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合体! 即死モード
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エスケープの巻物をゲット。
「何っすかこれ? 食い物じゃないしな…… 」
「馬鹿者! お前をピンチから救ってくれる有難い巻き物じゃ! 」
「はあ…… チートみたいなものか」
「危険を察知した時にこのエスケープを使うと逃げ切れる。
しかしギリギリでは発動しないので充分注意するように」
ついに神からチートを授かる。
これで心置きなく旅立てる。
「ホホホ…… 期待しておるぞ若者よ」
「ありがとうございます」
「お安い御用さ」
「神様! 神様! 」
「おお、そうであった。肝心なことを忘れるところだった。これを回してみよ! 」
「はい? 」
爺はルーレットを取り出した。
言われるままに思い切り回す。
ルーレットは回転したと思ったら逆回転を始める。
ついに回転が止まった。
針が一から八に移った。
「おお惜しい! やはり君は前途多難のようだ」
「変な占いっすね」
「占いではない。これはな君のこれから。運命だ」
「それでこれはいいんですか神様? 」
「前途多難と言ったろ」
濁す爺。悪いのは決定的。
「師匠! 」
「八と言うことはスーパーハードモード。いや違った。これは…… 即死モード」
「どう言うことでしょう? 」
「まあ簡単に言うと君のミッション成功率は一パーセント」
「すみません神様。算数だけは苦手で…… 」
「馬鹿者! 算数ではなく数学だ。落第じゃ! 」
「それで俺は…… 」
「過酷な旅が待っている。心してかかるように」
ひえええ!
「ちなみにモードは一から八まであって。
一はベビーモード。ミッション成功率は驚異の九十パーセント越え。
ホホホ…… 惜しかったのう」
惜しい? そう見せかけてるだけで貢モードに突入させる気だろう。
俺を甘く見ないでほしい。
「どうも針の調子が悪くてな。もっと楽なモードにしてやるつもりだったんだが。
まあ試練だと思って頑張ってくれ」
ずいぶんな言われよう。神様の気まぐれに付き合わされては敵わない。
「神様。もう一度お願いします」
「それはできない相談だ。まあだがしかし変更も可能じゃ」
「本当ですか? 」
「立ち寄った村や町で儂を見つけよ。そうしたらまたルーレットをやらせてやる。
さあごちゃごちゃ文句を言わずに旅立つのだ勇者よ! 」
「信用度ゼロの不審者を退治しますか? ルーレットをかち割りますか?
爺の人生を終わらせますか? 」
「リザどうしたおかしいぞ? 」
「ホホホ…… 勇ましい娘さんだ。神に逆らうとは仕方ないのう」
爺が杖を振る。
突如光が差す。
「きゃああ! 」
「リザ? リザ! 」
「ホホホ…… これでよかろう」
「何をなさいます師匠? 」
「ちょっとしたお仕置きじゃ」
「リザ? リザ? 」
消えてしまった。いくら辺りを見回してもいない。
隈なく探してもリザの姿はどこにもない。
あるのは爺の排泄物のみ。
「神様! 師匠! 」
「ホホホ…… そう慌てるな。何も消し去ったわけではない」
「ではどこに? 」
「お主の中じゃ! 」
「ええっ? 」
「お主の心の中にいる。少し難しかったかの」
「まったく意味が分かりません」
「リザじゃったかな。お主とリザは合体したのだ」
「俺とリザが。まさかそんな…… 」
今まで存在していた少女。どこにも居ない。
リザ? リザ?
いくら心に呼びかけても反応が無い。
「ほれその時計を見てみよ」
「時計? 」
俺時計持ってたっけ?
「えっと三時。おやつの時間だ」
「ふざけ過ぎだぞ! 」
「しかしですね…… 」
「よい。その時計はお前のか? 」
「いえ。時計など一度も使ったことがありません」
「そうこれはリザ」
「ええっ? これがリザ? 」
「話しかけてみよ! 」
「リザ! リザ! 」
「おいおい。合言葉を言わねば反応はせんぞ」
「アプロッチ」
「アフロヘア―? 」
「耳が死んでいるのか己は? 」
「いえ耳慣れないもので」
「アプロッチと叫ぶのだ! 」
「アプロッチ! 」
「何でしょうかご主人様。この爺を排除しますか? 電波を受信しますか? 」
「ああ。リザだ! 」
「通信を終える時はゲラウと言いなさい」
「ゲラウ! 」
「通信を終了します」
時計は反応しなくなった。
「これは君を導いてくれる大切なものだ。うまく使うように。ではさらばだ! 」
「ちょっと待ってくださいよ。リザは? リザはどうなるんですか? 」
「お主が冒険をクリアし姫を守りきったら自然と戻る」
「そんな無責任な! クリアしなかったら? 」
「永遠に時計のままだ。よし大体分かったな? 行くがいい勇者よ! 」
「へいへい」
「ああちょっと待ってよ師匠! 」
「うんまだ何かあるのか? 」
「リザの家族には何と言えばいいのでしょう? 」
「そんなの自分で考えろ! これもお前の能力が試されているのだ! 」
「でもお隣だしな…… 」
「どこかの若者と駆け落ちしたとでも言っておけばよかろう」
「それもそうですね」
「ではこれで儂は行く」
最期に一言。
「たとえ姫を守り切りクリアしてもそこには三角関係の地獄が待っている。
お主がどちらを選ぶかは楽しみじゃ! 」
爺退場。
続く
「何っすかこれ? 食い物じゃないしな…… 」
「馬鹿者! お前をピンチから救ってくれる有難い巻き物じゃ! 」
「はあ…… チートみたいなものか」
「危険を察知した時にこのエスケープを使うと逃げ切れる。
しかしギリギリでは発動しないので充分注意するように」
ついに神からチートを授かる。
これで心置きなく旅立てる。
「ホホホ…… 期待しておるぞ若者よ」
「ありがとうございます」
「お安い御用さ」
「神様! 神様! 」
「おお、そうであった。肝心なことを忘れるところだった。これを回してみよ! 」
「はい? 」
爺はルーレットを取り出した。
言われるままに思い切り回す。
ルーレットは回転したと思ったら逆回転を始める。
ついに回転が止まった。
針が一から八に移った。
「おお惜しい! やはり君は前途多難のようだ」
「変な占いっすね」
「占いではない。これはな君のこれから。運命だ」
「それでこれはいいんですか神様? 」
「前途多難と言ったろ」
濁す爺。悪いのは決定的。
「師匠! 」
「八と言うことはスーパーハードモード。いや違った。これは…… 即死モード」
「どう言うことでしょう? 」
「まあ簡単に言うと君のミッション成功率は一パーセント」
「すみません神様。算数だけは苦手で…… 」
「馬鹿者! 算数ではなく数学だ。落第じゃ! 」
「それで俺は…… 」
「過酷な旅が待っている。心してかかるように」
ひえええ!
「ちなみにモードは一から八まであって。
一はベビーモード。ミッション成功率は驚異の九十パーセント越え。
ホホホ…… 惜しかったのう」
惜しい? そう見せかけてるだけで貢モードに突入させる気だろう。
俺を甘く見ないでほしい。
「どうも針の調子が悪くてな。もっと楽なモードにしてやるつもりだったんだが。
まあ試練だと思って頑張ってくれ」
ずいぶんな言われよう。神様の気まぐれに付き合わされては敵わない。
「神様。もう一度お願いします」
「それはできない相談だ。まあだがしかし変更も可能じゃ」
「本当ですか? 」
「立ち寄った村や町で儂を見つけよ。そうしたらまたルーレットをやらせてやる。
さあごちゃごちゃ文句を言わずに旅立つのだ勇者よ! 」
「信用度ゼロの不審者を退治しますか? ルーレットをかち割りますか?
爺の人生を終わらせますか? 」
「リザどうしたおかしいぞ? 」
「ホホホ…… 勇ましい娘さんだ。神に逆らうとは仕方ないのう」
爺が杖を振る。
突如光が差す。
「きゃああ! 」
「リザ? リザ! 」
「ホホホ…… これでよかろう」
「何をなさいます師匠? 」
「ちょっとしたお仕置きじゃ」
「リザ? リザ? 」
消えてしまった。いくら辺りを見回してもいない。
隈なく探してもリザの姿はどこにもない。
あるのは爺の排泄物のみ。
「神様! 師匠! 」
「ホホホ…… そう慌てるな。何も消し去ったわけではない」
「ではどこに? 」
「お主の中じゃ! 」
「ええっ? 」
「お主の心の中にいる。少し難しかったかの」
「まったく意味が分かりません」
「リザじゃったかな。お主とリザは合体したのだ」
「俺とリザが。まさかそんな…… 」
今まで存在していた少女。どこにも居ない。
リザ? リザ?
いくら心に呼びかけても反応が無い。
「ほれその時計を見てみよ」
「時計? 」
俺時計持ってたっけ?
「えっと三時。おやつの時間だ」
「ふざけ過ぎだぞ! 」
「しかしですね…… 」
「よい。その時計はお前のか? 」
「いえ。時計など一度も使ったことがありません」
「そうこれはリザ」
「ええっ? これがリザ? 」
「話しかけてみよ! 」
「リザ! リザ! 」
「おいおい。合言葉を言わねば反応はせんぞ」
「アプロッチ」
「アフロヘア―? 」
「耳が死んでいるのか己は? 」
「いえ耳慣れないもので」
「アプロッチと叫ぶのだ! 」
「アプロッチ! 」
「何でしょうかご主人様。この爺を排除しますか? 電波を受信しますか? 」
「ああ。リザだ! 」
「通信を終える時はゲラウと言いなさい」
「ゲラウ! 」
「通信を終了します」
時計は反応しなくなった。
「これは君を導いてくれる大切なものだ。うまく使うように。ではさらばだ! 」
「ちょっと待ってくださいよ。リザは? リザはどうなるんですか? 」
「お主が冒険をクリアし姫を守りきったら自然と戻る」
「そんな無責任な! クリアしなかったら? 」
「永遠に時計のままだ。よし大体分かったな? 行くがいい勇者よ! 」
「へいへい」
「ああちょっと待ってよ師匠! 」
「うんまだ何かあるのか? 」
「リザの家族には何と言えばいいのでしょう? 」
「そんなの自分で考えろ! これもお前の能力が試されているのだ! 」
「でもお隣だしな…… 」
「どこかの若者と駆け落ちしたとでも言っておけばよかろう」
「それもそうですね」
「ではこれで儂は行く」
最期に一言。
「たとえ姫を守り切りクリアしてもそこには三角関係の地獄が待っている。
お主がどちらを選ぶかは楽しみじゃ! 」
爺退場。
続く
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