしよう。
必要な薬、必要な消耗品、必要な心構え…
団長としてやるべきことは数多く、姫様だけに負担を強いる、そんな事が無いように、今度は私が徹底的に!姫様を支える!!…お兄ちゃんの代わりにね。
目を瞑ると子供達が頑張ろうっと握りこぶしを握って此方を見てくれている。
お兄ちゃんを感じ取れなくなったけれど、君たちを感じることが出来る。
幼き頃に夢の中で遊んでくれた、友達が少ない私の妄想だと思っていたお友達。
君たちと一緒なら僕は…私は独りじゃない。
がんばれーっと手を振ってくれる友達に手を振り返し目を開けるとやる気がせり上がってくる。
出来る事をする!そうと決まれば!
まずは一階に降りて、職員が何処で何をしているのか把握しよう。
そういう職員の配置、その殆どを大先輩にお願いしちゃってる、ご年齢の方をこき使い過ぎだよなぁっと反省してしまう。
階段を下りていく足取りは、お風呂に入ってさっぱりしたからなのか、自分の中にある隠されていたことが全て露になっていくのが嬉しいのか、軽やかに感じ、踊り場でついつい踊ってしまった。
─ 病棟 姫様が入院している病室
小さくも頼りになる背中が病室を出るのを見送り、視線をメイドちゃんに向ける
「さぁて、当人が席を外したことだしー」
「ぅ…」
邪悪な笑みを浮かべてメイドちゃんを見ると嫌そうな顔で視線を避けられる、まだまだ、心理戦ってやつがわかってないなぁ。そんなんじゃ私の後は継げないぞっと。
少しばかり赤くなっている鼻を突いてやりたい衝動に駆られながらも茶化さないと決め、言葉を選びながら話しかける。
「そっか、頑張ったんだね。女性を好きになるって、辛い?」
「辛くないです!私は、彼女の心が好きになったんです、体が目当てじゃ、ない、です」
反論するときはしっかりと私の目を見て叫ぶけど、最後の方は視線を外しちゃって、いけないなぁ。
まったくもって、本音を隠せてないなぁ。
今代のメイドちゃんは正直者、だとしたらもう、華の頂じゃない、この街で生きる普通の一人の女性。
その方が、きっとメイドちゃんは幸せなんだと思う、あんなどうしようもない自分勝手な国にこき使われて心も体も摩耗してはいけない。
今のメイドちゃんを見るとさ、考えてしまった良くない考えは、やっぱし正しかったのかもね。
メイドちゃんの事を考えたらあの国は滅ぼしておくべきだったのかも、もしかしたら、私の敗因、分岐点はそこからだったのかも?
未来に着地したからこそ、見えてくる私の敗因、それだけじゃないとわかっていても、やり直せるのならやり直したいって考えてしまう、人生にやり直しなんて無い、それなのに私は未来の情報を得てしまっているから、やり直しをしているようなものなのにね、はぁ、矛盾してらぁ。
私という大事な局面では常に一手遅い愚鈍な存在に嫌気を指す様にため息を心の中で吐き捨てる。
「ふぅ~ん?っま、そーいうことにしておこっかな、ほら、本とって~」
メイドちゃんの本心もわかったことだし、これ以上深く突っ込むと機嫌悪くしちゃうから止めるのが正解、後は、眠くなるまで本を読んで、少しだけ寝て、もう一度、本に目を通そう。
取って欲しい本を指さすと小さく頬を膨らませながら取ってくれる、既にご機嫌斜めだった。
「あと~、お茶も飲みたーい、クッキーも食べたいなー」
それでも、私の体は勝手に動く、きっとこの感覚が、今代の私なのだろう。何となく掴めてきた。
記憶が蘇った影響かな?今代の私と過去の私が繋がっていくように感じる。
「はぁ~い、少々お待ちくださ~い」
ノンビリとした返事、私の時とは緊張感が違う。
きっと、こういう穏やかな日々を目指して今代の私は多くの人に接し続けたのだろう。
なら、私もそれを引き継ぐだけ。
