92 / 122
襲撃
しおりを挟む
三〇四号室。
黒木の部屋。
歯ぎしりと寝言が収まったと思ったら今度は豪快なイビキ。
耳を塞ぎたくなるほどのイビキが部屋全体に響き渡る。
電気も点けっぱなしで襲撃者にとっては最悪の環境と言えなくもない。
出来るならもう少しマシだと助かるんだが。
もはや奴を気遣う精神的余裕はない。
ハアハア
ハアハア
よし大丈夫。気付かれてないな? ここからが大変なんだから。
出来たら誰か手伝って欲しいが…… 無理な注文か。
黒木に向かってライトを照らす。
眩しそうにし寝言を言うだけ。
熟睡してる。起きる気配はまったくない。
うわああ!
辺りに散乱するゴミに足を取られ転びそうになる。
汚いなまったく。ここはお前の家じゃないんだぞ。
「おい起きろ! 起きろってんだ! 」
イビキを掻き無警戒な黒木の頬を叩く。
「ああん? モゴモゴ…… 」
「何を寝ぼけてやがる? 早く起きないか! 」
本当に世話の焼けるターゲットだぜ。
今すぐにでも壺を振り下ろしたい衝動を抑え観察。
「ううん…… 誰だこの! 」
ついにお目覚めのようだ。
まったく馬鹿な野郎だ。
こんな鍵あってないようなものを。信じてまあ。
仲間たちがその油断で殺されたと言うのに本当に成長しない奴だな。
さあ最後の仕上げと行きましょうか。
完全に目を覚ましたところで躊躇なく襲い掛る。
「うぐぐぐ…… 何をしやがる! やめろ…… 」
「ほら大人しくしましょうね。暴れると危険だよ」
口元を抑える。ここで大声を出されると困るのよ。
うん順調。ここまでは計画通りだ。
本来だったら起こさずに実行することも出来た。
しかしそれでは面白くないしスリルもない。
黒木だって恐怖を感じなくては反省することもないだろう。
「まったくこっちの身にもなれよ。好きでやってるんじゃないんだから」
モグモグ言いながら頻りに首を振る黒木。
「分かってるって。お前が悪人なのは調べがついてるんだよ。
何の罪もない奴を騙して地獄を見せたろ? ひき殺しさえしたな?
ケチな詐欺して恨まれて殺されるならそれは自業自得。文句は言えないだろ? 」
なおも首を振り続ける黒木。
「でもなここには置いておけない。何と言っても演じてもらう必要があるからな。
ほら踊れ! 指示通りに動くんだ!
まったくどれだけ愚かしい真似をしたか心から反省しろ!
そうすれば助けてくれるかもしれないぞ。こっちだって鬼じゃない。
さすがに壺を自分に振り下ろせないだろ?
ここは一旦隣に行ってもらう。そして遺書を残して失踪してもらう。
フィナーレはこのホテルごと吹っ飛んでもらうつもりだ。
良いショーが見られるだろう」
うぐぐ……
「どうした痛いか? 」
おお、頷いたか? どうやら痛いらしい。
「そうか。でもな被害者はもっと痛かったはずだ。苦しかったはずだ。違うか? 」
首を大きく振ることしかできない。
黒木を連れて秘密の抜け穴から隣の三号室へ。
第二の犠牲者、ミサの部屋へ。
口を塞がれ動きを封じられた黒木は後ろから押される形で無理矢理。
「ご到着と。ああそうだ。この後どうしたい? 」
ううう……
「失踪すると言っても動き回られては困るんだよ。分かるだろ? 」
何度も首を上下させ頷く。
「そう大人しくな。いい子にしてたら監視はしない」
謎の誘拐魔はなぜか出て行ってしまった。
一人きりの男は九死に一生を得る。
だがこのままではいずれ殺害されるのは目に見えてる。
