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アフターストーリー 桜とヒナ
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<リクエスト> アンサー編
アフターストーリー
木曜日。
「新入生の皆さん初めまして。桜です」
「彼女はちょっと親の都合で忙しいんだ」
「いえ、もう大丈夫です。片付きましたから」
「改めて自己紹介させてください。吉野桜です」
「吉野? 」
「うん」
「新月さんではなくて吉野さんなの? 」
「はい。改めてよろしくお願いします」
桜散りし頃、君思うことなかれ
ミニ合宿。
「痛! 」
「大丈夫か? 怪我明けなんだから無理しなくていいぞ! 」
「リーダー。もう治りましたからお気遣いなく」
「そうか。足まで悪くしたら大変だ。すぐに休め」
「何を言ってるんですか。彼女の代わりを務めますよ。
そうじゃないとダブルスが成立しないでしょう」
「確かに。まあ君がそう言うなら。でも無理をするなよ」
合宿二日目。
あーあ。放っておいたら腫れてきちゃった。
少し足が痛むけど平気。平気。
久しぶりの運動。久しぶりのテニスだもん。
桜散りし頃、君思うことなかれ
<フィナーレ>
「待った? 」
「どこにいたんですかヨシノさん? 」
「君の後ろ。ベンチ。今着いたんだけどね」
「三十分以上何を? 」
「そんなこと聞く? 」
「心配したんですよ。もう…… 」
「大丈夫。私はどこにも行かない」
「ヨシノさん? 」
「ほら涙拭いて」
「幻? 幻覚? 幻聴? 夢? 」
「ようやく落ち着いたんだ。もう君に全て話していい頃ね」
「事情があった? 」
「そう。だから会いに来たの」
「嘘だ! またすぐにいなくなるんだ! 」
「私を信じて! 」
「ヨシノさん…… あなたは本当に人間なんですか? 」
「私は桜」
「やっぱり…… もう会えないんだ! 」
「話を聞いて! 」
「嫌だ! もう聞きたくない! 」
「落ち着いて! 」
「ヨシノさん…… 」
「君が合宿に来なかったから話が難しくなってるの。
なぜ? なぜ来なかったの? 」
「なぜって…… ヨシノなんて人物どこにも。
だからサークルも合宿も僕にとって無意味で…… ええ? 合宿に来てた? 」
「私の名前は吉野桜。最近まで新月桜でした」
「ちょっと言っている意味が分からない。どういうこと? 」
「母方の姓に変えたの。つい最近のことよ。
だからあなたに名前を聞かれてつい吉野って答えてしまった。
あなたに一番最初に知らせた。まあサークルではリーダーに一応伝えたんだけど。
忘れちゃったのかな。合宿まで秘密にしておこうかなって少し照れもあってね」
「そうですか。そういう事情が。では桜だけど桜の精ではないと」
「フフフ…… どうかしら。そうかもよ」
「ヨシノさん! 」
「冗談冗談。そうだ。まだ君の名前を聞いてなかったわね」
「僕はタカナシです。タカナシヒナです」
「そうヒナ君かあ。うん。ぴったり」
「ヨシノさん。あの…… 」
「帰ろうか? 」
「そうですね。もうライトも消えましたしね。行きますか」
「うん」
二人はベンチを離れる。
「痛! もう歩けない! 」
「ヨシノさん? ヨシノ先輩? 」
「足を痛めたのを放置したから。こんなに腫れちゃった」
「大丈夫ですか? 見せてください」
「ちょっと強引にしないで! 」
「だって確認しないと! 」
「いいから! 」
「そうですか…… 」
「もう帰ろう。送ってって! 」
「はい! 」
「もう帰ろう。背負ってって! 」
「はい? 」
「おんぶ。お願い! 」
「誰かに見られたらどうするんですか? 」
「大丈夫。こんな夜遅く人なんていないよ」
「まあ寒いですもんね…… 」
「ほら早く! 」
「仕方ないなあ」
二人は公園を後にした。
「家までレッツゴー! 」
「もう。動かないで重いんですから」
「ヒナ」
「桜…… いえきれいでしたね」
「フッフッフ…… 」
「もうヨシノさん。笑い過ぎ」
春はまだ始まったばかりだ。
桜散りし頃、君思うことなかれ
桜とヒナ
桜の精と小鳥
ヒラヒラ
ピーチク
舞い
鳴く
桜散りし頃、君思うことなかれ 春の日奇譚
<完>
この物語はフィクションです。
後記。
創作裏話。
この物語はちょうど三年前の四月に書き始めたもの。
関連『第一村人殺人事件』
こちらは同年三月に書き始めたもの。
だから懐かしくて。懐かしくて。
今同時に投稿しているのもその当時を思い出す。(もちろんそこまでではない)
二作品とも途中で行き詰って放置。
その年の終わりに完成させた訳だが……
実はもう一作文豪っぽい作品の第二期も並行してやってたんだけど。
結局こちらは越年する羽目に。
だから十二月ごろは三つの作品を終わらせようと必死だった記憶がある。
もはや自分が誰なのか分からない状態。
ヨシノ先輩を待ち続ける男の子なのか。
山湖村で第一村人と対決している探偵なのか。
自信満々に演説する困った爺さんなのか。
ぐちゃぐちゃ。
そんな思い出がある。
キャラ
ヨシノさんについて。
たぶんユキノさんから(言の葉より)
本編に登場した作品は(秒速)
次回予告。
予定通り夏への招待状。
『ファイブダラーズ』(仮)
ちょっぴり大人な夏の冒険。
七月下旬。
又は最新作の可能性あり。
状況により変化。
最後に関連作。
『帰り道フレンズ』
5月20日現在
二廻歩
アフターストーリー
木曜日。
「新入生の皆さん初めまして。桜です」
「彼女はちょっと親の都合で忙しいんだ」
「いえ、もう大丈夫です。片付きましたから」
