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小駒さん
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まず一人目がやって来る。
私と相棒でじっくり話を聞く。
「お名前は? 」
「山田と申します」
「山田? ミサさんと同じ苗字ですが関係が? 」
首を振る人のよさそうな男。
「では本名ですか? 」
山田の顔から汗が噴き出す。
「申し訳ない。訳があって本名は教えられないのです」
山田で通してるからそうしてくれとのこと。
怪しい。一気に怪しくなった。
「まあいいでしょう。それで山田さんはこの一連の事件についてどう思われますか?
まさかあなた犯人ではありませんよね」
念の為。反応を確認。
「失礼な。確かに二晩ともミサさんと一緒でした。それは認めます。
しかし疚しい真似はもちろん人殺しなどするはずがない」
殺害を否定する。やはり彼ではないのか。彼なら楽なんだけどなあ。
「あなたはなぜこのツアーに参加したのですか? 」
「それは面白そうなバスツアーだったから。しかも会員限定のクローズドな集まり。
ただ私が会員だった記憶が薄く。いつの間に会員になったのか疑問なんですけどね」
人のよさそうな山田さん。どうも嘘をついてるようには見えない。
怪しげな招待状によって招かれたようだ。
「その招待状は? 」
「バスに乗る時に渡しました」
証拠となりそうなものは持っていないらしい。まあどうでもいいけれど。
「誰か怪しい人は? 」
「人を疑えと言うんですか? 」
念頭にないようだ。
「これは失礼しました。何か気になったことは? 」
今のところ怪しい点は偽名を使ってることぐらい。
後は両隣がちょうど殺されたと言う偶然。偶然か?
「そうですね。ミサさんと黒木の関係が怪しいかと」
「怪しい? どう言うことですか? 」
「何となくですが悪だくみをしていたような気がするんです。
ミサさんは特にあの男と共謀してよからぬことを」
「黒木たちに騙されそうになったと? 」
「いえ私自身は被害は受けていません。だからこそ余計に気になるんです。
ほら私騙されやすいですから」
自覚しているようだ。
「あのさ。良く女性に言い寄られることはあるの? 」
相棒が口を開いた。
「いえこのような性格ですので話はしますが言い寄られることなどまずありません」
きっぱりと否定する。正直な人だ。
ミサは彼の何に惹かれたのか? 見た目? 冴えないところ?
二人目。
「嫌だねあんたら。まさかこのおばあちゃんを疑ってるのかい? 」
年齢は六十代とまだ若いのに年寄りの振り。
相手を油断させ殺害するにはもってこいの立ち位置。
「アリバイはありませんよね」
「当然だろ。深夜なんだよ。誰が証明できるってんだい。大体最近の若いのは……」
いきなり説教を始める。趣旨を理解してるのだろうか?
この中で唯一頼りになるが信頼が置けるまでとは言えない。
「殺害された二人との関係は? 」
「嫌だね。この旅で知り合っただけだよ」
「では揉めたなんてことはありませんか? 」
「ないね。揉めたって私じゃ殺せないだろ」
怒らせてしまったか? ムッとした表情。
「では恨みはないと? 」
「いいやあったよ。最初の男は何かいけすかなくて無視してやった。
女の方はどうも気に喰わないので派手な服装を注意してやった。年かね私は」
自覚してる上に反省してるならいいのでは。ただトラブルメイカーなだけか。
うーん。やはりこのお婆さんは侮れない。
「それから? 」
「あの黒木って奴も気に喰わない。部屋が隣で最悪さ。
音楽がうるさくて文句言いに行こうとしたがやめたよ。あっちの方が腕力あるもの」
騒音トラブル。
このまま行くと他の者ともトラブルになりかねない。もう手遅れか?
念の為に聞いてみると案の定。
「ああ…… それならあの販売員に文句を言ってやったよ。
もっと安くしろってね。どうせ高く吹っ掛けてるんだろうからもっと安くできる。
勉強しなさいって話さ」
定価の三割引きでダイヤを買って文句があるらしい。
強欲な婆さんだ。
「値引きして何がいけない。言うことを聞けばいいんだよ」
この年になり歯止めが利かなくなったのか持って生まれた性格なのか。
出来れば関わりたくない。
「それから後は? 」
「鑑定士も怪しいものだよ。本物だと言ったがきちんと見てなかった。
要するに早すぎるんだよ。偽物なら偽物だって分かった時点で断言していい。
だけど本物はきちんと時間を掛けじっくり見るものだろ? 」
「ではあのダイヤは偽物だと? 」
「いや少なくても最初の二十個は本物。ただ早すぎるのさ」
「本物ならいいじゃないですか」
「違うね。本物だって分かっていた気がするんだ何となくだがね。
要するにあの二人は裏で繋がっている。そう推理するのが小駒さんってものだ」
ようやく自己紹介をしてくれた。
本名か通り名かは分からないがとにかくメモだ。
「それからね…… おっとここからは情報料が発生するよ」
調子に乗った小駒さん。だが手持ちがない。
もうこれくらいでいいか。
「ああ小駒さん。嘘ついてないよね」
相棒が最後の質問。
「当たり前だろこのでくの坊」
余計な一言。これではただの悪口だ。
うんやはりこのお婆さんがトラブルを引き起こしている。
続く
私と相棒でじっくり話を聞く。
「お名前は? 」
「山田と申します」
「山田? ミサさんと同じ苗字ですが関係が? 」
首を振る人のよさそうな男。
「では本名ですか? 」
山田の顔から汗が噴き出す。
「申し訳ない。訳があって本名は教えられないのです」
山田で通してるからそうしてくれとのこと。
怪しい。一気に怪しくなった。
「まあいいでしょう。それで山田さんはこの一連の事件についてどう思われますか?