後は…気になることがある。確かめれそうなら確かめておくのが良いだろうね、彼女は私の大事な右腕だもの。
あのメイドちゃんの反応、先ほどの団長が居る時にしたやり取りで気が付いたことがある。
一瞬、ほんの僅かな、刹那に近い僅かな気付き、私はそれを見逃さない、そして、メイドちゃんも見逃さない。
メイドちゃんは私が今代の私ではないのだと察している。
これだから、感が鋭い子は…
貴女の傍に居るのはお仕えする人物とは違うってわかったのなら…
ありえないと思うけれど、反旗とか、一揆とか、そういうことを、しかねない。
愛する人の為なら…ね。私は愛がどれ程までに重く重要なのか、身に染みている。
本心を確かめるためにも、どうしたものかと、考えながらも、受け取った本を開くとまぁ何とかなるかと楽観した考えに誘われてしまう。
それなら、いっその事、思考を一旦クリアにしよう。
そもそもさ?その状況になったらなったで、如何にか出来そうな気もするし、今は一旦、思考を切り替えよう。
さて、今代の私はどんな技術を生み出しす為に何をしてきたのか、研究ノートを拝見させていただこうかな。
つっても?あの小部屋に入ったときに、湧き上がる様に今代の記憶が呼び覚まされてきたから。
本を読む必要なんて、もう、無いんだけど、ね…
それでも、何か見落とし、記憶違い、忘れていた事、何か見落としが無いか、チェックするのは大事、過去の研究を見て気が付くことだってある。
今代の私と言えど、受け取った情報全てを覚えきれているわけじゃない、私のときだって、過去の失敗した私が情報を伝えるために体を使って殴り書きでメモを残してくれたりもしたけれど、そのメモを全て理解していたわけじゃない。
そのまま、三人で大浴場で汗を流し、三人並んで牛乳を飲んで、食堂に向かい食事を済ませる。
三人仲良く病室に帰ってきて思い出す。
病室の前に置かれている木箱をみて…
しまった、姪っ子ちゃん、姫様に会いたかったんだった。
ごめんねっと、心の中で謝り、病室に入り車椅子から抱き起して姫様をベッドに寝かせる
「パジャマとしてジャージ持って来たから、寝る時は誰か呼んで着替えさせてもらってね」
「…」
凄く不服そう、病室でスケスケのネグリジェはダメだよ?
「わかってる。皆迄言うなし!こんな場所で!油断するとアレが来るかもしれない場所で!そんな危険な恰好してみ?襲われるってーの!」
アレ?って何だろう、直ぐに思い浮かんだのが昼間の出来事、姫様は彼に!!
そうだった、姫様、嫁に来ないかって誘われてたんだった!
姫様の言わんとすることが何となくわかる、王様は傍若無人っていうもんね?
「木箱ありがとうね、取り合えず、少しでも本を読みたいけど、リハビリは?」
「取り合えず今すぐは無いかな?今日はもう終わりにしてもいい軽くマッサージはしよう、かな?…それと、医療班の中で余力がある人から全員から魔力を貰う?」
魔力が空っぽかもしれないので、提案してみるが、嫌そうな顔をしている。
たぶんだけど、魔力を渡せる医療班、一人一人と会うのが面倒だと考えてるんだろうなぁ
「わかった、それじゃ私が皆から魔力を受け取ってくるから、私経由で」「うん!よろしくね!」
輝く様な笑顔!もう!我儘なんだよなぁ!私がその提案するの待ってたでしょ!
姫様の我儘にはなれたもの、これくらいなら可愛いくらい。
「それじゃ、医療班の皆に分けてもらってくる、メイドちゃんはどうする?」
「えっと、私は」
ちらっと姫様の方を見てる、そうだよね、姫様が用事があるのだとしたら傍に居るべき
言い淀んでいるメイドちゃんを見て姫様が
「用事があるならそっちを優先していいよ?」
すこし申し訳なさそうに言う一言にメイドちゃんの表情が一瞬だけ変わる?
眉間に一瞬だけ皺が出来たけれど、どうしたんだろう?
「いえ、ありません。私の仕事は姫様の傍に居る事です。」
視線を姫様の方へと向けると、特におかしなところはなく、何時も通りだけど?
「とはいってもなぁ、少し寝てから本を読もうと思ったんだけど、それでも、傍に居る?」
此方を一瞬だけ見た?どうしたんだろう?何でこっちを見たんだろう?
「はい、傍に居ます!出来る事なら!ずっと立って姫様の隣に」
「それはダメ、私はブラックな関係を築くつもりは無いからね?休める時に休む」
視線をメイドちゃんに向けてどんな表情をしているのか、メイドちゃんの口角が上がってる?んー…メイドちゃんの感情が読めない。
元々、感情が読みにくい、そういう人だって知ってるから別にいいか。そもそも私ってさ、空気読めない馬鹿だからいいですよー、っだ。
「でしたら、その、ご用がある時は絶対にまずは、私に声を掛けてくれませんか?」
「良いけど、本当にいいの?」
姫様の視線がメイドちゃんから此方に向けられる?何だろう?どうしてこっちを見るの?
「はい、珍しいですね、そういったお気遣いをしていただけるなんて」
「…んふ~、そりゃぁ、私は出来る女だもの、何となくね、わかるよ?」
口角を上げてメイドちゃんを見てる、何でだろう?ちょっとNo2を彷彿とさせる笑顔。
除け者にされているような気がしてきた。なら、今ここに私が居る必要性はないってことだよね?
二人だけで通じる何かがあるみたいだし、私は私のすべきことをしよっと!
「それじゃ、私は医療班の皆に声を掛けてくるね、病棟に運ばれてきた人達の状況を把握するいい機会だし」
回れ右をして病室から出ようとすると
「No2は起こさなくても良いよ、あの感じだと朝までか、もしくは、夜中に起きるだろうから」
そうだねっと頷いてから病室を出る。
廊下に出ると静かな病棟、状況を確認するって言っても、ある程度は把握してる。
怪我をした人たちは、殆ど退院しているだろうからね、戦況が落ち着いているのであれば、暫くは医療班としては、落ち着くのだろうか?
『ううん、それはない、ないよ。』
…姫様の記憶が首を横に振って警告してくれる。
『嵐の前の静けさだよ』っかぁ、先を読めない私でもこの先に待ち受けている戦いが激しいのだけはわかる、それなら、今のうちに出来る準備をしよう。
必要な薬、必要な消耗品、必要な心構え…
団長としてやるべきことは数多く、姫様だけに負担を強いる、そんな事が無いように、今度は私が徹底的に!姫様を支える!!…お兄ちゃんの代わりにね。
目を瞑ると子供達が頑張ろうっと握りこぶしを握って此方を見てくれている。
お兄ちゃんを感じ取れなくなったけれど、君たちを感じることが出来る。
幼き頃に夢の中で遊んでくれた、友達が少ない私の妄想だと思っていたお友達。
君たちと一緒なら僕は…私は独りじゃない。
がんばれーっと手を振ってくれる友達に手を振り返し目を開けるとやる気がせり上がってくる。
出来る事をする!そうと決まれば!
まずは一階に降りて、職員が何処で何をしているのか把握しよう。
そういう職員の配置、その殆どを大先輩にお願いしちゃってる、ご年齢の方をこき使い過ぎだよなぁっと反省してしまう。
階段を下りていく足取りは、お風呂に入ってさっぱりしたからなのか、自分の中にある隠されていたことが全て露になっていくのが嬉しいのか、軽やかに感じ、踊り場でついつい踊ってしまった。
─ 病棟 姫様が入院している病室
小さくも頼りになる背中が病室を出るのを見送り、視線をメイドちゃんに向ける
「さぁて、当人が席を外したことだしー」
「ぅ…」
邪悪な笑みを浮かべてメイドちゃんを見ると嫌そうな顔で視線を避けられる、まだまだ、心理戦ってやつがわかってないなぁ。そんなんじゃ私の後は継げないぞっと。
少しばかり赤くなっている鼻を突いてやりたい衝動に駆られながらも茶化さないと決め、言葉を選びながら話しかける。
「そっか、頑張ったんだね。女性を好きになるって、辛い?」
「辛くないです!私は、彼女の心が好きになったんです、体が目当てじゃ、ない、です」
反論するときはしっかりと私の目を見て叫ぶけど、最後の方は視線を外しちゃって、いけないなぁ。
まったくもって、本音を隠せてないなぁ。
今代のメイドちゃんは正直者、だとしたらもう、華の頂じゃない、この街で生きる普通の一人の女性。
その方が、きっとメイドちゃんは幸せなんだと思う、あんなどうしようもない自分勝手な国にこき使われて心も体も摩耗してはいけない。
今のメイドちゃんを見るとさ、考えてしまった良くない考えは、やっぱし正しかったのかもね。
メイドちゃんの事を考えたらあの国は滅ぼしておくべきだったのかも、もしかしたら、私の敗因、分岐点はそこからだったのかも?
未来に着地したからこそ、見えてくる私の敗因、それだけじゃないとわかっていても、やり直せるのならやり直したいって考えてしまう、人生にやり直しなんて無い、それなのに私は未来の情報を得てしまっているから、やり直しをしているようなものなのにね、はぁ、矛盾してらぁ。
私という大事な局面では常に一手遅い愚鈍な存在に嫌気を指す様にため息を心の中で吐き捨てる。
「ふぅ~ん?っま、そーいうことにしておこっかな、ほら、本とって~」
メイドちゃんの本心もわかったことだし、これ以上深く突っ込むと機嫌悪くしちゃうから止めるのが正解、後は、眠くなるまで本を読んで、少しだけ寝て、もう一度、本に目を通そう。
取って欲しい本を指さすと小さく頬を膨らませながら取ってくれる、既にご機嫌斜めだった。
「あと~、お茶も飲みたーい、クッキーも食べたいなー」
それでも、私の体は勝手に動く、きっとこの感覚が、今代の私なのだろう。何となく掴めてきた。
記憶が蘇った影響かな?今代の私と過去の私が繋がっていくように感じる。
「はぁ~い、少々お待ちくださ~い」
ノンビリとした返事、私の時とは緊張感が違う。
きっと、こういう穏やかな日々を目指して今代の私は多くの人に接し続けたのだろう。
なら、私もそれを引き継ぐだけ。
後は…気になることがある。確かめれそうなら確かめておくのが良いだろうね、彼女は私の大事な右腕だもの。
あのメイドちゃんの反応、先ほどの団長が居る時にしたやり取りで気が付いたことがある。
一瞬、ほんの僅かな、刹那に近い僅かな気付き、私はそれを見逃さない、そして、メイドちゃんも見逃さない。
メイドちゃんは私が今代の私ではないのだと察している。
これだから、感が鋭い子は…
貴女の傍に居るのはお仕えする人物とは違うってわかったのなら…
ありえないと思うけれど、反旗とか、一揆とか、そういうことを、しかねない。
愛する人の為なら…ね。私は愛がどれ程までに重く重要なのか、身に染みている。
本心を確かめるためにも、どうしたものかと、考えながらも、受け取った本を開くとまぁ何とかなるかと楽観した考えに誘われてしまう。
それなら、いっその事、思考を一旦クリアにしよう。
そもそもさ?その状況になったらなったで、如何にか出来そうな気もするし、今は一旦、思考を切り替えよう。
さて、今代の私はどんな技術を生み出しす為に何をしてきたのか、研究ノートを拝見させていただこうかな。
つっても?あの小部屋に入ったときに、湧き上がる様に今代の記憶が呼び覚まされてきたから。
本を読む必要なんて、もう、無いんだけど、ね…
それでも、何か見落とし、記憶違い、忘れていた事、何か見落としが無いか、チェックするのは大事、過去の研究を見て気が付くことだってある。
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