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おまけ 姦しい奥様達 ②
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気持ち大きな声で話し始めた内容を気持ち大きな声で聞きたくない話題を阻止する。
その流れは止めて欲しいわね!猥談は好きだけども!あいつ関連は勘弁してほしいのよね!
ただでさえ、あの馬鹿と一緒に行動している戦友達から散々聞かされてるのよ!
あいつ等が怪我をしたときや、診察や治療を施している間の世間話ときたらその手の話題ばっかりなのよね、聞き飽きてるのよ。
彼らも私だったらその手の話題をしても嫌がられないから遠慮なく語って来るけど、あいつ関連はちょっともうお腹いっぱいなのよね。
その上、昔から私の事を慕ってくれている乙女ちゃんと馬鹿との愛い月の話なんて聞いてしまったら脳裏に過っちゃうじゃないのよ、鮮明にね!
女将は純粋に、あの馬鹿のそういった姿を想像したくないだけでしょうね。
っというわけで、矛先を変えましょうかしら。
話題の方向性を変えようと声をだす刹那、頭に浮かぶイメージ、姫ちゃんが悪戯を思いついた時の顔が思い浮かんでしまった。私もあの邪悪な笑みを浮かべないように気をつけないとね。
「この流れだから聞いてみたかったのだけど、貴女と旦那、何方から愛を語ったの?」
「っぐ、お、っま!今日は遠慮しねぇなぁ!…まぁいいさ、こういう機会も…かもしれねぇからな、旦那からだよ!あたしが…塞ぎ込んでるときにずっと傍で、寄り添ってくれた」
「予想通りね」
奥手の貴女が手を出すとは思えれないもの
「っぐ!こ、の!あたしがそう、いうの、苦手なのしってんだろぉ…」
「知ってるわよ、貴女が自身の肉体に男女としてのコンプレックスを感じてるのなんて見え見えよ」
の!わかってて!っと小さく呟きながら私の肩を叩くんじゃないわよ、痛いじゃないの、指先が胸に当たってんのよったく、自身の手のひらがデカいのを考慮しなさい。
「あー!そうだよ!あたしゃー日々デカくなっていく自身の体を大っぴらにして村の中で生きるのが嫌で!森を開拓するからって木こりに専念して女としての人生を諦めてたよ!!幸いによ!あたいの家系は村を開墾した一族の血筋だからよ、山に籠って木こりとしてが仕事でもあるからよぉ、女一人山に籠っても誰も何も言わなかったさぁね」
ふふ、今日は饒舌じゃない
「そんな、戦士であれば誰もがうらやむ天性の肉体なのに卑下する事なんて」
そりゃぁ乙女ちゃんとしては、羨ましいと思うのかしらね?武家の一族としての考えは私達では理解が出来ない場所にあるのかもしれないわね。
私のような女の体を武器として生きてきた側室の一族としてはその考えは無理よ、生きる術を見失ってしまうわね。
「そうさぁね、戦士としてであれば、誰もが羨むだろうけれど、女性としては、どうなんだい?」
あら?珍しくそういった話題を返すなんてね。私も気になっていた部分でもあるし、静観に努めようかしら?
「どうも?武家の貴族であれば粉砕さんと縁を結べれるのであれば手を上げる貴族は数多くいらっしゃいますよ?」
相手が女性と思うことが出来なくても?しょうき?武家の人達は男色家なのかしら?いや、まさかの鋼の精神で?気になるわね…
「そう、なのかい?」
「はい、そうですよ?私が実家にいるときに粉砕さんのことを紹介して欲しいと頼まれたことはかなりありますよ?でも、その、時期が時期で…」
嬉しいのか照れてるのか知らないけれど、私の肩を叩かないでもらえるかしら?痛いのよ。
はぁ、違う意味で皮膚が赤くなりそうね。
「そして、気が付けば畜産の王と称されるほどの人物が貴女の愛を…」
そこで口を紡ぐのは説明不足よ?女将がそれで理解できるか怪しいじゃない、しょうがないわね。
「なるほどね、彼の偉業を考えれば貴族として叙勲されていてもおかしくないものね、誰しもが認める成果を築き上げた人物が愛した人物を武家だろうが貴族だろうが横取りなんて出来やしないわね」
「そう、なの、かい?」
あら?嬉しそうな声、貴女もしかしなくても旦那がどんなに凄い人物か気が付いていなかったのかしら?
