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訪問
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エイドリアス村の件は一旦保留する形で話がまとまった。
次回に持ち越し。先延ばしに過ぎませんが。
彼らの為にもいち早く決着することが望ましい。
ただ彼らの意見も聞き想いを感じ取るのも肝心。
変に押し付けるのも違う。
ふう疲れた。ヴィーナに振り回されてばかり。
面と向かって非難すれば親子喧嘩に発展するのは目に見えてる。
早く手を打たないといつの間にか言い包められ二人で暮らすことに。
絶対にヴィーナの思い通りにはさせない。
まったく…… どうしてヴィーナは我慢できないのかしら?
もうこれだから世間知らずのお嬢様だと言われるのよ。
自分だけ何ら変わらずいつも通りに暮らすなどあり得ない。
我慢し助け合うのが人と言うもの。
厳しいようですがそれが現実。甘えも自分勝手も許しません。
ひとまず眠るとしましょう。
仮眠を取り深夜の訪問に備える。
セピユロスを待つのも決して楽ではなかった。
それこそ毎晩起きてなくてはならない。
彼が来ると分かっていても心配でドキドキするばかり。
もしかしたら今晩は来ないのではないかと疑うことも。
そのたびにセピユロスの優しさを再確認する。
今まで彼が来なかったことはない。
深夜日付が変わった頃に目を覚ます。
そろそろ良いでしょう。
昨日セピユロスと約束をした。
あー緊張する。こんなことは初めて。
私から出向くなど下品で恥知らずも良いところ。
いくら彼が求めたからとは言えあまりに軽率。
いっそのことこのまま眠ってしまいましょうか。
うーん。悩みどころ。
セピユロスだってすっかり忘れてるかもしれないじゃない。
疲れて眠ってしまってる。一日中釣り三昧ではいくら完璧な彼でも起きてられない。
ヴィーナの監視で抜け出せない恐れだってある。
さあ無理せずに夜の訪問は辞退して……
どうにか行かない言い訳を考えるがそれも虚しい。
絶対にセピユロスは私を待ち続けている。
彼は決して私を裏切らず失望させない人間。
もちろんヴィーナについてはその限りではありませんが。
私ったらいつの間にかヴィーナと張り合ってるみたい。
意識してしまっている。
違うんですよヴィーナ。これは仕方がないこと。
私にはどうすることもできないこと。
ヴィーナ。あなたがしっかりセピユロスを捕まえておかないから。
やはり後悔している。もう行くべきではない?
ヴィーナの為にももうここまでにするべき。
でも……
どうにかして行かない口実を作ろうとするがそれでも想いが勝る。いえ欲が勝る。
止らないセピユロスへの愛が溢れ出る。
ただ突き進んでしまう。決して誰も幸せにはなれないと言うのに。
部屋を後にする。
これはもう仕方ないこと。
彼を待たせるのは悪い気がする。
気持ちがあろうがなかろうが直接会うのが一番。
それが彼も望んでいること。
コンコン
コンコン
響かないように細心の注意を払う。
ここで間違いない。
空き部屋はこちら側。
左隣はコレクションルーム。
先々代からの鎧や甲冑に刀が展示されているお宝部屋。
危なくないように一人見張りをつけている。
だから隣と言ったらここでいいはず。
ああ何だか本当に緊張してきてしまった。
ノックが聞こえなかったのか反応がない。
もう一度叩くつもりで拳を作ったところで扉が開いた。
ギイと言う音が響き渡る。
ああまずい気付かれた?
「来てくれたんだねディーテ」
セピユロスが微笑んでいる。
何て素敵なんでしょう。
つい我慢できずに抱き着きそうになる。
だがいくら何でも早すぎる。
ふしだらな女だと思われて嫌われては最悪だ。
とにかく嫌われたくない。それだけが頭の中を支配する。
「あなたの願いを聞いたまでです」
「まさか僕のこと嫌いになっちゃった? 」
子供っぽいおどけた感じで聞かれるとつい守ってあげたくなる。
母性をくすぐられるセピユロスの七変化。
優しい紳士から小さな子供まで人にあわせて性格を変えている?
昼間とはやはり違う。
どう違うかはまだよく分からない。でもこれはこれでいい。
セピユロスの見せる別の顔にも慣れる必要がある。
「ディーテ」
見つめる表情も素敵。
「セピユロスさん…… 」
「そんな他人行儀な。もう二人には壁なんかない」
積極的な彼にもう我慢できない。
つい抱きしめてあげたくなる。ああ止まらない。
「ディーテ。ありがとう」
「まだ信じられない。本当に私を求めてるの? 」
最終確認。
でもきっと密会するたびに確認するんでしょうね。
だってあり得ない。選ぶはずもない。
「疑り深いな。抱きしめるだけでは足りない? 」
欲求不満だと思われているのかしら。
もしそうだとしたら恥ずかしい。
「好きだよディーテ」
ついに何度目かの愛の告白を受ける。
続く
次回に持ち越し。先延ばしに過ぎませんが。
彼らの為にもいち早く決着することが望ましい。
ただ彼らの意見も聞き想いを感じ取るのも肝心。
変に押し付けるのも違う。
ふう疲れた。ヴィーナに振り回されてばかり。
面と向かって非難すれば親子喧嘩に発展するのは目に見えてる。
早く手を打たないといつの間にか言い包められ二人で暮らすことに。
絶対にヴィーナの思い通りにはさせない。
まったく…… どうしてヴィーナは我慢できないのかしら?
もうこれだから世間知らずのお嬢様だと言われるのよ。
自分だけ何ら変わらずいつも通りに暮らすなどあり得ない。
我慢し助け合うのが人と言うもの。
厳しいようですがそれが現実。甘えも自分勝手も許しません。
ひとまず眠るとしましょう。
仮眠を取り深夜の訪問に備える。
セピユロスを待つのも決して楽ではなかった。
それこそ毎晩起きてなくてはならない。
彼が来ると分かっていても心配でドキドキするばかり。
もしかしたら今晩は来ないのではないかと疑うことも。
そのたびにセピユロスの優しさを再確認する。
今まで彼が来なかったことはない。
深夜日付が変わった頃に目を覚ます。
そろそろ良いでしょう。
昨日セピユロスと約束をした。
あー緊張する。こんなことは初めて。
私から出向くなど下品で恥知らずも良いところ。
いくら彼が求めたからとは言えあまりに軽率。
いっそのことこのまま眠ってしまいましょうか。
うーん。悩みどころ。
セピユロスだってすっかり忘れてるかもしれないじゃない。
疲れて眠ってしまってる。一日中釣り三昧ではいくら完璧な彼でも起きてられない。
ヴィーナの監視で抜け出せない恐れだってある。
さあ無理せずに夜の訪問は辞退して……
どうにか行かない言い訳を考えるがそれも虚しい。
絶対にセピユロスは私を待ち続けている。
彼は決して私を裏切らず失望させない人間。
もちろんヴィーナについてはその限りではありませんが。
私ったらいつの間にかヴィーナと張り合ってるみたい。
意識してしまっている。
違うんですよヴィーナ。これは仕方がないこと。
私にはどうすることもできないこと。
ヴィーナ。あなたがしっかりセピユロスを捕まえておかないから。
やはり後悔している。もう行くべきではない?
ヴィーナの為にももうここまでにするべき。
でも……
どうにかして行かない口実を作ろうとするがそれでも想いが勝る。いえ欲が勝る。
止らないセピユロスへの愛が溢れ出る。
ただ突き進んでしまう。決して誰も幸せにはなれないと言うのに。
部屋を後にする。
これはもう仕方ないこと。
彼を待たせるのは悪い気がする。
気持ちがあろうがなかろうが直接会うのが一番。
それが彼も望んでいること。
コンコン
コンコン
響かないように細心の注意を払う。
ここで間違いない。
空き部屋はこちら側。
左隣はコレクションルーム。
先々代からの鎧や甲冑に刀が展示されているお宝部屋。
危なくないように一人見張りをつけている。
だから隣と言ったらここでいいはず。
ああ何だか本当に緊張してきてしまった。
ノックが聞こえなかったのか反応がない。
もう一度叩くつもりで拳を作ったところで扉が開いた。
ギイと言う音が響き渡る。
ああまずい気付かれた?
「来てくれたんだねディーテ」
セピユロスが微笑んでいる。
何て素敵なんでしょう。
つい我慢できずに抱き着きそうになる。
だがいくら何でも早すぎる。
ふしだらな女だと思われて嫌われては最悪だ。
とにかく嫌われたくない。それだけが頭の中を支配する。
「あなたの願いを聞いたまでです」
「まさか僕のこと嫌いになっちゃった? 」
子供っぽいおどけた感じで聞かれるとつい守ってあげたくなる。
母性をくすぐられるセピユロスの七変化。
優しい紳士から小さな子供まで人にあわせて性格を変えている?
昼間とはやはり違う。
どう違うかはまだよく分からない。でもこれはこれでいい。
セピユロスの見せる別の顔にも慣れる必要がある。
「ディーテ」
見つめる表情も素敵。
「セピユロスさん…… 」
「そんな他人行儀な。もう二人には壁なんかない」
積極的な彼にもう我慢できない。
つい抱きしめてあげたくなる。ああ止まらない。
「ディーテ。ありがとう」
「まだ信じられない。本当に私を求めてるの? 」
最終確認。
でもきっと密会するたびに確認するんでしょうね。
だってあり得ない。選ぶはずもない。
「疑り深いな。抱きしめるだけでは足りない? 」
欲求不満だと思われているのかしら。
もしそうだとしたら恥ずかしい。
「好きだよディーテ」
ついに何度目かの愛の告白を受ける。
続く
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