異国の王子と結ばれるならどんな爵位でも構いません~家出王子との二十日間

二廻歩

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お婆様の頼み

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新たに自由同盟が加わる。
とりあえず人集めと爵位探しはここまで。
後は王子の考え次第。

ついに国王救出奪還作戦へ。
前回のことがあるのでどうしても消極的になってしまう。
そうあれは先日のこと。思い出しただけでも恥ずかしくなる。
決行当日、宮殿に向かう予定が私のせいで引き返すことに。
今でも自分の浅はかさが許せずにいる。

ボスバーチュン家。
「ねえ王子。私は足手まといでしょうか? 」
不安で仕方がないので思い切って聞くことに。
もしうんと言ったら屋敷で大人しく待っていよう。
それが大人でしょう。これ以上は迷惑は掛けられない。

「うん」
あっさりうんと言ってしまう王子の悪い癖。少しぐらい躊躇ったっていいのに。
思いやる気持ちがないの? それでも人間でしょうか?
まるで血が通ってない。冷血漢。
王子を見損なった。でも仕方ないか。予想したこと。
怒りの感情をぐっと抑えて笑って見せる。
さあ我慢です。我慢して王子に従おうではありませんか。

「王子…… 」
「ははは! そんな目で睨むなって。もちろん冗談だからさ」
こんな時に冗談を言えるなんてさすがは王子。大胆と言うか最低と言うか。
いまいち誉め言葉が見つかりません。
ああもうこの人とは付き合いきれない。今はそんな気持ち。

「冗談? 本当に冗談? 」
「ああそうだよ。クレーラには一緒に来てもらいたいからな」
情けない。戦場に連れて行くつもりですか?
どうしてこうも甘いのでしょう? これでは勝てるものも勝てない。
王子の甘さとも言うべき優しさは時に勝敗をも決することになりかねない。
今は私よりもいかに作戦を成功させるかに注力すべき。

「ですが足手まといですし…… また王子に迷惑を掛けてしまう。
そうなったらどうお詫びすればいいか」
前回のことが相当尾を引いてる。自分でも思っている以上。
「気にするな。クレーラらしくない。君はいつも通りにしてればいいんだ」
「王子…… 」
「それにクレーラには重要な任務がある」
励ましてくれるのはありがたいですが無理しなくても…… 重要任務って何?
 
「それは? 」
「時が来たら話す。今はこれ以上言えない」
「決行日はいつ? 」
「それも秘密だ。明日かもしれないし明後日かもしれない。
とにかく準備が整い次第出発するよ」
ワクワクした表情。これが国王を盾に取られている者の反応だろうか?
まさか王子は国王とうまく行ってないのでは?

「はあどうぞご勝手に。私はただついて行くだけですから」
「ははは…… それでいい」
王子は何か隠している。まさかまだ私たちを疑ってるの?
一度裏切った者の家族は信じられない?
まさかまだお父様を? それともお母様やお婆様?
でもその兆候もないし。そもそも王子の存在を知りこのまま泳がせておくだろうか?

「極秘作戦の詳細は当日馬車の中でだ。
当然コーコとマッギにも同行してもらう。
ただ宮殿にはあまり人を入れたくない。
どうなってるか分かったものではないからな」
「それで武器などはどうします? 」
「いや何も持たずに宮殿へ。宮殿はそれほど神聖な場所である」
宮殿にはどうやら少人数でお邪魔することになるらしい。
もうここまで来れば王子にすべて任せる。それが信頼の証でしょう。

「もうこれくらいで。さあ一緒に寝ようか」
甘え切った王子が誘う。
プレゼーヌとしてではなく王子として。一国の王子として一夜を共にする。
その覚悟は尊敬に値するところ。
でもそう簡単には行かないのが二人の関係。

「ちょっといいかいクレーラ」
計ったようにお婆様が。
「どうなさいましたか? 」
「メイドも使用人もいなくなって困ってるんだよ。
できたら誰か外に立っていて欲しいんだがね」
没落した屋敷とは言え広大な土地を所有している。
噂を聞きつけた輩が悪さをしに来るかもと不安を抱いているとか。

「お願いできないかい? もうこの年ではきつくてね」
お婆様はこの家のためにできる限りのことをしてきた。
最後までお屋敷を守りたいのでしょう。
確かに急な人手不足。狙われでもしたらひとたまりもない。
「分かりました。二人で見張りますのでご心配なく」
「そうかい? だったら任せたよ。気をつけるんだよ」
こうして夜の見張りに着くことに。

ああ情けない。没落したせいでこんな事態を引き起こすんだから。
では王子と二人で見張りでも。

                続く
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