「あれ?先輩は、ご存じなかったのですか?彼って地方ですけど貴族の方ですよ?」
「…ぁ、そうだったわね、そんな話を聞いたことがあるわね」
「そうなのかい!?」
驚いているけれど、そうよね、家名がある時点でそうじゃない。っていうか、女将も貴族だと思っていたのよ?どうもね、女将と私達の常識はズレがあるのよね。確認してみようかしら?
「家名があるじゃない、旦那の名前がララ・ストック、貴女は…旧姓は何だったかしら?」
「あたしかい?旧姓も何も、あたしの名前はマリンさぁね」
「フルネームよ」
「あー?あれかい?この街に来た時に名乗った名前でいいのかい?アレは村の中でまとめるもの、って意味と、開墾者の一族っと言う意味でパライバって意味さぁね、貴族とかの言う家名…ってわけじゃないさ」
そうだった、こいつの村は、この大陸の中でも南の方、性格には南+西って感じだったかしら?端の端、地方も地方だったわね。
私達とは常識が違うのよね。
「そうなのね、まって、貴女って自身の家名を理解していて?」
「家名?あたいはあたいさ、マリンさぁね」
…この馬鹿は!って突っ込みたくなるわね。まさか、ここまで常識が無かったとはね!
まぁ、貴族じゃなく平民としてであれば、何も問題ないから誰も何も言わなかったのでしょうね。
「貴女はそのままでいなさい」
「含みがあるじゃねぇか、今度、旦那にでも聞いてみるとするさぁね」
「・・・」
ほら!乙女ちゃんが黙っちゃったじゃない!
「あの、私って先輩達に家名を名乗りました?」
「新しい家名?」「名前はアルケーだったかい?」
「はい、モリス家のアルケーです、いえ、新しい家名は、ただ、カジカも同じ家名を背負うことになっています」
あら?そうなのね、あの馬鹿はね、ああ見えてこの街を何年も戦士として支えてきたのだから、功績として十二分にある、武家の一族として新しく爵位を拝命されてもおかしくないのにね。
やっと、認めてもらえたって事かしら?
この国は貴族が多すぎるから一つや二つ増えたとしても王は何も思わないだろうけれどね。
そう、言えば、あいつが王と成ってから新しく貴族として名を与えられた一族って聞かないわね?
寧ろ…貴族という枠組みから外された一族の方が多いんじゃないかしら?
派閥争いに負けて没落していく貴族なんて珍しくも無いわ。
「それじゃ、あの馬鹿は念願叶って貴族の仲間入りしていたのね」
「いえ、その…実は貴族としての名を欲していないんです、その、姫様と盟約を交わしたとか」
「なるほどね、姫ちゃんとあいつが交わす約束とくればこの街を治める領主として名を残さないかって盟約あたりでしょ?」
「あいつ、そんな約束を姫ちゃんとしてたってのかい!?それじゃ、あたいらはアイツに頭を下げないといけないってのかい!?」
「えっと、それに近い形です、前払いでかなりの金額をいただきまして、その、我が一族、姫様ひいてはそれに連なるモノの御傍付、騎士として生きるっという盟約で、時と場合によっては領主として振舞いこの街を守ることになっています、先輩達は存じ上げているのだと思っていました」
さすが姫ちゃんね、いい塩梅じゃない。ベテランのやつが状況に合わせてどちらにでも動くことが出来る。
「ええっと、つまりどういうことだい?」
「簡潔に言うと、姫ちゃんと姫ちゃんの一族、つまるところ、姫ちゃんが指定する人物達ってところかしらね?その人たちを守れと約束してるってことよ、その約束が自分だけではなく自身の子供達もその使命を背負っているってことよ、もっとわかりやすくいえば、この街に尽くしなさいってことよ」