どうにかここから脱出する必要がある。
でもどうやってこの拘束状況から? 抜け出せそうにない。
ぎぎぎ……
すぐ近くに無線が転がっていた。
「ああ元気してる? 君に死なれると困るんでね。大人しく出来る? 」
うぐぐ……
「駄目だって暴れちゃ! 今すぐお仕置きすることになるよ? 」
音を立てない。
すぐに迎えに行くと言うとウーウー文句を言うから困る。
「大人しくしてる? 」
決してうんとは言わない。言えないのだ。
「迎えに行こうか? 」
やはりウーウー言うだけ。
「まあいいや。大人しくしていてね」
ドスグロ山ホテル。
深夜三時過ぎ。
三階の例の部屋から煌々と光が漏れる。
まだ四時前だと言うのに随分早起き。
陽だってまだ昇ってない。
真っ暗闇。それだけに部屋から漏れる光は目立つ。
両サイドは真っ暗。
真ん中辺りから光が漏れる。
どうやらまだ眠れないらしい。
若者でもないのに夜更かししては体に悪い。
少しは健康を気にしろって。
どうせ今日までだからどっちでもいいだろうが。
続く
黒木の部屋。
歯ぎしりと寝言が収まったと思ったら今度は豪快なイビキ。
耳を塞ぎたくなるほどのイビキが部屋全体に響き渡る。
電気も点けっぱなしで襲撃者にとっては最悪の環境と言えなくもない。
出来るならもう少しマシだと助かるんだが。
もはや奴を気遣う精神的余裕はない。
ハアハア
ハアハア
よし大丈夫。気付かれてないな? ここからが大変なんだから。
出来たら誰か手伝って欲しいが…… 無理な注文か。
黒木に向かってライトを照らす。
眩しそうにし寝言を言うだけ。
熟睡してる。起きる気配はまったくない。
うわああ!
辺りに散乱するゴミに足を取られ転びそうになる。
汚いなまったく。ここはお前の家じゃないんだぞ。
「おい起きろ! 起きろってんだ! 」
イビキを掻き無警戒な黒木の頬を叩く。
「ああん? モゴモゴ…… 」
「何を寝ぼけてやがる? 早く起きないか! 」
本当に世話の焼けるターゲットだぜ。
今すぐにでも壺を振り下ろしたい衝動を抑え観察。
「ううん…… 誰だこの! 」
ついにお目覚めのようだ。
まったく馬鹿な野郎だ。
こんな鍵あってないようなものを。信じてまあ。
仲間たちがその油断で殺されたと言うのに本当に成長しない奴だな。
さあ最後の仕上げと行きましょうか。
完全に目を覚ましたところで躊躇なく襲い掛る。
「うぐぐぐ…… 何をしやがる! やめろ…… 」
「ほら大人しくしましょうね。暴れると危険だよ」
口元を抑える。ここで大声を出されると困るのよ。
うん順調。ここまでは計画通りだ。
本来だったら起こさずに実行することも出来た。
しかしそれでは面白くないしスリルもない。
黒木だって恐怖を感じなくては反省することもないだろう。
「まったくこっちの身にもなれよ。好きでやってるんじゃないんだから」
モグモグ言いながら頻りに首を振る黒木。
「分かってるって。お前が悪人なのは調べがついてるんだよ。
何の罪もない奴を騙して地獄を見せたろ? ひき殺しさえしたな?
ケチな詐欺して恨まれて殺されるならそれは自業自得。文句は言えないだろ? 」
なおも首を振り続ける黒木。
「でもなここには置いておけない。何と言っても演じてもらう必要があるからな。
ほら踊れ! 指示通りに動くんだ!
まったくどれだけ愚かしい真似をしたか心から反省しろ!
そうすれば助けてくれるかもしれないぞ。こっちだって鬼じゃない。
さすがに壺を自分に振り下ろせないだろ?
ここは一旦隣に行ってもらう。そして遺書を残して失踪してもらう。
フィナーレはこのホテルごと吹っ飛んでもらうつもりだ。
良いショーが見られるだろう」
うぐぐ……
「どうした痛いか? 」
おお、頷いたか? どうやら痛いらしい。
「そうか。でもな被害者はもっと痛かったはずだ。苦しかったはずだ。違うか? 」
首を大きく振ることしかできない。
黒木を連れて秘密の抜け穴から隣の三号室へ。
第二の犠牲者、ミサの部屋へ。
口を塞がれ動きを封じられた黒木は後ろから押される形で無理矢理。
「ご到着と。ああそうだ。この後どうしたい? 」
ううう……
「失踪すると言っても動き回られては困るんだよ。分かるだろ? 」
何度も首を上下させ頷く。
「そう大人しくな。いい子にしてたら監視はしない」
謎の誘拐魔はなぜか出て行ってしまった。
一人きりの男は九死に一生を得る。
だがこのままではいずれ殺害されるのは目に見えてる。
どうにかここから脱出する必要がある。
でもどうやってこの拘束状況から? 抜け出せそうにない。
ぎぎぎ……
すぐ近くに無線が転がっていた。
「ああ元気してる? 君に死なれると困るんでね。大人しく出来る? 」
うぐぐ……
「駄目だって暴れちゃ! 今すぐお仕置きすることになるよ? 」
音を立てない。
すぐに迎えに行くと言うとウーウー文句を言うから困る。
「大人しくしてる? 」
決してうんとは言わない。言えないのだ。
「迎えに行こうか? 」
やはりウーウー言うだけ。
「まあいいや。大人しくしていてね」
ドスグロ山ホテル。
深夜三時過ぎ。
三階の例の部屋から煌々と光が漏れる。
まだ四時前だと言うのに随分早起き。
陽だってまだ昇ってない。
真っ暗闇。それだけに部屋から漏れる光は目立つ。
両サイドは真っ暗。
真ん中辺りから光が漏れる。
どうやらまだ眠れないらしい。
若者でもないのに夜更かししては体に悪い。
少しは健康を気にしろって。
どうせ今日までだからどっちでもいいだろうが。
続く
0
あなたにおすすめの小説
梵珠山に、神は眠らない ―八峰 遥の豪運―
事業開発室長
ミステリー
神の気まぐれか、何かの意思か――
八峰 遥が遭遇する不可思議な出来事と強運の連続。
彼女を呼ぶ声は一体? 現実とオカルトが交錯する、
全10話完結の短編ミステリー。
シリーズ第2弾【十二湖は、今日も蒼い ―八峰 遥の天運―】 公開中
〈銀龍の愛し子〉は盲目王子を王座へ導く
山河 枝
キャラ文芸
50人もの侍女をクビにしてきた第三王子、雪晴。
次の侍女に任じられたのは、異能を隠して王城で働く洗濯女、水奈だった。
頬に鱗があるため疎まれている水奈だが、盲目の雪晴のそばでは安心して過ごせるように。
みじめな生活を送る雪晴も、献身的な水奈に好意を抱く。
惹かれ合う日々の中、実は〈銀龍の愛し子〉である水奈が、雪晴の力を覚醒させていく。「王家の恥」と見下される雪晴を、王座へと導いていく。
後宮恋歌――人質妃ですが、守られるだけでは終わりません
佳乃こはる
キャラ文芸
大陸の宗主国・夏。
北の辺境国・胡から人質同然に送られ、百人目の妃として後宮に入った少女・小蘭。
ある夜、彼女は奔放で軽薄に見える皇子・蒼龍と出会う。
だがその仮面の奥には、皇帝となる宿命と、誰にも明かせぬ孤独が隠されていた。
理不尽な運命に翻弄されながらも、自ら選び取る強さを失わない小蘭。
守るために距離を取ろうとする蒼龍。
嫉妬と陰謀が渦巻く後宮で、二人は惹かれ合い、やがて運命そのものに抗い始める――。
ゲームのシナリオライターは悪役令嬢になりましたので、シナリオを書き換えようと思います
暖夢 由
恋愛
『婚約式、本編では語られないけどここから第1王子と公爵令嬢の話しが始まるのよね』
頭の中にそんな声が響いた。
そして、色とりどりの絵が頭の中を駆け巡っていった。
次に気が付いたのはベットの上だった。
私は日本でゲームのシナリオライターをしていた。
気付いたここは自分で書いたゲームの中で私は悪役令嬢!??
それならシナリオを書き換えさせていただきます
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~
伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華
結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空
幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。
割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。
思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。
二人の結婚生活は一体どうなる?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる