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潔白
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お父様が戻ってきた。
「おお娘たちよ! 心配と迷惑を掛けたな。だが今一度信じて欲しい。
少なくても私は陰謀には直接関わっていない。ただ…… 」
潔白を主張するがどうも歯切れが悪い。
「でしたらなぜ急に姿を消したのです? 心配したんですよ」
お母様は当然の疑問を投げかける。
「それは…… 一つには交渉だ。明け渡し期限が迫っていたからな。
お前たちに黙っていたのは変に期待して裏切られた時のショックが大きいから。
それとこれは言うべきか迷ったがどうやらまだ完全に信じてもらえないようだしな。
私を嵌めた者を内密に探し出し国王様に突き出すつもりだった。
もちろん爵位を剥奪され追放された者の話をまともに聞くとは思えないがな」
お父様は自ら潔白を証明しようと動いていたらしい。
連れも陰謀に加担した仲間ではなくただの古き友人だったと。
何だか無理のある説明。ただの追及逃れな気もする。
これでは全然信用できない。
ここは思い切って核心に迫ることに。
「しかしお父様! よからぬことを画策していたではありませんか? 」
「いや…… それはただの勘違いだ。
私にも至らぬところがあったと大いに反省してるところだ」
そう言われるとあの時王子に誘導されたような気もする。
まさか王子がわざとお父様に疑惑が向くように仕向けた?
でも何のために?
「では『王子亡き後』とはどう言う意味ですか? 」
「ああ…… それは恐らく昔を懐かしんでいたんだろう。
ちょっと前までは泣き虫でね。泣き痕が目立ってそれをどうにかしなくてはと。
国王様は王子を甘やかすなと…… ああ懐かしい。
もうそれから三年かな。随分成長されて今では立派な王子に。
あれ…… そんな話をどうしてクレーラが? 」
お父様にうまく言い包められた気がする。
でもこれ以上追及すると盗み聞きした事実が明るみに出てしまう。
ここは大人しくしてるのがいいでしょう。
「王子…… 」
「済まない。我々の勘違いだったらしい」
どうやら泣き虫王子の早とちりだったそう。まったく人騒がせな。
「どうします王子? 」
「そうだな。いい機会だし紹介してもらうとするか。
今一度君のお父様を信じることにしよう」
うん? それってどう言うこと? まあいいか細かいことは。
「あの…… ここでお客様からご挨拶が」
プレゼーヌについては伏し目がちで口数の少ない物静かな女の子。
そんな風に認識してるはず。
私の大切なお友だちとして紹介した。でも今こそ真実を述べる時でしょう。
「はあ何を言ってるんだい? 今はそんな場合じゃないだろクレーラ! 」
お父様のお話はまだ終わってないと叱りつけるお婆様。
「ですがこちらとしても大変重要なお話がありまして」
お婆様を見るが睨みつけられるだけ。
これはタイミングが悪かったかな。
「まあまあ。それでどんな話なんだい? 」
お父様がプレゼーヌの方を向く。
「申し訳ない皆さん。プレゼーヌは仮の姿!
その正体はこの国の王子である! 」
ついに告白してしまった。
これでもう後戻りできない。
シーンとなる。それはそうでしょうね。
お友だちのプレゼーヌがまさか失踪中の王子だとは誰も思わない。
私だってこんな可愛らしいプレゼーヌがあの生意気な王子だとは思いたくない。
でもこのプレゼーヌは紛れもないこの国の王子な訳で。
「ははは! 呆れたね。あんた何てお方を匿ってるんだい? 」
お婆様が驚嘆する。
「済みません皆さん。驚かせるつもりはありませんでした」
素直に謝る王子。王子を女装させたのは私。だから王子には罪はない。
もちろん王子だってそれなりに乗り気ではありましたが。
「まさかクレーラ…… 二人はそう言う関係? 」
心配と言うよりただの下世話な話をしたいだけに見える。
これはどう答えればいいか迷う。そうだと言っても信じてもらえないでしょう。
王子が私なんかを選ぶはずないと思われる。
逆に違うと言っても隠さなくていいとされる。どちらにしろ逆に捉えられてしまう。
孫娘に何てことを聞くのでしょう? しかも皆のいる前で。
ああ恥ずかしい。
ただ本当の問題はここではない。
私との関係はどうでもいい。
王子がここで逃亡生活を送っていたこともどうでもいい。
問題は王子がお父様を追放した張本人であること。