「はぁん?なるほど、ね?」
しっくり来てないわね、貴女が気になる部分を解りやすく説明してあげるとしましょう。
「だから、別にあいつに頭を下げる必要性は無いのよ、国がこの街の代表と話がしたいときに…姫ちゃん亡きあと、更には、私や、貴女、幹部連中全てが機能していない場合、ベテランのやつが代表として動く様にって意味よ」
「姫ちゃんは死なせねぇよ!って、そういう話じゃねぇわな、なるほど、わかったぜ」
隣から大きな鼻息が聞こえてくる。どうやら理解したようね
「はい、ですので、息子や娘が独り立ちするタイミングで私もこの街に戻ってくる予定だったのですが…」
まだ独り立ちさせるには早いんじゃないかしら?っとなると、今回駆けつけてきたのも
「居ても経ってもいられなくなったのね、わかるわよ、今回が異常だものね」
「はい、過去にこの街で戦ってきたからこそわかるんです、今回は…おかしいです」
勘が鋭いわね、きっと、ここ数年で起きた様々な出来事にも情報を集め駆けつけるべきかどうか悩み続ける日々を送っていたのでしょうね。
「いいじゃねぇ。そういう行動ってのはあたいは好きだぜ、悔いが無いようにってことさぁね、その考え、あたいも一緒さぁね、あたいは、戦士として悔いが無いように全てを出し切ると決めてるさぁね」
むぅ、そういう話題から遠ざけたつもりだったのに、辿り着くのはどうなのよ?
まったく、話題を変えるこっちの身にもなってよね。
両隣で薄っすらと殺気を溢れさせるんじゃないわよ、私の中に眠る殺気に敏感な奴が反応するでしょ?
ここは強引にでも話を切り替えるとするとしましょう。
「ずっと疑問に思ってたのよ、女将の娘って旦那似なのね」
「いや、ちげぇよ?娘達はあたいの母に似てるさぁね」
なん、だと?
「それに、身長だって旦那を追い越そうとしてるさぁね?あたいの血筋はみんな背が高いさぁね」
「それにしては」「あたいと同じ肉体じゃねぇって言いたいのかい?たまたま、だと思うさぁね。あたいの血筋には時折、女だろうが男だろうがあたいと同じような巨体に育つことがあるらしいさぁね」
っとすると、貴女が特別ではないってことなのね、だとしたら
「その話は危険です」
「そうなのかい!?」
私から言う前に差し込んできたわね。流石は武家の一族、幸いにして私達三人以外、誰も大浴場に居ないから問題ないわ。場合によっては姫ちゃんに頼って口封じしないといけなくなるところだったわ。
「流石、武家の一族ね、その危険性にいち早く気が付くなんてね…」
「どういうことだい?」
わかっていないのは女将だけってことね、良き友人として答えてあげましょう。
「貴女の娘達、気をつけなさい。先の話題は他言無用よ?そうしないと貴女の娘達が貴族から求愛を受けることになるわよ?あの娘達の将来を考えるのであれば、迂闊にその事を話すんじゃないわよ?」
「なら、閃光の、あんたのとこ、男の子いたさぁね?狙ってるのかい?」
「その提案は凄く嬉しいのですが、そこは当人の問題とさせてください、私が自身の愛を貫いたのですから、子供達も同じように、愛の運命を見定めて欲しいのです」
あっら~、お母さんとしてちゃんと考えてるじゃない
その口ぶりからしてお互いの子供達は面識があるのね。
乙女ちゃんもお母さんしてるじゃない、だって乙女ちゃんとは思えれないくらいハキハキと話すくらい、芯がある!いいわねぇ~成長したじゃない、昔だったら抱きしめて褒めてあげるのに、今は、違うわね。
「そうよねー、自分の子供には愛する人を押し付けるような事なんてしたくないわよね」
「・・・」「・・・」
何で黙るのよ!?
「あのよぉ、ずっと、その、聞きたかったんだが、スピカちゃんはよぉ、その、お父さんは宰相のやつかい?」
その流れは止めて欲しいわね!猥談は好きだけども!あいつ関連は勘弁してほしいのよね!
ただでさえ、あの馬鹿と一緒に行動している戦友達から散々聞かされてるのよ!
あいつ等が怪我をしたときや、診察や治療を施している間の世間話ときたらその手の話題ばっかりなのよね、聞き飽きてるのよ。
彼らも私だったらその手の話題をしても嫌がられないから遠慮なく語って来るけど、あいつ関連はちょっともうお腹いっぱいなのよね。
その上、昔から私の事を慕ってくれている乙女ちゃんと馬鹿との愛い月の話なんて聞いてしまったら脳裏に過っちゃうじゃないのよ、鮮明にね!
女将は純粋に、あの馬鹿のそういった姿を想像したくないだけでしょうね。
っというわけで、矛先を変えましょうかしら。
話題の方向性を変えようと声をだす刹那、頭に浮かぶイメージ、姫ちゃんが悪戯を思いついた時の顔が思い浮かんでしまった。私もあの邪悪な笑みを浮かべないように気をつけないとね。
「この流れだから聞いてみたかったのだけど、貴女と旦那、何方から愛を語ったの?」
「っぐ、お、っま!今日は遠慮しねぇなぁ!…まぁいいさ、こういう機会も…かもしれねぇからな、旦那からだよ!あたしが…塞ぎ込んでるときにずっと傍で、寄り添ってくれた」
「予想通りね」
奥手の貴女が手を出すとは思えれないもの
「っぐ!こ、の!あたしがそう、いうの、苦手なのしってんだろぉ…」
「知ってるわよ、貴女が自身の肉体に男女としてのコンプレックスを感じてるのなんて見え見えよ」
の!わかってて!っと小さく呟きながら私の肩を叩くんじゃないわよ、痛いじゃないの、指先が胸に当たってんのよったく、自身の手のひらがデカいのを考慮しなさい。
「あー!そうだよ!あたしゃー日々デカくなっていく自身の体を大っぴらにして村の中で生きるのが嫌で!森を開拓するからって木こりに専念して女としての人生を諦めてたよ!!幸いによ!あたいの家系は村を開墾した一族の血筋だからよ、山に籠って木こりとしてが仕事でもあるからよぉ、女一人山に籠っても誰も何も言わなかったさぁね」
ふふ、今日は饒舌じゃない
「そんな、戦士であれば誰もがうらやむ天性の肉体なのに卑下する事なんて」
そりゃぁ乙女ちゃんとしては、羨ましいと思うのかしらね?武家の一族としての考えは私達では理解が出来ない場所にあるのかもしれないわね。
私のような女の体を武器として生きてきた側室の一族としてはその考えは無理よ、生きる術を見失ってしまうわね。
「そうさぁね、戦士としてであれば、誰もが羨むだろうけれど、女性としては、どうなんだい?」
あら?珍しくそういった話題を返すなんてね。私も気になっていた部分でもあるし、静観に努めようかしら?
「どうも?武家の貴族であれば粉砕さんと縁を結べれるのであれば手を上げる貴族は数多くいらっしゃいますよ?」
相手が女性と思うことが出来なくても?しょうき?武家の人達は男色家なのかしら?いや、まさかの鋼の精神で?気になるわね…
「そう、なのかい?」
「はい、そうですよ?私が実家にいるときに粉砕さんのことを紹介して欲しいと頼まれたことはかなりありますよ?でも、その、時期が時期で…」
嬉しいのか照れてるのか知らないけれど、私の肩を叩かないでもらえるかしら?痛いのよ。
はぁ、違う意味で皮膚が赤くなりそうね。
「そして、気が付けば畜産の王と称されるほどの人物が貴女の愛を…」
そこで口を紡ぐのは説明不足よ?女将がそれで理解できるか怪しいじゃない、しょうがないわね。
「なるほどね、彼の偉業を考えれば貴族として叙勲されていてもおかしくないものね、誰しもが認める成果を築き上げた人物が愛した人物を武家だろうが貴族だろうが横取りなんて出来やしないわね」
「そう、なの、かい?」
あら?嬉しそうな声、貴女もしかしなくても旦那がどんなに凄い人物か気が付いていなかったのかしら?
