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エイドリアス
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翌朝。
昨夜の密会がヴィーナに知られてないか心配で寝つけなかった。
セピユロスも嘘のつけない人。説得されても不思議ではない。
密会が発覚したら二人とも無事では済まない。
私はボノから離婚を言い渡され出て行くことになる。
セピユロスはご主人様に手を出した不届き者として拘束され牢屋に。
そうなればご主人様の力も及ばない。
いえもうその時にはご主人様でなくただの女になっているでしょうね。
セピユロスはどうもその辺のことが軽いと言うか甘いと言うか。
理解出来てるのでしょうか?
冗談でも笑いごとでも済まない。
そんなことばかり考えてれば眠れようもない。
だから寝不足気味。しかし今日はどうしても行かなければならないところがある。
雨でも降ってくれれば明日以降に延期できるのですが生憎の快晴。
恵みの雨とは行かないらしい。
ヴィーナとセピユロスを連れてエイドリアス村へ。
西方に位置する山奥の小さな村。
セピユロスの生まれ故郷。
今はその小さな村が自然の脅威によって壊滅状態となっている。
山火事により住むところを失った人々が身を寄せている現状。
集会所にお邪魔することに。
馬車を降り随分歩いた気がする。
昨夜とは打って変わってセピユロスの表情が優れない。
当然でしょうね。自分が育った故郷がこの惨状では。
慰めようがない。大丈夫とお気楽に励まそうものなら優しいセピユロスだって……
そんな彼に寄り添うヴィーナ。
ああ私が代わってあげたい。落ち込んでいる彼を慰めてあげたい。
そんな妄想に取りつかれながらも前を歩く二人を見守る。
セピユロスが元気ないのは仕方ないこと。
私も同じ立場なら絶望するでしょうね。
項垂れて落ち込んでいる彼をどうにか励ましてやりたい。
私たちの他に随行メイドと使用人三名。
計七名で訪れる。
さすがに大人数で押し掛けるのはご迷惑。
迎える態勢だって整ってないはず。
一応はお見舞いですからね。
失礼のないように細心の注意を払う。
「これはこれはようこそお越しになりました」
憔悴しきってる村長の出迎えを受ける。
村長とは何度か顔を合わせたことが。
当時からは随分老け込んだ印象。
年を重ねた影響もあるでしょうがやはり今回の火事が相当堪えたと見える。
お見舞い申し上げたところで本題に入る。
「はい? よろしいのかい? 」
煤だらけの副村長が飛び上がる。
「こちらとしても友好の証を示したいと思っております」
村の代表でもないが我が村をとり仕切ってるのは紛れもなくこの私。
その自覚とプライドがある。
異国の国王に先を越されたが援助はスピードよりもいかに民の為になれるか。
私たちにはその用意が出来ている。
「出来るだけ早く村を立て直したい。それまであなた方に頼ることにするよ」
村長は何度も頭を下げる。
三十人弱預かることになった。
ではと言って後にする。
急に預かることになったが準備は整っている。
身寄りのない者から順に預かることに。
早く避難した為に死人は出なかった。
怪我も軽いやけどがほとんどで重症者もいない。
これは奇跡に近いが運が良かったのだとセピユロスは言う。
山火事は夜。寝る前の食事を終えた時間帯だったので避難が早く済んだ。
これが二時間遅ければほとんどの村人が寝てるので被害は甚大なものに。
「うわあ。これは酷い」
家は焼け落ち原型をとどめていない。
辺りの草は燃え尽き黒くなってしまっている。
ほとんどが木の家なので火には無力。
臭いが強烈で鼻を押さえても感じるほど。
「こっちです」
セピユロスの案内で実家へ。
「ちょっと待ちなさい。二人ともきちんと話し合ったの? 」
両親との一時的な同居を嫌がっていたヴィーナ。
このままお見舞いに伺っても話が拗れるだけ。
ひとまず二人が納得する必要がある。特にヴィーナ。
「もう心配性なんだから。大丈夫よ。話はつきました」
ヴィーナも分かってくれたようだ。
なぜかセピユロスが酷く落ち込んでいる。
どうしてしまったのだろう。
「失礼のないようにねヴィーナ。先方は火事で疲労してるんですからね。
我がままを言わずに従うのですよ」
「はいお母様」
「ここです」
セピユロスの実家へ。
続く
昨夜の密会がヴィーナに知られてないか心配で寝つけなかった。
セピユロスも嘘のつけない人。説得されても不思議ではない。
密会が発覚したら二人とも無事では済まない。
私はボノから離婚を言い渡され出て行くことになる。
セピユロスはご主人様に手を出した不届き者として拘束され牢屋に。
そうなればご主人様の力も及ばない。
いえもうその時にはご主人様でなくただの女になっているでしょうね。
セピユロスはどうもその辺のことが軽いと言うか甘いと言うか。
理解出来てるのでしょうか?