我がボスバーチュン家の怨敵であること。
それが問題。
続く
「おお娘たちよ! 心配と迷惑を掛けたな。だが今一度信じて欲しい。
少なくても私は陰謀には直接関わっていない。ただ…… 」
潔白を主張するがどうも歯切れが悪い。
「でしたらなぜ急に姿を消したのです? 心配したんですよ」
お母様は当然の疑問を投げかける。
「それは…… 一つには交渉だ。明け渡し期限が迫っていたからな。
お前たちに黙っていたのは変に期待して裏切られた時のショックが大きいから。
それとこれは言うべきか迷ったがどうやらまだ完全に信じてもらえないようだしな。
私を嵌めた者を内密に探し出し国王様に突き出すつもりだった。
もちろん爵位を剥奪され追放された者の話をまともに聞くとは思えないがな」
お父様は自ら潔白を証明しようと動いていたらしい。
連れも陰謀に加担した仲間ではなくただの古き友人だったと。
何だか無理のある説明。ただの追及逃れな気もする。
これでは全然信用できない。
ここは思い切って核心に迫ることに。
「しかしお父様! よからぬことを画策していたではありませんか? 」
「いや…… それはただの勘違いだ。
私にも至らぬところがあったと大いに反省してるところだ」
そう言われるとあの時王子に誘導されたような気もする。
まさか王子がわざとお父様に疑惑が向くように仕向けた?
でも何のために?
「では『王子亡き後』とはどう言う意味ですか? 」
「ああ…… それは恐らく昔を懐かしんでいたんだろう。
ちょっと前までは泣き虫でね。泣き痕が目立ってそれをどうにかしなくてはと。
国王様は王子を甘やかすなと…… ああ懐かしい。
もうそれから三年かな。随分成長されて今では立派な王子に。
あれ…… そんな話をどうしてクレーラが? 」
お父様にうまく言い包められた気がする。
でもこれ以上追及すると盗み聞きした事実が明るみに出てしまう。
ここは大人しくしてるのがいいでしょう。
「王子…… 」
「済まない。我々の勘違いだったらしい」
どうやら泣き虫王子の早とちりだったそう。まったく人騒がせな。
「どうします王子? 」
「そうだな。いい機会だし紹介してもらうとするか。
今一度君のお父様を信じることにしよう」
うん? それってどう言うこと? まあいいか細かいことは。
「あの…… ここでお客様からご挨拶が」
プレゼーヌについては伏し目がちで口数の少ない物静かな女の子。
そんな風に認識してるはず。
私の大切なお友だちとして紹介した。でも今こそ真実を述べる時でしょう。
「はあ何を言ってるんだい? 今はそんな場合じゃないだろクレーラ! 」
お父様のお話はまだ終わってないと叱りつけるお婆様。
「ですがこちらとしても大変重要なお話がありまして」
お婆様を見るが睨みつけられるだけ。
これはタイミングが悪かったかな。
「まあまあ。それでどんな話なんだい? 」
お父様がプレゼーヌの方を向く。
「申し訳ない皆さん。プレゼーヌは仮の姿!
その正体はこの国の王子である! 」
ついに告白してしまった。
これでもう後戻りできない。
シーンとなる。それはそうでしょうね。
お友だちのプレゼーヌがまさか失踪中の王子だとは誰も思わない。
私だってこんな可愛らしいプレゼーヌがあの生意気な王子だとは思いたくない。
でもこのプレゼーヌは紛れもないこの国の王子な訳で。
「ははは! 呆れたね。あんた何てお方を匿ってるんだい? 」
お婆様が驚嘆する。
「済みません皆さん。驚かせるつもりはありませんでした」
素直に謝る王子。王子を女装させたのは私。だから王子には罪はない。
もちろん王子だってそれなりに乗り気ではありましたが。
「まさかクレーラ…… 二人はそう言う関係? 」
心配と言うよりただの下世話な話をしたいだけに見える。
これはどう答えればいいか迷う。そうだと言っても信じてもらえないでしょう。
王子が私なんかを選ぶはずないと思われる。
逆に違うと言っても隠さなくていいとされる。どちらにしろ逆に捉えられてしまう。
孫娘に何てことを聞くのでしょう? しかも皆のいる前で。
ああ恥ずかしい。
ただ本当の問題はここではない。
私との関係はどうでもいい。
王子がここで逃亡生活を送っていたこともどうでもいい。
問題は王子がお父様を追放した張本人であること。
我がボスバーチュン家の怨敵であること。
それが問題。
続く
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