「あれ?先輩は、ご存じなかったのですか?彼って地方ですけど貴族の方ですよ?」
「…ぁ、そうだったわね、そんな話を聞いたことがあるわね」
「そうなのかい!?」
驚いているけれど、そうよね、家名がある時点でそうじゃない。っていうか、女将も貴族だと思っていたのよ?どうもね、女将と私達の常識はズレがあるのよね。確認してみようかしら?
「家名があるじゃない、旦那の名前がララ・ストック、貴女は…旧姓は何だったかしら?」
「あたしかい?旧姓も何も、あたしの名前はマリンさぁね」
「フルネームよ」
「あー?あれかい?この街に来た時に名乗った名前でいいのかい?アレは村の中でまとめるもの、って意味と、開墾者の一族っと言う意味でパライバって意味さぁね、貴族とかの言う家名…ってわけじゃないさ」
そうだった、こいつの村は、この大陸の中でも南の方、性格には南+西って感じだったかしら?端の端、地方も地方だったわね。
私達とは常識が違うのよね。
「そうなのね、まって、貴女って自身の家名を理解していて?」
「家名?あたいはあたいさ、マリンさぁね」
…この馬鹿は!って突っ込みたくなるわね。まさか、ここまで常識が無かったとはね!
まぁ、貴族じゃなく平民としてであれば、何も問題ないから誰も何も言わなかったのでしょうね。
「貴女はそのままでいなさい」
「含みがあるじゃねぇか、今度、旦那にでも聞いてみるとするさぁね」
「・・・」
ほら!乙女ちゃんが黙っちゃったじゃない!
「あの、私って先輩達に家名を名乗りました?」
「新しい家名?」「名前はアルケーだったかい?」
「はい、モリス家のアルケーです、いえ、新しい家名は、ただ、カジカも同じ家名を背負うことになっています」
あら?そうなのね、あの馬鹿はね、ああ見えてこの街を何年も戦士として支えてきたのだから、功績として十二分にある、武家の一族として新しく爵位を拝命されてもおかしくないのにね。
やっと、認めてもらえたって事かしら?
この国は貴族が多すぎるから一つや二つ増えたとしても王は何も思わないだろうけれどね。
そう、言えば、あいつが王と成ってから新しく貴族として名を与えられた一族って聞かないわね?
寧ろ…貴族という枠組みから外された一族の方が多いんじゃないかしら?
派閥争いに負けて没落していく貴族なんて珍しくも無いわ。
「それじゃ、あの馬鹿は念願叶って貴族の仲間入りしていたのね」
「いえ、その…実は貴族としての名を欲していないんです、その、姫様と盟約を交わしたとか」
「なるほどね、姫ちゃんとあいつが交わす約束とくればこの街を治める領主として名を残さないかって盟約あたりでしょ?」
「あいつ、そんな約束を姫ちゃんとしてたってのかい!?それじゃ、あたいらはアイツに頭を下げないといけないってのかい!?」
「えっと、それに近い形です、前払いでかなりの金額をいただきまして、その、我が一族、姫様ひいてはそれに連なるモノの御傍付、騎士として生きるっという盟約で、時と場合によっては領主として振舞いこの街を守ることになっています、先輩達は存じ上げているのだと思っていました」
さすが姫ちゃんね、いい塩梅じゃない。ベテランのやつが状況に合わせてどちらにでも動くことが出来る。
「ええっと、つまりどういうことだい?」
「簡潔に言うと、姫ちゃんと姫ちゃんの一族、つまるところ、姫ちゃんが指定する人物達ってところかしらね?その人たちを守れと約束してるってことよ、その約束が自分だけではなく自身の子供達もその使命を背負っているってことよ、もっとわかりやすくいえば、この街に尽くしなさいってことよ」
「はぁん?なるほど、ね?」
