93 / 122
鳴りやまぬベル
しおりを挟む
トントン
トントン
何度も叩くが反応がない。疲れて寝てしまったか? よし一気に行こう。
ガチャ。
シーンとしたところに鍵を開ける音が響き渡り何とも言えない緊張感。
まさか気付かれたか?
お邪魔します。
やっぱり点けっぱなしで寝てやがる。本当に世話の焼ける男だな。
気付かれないようにゆっくり。
あれ…… 何でない?
凶器の壺がどこにも見当たらない。
作戦の裏の裏を掻き各部屋に壺を戻したはずなのにその凶器が見当たらない。
撲殺には丁度いい大きさの鈍器だったのに。あるはずのものがない不思議。
これは一体どう言うこと?
せっかく皆と同じように撲殺してあげようと思ったのに。
仲間想いのリーダーにはぜひとも同じ処刑方法をと考えていたが難しいらしい。
まあいいか。では予定変更して絞殺にする。
どうせ自殺に見せかけて失踪させるつもりだったからな。
被害者がどうなろうと大して問題ではない。
それにもし私が捕まっても本望。逃げ仰せようなどとセコイことは考えていない。
「おい! 」
怒りに震えつい大声を出してしまう。だが相手は無反応。
「いい度胸だな。しかしここで起きないのは単なる間抜けでしかないぞ」
酒でも入ってるのか気持ち良さそうに寝やがって。
こっちのことも少しは考えろよな。やる気が削がれるだろうが。
「おい起きろ! 起きろってんだ! 」
怒りをコントロール出来ずに叫んでしまう。
まずいまずい。他の者に気付かれては面倒だ。
ここは慎重に。焦らずじっくりと。
それにしてもこいつ…… うつ伏せで寝てやがる。これでは顔も見えやしない。
うごおお! ふうう……
イビキはうるさいし寝言も言うし屁までこいて。本当に緊張感のない奴だ。
「今から殺されようとしてるんだぞ。いい加減に目を覚ませ。起きろってんだ! 」
仕方がない。無反応の奴を始末するのは私の主義ではない。
だがここで手を拱いてはいられない。そろそろ時間だ。
もしもの為に用意したロープを手に慎重に近づく。
まあこれだけ熟睡してれば仕留めるのは造作もない。
ムニャムニャ……
いい気持ちで寝ている。もう怒る気にもなれない。
ではそろそろフィニッシュと行きますか。
ロープを巻き付ける。そして命一杯後ろに引っ張る。
もう目を覚ましても遅い。
暴れて食い込んだロープは決して解けない。どんどん食い込んで行くぞ。
もしロープが解けるとしたらそれはお前が意識を失い最後を迎える時だ。
さようなら。これですべての計画が予定通りに。
まさか私がドスグロ山の雷人だとは夢にも思わないだろうな。
うううう……
苦しみだした。これでいい。これで。
「私たちの苦しみを思いしれ! 自殺した息子の苦しみを味わえ。ははは! 」
もう間もなくだ。あと数分もすれば意識を失いそのまま地獄に。
ゴーン! ゴーン!
突然ベルが鳴った。
誰も訪れることのないドスグロホテルでベルが鳴る。
しかもこんな夜中に…… あり得ない。
これは異常事態。いやただの怪奇現象か?
壊れたように鳴り続けるベル。
おい誰か? ダメだ。ベルが止まない。
どうする? どうする?
うおおおお!
「そこまでです! 」
いつの間にか部屋の中に人が。
ライトを向けられロープを落とす。
万事休す。
「ふふふ…… まさかこれも罠…… 」
「あんたが犯人なのかい? 感謝するよ」
お婆さんが姿を見せる。
「危ないから近寄らないで。下がって早く! 」
念の為に注意する。もちろん犯人がお婆さんを襲うことはないだろう。
真犯人はそんな人間じゃない。ターゲット以外を決して傷つけようとはしない。
ましてやお婆さんを人質に取り逃走を図ろうなどとは思ってないはずだ。
真犯人の正体さえ分かってしまえば何てことはない帰結。
「いや同志だからね。いいじゃないか」
四人も殺し最後のターゲットにも手を掛けようとした真犯人に仲間意識を持つ?
