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おまけ 姦しい奥様達 ①
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姫ちゃんが言うにはデッキチェアっという名前の椅子に座り寝ころぶ、湯船の縁に頭を乗せていた時と変わり映えの無い視界、姫ちゃんが贅の限りを尽くす!っと宣言して作られた知らない風景が描かれた天井を眺めながら火照った体から熱が引いていくのを感じながらのんびりと奥様達の細やかな会話ってのも乙なモノよね。
乙なもの…乙な女性たち…年齢を考えると乙女と表してよいの?
「それにしても、乙女ちゃんって言うのも失礼ね」
「おとめ、ちゃん?」
うっかり声に出してしまい、聞こえてしまったみたいで返ってきた不思議そうな声。
乙女ちゃんって呼んでいたのは、私の心の中だけだったかしら?彼女が戦士達から呼ばれていたあだ名が閃光の如き鋭き剣捌き、瞬き、その瞬間で全てが終わる閃光の如き速さ!から、閃光姫だったかしら?あの頃は乙女ちゃんの隠れファンが結構いたのよね~、懐かしいわね。
「ああ、閃光ちゃんは乙女のように可愛らしいままねって思ったのよ」
取り合えず、私自身もわかっているこの誤魔化し方は無理な感じだとしても、取り合えず!誤魔化してみると
「まだまだ、私も若く見えますか?」
誤魔化しがあっさりと通り、返ってきた声が不安そうな声ね。
先ほど見えた姿を思い出し何を不安に感じるのだろうか?
「ええ、若いわよ、実際問題、私の記憶よりも成長した部分もあれば…って感じね」
「・・・含みがありますね、せんぱい」
胸が大きくなったわねって漏れそうになったけれど、私が言うと嫌味になりそうだから含ませてみたら違う方向に勘違いしてそうね。
「誰だって歳を重ねるものよ、その重ね方は人それぞれ、私はね閃光ちゃんの重ね方は美しいと思うわよ?」
「ありがとうございます、先輩には負けますけど」
頬を膨らませてそうな声ね。
そりゃそうよっと返したくなってしまう、それ程までに私は他の人と違う、努力しているからとか、そういう問題じゃない…私と姫ちゃんには若さを保っている大きな部分がある。
姫ちゃんは生きる為、でも私は、違う。
一つは、美容目的として、見た目上の若さを保つために封印術式を姫ちゃんほどのきつい内容では無く施しているのよね。
もう一つの理由は、私の体にも施して何が起きるのか知る為…姫ちゃんを守る為よ。
この技術が黒い技術で何に使われていたのか…考えるだけで悍ましい技術なのは重々承知、だからこそ、愛する娘を守る為
封印術式のお陰様で知ったことがある、日常的に私達の体から魔力が無駄に抜けて消えていく。
その消えていく魔力が外に漏れる量が減ったおかげもあって魔力が体内を循環し続けているのを感じることが出来ているのよね。
昔みたいに魔力を少しでも体内に残す為に念入りに魔力を折りたたんで体内に保存するっという習慣を無くなる、ってほど強力ではないのよね、私に施しているやつは、まぁ、お陰様で、魔力を練るっという行為に関しては頻度を減ったわね。
時折、限界まで魔力をおねだりに来るから体内の魔力が少ない気がしたときは魔力を練ったりしていたし、限界まで魔力をおねだりされた次の日は集中して練ったわね。
自身の若さの秘密を思い返していると
「若さってのはそんなに大事かねぇ?」
「大事よ」「です!」
貴族の奥様達に言ってはいけない一言が聞こえてきたがため、同時に圧を込めちゃったじゃないの。
「ぉぉ、そ、そうかい?」
二人同時に圧を込められて向けられるとは思っていなかったみたいね。貴女でも怯むことはあるのね。
若さに関して疎いのは仕方がないわよね~だって貴女は勇ましければ旦那が喜んでくれるでしょうけれど!こっちは違うのよ!
若さこそ正義!
華が咲き誇り続け幾重の時を重ねれば自然と熟れた果実へと変わっていく。
熟れた果実ってのはね食べられることなく果肉を腐らせるだけなのよ!腐った果実なんてね!誰も振り向いてくれなくなるの!!
特に、乙女ちゃんからすれば必死になるのも頷けるのよ。
あの馬鹿が若さを理由に振り向いてくれなくなるっという不安感、自分に魅力が無くなれば直ぐにでも他に目移りしそうで気が気でないでしょうね!色を好み過ぎる愛する人ってのは…辛いわね。
「貴女は、若い方が良かったって感じたことがないの?」
「あたしかい?…歳をとれば体力が落ちちまったなぁって、感じたりもしたけれどよぉ、感じた時から毎日、若い頃と同じように訓練を再開してみたらさ、若くなくてもいけるじゃねぇかってよ、実際に感じてしまってるからなぁ」
天性の肉体は衰えるっていうことがないのかしら?
「それによ、若い頃を思い返してみるとよ、若い頃は無駄にはやりっ気が出て隙だらけだったんじゃねぇかって思っちまってるからねぇ…」
「・・・その考えは正しいです」
完全に意見が女性ではなく戦士としての心構えってやつね、貴女は根っからの戦士よ。
そこを引き合いに出されると土俵が違い過ぎて何も言えなくなるわね、戦士としてなのか、男性に愛されたり女性としてなのかってね。
「だろぉ?あの頃のあたいは、敵に強烈な一撃をぶちかましたくてぶつけたくて…あいつ等を殺したくて体が震えるほどに殺気だってたからねぇ。相手の出方なんて知ったこっちゃねぇ、相手のペースなんてお構いなしさ!あたいの頭の中は攻撃する事しか考えてなかったさぁね」
「攻撃こそ、先手こそ必勝法となる、その考えは戦士として同じ、です。ただ、私の場合は、敵の攻撃が怖くて、こわくて…少しでも早く、敵を、動いている獣から視線を外させたいっという願いもあり…隣で共に戦ってくれる、守りたい人、好きな人が傷つくのが怖くて、焦っていました」
敵を前にして焦ってしまう、わかるわよ、その気持ち。
私も同じだった、愛する騎士様を守りたくて、前に出過ぎていたのではないかって、何度も何度も、夢に出てきたわ。
私が前に出過ぎたから、騎士様は使わざるを得なかったのじゃないかって…
小さな沈黙、お互いが良くない思い出に浸されそうとなっている。
良くない流れね、お風呂場でしっとりとしていいのはお肌だけよ、話題を変えるべきね
「女将はさ、次の子供を考えているのかしら?」
「何だい藪から棒に、あたしはもう、十分子供を授かってるさぁね、そりゃ、授かるのならそれはそれでいいさぁね、でも、流れちまうこともあるからねぇ」
「なら、旦那に甘えないの?」
「っば!っか、やろぉ…街に戻ってきてからたまに甘えてるよ」
っふ、仲がよろしい事で
「旦那さんは、凄いですよね」
あら?珍しいわね、乙女ちゃんがあの馬鹿以外の男性を褒めるなんて?
それは、どっちの意味で凄いって意味なのかしら?
あの女将を抱けるっていう部分だとしたら叩かれるわよ?っま、乙女ちゃんがそんな事を言うわけないわよね。
「そう、かい?」
あら?愛する旦那が褒められて声が上ずってるわよ?
返ってきた女将の反応が照れている感じからして女将も純粋に褒められているのだと感じたのね。
「そうですよ。王都でも、彼の偉業は凄いです。姫様に次いで有名ですよ」
そうなのよね、姫ちゃんが手を貸す前、彼の開拓魂は高く評価されていないとおかしいのよね。
彼と共同して研究していたから知ってるのよ、彼の情熱や熱意はすさまじかったわね。
畜産を安定した産業へと導いた功績は食料が乏したかった王都を救ったのよ。
「噂で聞いたことがあるのですが、農地を開拓するために森を切り開いたのって粉砕さんっとお聞きしましたけれど?」
「間違ってないさぁね、あたしは元々、生まれ持っての木こりさぁね、強くなるために素振りをしていた時期があってね、それに違和感を感じ続けていたさぁ、斧をただただ空中で振るってのがね、これで強くなれるとは思えれなかったし、何より、性に合わなくてねぇ。何か無いかと考えていた時にさ、街から目の鼻の距離で森を開拓しているって聞いてね、開拓者である旦那に頼んでよ切っても良い木を教えてもらって己のトレーニングの一環として利用させてもらったさぁね。だからよ、あたいが非番の時とかちょっとした時間がある時によ、木を切らせてもらっていたのさ」
あらぁ?それは初耳じゃない、てっきり、旦那と貴女は接点が薄いモノだと思っていたわ。
若い頃の二人の関係って旦那が遠くから憧れの眼差しで見ているのだと思っていたのよね。
そんな二人が何処に接点があったのか、今まで思っていたのが、旦那がこの街に食料などを納品する際に荷物を運ぶのを手伝っているくらいしか接点が無いのモノだと思っていたわ。
「その時から、旦那さんのことをお好きになられたんですか?」
「・・・」
ボリボリと頭を引っ掻く音が聞こえてくる、たぶん、乙女ちゃんが想像していたのとは違うってことね。
過去を思い返してみても、あの頃の貴女は恋とか愛とかよりも、騎士様を超えたいってことばかりを考えていてそうなのよね。
…何時頃からなのか時期は定かじゃない、何となく、女将のやつも騎士様に心惹かれているのではないかって思う様になったのよね。同じ相手に惹かれるもの同士、ちょっとしたライバル心があったのは否定しないわ。
女将の無言に耐え切れなかったのか
「答えにくい、質問、失礼しました」
礼儀正しく謝っている。その姿勢に拍手を送りたくなるわね。
乙女ちゃんは流石ね貴族してるじゃない、引き際を心得ている。
貴族の家系ってのはしたたかなのよ、引くべき時は引き、押すときはしっかりと押す。
武の一族と言えど駆け引きってのを疎かにしない、だからこそ、生き残れるのよ。
特に…この大地は戦乱がない、故に武家は仕事が無いようなものなのよね、姫ちゃんが武家の仕事を徹底的に潰しちゃったから、王都の武家は新たな食い扶持を探すことになったのはここだけの話よ?
さて、このまま沈黙するのも良くないわね、答えにくい話題の後にぶつけるのは
「ぶっちゃけ、貴女と旦那とはいつ結ばれたのよ?愛い月はいつなのよー?記念日として記録してるんでしょー?」
答えにくい話題よ!乙女ちゃんの失言を私の失言によって矛先を私に向けさせる!
「っだ!お、っま!…いいたかねぇ!」
肩を大きな音を出しながら叩かれてしまう。痛いじゃないの。でもま、これで場は何時もの流れになったわね。
うんうんっと頷いていると
「わたしたちは」「馬鹿の諸事情とか聞きたくねぇ!」「知りたくないわよ!想像しちゃうじゃないの!」
「はぃ…」
乙なもの…乙な女性たち…年齢を考えると乙女と表してよいの?
「それにしても、乙女ちゃんって言うのも失礼ね」
「おとめ、ちゃん?」
うっかり声に出してしまい、聞こえてしまったみたいで返ってきた不思議そうな声。
乙女ちゃんって呼んでいたのは、私の心の中だけだったかしら?彼女が戦士達から呼ばれていたあだ名が閃光の如き鋭き剣捌き、瞬き、その瞬間で全てが終わる閃光の如き速さ!から、閃光姫だったかしら?あの頃は乙女ちゃんの隠れファンが結構いたのよね~、懐かしいわね。
「ああ、閃光ちゃんは乙女のように可愛らしいままねって思ったのよ」
取り合えず、私自身もわかっているこの誤魔化し方は無理な感じだとしても、取り合えず!誤魔化してみると
「まだまだ、私も若く見えますか?」
誤魔化しがあっさりと通り、返ってきた声が不安そうな声ね。
先ほど見えた姿を思い出し何を不安に感じるのだろうか?
「ええ、若いわよ、実際問題、私の記憶よりも成長した部分もあれば…って感じね」
「・・・含みがありますね、せんぱい」
胸が大きくなったわねって漏れそうになったけれど、私が言うと嫌味になりそうだから含ませてみたら違う方向に勘違いしてそうね。
「誰だって歳を重ねるものよ、その重ね方は人それぞれ、私はね閃光ちゃんの重ね方は美しいと思うわよ?」
「ありがとうございます、先輩には負けますけど」
頬を膨らませてそうな声ね。
そりゃそうよっと返したくなってしまう、それ程までに私は他の人と違う、努力しているからとか、そういう問題じゃない…私と姫ちゃんには若さを保っている大きな部分がある。
姫ちゃんは生きる為、でも私は、違う。
一つは、美容目的として、見た目上の若さを保つために封印術式を姫ちゃんほどのきつい内容では無く施しているのよね。
もう一つの理由は、私の体にも施して何が起きるのか知る為…姫ちゃんを守る為よ。
この技術が黒い技術で何に使われていたのか…考えるだけで悍ましい技術なのは重々承知、だからこそ、愛する娘を守る為
封印術式のお陰様で知ったことがある、日常的に私達の体から魔力が無駄に抜けて消えていく。
その消えていく魔力が外に漏れる量が減ったおかげもあって魔力が体内を循環し続けているのを感じることが出来ているのよね。
昔みたいに魔力を少しでも体内に残す為に念入りに魔力を折りたたんで体内に保存するっという習慣を無くなる、ってほど強力ではないのよね、私に施しているやつは、まぁ、お陰様で、魔力を練るっという行為に関しては頻度を減ったわね。
時折、限界まで魔力をおねだりに来るから体内の魔力が少ない気がしたときは魔力を練ったりしていたし、限界まで魔力をおねだりされた次の日は集中して練ったわね。
自身の若さの秘密を思い返していると
「若さってのはそんなに大事かねぇ?」
「大事よ」「です!」
貴族の奥様達に言ってはいけない一言が聞こえてきたがため、同時に圧を込めちゃったじゃないの。
「ぉぉ、そ、そうかい?」
二人同時に圧を込められて向けられるとは思っていなかったみたいね。貴女でも怯むことはあるのね。
若さに関して疎いのは仕方がないわよね~だって貴女は勇ましければ旦那が喜んでくれるでしょうけれど!こっちは違うのよ!
若さこそ正義!
華が咲き誇り続け幾重の時を重ねれば自然と熟れた果実へと変わっていく。
熟れた果実ってのはね食べられることなく果肉を腐らせるだけなのよ!腐った果実なんてね!誰も振り向いてくれなくなるの!!
特に、乙女ちゃんからすれば必死になるのも頷けるのよ。
あの馬鹿が若さを理由に振り向いてくれなくなるっという不安感、自分に魅力が無くなれば直ぐにでも他に目移りしそうで気が気でないでしょうね!色を好み過ぎる愛する人ってのは…辛いわね。
「貴女は、若い方が良かったって感じたことがないの?」
「あたしかい?…歳をとれば体力が落ちちまったなぁって、感じたりもしたけれどよぉ、感じた時から毎日、若い頃と同じように訓練を再開してみたらさ、若くなくてもいけるじゃねぇかってよ、実際に感じてしまってるからなぁ」
天性の肉体は衰えるっていうことがないのかしら?
「それによ、若い頃を思い返してみるとよ、若い頃は無駄にはやりっ気が出て隙だらけだったんじゃねぇかって思っちまってるからねぇ…」
「・・・その考えは正しいです」
完全に意見が女性ではなく戦士としての心構えってやつね、貴女は根っからの戦士よ。
そこを引き合いに出されると土俵が違い過ぎて何も言えなくなるわね、戦士としてなのか、男性に愛されたり女性としてなのかってね。
「だろぉ?あの頃のあたいは、敵に強烈な一撃をぶちかましたくてぶつけたくて…あいつ等を殺したくて体が震えるほどに殺気だってたからねぇ。相手の出方なんて知ったこっちゃねぇ、相手のペースなんてお構いなしさ!あたいの頭の中は攻撃する事しか考えてなかったさぁね」
「攻撃こそ、先手こそ必勝法となる、その考えは戦士として同じ、です。ただ、私の場合は、敵の攻撃が怖くて、こわくて…少しでも早く、敵を、動いている獣から視線を外させたいっという願いもあり…隣で共に戦ってくれる、守りたい人、好きな人が傷つくのが怖くて、焦っていました」
敵を前にして焦ってしまう、わかるわよ、その気持ち。
私も同じだった、愛する騎士様を守りたくて、前に出過ぎていたのではないかって、何度も何度も、夢に出てきたわ。
私が前に出過ぎたから、騎士様は使わざるを得なかったのじゃないかって…
小さな沈黙、お互いが良くない思い出に浸されそうとなっている。
良くない流れね、お風呂場でしっとりとしていいのはお肌だけよ、話題を変えるべきね
「女将はさ、次の子供を考えているのかしら?」
「何だい藪から棒に、あたしはもう、十分子供を授かってるさぁね、そりゃ、授かるのならそれはそれでいいさぁね、でも、流れちまうこともあるからねぇ」
「なら、旦那に甘えないの?」
「っば!っか、やろぉ…街に戻ってきてからたまに甘えてるよ」
っふ、仲がよろしい事で
「旦那さんは、凄いですよね」
あら?珍しいわね、乙女ちゃんがあの馬鹿以外の男性を褒めるなんて?