冗談でも笑いごとでも済まない。
そんなことばかり考えてれば眠れようもない。
だから寝不足気味。しかし今日はどうしても行かなければならないところがある。
雨でも降ってくれれば明日以降に延期できるのですが生憎の快晴。
恵みの雨とは行かないらしい。
ヴィーナとセピユロスを連れてエイドリアス村へ。
西方に位置する山奥の小さな村。
セピユロスの生まれ故郷。
今はその小さな村が自然の脅威によって壊滅状態となっている。
山火事により住むところを失った人々が身を寄せている現状。
集会所にお邪魔することに。
馬車を降り随分歩いた気がする。
昨夜とは打って変わってセピユロスの表情が優れない。
当然でしょうね。自分が育った故郷がこの惨状では。
慰めようがない。大丈夫とお気楽に励まそうものなら優しいセピユロスだって……
そんな彼に寄り添うヴィーナ。
ああ私が代わってあげたい。落ち込んでいる彼を慰めてあげたい。
そんな妄想に取りつかれながらも前を歩く二人を見守る。
セピユロスが元気ないのは仕方ないこと。
私も同じ立場なら絶望するでしょうね。
項垂れて落ち込んでいる彼をどうにか励ましてやりたい。
私たちの他に随行メイドと使用人三名。
計七名で訪れる。
さすがに大人数で押し掛けるのはご迷惑。
迎える態勢だって整ってないはず。
一応はお見舞いですからね。
失礼のないように細心の注意を払う。
「これはこれはようこそお越しになりました」
憔悴しきってる村長の出迎えを受ける。
村長とは何度か顔を合わせたことが。
当時からは随分老け込んだ印象。
年を重ねた影響もあるでしょうがやはり今回の火事が相当堪えたと見える。
お見舞い申し上げたところで本題に入る。
「はい? よろしいのかい? 」
煤だらけの副村長が飛び上がる。
「こちらとしても友好の証を示したいと思っております」
村の代表でもないが我が村をとり仕切ってるのは紛れもなくこの私。
その自覚とプライドがある。
異国の国王に先を越されたが援助はスピードよりもいかに民の為になれるか。
私たちにはその用意が出来ている。
「出来るだけ早く村を立て直したい。それまであなた方に頼ることにするよ」
村長は何度も頭を下げる。
三十人弱預かることになった。
ではと言って後にする。
急に預かることになったが準備は整っている。
身寄りのない者から順に預かることに。
早く避難した為に死人は出なかった。
怪我も軽いやけどがほとんどで重症者もいない。
これは奇跡に近いが運が良かったのだとセピユロスは言う。
山火事は夜。寝る前の食事を終えた時間帯だったので避難が早く済んだ。
これが二時間遅ければほとんどの村人が寝てるので被害は甚大なものに。
「うわあ。これは酷い」
家は焼け落ち原型をとどめていない。
辺りの草は燃え尽き黒くなってしまっている。
ほとんどが木の家なので火には無力。
臭いが強烈で鼻を押さえても感じるほど。
「こっちです」
セピユロスの案内で実家へ。
「ちょっと待ちなさい。二人ともきちんと話し合ったの? 」
両親との一時的な同居を嫌がっていたヴィーナ。
このままお見舞いに伺っても話が拗れるだけ。
ひとまず二人が納得する必要がある。特にヴィーナ。
「もう心配性なんだから。大丈夫よ。話はつきました」
ヴィーナも分かってくれたようだ。
なぜかセピユロスが酷く落ち込んでいる。
どうしてしまったのだろう。
「失礼のないようにねヴィーナ。先方は火事で疲労してるんですからね。
我がままを言わずに従うのですよ」
「はいお母様」
「ここです」
セピユロスの実家へ。
続く
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