「それにしても鍵を落とせって言われた時はぶっ飛ばしてやろうかと思ったよ。
これは三〇三号室のだろ? ならあの女の部屋の鍵ってことになるね」
率直な感想を述べ、ついでに説明するお婆さん。小駒さんだ。
「小駒さんなら上手くやってくれると思いました」
「そうかい。買い被りすぎだよ」
そう今回の計画で外せないのが小駒さんの存在。
「彼女に真犯人であるあなたの目の前で鍵をわざと落とすようにお願いしました。
それを拾うかまではこちらとしても賭けでしたが。
どうやらこの勝負は我々の勝ちのようですね」
ここは三○四号室。黒木の部屋。
三〇四号室はこの三〇三号室の鍵で開けることが可能。
反撃開始!
ついに真犯人のドスグロ山の雷人を追い詰めた。
続く
トントン
何度も叩くが反応がない。疲れて寝てしまったか? よし一気に行こう。
ガチャ。
シーンとしたところに鍵を開ける音が響き渡り何とも言えない緊張感。
まさか気付かれたか?
お邪魔します。
やっぱり点けっぱなしで寝てやがる。本当に世話の焼ける男だな。
気付かれないようにゆっくり。
あれ…… 何でない?
凶器の壺がどこにも見当たらない。
作戦の裏の裏を掻き各部屋に壺を戻したはずなのにその凶器が見当たらない。
撲殺には丁度いい大きさの鈍器だったのに。あるはずのものがない不思議。
これは一体どう言うこと?
せっかく皆と同じように撲殺してあげようと思ったのに。
仲間想いのリーダーにはぜひとも同じ処刑方法をと考えていたが難しいらしい。
まあいいか。では予定変更して絞殺にする。
どうせ自殺に見せかけて失踪させるつもりだったからな。
被害者がどうなろうと大して問題ではない。
それにもし私が捕まっても本望。逃げ仰せようなどとセコイことは考えていない。
「おい! 」
怒りに震えつい大声を出してしまう。だが相手は無反応。
「いい度胸だな。しかしここで起きないのは単なる間抜けでしかないぞ」
酒でも入ってるのか気持ち良さそうに寝やがって。
こっちのことも少しは考えろよな。やる気が削がれるだろうが。
「おい起きろ! 起きろってんだ! 」
怒りをコントロール出来ずに叫んでしまう。
まずいまずい。他の者に気付かれては面倒だ。
ここは慎重に。焦らずじっくりと。
それにしてもこいつ…… うつ伏せで寝てやがる。これでは顔も見えやしない。
うごおお! ふうう……
イビキはうるさいし寝言も言うし屁までこいて。本当に緊張感のない奴だ。
「今から殺されようとしてるんだぞ。いい加減に目を覚ませ。起きろってんだ! 」
仕方がない。無反応の奴を始末するのは私の主義ではない。
だがここで手を拱いてはいられない。そろそろ時間だ。
もしもの為に用意したロープを手に慎重に近づく。
まあこれだけ熟睡してれば仕留めるのは造作もない。
ムニャムニャ……
いい気持ちで寝ている。もう怒る気にもなれない。
ではそろそろフィニッシュと行きますか。
ロープを巻き付ける。そして命一杯後ろに引っ張る。
もう目を覚ましても遅い。
暴れて食い込んだロープは決して解けない。どんどん食い込んで行くぞ。
もしロープが解けるとしたらそれはお前が意識を失い最後を迎える時だ。
さようなら。これですべての計画が予定通りに。
まさか私がドスグロ山の雷人だとは夢にも思わないだろうな。
うううう……
苦しみだした。これでいい。これで。
「私たちの苦しみを思いしれ! 自殺した息子の苦しみを味わえ。ははは! 」
もう間もなくだ。あと数分もすれば意識を失いそのまま地獄に。
ゴーン! ゴーン!
突然ベルが鳴った。
誰も訪れることのないドスグロホテルでベルが鳴る。
しかもこんな夜中に…… あり得ない。
これは異常事態。いやただの怪奇現象か?
壊れたように鳴り続けるベル。
おい誰か? ダメだ。ベルが止まない。
どうする? どうする?
うおおおお!