「改めて自己紹介させてください。吉野桜です」
「吉野? 」
「うん」
「新月さんではなくて吉野さんなの? 」
「はい。改めてよろしくお願いします」
桜散りし頃、君思うことなかれ
ミニ合宿。
「痛! 」
「大丈夫か? 怪我明けなんだから無理しなくていいぞ! 」
「リーダー。もう治りましたからお気遣いなく」
「そうか。足まで悪くしたら大変だ。すぐに休め」
「何を言ってるんですか。彼女の代わりを務めますよ。
そうじゃないとダブルスが成立しないでしょう」
「確かに。まあ君がそう言うなら。でも無理をするなよ」
合宿二日目。
あーあ。放っておいたら腫れてきちゃった。
少し足が痛むけど平気。平気。
久しぶりの運動。久しぶりのテニスだもん。
桜散りし頃、君思うことなかれ
<フィナーレ>
「待った? 」
「どこにいたんですかヨシノさん? 」
「君の後ろ。ベンチ。今着いたんだけどね」
「三十分以上何を? 」
「そんなこと聞く? 」
「心配したんですよ。もう…… 」
「大丈夫。私はどこにも行かない」
「ヨシノさん? 」
「ほら涙拭いて」
「幻? 幻覚? 幻聴? 夢? 」
「ようやく落ち着いたんだ。もう君に全て話していい頃ね」
「事情があった? 」
「そう。だから会いに来たの」
「嘘だ! またすぐにいなくなるんだ! 」
「私を信じて! 」
「ヨシノさん…… あなたは本当に人間なんですか? 」
「私は桜」
「やっぱり…… もう会えないんだ! 」
「話を聞いて! 」
「嫌だ! もう聞きたくない! 」
「落ち着いて! 」
「ヨシノさん…… 」
「君が合宿に来なかったから話が難しくなってるの。
なぜ? なぜ来なかったの? 」
「なぜって…… ヨシノなんて人物どこにも。
だからサークルも合宿も僕にとって無意味で…… ええ? 合宿に来てた? 」
「私の名前は吉野桜。最近まで新月桜でした」
「ちょっと言っている意味が分からない。どういうこと? 」
「母方の姓に変えたの。つい最近のことよ。
だからあなたに名前を聞かれてつい吉野って答えてしまった。
あなたに一番最初に知らせた。まあサークルではリーダーに一応伝えたんだけど。
忘れちゃったのかな。合宿まで秘密にしておこうかなって少し照れもあってね」
「そうですか。そういう事情が。では桜だけど桜の精ではないと」
「フフフ…… どうかしら。そうかもよ」
「ヨシノさん! 」
「冗談冗談。そうだ。まだ君の名前を聞いてなかったわね」
「僕はタカナシです。タカナシヒナです」
「そうヒナ君かあ。うん。ぴったり」
「ヨシノさん。あの…… 」
「帰ろうか? 」
「そうですね。もうライトも消えましたしね。行きますか」
「うん」
二人はベンチを離れる。
「痛! もう歩けない! 」
「ヨシノさん? ヨシノ先輩? 」
「足を痛めたのを放置したから。こんなに腫れちゃった」
「大丈夫ですか? 見せてください」
「ちょっと強引にしないで! 」
「だって確認しないと! 」
「いいから! 」
「そうですか…… 」
「もう帰ろう。送ってって! 」
「はい! 」
「もう帰ろう。背負ってって! 」
「はい? 」
「おんぶ。お願い! 」
「誰かに見られたらどうするんですか? 」
「大丈夫。こんな夜遅く人なんていないよ」
「まあ寒いですもんね…… 」
「ほら早く! 」
「仕方ないなあ」
二人は公園を後にした。
「家までレッツゴー! 」
「もう。動かないで重いんですから」
「ヒナ」
「桜…… いえきれいでしたね」
「フッフッフ…… 」
「もうヨシノさん。笑い過ぎ」
春はまだ始まったばかりだ。
桜散りし頃、君思うことなかれ
桜とヒナ
桜の精と小鳥
ヒラヒラ
ピーチク
舞い
鳴く
桜散りし頃、君思うことなかれ 春の日奇譚
<完>
この物語はフィクションです。
後記。
創作裏話。
この物語はちょうど三年前の四月に書き始めたもの。
関連『第一村人殺人事件』
こちらは同年三月に書き始めたもの。
だから懐かしくて。懐かしくて。
今同時に投稿しているのもその当時を思い出す。(もちろんそこまでではない)
二作品とも途中で行き詰って放置。
その年の終わりに完成させた訳だが……
実はもう一作文豪っぽい作品の第二期も並行してやってたんだけど。
結局こちらは越年する羽目に。
だから十二月ごろは三つの作品を終わらせようと必死だった記憶がある。
もはや自分が誰なのか分からない状態。
ヨシノ先輩を待ち続ける男の子なのか。
山湖村で第一村人と対決している探偵なのか。
自信満々に演説する困った爺さんなのか。
ぐちゃぐちゃ。
そんな思い出がある。
キャラ
ヨシノさんについて。
たぶんユキノさんから(言の葉より)
本編に登場した作品は(秒速)
次回予告。
予定通り夏への招待状。
『ファイブダラーズ』(仮)
ちょっぴり大人な夏の冒険。
七月下旬。
又は最新作の可能性あり。
状況により変化。
最後に関連作。
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5月20日現在
二廻歩
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連載開始日 2019/10/15
本編完結日 2019/10/31
番外編完結日 2019/11/04
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完結日 2020/06/15
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