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秘祭
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WA地点。
「ごめんお兄ちゃん。お詫びの印に私脱ぐね」
「はああ? 」
いきなりのことに言葉が出てこない。
「ちょっと待て…… 」
リンは迷うことなくすべてを脱ぎ捨てた。
「おいリン! 何をやっている? 」
「えへへ」
リン…… 止めてくれと言うのもおかしいよな。
別に気にするようなことでもないし……
だが変な気を起こしてしまえばすべて終わりだ。
俺らは兄妹だ。何の問題もないが念の為。
「どうしたのお兄ちゃん? お兄ちゃんも早く! 」
「おいバカ! 妹だろ? 」
約束したばかりだと言うのにリンは忘れてしまったのか?
まあ三日も経てば忘れるのがリンなのだから仕方ないか……
目を瞑る。
「どうしたの? 」
「止めてくれ! 理性が理性が! 」
「えへへへ。 本当は薄目を開けてるでしょう? 」
「馬鹿を言え! 」
「いいんだよ。好きにして」
「何? 」
「だからいいんだよ。お兄ちゃん」
無防備なリン。
どうしてこうなってしまった?
「リン。止めてくれ! 頼む! 」
「何でお兄ちゃんは付き合ってくれないの? 」
「無茶を言うな! 」
「一緒に裸になろう。それがこの辺りの伝統だよ」
「伝統? 」
「陽祭りって知ってる? 」
「いや俺はこの島は初めてだからな。詳しくは知らない」
「じゃあ。リンが教えてあげる」
「リン。ちょっと待て! なぜお前がそのことを? 」
「だって…… 教えてもらったから」
「誰にだ? 」
「博士かな…… 」
博士? そう言えばそんな話してたっけ。でも話に聞いただけだしな……
「陽祭りは隣の島の伝統的なお祭り」
そんな文化があったとは知らなかった。まあ興味もなかったが……
リンが適当に言っている可能性もゼロではないがまあ信じてやるか。
「この祭りは年に一回行われていて島の外の者がその日はとばかりに押し寄せてくる島民にとっての一大イベント。でもそれは表向き」
「リン…… 」
「観光客が帰って日が暮れたころに本当のお祭り。月祭りが島の者だけで行われる」
陽祭りに続いて月祭り。
一度は参加してもいいかもな。
「真っ暗な中で男は上半身裸。女は真っ裸。
そうやって若い男女が品定めをする夏のお祭り。
島の伝統的な儀式であり秘祭なんだって。面白そうでしょう? 」
「ああ。迫力があるな」
「だからお兄ちゃんも一緒にやろうよ」
「しかし…… 」
「ほら早く! 」
「でも…… 」
「誰も見てないよ」
確かにそうだ。リンの言う通り。
俺が怖気づいてどうする?
恥ずかしいなどおかしい。
誰もここには居ないのだから。
見られる心配はない。
恥ずかしいという感情が芽生えるのはおかしい。
仮にリンが素っ裸で歩こうと見る者がいない。
見られる対象が存在しないのだ。
視線も感情もどこかへと置いてきてしまった。
もう何も気にする必要はないのだ。
この島は自由なのだ。
リンと俺との楽園。
決して誰にも侵されることはない。
理想の楽園。
「お兄ちゃん早く! 」
そうであるが故に美しい。
リンは神々しいほどに美しくそして儚い。
光り輝く少女リン。
ああ俺はもうどうすることもできない。
我慢しきれずに服を脱ぐ。
「リン待ってろよ! 」
「お兄ちゃん! 」
二度ならず三度までも禁を破り絶望へと走っていく。
この島の掟を守らない者には必ず罰が下る。
それは痛い程経験したと言うのに俺はちっとも懲りていない。
自分が情けない。
「リン! 」
「お兄ちゃん! 」
「俺に良く見せてくれリン! 」
ああ終わった。
もう引き返すことは不可能。
どんどん引き寄せられていく。
リンから誘惑したのは間違いない。
だがその理由が分からない。
リン自身が消えると分かっていながら禁を破り交わろうとする。
俺はやはり応えてやるべきだろう。
リンの想いに応えてやらなくては。
さあ覚悟を決めよう。
「リン! 」
「お兄ちゃん! 」
抱き合う。
もう我慢できない。
「さあ行こう! 新たな世界へ」
楽園追放。
「はいストップ! 」
リンが待ったをかける。
「どうしたリン? 」
「リンはお兄ちゃんの命令に従っただけ」
「うん? 俺の命令? 」
「違うよ。怖い方のお兄ちゃんだよ」
「ああもう一人の俺か」
「うん。怖いお兄ちゃんがお兄ちゃんを誘惑しろって…… 」
リンの肩を掴む。
「それは本当かリン? 」
「リンもこんなことしたくなかった。でも怖いお兄ちゃんには逆らえないから…… 」
確かに…… ずいぶん強引だとは思っていたが裏があったか。
俺を…… いや二人を嵌めようとしやがった。
「心当たりはあるか? 」
「うーん。リンは子供だから分からない」
何にせよ狙われたのは確か。
危うくすべてを失うところだった。
理性を保たなくてはダメだ。
自分にいくら言い聞かせたところでリンが本気を出せば逃れることは不可能。
「リン! 」
「お兄ちゃん! 」
「お前は妹だよな? 」
「うん。お兄ちゃんがそう言うなら」
「だから俺はお前に変な気を起こそうとは思わない。リンも協力してくれ」
どうにか説得に成功。
「うーん。抱き着くのは? 」
「危険だから止めろ! 」
「おはようのキスは? 」
「嬉しいが極力抑えてくれ」
「もーう。つまんない! 」
リンはむくれる。
妥協案を探る。
「一緒に泳ぐぐらいはいいぞ」
「やった! じゃあ。さっそく…… 」
ビーチに戻る。
【続】
「ごめんお兄ちゃん。お詫びの印に私脱ぐね」
「はああ? 」
いきなりのことに言葉が出てこない。
「ちょっと待て…… 」
リンは迷うことなくすべてを脱ぎ捨てた。
「おいリン! 何をやっている? 」
「えへへ」
リン…… 止めてくれと言うのもおかしいよな。
別に気にするようなことでもないし……
だが変な気を起こしてしまえばすべて終わりだ。
俺らは兄妹だ。何の問題もないが念の為。
「どうしたのお兄ちゃん? お兄ちゃんも早く! 」
「おいバカ! 妹だろ? 」
約束したばかりだと言うのにリンは忘れてしまったのか?