それは、どっちの意味で凄いって意味なのかしら?
あの女将を抱けるっていう部分だとしたら叩かれるわよ?っま、乙女ちゃんがそんな事を言うわけないわよね。
「そう、かい?」
あら?愛する旦那が褒められて声が上ずってるわよ?
返ってきた女将の反応が照れている感じからして女将も純粋に褒められているのだと感じたのね。
「そうですよ。王都でも、彼の偉業は凄いです。姫様に次いで有名ですよ」
そうなのよね、姫ちゃんが手を貸す前、彼の開拓魂は高く評価されていないとおかしいのよね。
彼と共同して研究していたから知ってるのよ、彼の情熱や熱意はすさまじかったわね。
畜産を安定した産業へと導いた功績は食料が乏したかった王都を救ったのよ。
「噂で聞いたことがあるのですが、農地を開拓するために森を切り開いたのって粉砕さんっとお聞きしましたけれど?」
「間違ってないさぁね、あたしは元々、生まれ持っての木こりさぁね、強くなるために素振りをしていた時期があってね、それに違和感を感じ続けていたさぁ、斧をただただ空中で振るってのがね、これで強くなれるとは思えれなかったし、何より、性に合わなくてねぇ。何か無いかと考えていた時にさ、街から目の鼻の距離で森を開拓しているって聞いてね、開拓者である旦那に頼んでよ切っても良い木を教えてもらって己のトレーニングの一環として利用させてもらったさぁね。だからよ、あたいが非番の時とかちょっとした時間がある時によ、木を切らせてもらっていたのさ」
あらぁ?それは初耳じゃない、てっきり、旦那と貴女は接点が薄いモノだと思っていたわ。
若い頃の二人の関係って旦那が遠くから憧れの眼差しで見ているのだと思っていたのよね。
そんな二人が何処に接点があったのか、今まで思っていたのが、旦那がこの街に食料などを納品する際に荷物を運ぶのを手伝っているくらいしか接点が無いのモノだと思っていたわ。
「その時から、旦那さんのことをお好きになられたんですか?」
「・・・」
ボリボリと頭を引っ掻く音が聞こえてくる、たぶん、乙女ちゃんが想像していたのとは違うってことね。
過去を思い返してみても、あの頃の貴女は恋とか愛とかよりも、騎士様を超えたいってことばかりを考えていてそうなのよね。
…何時頃からなのか時期は定かじゃない、何となく、女将のやつも騎士様に心惹かれているのではないかって思う様になったのよね。同じ相手に惹かれるもの同士、ちょっとしたライバル心があったのは否定しないわ。
女将の無言に耐え切れなかったのか
「答えにくい、質問、失礼しました」
礼儀正しく謝っている。その姿勢に拍手を送りたくなるわね。
乙女ちゃんは流石ね貴族してるじゃない、引き際を心得ている。
貴族の家系ってのはしたたかなのよ、引くべき時は引き、押すときはしっかりと押す。
武の一族と言えど駆け引きってのを疎かにしない、だからこそ、生き残れるのよ。
特に…この大地は戦乱がない、故に武家は仕事が無いようなものなのよね、姫ちゃんが武家の仕事を徹底的に潰しちゃったから、王都の武家は新たな食い扶持を探すことになったのはここだけの話よ?
さて、このまま沈黙するのも良くないわね、答えにくい話題の後にぶつけるのは
「ぶっちゃけ、貴女と旦那とはいつ結ばれたのよ?愛い月はいつなのよー?記念日として記録してるんでしょー?」
答えにくい話題よ!乙女ちゃんの失言を私の失言によって矛先を私に向けさせる!
「っだ!お、っま!…いいたかねぇ!」
肩を大きな音を出しながら叩かれてしまう。痛いじゃないの。でもま、これで場は何時もの流れになったわね。
うんうんっと頷いていると
「わたしたちは」「馬鹿の諸事情とか聞きたくねぇ!」「知りたくないわよ!想像しちゃうじゃないの!」
「はぃ…」
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