「そこまでです! 」
いつの間にか部屋の中に人が。
ライトを向けられロープを落とす。
万事休す。
「ふふふ…… まさかこれも罠…… 」
「あんたが犯人なのかい? 感謝するよ」
お婆さんが姿を見せる。
「危ないから近寄らないで。下がって早く! 」
念の為に注意する。もちろん犯人がお婆さんを襲うことはないだろう。
真犯人はそんな人間じゃない。ターゲット以外を決して傷つけようとはしない。
ましてやお婆さんを人質に取り逃走を図ろうなどとは思ってないはずだ。
真犯人の正体さえ分かってしまえば何てことはない帰結。
「いや同志だからね。いいじゃないか」
四人も殺し最後のターゲットにも手を掛けようとした真犯人に仲間意識を持つ?
「それにしても鍵を落とせって言われた時はぶっ飛ばしてやろうかと思ったよ。
これは三〇三号室のだろ? ならあの女の部屋の鍵ってことになるね」
率直な感想を述べ、ついでに説明するお婆さん。小駒さんだ。
「小駒さんなら上手くやってくれると思いました」
「そうかい。買い被りすぎだよ」
そう今回の計画で外せないのが小駒さんの存在。
「彼女に真犯人であるあなたの目の前で鍵をわざと落とすようにお願いしました。
それを拾うかまではこちらとしても賭けでしたが。
どうやらこの勝負は我々の勝ちのようですね」
ここは三○四号室。黒木の部屋。
三〇四号室はこの三〇三号室の鍵で開けることが可能。
反撃開始!
ついに真犯人のドスグロ山の雷人を追い詰めた。
続く
0
あなたにおすすめの小説
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
12年目の恋物語
真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。
だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。
すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。
2人が結ばれるまでの物語。
第一部「12年目の恋物語」完結
第二部「13年目のやさしい願い」完結
第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中
※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。
【完結】ふたつ星、輝いて 〜あやし兄弟と町娘の江戸捕物抄〜
上杉
歴史・時代
■歴史小説大賞奨励賞受賞しました!■
おりんは江戸のとある武家屋敷で下女として働く14歳の少女。ある日、突然屋敷で母の急死を告げられ、自分が花街へ売られることを知った彼女はその場から逃げだした。
母は殺されたのかもしれない――そんな絶望のどん底にいたおりんに声をかけたのは、奉行所で同心として働く有島惣次郎だった。
今も刺客の手が迫る彼女を守るため、彼の屋敷で住み込みで働くことが決まる。そこで彼の兄――有島清之進とともに生活を始めるのだが、病弱という噂とはかけ離れた腕っぷしのよさに、おりんは驚きを隠せない。
そうしてともに生活しながら少しづつ心を開いていった――その矢先のことだった。
母の命を奪った犯人が発覚すると同時に、何故か兄清之進に凶刃が迫り――。
とある秘密を抱えた兄弟と町娘おりんの紡ぐ江戸捕物抄です!お楽しみください!
※フィクションです。
※周辺の歴史事件などは、史実を踏んでいます。
皆さまご評価頂きありがとうございました。大変嬉しいです!
今後も精進してまいります!
美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness
碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞>
住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。
看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。
最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。
どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……?
神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――?
定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。
過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。
あやかし警察おとり捜査課
紫音みけ🐾書籍2冊発売中!
キャラ文芸
※第7回キャラ文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。
【あらすじ】
二十三歳にして童顔・低身長で小中学生に見間違われる青年・栗丘みつきは、出世の見込みのない落ちこぼれ警察官。
しかしその小さな身に秘められた身体能力と、この世ならざるもの(=あやかし)を認知する霊視能力を買われた彼は、あやかし退治を主とする部署・特例災害対策室に任命され、あやかしを誘き寄せるための囮捜査に挑む。
反りが合わない年下エリートの相棒と、狐面を被った怪しい上司と共に繰り広げる退魔ファンタジー。
大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
菱沼あゆ
キャラ文芸
華族の三条家の跡取り息子、三条行正と見合い結婚することになった咲子。
だが、軍人の行正は、整いすぎた美形な上に、あまりしゃべらない。
蝋人形みたいだ……と見合いの席で怯える咲子だったが。
実は、咲子には、人の心を読めるチカラがあって――。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる