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お義母様と呼びたい
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さすがに屋敷内で勝手は出来ないのでエイドリアス村の仲間たちがいるメイド館へ。
お母様に田舎料理をご馳走してもらうことに。
次々に料理が運ばれてくる。
これは確かエイドリアスの伝統料理だったかしら。
芋を使った郷土料理。
甘くて栄養価も高い。特に秋から冬に食べるのが良いとされている。
「いただきます」
遠慮することなく一口。
懐かしい。幼い頃食べた気がする。
エイドリアスとも交流がありそれこそ母に連れられて食べた記憶がある。
このねっとりした甘みが堪らない。癖になる味。
「あらお替りね。ほらセピユロスもどんどんお食べ」
続いてマスの包焼。
身が柔らかく食べやすい。
それからチキンステーキ。
これは何と言っても香草が効いている。あまり得意ではないですがそれでも。
あっと言う間に平らげる。お腹が空いていたらしい。
「まあ良く食べる子」
まだ勘違いしてる。だからただの代理の者ですから。
「それでディーテさんはエイドリアスへは? 」
「はい幼い頃何度か」
二人のことから自然とエイドリアス村の火事の話に移った。
「ああまだよく分からないんだよ」
山火事の原因が不明のまま。
ただの乾燥によるものとは思えないと。
前日に雨が降っており乾燥していたとは考えにくい。
「村長が今、村の者に聞き取りをしてるそうだけどたぶん難しいんじゃないかな」
「それでこれからどうするって? 」
「家が先だな。村を再建するには時間も金もかかるからな」
「違う場所に…… 」
「ダメだ! 故郷を棄てられない! 」
セピユロスたちが村の話に熱中。私が居ることも忘れて感情的になるお父様。
「済まないディーテさん」
「いえどうぞお続けください」
私はただ話を聞き頷いていればいいので気が楽。
訪問して二時間。
楽しい時間を過ごした。
「ではディーテさんまたお越しください。今度はエイドリアスに来てくださいね」
何年後になることか。その時は必ず。
セピユロスの両親へのご挨拶は気付かれることもなく無事に終了。
どうにか乗り切った。
それにしても良かったのだろうか?
ディーテではさすがにまずい気がする。
誤解されたままでいいのだろうか?
複雑で本当に心が痛む。
私はヴィーナの代わりに来ただけなのに。
ヴィーナでなくてはならないのにセピユロスがなぜかディーテと紹介してしまうし。
訳が分からないままただ言われた通りを演じた。
「セピユロス…… 」
「ああディーテ。大丈夫ですよ」
笑顔を見せる。
どうやら上手く行ったらしい。
それはよかったがでも心残りもあるのは事実。
本当のことを打ち上げるべきだった気がする。
私が何者か? どのような関係か?
それだけが心残り。
ああまた余計なことしてセピユロスを困らせかねない。
「さあ戻りましょうディーテ」
「ねえセピユロス…… 」
不安を悟られないようにするが彼は優しい。
「もう我々を邪魔する者はいません。さあ行きましょうディーテ」
腕を出したので絡める。
ああもう後戻りはできない。
覚悟を決めるとしましょう。
ついにセピユロスと歩んでいくことを決意した。何度目の決意でしょう?
障害となるのはボノ。ヴィーナは心配ない。
セピユロスの心が離れた以上ヴィーナでは食い止められない。
仮に出来るのならもっと前にしていたでしょう。
彼が私に手を出す前に解決できていたはず。
このまま二人は自然に離れてしまう。
私が全力で引き止めたのに結局上手く行かなかった。
それは相性の問題もある。
セピユロスが思わせぶりであまりに女性に甘かったことも原因の一つ。
そこにヴィーナのワガママがとどめを刺す。
挨拶に来る前に決定的な出来事が起きていたと推測する。
だから私のせいではない。
確かにヴィーナを甘やかし我がままに育てたのは弁解の余地もない。
ただそれだって私だけのせいではない。ボノが甘やかすから。
都合の悪いことは全部人のせい…… 彼の気持ちも考えてあげられなかった。
私に一度でも相談していたらもう少しどうにかなったでしょう。
それにしても手紙を出す前、あるいは挨拶に来る前にもう少し距離を縮めておけば。
セピユロスだって悪いけどヴィーナあなたも悪いんですよ。
あーあ罪悪感から逃れられそうにない。
ヴィーナから奪ったのは紛れもない事実。
どんなに人のせいにしても罪悪感から逃れることは決して出来ない。
ボノが悪いのヴィーナがワガママなの言っても結局は私が悪い。
この結論に辿り着けば一時は落ち着く。だがすぐに後悔が押し寄せてくる。
セピユロスと幸せになるには相当な試練を乗り越える必要がある。
ただ乗り越えたとしても本当の幸せが訪れるとは限らない。
続く
お母様に田舎料理をご馳走してもらうことに。
次々に料理が運ばれてくる。
これは確かエイドリアスの伝統料理だったかしら。
芋を使った郷土料理。
甘くて栄養価も高い。特に秋から冬に食べるのが良いとされている。
「いただきます」
遠慮することなく一口。
懐かしい。幼い頃食べた気がする。
エイドリアスとも交流がありそれこそ母に連れられて食べた記憶がある。
このねっとりした甘みが堪らない。癖になる味。
「あらお替りね。ほらセピユロスもどんどんお食べ」
続いてマスの包焼。
身が柔らかく食べやすい。
それからチキンステーキ。
これは何と言っても香草が効いている。あまり得意ではないですがそれでも。
あっと言う間に平らげる。お腹が空いていたらしい。
「まあ良く食べる子」
まだ勘違いしてる。だからただの代理の者ですから。
「それでディーテさんはエイドリアスへは? 」
「はい幼い頃何度か」
二人のことから自然とエイドリアス村の火事の話に移った。
「ああまだよく分からないんだよ」
山火事の原因が不明のまま。
ただの乾燥によるものとは思えないと。
前日に雨が降っており乾燥していたとは考えにくい。
「村長が今、村の者に聞き取りをしてるそうだけどたぶん難しいんじゃないかな」
「それでこれからどうするって? 」
「家が先だな。村を再建するには時間も金もかかるからな」
「違う場所に…… 」
「ダメだ! 故郷を棄てられない! 」
セピユロスたちが村の話に熱中。私が居ることも忘れて感情的になるお父様。
「済まないディーテさん」
「いえどうぞお続けください」
私はただ話を聞き頷いていればいいので気が楽。
訪問して二時間。
楽しい時間を過ごした。
「ではディーテさんまたお越しください。今度はエイドリアスに来てくださいね」
何年後になることか。その時は必ず。
セピユロスの両親へのご挨拶は気付かれることもなく無事に終了。
どうにか乗り切った。
それにしても良かったのだろうか?
ディーテではさすがにまずい気がする。
誤解されたままでいいのだろうか?
複雑で本当に心が痛む。
私はヴィーナの代わりに来ただけなのに。
ヴィーナでなくてはならないのにセピユロスがなぜかディーテと紹介してしまうし。
訳が分からないままただ言われた通りを演じた。
「セピユロス…… 」
「ああディーテ。大丈夫ですよ」
笑顔を見せる。
どうやら上手く行ったらしい。
それはよかったがでも心残りもあるのは事実。
本当のことを打ち上げるべきだった気がする。
私が何者か? どのような関係か?
それだけが心残り。
ああまた余計なことしてセピユロスを困らせかねない。
「さあ戻りましょうディーテ」
「ねえセピユロス…… 」
不安を悟られないようにするが彼は優しい。
「もう我々を邪魔する者はいません。さあ行きましょうディーテ」
腕を出したので絡める。
ああもう後戻りはできない。
覚悟を決めるとしましょう。
ついにセピユロスと歩んでいくことを決意した。何度目の決意でしょう?
障害となるのはボノ。ヴィーナは心配ない。
セピユロスの心が離れた以上ヴィーナでは食い止められない。
仮に出来るのならもっと前にしていたでしょう。
彼が私に手を出す前に解決できていたはず。
このまま二人は自然に離れてしまう。
私が全力で引き止めたのに結局上手く行かなかった。
それは相性の問題もある。
セピユロスが思わせぶりであまりに女性に甘かったことも原因の一つ。
そこにヴィーナのワガママがとどめを刺す。
挨拶に来る前に決定的な出来事が起きていたと推測する。
だから私のせいではない。
確かにヴィーナを甘やかし我がままに育てたのは弁解の余地もない。
ただそれだって私だけのせいではない。ボノが甘やかすから。
都合の悪いことは全部人のせい…… 彼の気持ちも考えてあげられなかった。
私に一度でも相談していたらもう少しどうにかなったでしょう。
それにしても手紙を出す前、あるいは挨拶に来る前にもう少し距離を縮めておけば。
セピユロスだって悪いけどヴィーナあなたも悪いんですよ。
あーあ罪悪感から逃れられそうにない。
ヴィーナから奪ったのは紛れもない事実。
どんなに人のせいにしても罪悪感から逃れることは決して出来ない。
ボノが悪いのヴィーナがワガママなの言っても結局は私が悪い。
この結論に辿り着けば一時は落ち着く。だがすぐに後悔が押し寄せてくる。
セピユロスと幸せになるには相当な試練を乗り越える必要がある。
ただ乗り越えたとしても本当の幸せが訪れるとは限らない。
続く
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