異国の王子と結ばれるならどんな爵位でも構いません~家出王子との二十日間

二廻歩

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マッギの尊い犠牲

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王子を連れての爵位詣。
その帰りの出来事。
何事もなく無事に終わるかと思われたが最悪な事態に見舞われる。

「おいオメエら! 金目のもんを置いてけ! 」
この辺りを縄張りにする山賊に遭遇。
言葉遣いがなってませんね。

いつもなら警戒するのに。
マッギが加わって仲間が増えたことでどこか油断していた部分がある。
その隙を突かれて囲まれてしまう。
こちらが何人であろうと大勢で囲まれては為す術がない。
王子と行動を共にしたまさにその日に巻き込まれるとはついてない。
知らず知らずのうちに王子が引き寄せてしまうのかもしれません。

「おい聞こえなかったのか? 金目のもんを置いてけと言ったろ? 」
こう言うことがあるから王子を同行させられないのよね。
「あんたたちにやるものなんてない! 」
正直に告白して通してもらうことに。
金目のものはないが王子を攫えばいくらでも。
もちろん賭けだ。下手に手を出せば国王の逆鱗に触れるかもしれない。
だから大人しく通すのがベスト。でも頭が悪いから粘るんでしょうね?

「ああん? お前ら女だろ? だったらそれでいい」
卑猥な言葉を投げかける男たち。
もう私がいくらきれいでかわいくても欲情しないでよね。
さあどうしよう? 何だか面倒臭くなってきた。

「よし! 一つ異国の話をしてやるよ。実は俺さ吟遊詩人やってるんだ」
マッギの提案を受け入れる。意外にも素直な山賊さんたち。
「このバッジを知ってるか? 」
そう言って今さっき授かったバッジを掲げる。
大げさにバンバンと手を叩く。
それを合図に私たちは逃走の準備に掛かる。

「何とあそこには相当な量の極上の金が埋まってるらしいんだ。
しかしどうやって採掘するかで揉めて今はストップしてるのさ」
金の情報に食いついた山賊。
もっと詳しく話せとマッギに群がりだす。
よし今だ。今しかない。
タイミングを計って行動開始。

「さあ行きますよ王子! 」
「面白い話は? 」
「いいから早く! 」
コーコと王子を連れてゆっくり静かに歩き出す。
大丈夫。男たちは金の話に夢中。こちらに気付くはずがない。
もう少し。もう少し。あとちょっと。

ふう…… どうにか危機から脱することができた。
後はマッギを救出するだけ。でもそれはよく考えれば不可能。
残念だが初めからマッギは囮。無事に戻ってくることを祈るしかない。
仕方なくマッギを早々に諦め三人で国境を超えることに。
山賊たちがマッギをどうしたか気にはなるがここは逃げるが勝ち。
情けないけどただ逃げることにした。

ハアハア
ハアハア
国境を越えここまで来ればもう追い駆けては来ないはず。
何て言っても縄張りがある。
「大丈夫ですか王子? 」
コーコがさっきから王子の心配ばかり。
まずはコーコを送り届けるかな。

「本当に大丈夫ですか? 」
さっきからずっとこうだ。
確かに野蛮な者に追い詰められる緊迫した状況とは言え体一つ触られた訳ではない。
本当に心配すべきはマッギ。命の恩人のマッギの安否を気に掛けるべきでしょう。
「コーコ心配ない。ただ宿を追い出された。だから泊るところがない。どうしよう」
情けない王子。なぜ宿を追い出されたかは秘密らしい。
調子に乗ってわがままに振る舞ったのだろう。
他の者の迷惑も考えないでよくやる。

まだ完全に王子の感覚が抜け切れてない。
それで失敗するんだから自分で何とかしなさいよね。
「申し訳ありません! いくら王子とは言え殿方を泊める訳にはいきません」
コーコは母と二人暮らし。さすがに無理。
それは昨日充分に理解してもらったはず。
王子だと告白すれば何とかなるだろうがそれでは王子の身に危険が及ぶ。
コーコの助けは得られない。そうなると当然私がお世話することになる。
泊めない選択はない。

「済まないがクレーラ。今夜泊めてくれないか? 」
王子は平気で無茶を言う。
「待ってください王子。我が屋敷は王子にとって決して安全とは言えません。
私だって堪えてますがお父様を追放した恨みは消えません。
それは一族皆同じ。特にお婆様が許しはしないでしょう」
でもコーコも宿も無理なら私のところへ泊ってもらうしかない。
マッギが無事なら泊めてもらえるだろうが。
うーん。やっぱり今日は私の家に泊めてあげるしかなさそう。
「そんなこと言わずに頼むよ」
泣きつく王子。でも本当にどうすることもできない。
うーん。困ったな。どうしょう?

「王子。お友だちのプレゼーヌとしていられますか? 」
「いや待ってくれ。確か新入りのプレーゼではなかったか? 」
動揺が隠せない王子。意外にも細かい。
やっぱり王子をお泊めしなければならないのでしょうか?

そう言えばマッギはどうしてるだろう?
王子の件が面倒なのでついマッギのことを考えてしまう。
       
                 続く   
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