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薬草発見!
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早朝。
ふああーあ!
「お早う。カン。寝れた? 」
「ああ爺さんの子守歌のおかげでよく眠れたよ」
パックはまだ夢の中だ。
爺さんが容赦なく叩き起こす。
「もう朝か? 記憶が飛んだぜ」
「ほれ、無駄口叩いてないで支度せよ! 」
パックは欠伸を噛み殺し支度にかかる。
準備完了。
爺さんの後ろに見かけない男が控えていた。
「薬草はなこの男について行くがよい」
「この方は? 」
「ほれ。挨拶せい! 」
「初めまして。案内係の令司です」
「こ奴はな紙袋家の者でな。優秀な若者だ。案内にはもってこいだ」
「それでは参りましょう」
影の薄い何を考えているのか分からないタイプで全体的にヒョロリとしていて見る者によってはカッコイイと誤解されることも。
令司を先頭に縦一列で続く。
「令司さん? 」
恐ろしく無口で説明もないまま集落の外れまで来た。
命令に忠実で余計な事を話さない。
コソコソ。
「ねえここどこ? 」
「知らないわよ。聞いてみたら? 」
「だってさっきから反応してくれないんだよ」
「兄貴。このままでいいんっすか? 薬草なんかとっても食えませんよ」
「分かってるって。隙を見つけて逃げればいい。それまで大人しくしててくれ」
「へい」
いつの間にか行き止まりになった。
だが気にせず前に進む。
おいおい。
「地図ではここで切れてるわよ」
「地図あったの? いつの間に? 」
「旅館のお土産コーナーに置いてあったのよ」
「どうする行くの? 」
「仕方がないだろ行くしかない! 」
「こちらです皆さん」
山がある。
「まさかまた登るの? 」
「いいえ。構わずに突っ切ってください」
「そうは言っても…… 」
「大丈夫です。私を信じてください」
「いやあまり信用がねえ…… 」
「わ…… 私? 本当に大丈夫? 」
念を押す。
「引き返しますか? 」
全員首を振る。
仕方なく令司の後を追いかける。
緑に覆われた山は真ん中がぽっかりと開いており天然の階段を昇ると長い長いグリーンロードが姿を現した。
「これは凄い! 」
「ええ、錯覚を利用した面白い仕掛ね」
「はっははは」
パックは余りの出来事に笑うしかない。
「どうです。これでは他所の者だけでなく地元の者も気づきません」
本来なら目隠しして連れて行くところだろうがなぜか今回は許された。
爺さん…… 信頼してくれてるんだ。
「ええと。分かっていると思いますが秘密は洩らさないように。誰にも話さないようにしてください。故郷の者にも集落の者にもです」
「他言無用。約束します」
当たり前だ。目的は薬草ではないのだから。
「それでは薬草の生えている場所までご案内します」
まっすぐの道だからもちろん迷うことは無い。
出発して一時間経過。
ここからまた三十分ほど歩くそうだ。
探検隊は薬草に辿り着けるのか?
神々の森を発見できるのか?
辺り一帯が緑一色である。
順調に歩を進める。
「よし、この辺りだ」
「ストップ。はい見えますか? 」
皆首を振る。
「よく下を見てください。広がっているでしょう? 」
どうやら草について言っているようだ。
「ほら少しだけ色が違う。黄緑になっているでしょう」
「ああ。本当だ」
「これが目印です」
「後もう少しすると赤みがかったところがあります。どうです? 」
視線を下にする。
見逃さないように丁寧に探す。
「あった! 兄貴ありましたよ! 」
「おう。パックよくやった」
パックが手に取る。
「おめでとうございます。そうまさしくこれが薬草です」
「やった! 」
大はしゃぎのパック。
「この辺りに自生してるのがお目当ての薬草です。
非常に貴重なもので高価ですがお好きなだけお取りください」
「ええ? 」
「了解を得ています。何でも腰が悪いとか? 」
「まあ、えっとそんな感じ。
兄貴の親方なんす」
「それはそれは大変だ。
ご自由にお取りください」
「悪いっすね」
薬草をゲット。
これでミッションコンプリート?
一時間が経過。
未だに薬草取りに夢中の三人。
「あのーそろそろよろしいですか? 」
「もう少し。ダメかしら? 」
「困ります。午後から忙しいので…… 」
「ちょっとだけ。お願い! 」
お腹が鳴った。
「昼にしましょうや」
パックは薬草集めに飽きたのかお昼お昼と騒ぐ。
もちろんこれも作戦のうち。
我慢比べ。
袋から非常食を取り出す。
アル―からの最後の餞別も取り出した。
何とか三人分を確保。
もちろん予定していなかった令司は食糧を持ってきていない。
令司に分け与えないのは今まで案内してくれた善意を踏みにじるものだがこれも神々の森に行くためなのだと割り切る。
そう、監視役の彼が居なくならなくては始まらない。
令司は案内を終えて戻って食べるつもりなので当然用意などしていない。
「あのー大変申し上げにくいのですか私はこれで」
「えええ? 」
大袈裟に反応する。
「大丈夫でしょう? 道は真っ直ぐ。迷う方が難しい。夕方までに帰れば危なくありませんしね」
令司は予定通りに進まないイライラから身勝手になる。
「しかし案内役のあなたがいなくてはその…… 」
「大丈夫。引き返せばいいんです。間違っても前に進まないこと」
「何かあるんですか? 」
「いえ、別に何も…… それではお気をつけて」
令司は去って行った。
「よし、うまくいった。先に進もう! 」
「カンの作戦がこうも上手くいくなんて」
「まあね。俺も不思議なくらい」
「兄貴凄いっすよ! 」
「さあ行こう! 神々の森へ! 」
「おう! 」
案内役を帰し若干不安はあるが突き進むしかない。
続く
ふああーあ!
「お早う。カン。寝れた? 」
「ああ爺さんの子守歌のおかげでよく眠れたよ」
パックはまだ夢の中だ。
爺さんが容赦なく叩き起こす。
「もう朝か? 記憶が飛んだぜ」
「ほれ、無駄口叩いてないで支度せよ! 」
パックは欠伸を噛み殺し支度にかかる。
準備完了。
爺さんの後ろに見かけない男が控えていた。
「薬草はなこの男について行くがよい」
「この方は? 」
「ほれ。挨拶せい! 」
「初めまして。案内係の令司です」
「こ奴はな紙袋家の者でな。優秀な若者だ。案内にはもってこいだ」
「それでは参りましょう」
影の薄い何を考えているのか分からないタイプで全体的にヒョロリとしていて見る者によってはカッコイイと誤解されることも。
令司を先頭に縦一列で続く。
「令司さん? 」
恐ろしく無口で説明もないまま集落の外れまで来た。
命令に忠実で余計な事を話さない。
コソコソ。
「ねえここどこ? 」
「知らないわよ。聞いてみたら? 」
「だってさっきから反応してくれないんだよ」
「兄貴。このままでいいんっすか? 薬草なんかとっても食えませんよ」
「分かってるって。隙を見つけて逃げればいい。それまで大人しくしててくれ」
「へい」
いつの間にか行き止まりになった。
だが気にせず前に進む。
おいおい。
「地図ではここで切れてるわよ」
「地図あったの? いつの間に? 」
「旅館のお土産コーナーに置いてあったのよ」
「どうする行くの? 」
「仕方がないだろ行くしかない! 」
「こちらです皆さん」
山がある。
「まさかまた登るの? 」
「いいえ。構わずに突っ切ってください」
「そうは言っても…… 」
「大丈夫です。私を信じてください」
「いやあまり信用がねえ…… 」
「わ…… 私? 本当に大丈夫? 」
念を押す。
「引き返しますか? 」
全員首を振る。
仕方なく令司の後を追いかける。
緑に覆われた山は真ん中がぽっかりと開いており天然の階段を昇ると長い長いグリーンロードが姿を現した。
「これは凄い! 」
「ええ、錯覚を利用した面白い仕掛ね」
「はっははは」
パックは余りの出来事に笑うしかない。
「どうです。これでは他所の者だけでなく地元の者も気づきません」
本来なら目隠しして連れて行くところだろうがなぜか今回は許された。
爺さん…… 信頼してくれてるんだ。
「ええと。分かっていると思いますが秘密は洩らさないように。誰にも話さないようにしてください。故郷の者にも集落の者にもです」
「他言無用。約束します」
当たり前だ。目的は薬草ではないのだから。
「それでは薬草の生えている場所までご案内します」
まっすぐの道だからもちろん迷うことは無い。
出発して一時間経過。
ここからまた三十分ほど歩くそうだ。
探検隊は薬草に辿り着けるのか?
神々の森を発見できるのか?
辺り一帯が緑一色である。
順調に歩を進める。
「よし、この辺りだ」
「ストップ。はい見えますか? 」
皆首を振る。
「よく下を見てください。広がっているでしょう? 」
どうやら草について言っているようだ。
「ほら少しだけ色が違う。黄緑になっているでしょう」
「ああ。本当だ」
「これが目印です」
「後もう少しすると赤みがかったところがあります。どうです? 」
視線を下にする。
見逃さないように丁寧に探す。
「あった! 兄貴ありましたよ! 」
「おう。パックよくやった」
パックが手に取る。
「おめでとうございます。そうまさしくこれが薬草です」
「やった! 」
大はしゃぎのパック。
「この辺りに自生してるのがお目当ての薬草です。
非常に貴重なもので高価ですがお好きなだけお取りください」
「ええ? 」
「了解を得ています。何でも腰が悪いとか? 」
「まあ、えっとそんな感じ。
兄貴の親方なんす」
「それはそれは大変だ。
ご自由にお取りください」
「悪いっすね」
薬草をゲット。
これでミッションコンプリート?
一時間が経過。
未だに薬草取りに夢中の三人。
「あのーそろそろよろしいですか? 」
「もう少し。ダメかしら? 」
「困ります。午後から忙しいので…… 」
「ちょっとだけ。お願い! 」
お腹が鳴った。
「昼にしましょうや」
パックは薬草集めに飽きたのかお昼お昼と騒ぐ。
もちろんこれも作戦のうち。
我慢比べ。
袋から非常食を取り出す。
アル―からの最後の餞別も取り出した。
何とか三人分を確保。
もちろん予定していなかった令司は食糧を持ってきていない。
令司に分け与えないのは今まで案内してくれた善意を踏みにじるものだがこれも神々の森に行くためなのだと割り切る。
そう、監視役の彼が居なくならなくては始まらない。
令司は案内を終えて戻って食べるつもりなので当然用意などしていない。
「あのー大変申し上げにくいのですか私はこれで」
「えええ? 」
大袈裟に反応する。
「大丈夫でしょう? 道は真っ直ぐ。迷う方が難しい。夕方までに帰れば危なくありませんしね」
令司は予定通りに進まないイライラから身勝手になる。
「しかし案内役のあなたがいなくてはその…… 」
「大丈夫。引き返せばいいんです。間違っても前に進まないこと」
「何かあるんですか? 」
「いえ、別に何も…… それではお気をつけて」
令司は去って行った。
「よし、うまくいった。先に進もう! 」
「カンの作戦がこうも上手くいくなんて」
「まあね。俺も不思議なくらい」
「兄貴凄いっすよ! 」
「さあ行こう! 神々の森へ! 」
「おう! 」
案内役を帰し若干不安はあるが突き進むしかない。
続く
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