まさかあなた犯人ではありませんよね」
念の為。反応を確認。
「失礼な。確かに二晩ともミサさんと一緒でした。それは認めます。
しかし疚しい真似はもちろん人殺しなどするはずがない」
殺害を否定する。やはり彼ではないのか。彼なら楽なんだけどなあ。
「あなたはなぜこのツアーに参加したのですか? 」
「それは面白そうなバスツアーだったから。しかも会員限定のクローズドな集まり。
ただ私が会員だった記憶が薄く。いつの間に会員になったのか疑問なんですけどね」
人のよさそうな山田さん。どうも嘘をついてるようには見えない。
怪しげな招待状によって招かれたようだ。
「その招待状は? 」
「バスに乗る時に渡しました」
証拠となりそうなものは持っていないらしい。まあどうでもいいけれど。
「誰か怪しい人は? 」
「人を疑えと言うんですか? 」
念頭にないようだ。
「これは失礼しました。何か気になったことは? 」
今のところ怪しい点は偽名を使ってることぐらい。
後は両隣がちょうど殺されたと言う偶然。偶然か?
「そうですね。ミサさんと黒木の関係が怪しいかと」
「怪しい? どう言うことですか? 」
「何となくですが悪だくみをしていたような気がするんです。
ミサさんは特にあの男と共謀してよからぬことを」
「黒木たちに騙されそうになったと? 」
「いえ私自身は被害は受けていません。だからこそ余計に気になるんです。
ほら私騙されやすいですから」
自覚しているようだ。
「あのさ。良く女性に言い寄られることはあるの? 」
相棒が口を開いた。
「いえこのような性格ですので話はしますが言い寄られることなどまずありません」
きっぱりと否定する。正直な人だ。
ミサは彼の何に惹かれたのか? 見た目? 冴えないところ?
二人目。
「嫌だねあんたら。まさかこのおばあちゃんを疑ってるのかい? 」
年齢は六十代とまだ若いのに年寄りの振り。
相手を油断させ殺害するにはもってこいの立ち位置。
「アリバイはありませんよね」
「当然だろ。深夜なんだよ。誰が証明できるってんだい。大体最近の若いのは……」
いきなり説教を始める。趣旨を理解してるのだろうか?
この中で唯一頼りになるが信頼が置けるまでとは言えない。
「殺害された二人との関係は? 」
「嫌だね。この旅で知り合っただけだよ」
「では揉めたなんてことはありませんか? 」
「ないね。揉めたって私じゃ殺せないだろ」
怒らせてしまったか? ムッとした表情。
「では恨みはないと? 」
「いいやあったよ。最初の男は何かいけすかなくて無視してやった。
女の方はどうも気に喰わないので派手な服装を注意してやった。年かね私は」
自覚してる上に反省してるならいいのでは。ただトラブルメイカーなだけか。
うーん。やはりこのお婆さんは侮れない。
「それから? 」
「あの黒木って奴も気に喰わない。部屋が隣で最悪さ。
音楽がうるさくて文句言いに行こうとしたがやめたよ。あっちの方が腕力あるもの」
騒音トラブル。
このまま行くと他の者ともトラブルになりかねない。もう手遅れか?
念の為に聞いてみると案の定。
「ああ…… それならあの販売員に文句を言ってやったよ。
もっと安くしろってね。どうせ高く吹っ掛けてるんだろうからもっと安くできる。
勉強しなさいって話さ」
定価の三割引きでダイヤを買って文句があるらしい。
強欲な婆さんだ。
「値引きして何がいけない。言うことを聞けばいいんだよ」
この年になり歯止めが利かなくなったのか持って生まれた性格なのか。
出来れば関わりたくない。
「それから後は? 」
「鑑定士も怪しいものだよ。本物だと言ったがきちんと見てなかった。
要するに早すぎるんだよ。偽物なら偽物だって分かった時点で断言していい。
だけど本物はきちんと時間を掛けじっくり見るものだろ? 」
「ではあのダイヤは偽物だと? 」
「いや少なくても最初の二十個は本物。ただ早すぎるのさ」
「本物ならいいじゃないですか」
「違うね。本物だって分かっていた気がするんだ何となくだがね。
要するにあの二人は裏で繋がっている。そう推理するのが小駒さんってものだ」
ようやく自己紹介をしてくれた。
本名か通り名かは分からないがとにかくメモだ。
「それからね…… おっとここからは情報料が発生するよ」
調子に乗った小駒さん。だが手持ちがない。
もうこれくらいでいいか。
「ああ小駒さん。嘘ついてないよね」
相棒が最後の質問。
「当たり前だろこのでくの坊」
余計な一言。これではただの悪口だ。
うんやはりこのお婆さんがトラブルを引き起こしている。
続く
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