しっくり来てないわね、貴女が気になる部分を解りやすく説明してあげるとしましょう。
「だから、別にあいつに頭を下げる必要性は無いのよ、国がこの街の代表と話がしたいときに…姫ちゃん亡きあと、更には、私や、貴女、幹部連中全てが機能していない場合、ベテランのやつが代表として動く様にって意味よ」
「姫ちゃんは死なせねぇよ!って、そういう話じゃねぇわな、なるほど、わかったぜ」
隣から大きな鼻息が聞こえてくる。どうやら理解したようね
「はい、ですので、息子や娘が独り立ちするタイミングで私もこの街に戻ってくる予定だったのですが…」
まだ独り立ちさせるには早いんじゃないかしら?っとなると、今回駆けつけてきたのも
「居ても経ってもいられなくなったのね、わかるわよ、今回が異常だものね」
「はい、過去にこの街で戦ってきたからこそわかるんです、今回は…おかしいです」
勘が鋭いわね、きっと、ここ数年で起きた様々な出来事にも情報を集め駆けつけるべきかどうか悩み続ける日々を送っていたのでしょうね。
「いいじゃねぇ。そういう行動ってのはあたいは好きだぜ、悔いが無いようにってことさぁね、その考え、あたいも一緒さぁね、あたいは、戦士として悔いが無いように全てを出し切ると決めてるさぁね」
むぅ、そういう話題から遠ざけたつもりだったのに、辿り着くのはどうなのよ?
まったく、話題を変えるこっちの身にもなってよね。
両隣で薄っすらと殺気を溢れさせるんじゃないわよ、私の中に眠る殺気に敏感な奴が反応するでしょ?
ここは強引にでも話を切り替えるとするとしましょう。
「ずっと疑問に思ってたのよ、女将の娘って旦那似なのね」
「いや、ちげぇよ?娘達はあたいの母に似てるさぁね」
なん、だと?
「それに、身長だって旦那を追い越そうとしてるさぁね?あたいの血筋はみんな背が高いさぁね」
「それにしては」「あたいと同じ肉体じゃねぇって言いたいのかい?たまたま、だと思うさぁね。あたいの血筋には時折、女だろうが男だろうがあたいと同じような巨体に育つことがあるらしいさぁね」
っとすると、貴女が特別ではないってことなのね、だとしたら
「その話は危険です」
「そうなのかい!?」
私から言う前に差し込んできたわね。流石は武家の一族、幸いにして私達三人以外、誰も大浴場に居ないから問題ないわ。場合によっては姫ちゃんに頼って口封じしないといけなくなるところだったわ。
「流石、武家の一族ね、その危険性にいち早く気が付くなんてね…」
「どういうことだい?」
わかっていないのは女将だけってことね、良き友人として答えてあげましょう。
「貴女の娘達、気をつけなさい。先の話題は他言無用よ?そうしないと貴女の娘達が貴族から求愛を受けることになるわよ?あの娘達の将来を考えるのであれば、迂闊にその事を話すんじゃないわよ?」
「なら、閃光の、あんたのとこ、男の子いたさぁね?狙ってるのかい?」
「その提案は凄く嬉しいのですが、そこは当人の問題とさせてください、私が自身の愛を貫いたのですから、子供達も同じように、愛の運命を見定めて欲しいのです」
あっら~、お母さんとしてちゃんと考えてるじゃない
その口ぶりからしてお互いの子供達は面識があるのね。
乙女ちゃんもお母さんしてるじゃない、だって乙女ちゃんとは思えれないくらいハキハキと話すくらい、芯がある!いいわねぇ~成長したじゃない、昔だったら抱きしめて褒めてあげるのに、今は、違うわね。
「そうよねー、自分の子供には愛する人を押し付けるような事なんてしたくないわよね」
「・・・」「・・・」
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