まあ三日も経てば忘れるのがリンなのだから仕方ないか……
目を瞑る。
「どうしたの? 」
「止めてくれ! 理性が理性が! 」
「えへへへ。 本当は薄目を開けてるでしょう? 」
「馬鹿を言え! 」
「いいんだよ。好きにして」
「何? 」
「だからいいんだよ。お兄ちゃん」
無防備なリン。
どうしてこうなってしまった?
「リン。止めてくれ! 頼む! 」
「何でお兄ちゃんは付き合ってくれないの? 」
「無茶を言うな! 」
「一緒に裸になろう。それがこの辺りの伝統だよ」
「伝統? 」
「陽祭りって知ってる? 」
「いや俺はこの島は初めてだからな。詳しくは知らない」
「じゃあ。リンが教えてあげる」
「リン。ちょっと待て! なぜお前がそのことを? 」
「だって…… 教えてもらったから」
「誰にだ? 」
「博士かな…… 」
博士? そう言えばそんな話してたっけ。でも話に聞いただけだしな……
「陽祭りは隣の島の伝統的なお祭り」
そんな文化があったとは知らなかった。まあ興味もなかったが……
リンが適当に言っている可能性もゼロではないがまあ信じてやるか。
「この祭りは年に一回行われていて島の外の者がその日はとばかりに押し寄せてくる島民にとっての一大イベント。でもそれは表向き」
「リン…… 」
「観光客が帰って日が暮れたころに本当のお祭り。月祭りが島の者だけで行われる」
陽祭りに続いて月祭り。
一度は参加してもいいかもな。
「真っ暗な中で男は上半身裸。女は真っ裸。
そうやって若い男女が品定めをする夏のお祭り。
島の伝統的な儀式であり秘祭なんだって。面白そうでしょう? 」
「ああ。迫力があるな」
「だからお兄ちゃんも一緒にやろうよ」
「しかし…… 」
「ほら早く! 」
「でも…… 」
「誰も見てないよ」
確かにそうだ。リンの言う通り。
俺が怖気づいてどうする?
恥ずかしいなどおかしい。
誰もここには居ないのだから。
見られる心配はない。
恥ずかしいという感情が芽生えるのはおかしい。
仮にリンが素っ裸で歩こうと見る者がいない。
見られる対象が存在しないのだ。
視線も感情もどこかへと置いてきてしまった。
もう何も気にする必要はないのだ。
この島は自由なのだ。
リンと俺との楽園。
決して誰にも侵されることはない。
理想の楽園。
「お兄ちゃん早く! 」
そうであるが故に美しい。
リンは神々しいほどに美しくそして儚い。
光り輝く少女リン。
ああ俺はもうどうすることもできない。
我慢しきれずに服を脱ぐ。
「リン待ってろよ! 」
「お兄ちゃん! 」
二度ならず三度までも禁を破り絶望へと走っていく。
この島の掟を守らない者には必ず罰が下る。
それは痛い程経験したと言うのに俺はちっとも懲りていない。
自分が情けない。
「リン! 」
「お兄ちゃん! 」
「俺に良く見せてくれリン! 」
ああ終わった。
もう引き返すことは不可能。
どんどん引き寄せられていく。
リンから誘惑したのは間違いない。
だがその理由が分からない。
リン自身が消えると分かっていながら禁を破り交わろうとする。
俺はやはり応えてやるべきだろう。
リンの想いに応えてやらなくては。
さあ覚悟を決めよう。
「リン! 」
「お兄ちゃん! 」
抱き合う。
もう我慢できない。
「さあ行こう! 新たな世界へ」
楽園追放。
「はいストップ! 」
リンが待ったをかける。
「どうしたリン? 」
「リンはお兄ちゃんの命令に従っただけ」
「うん? 俺の命令? 」
「違うよ。怖い方のお兄ちゃんだよ」
「ああもう一人の俺か」
「うん。怖いお兄ちゃんがお兄ちゃんを誘惑しろって…… 」
リンの肩を掴む。
「それは本当かリン? 」
「リンもこんなことしたくなかった。でも怖いお兄ちゃんには逆らえないから…… 」
確かに…… ずいぶん強引だとは思っていたが裏があったか。
俺を…… いや二人を嵌めようとしやがった。
「心当たりはあるか? 」
「うーん。リンは子供だから分からない」
何にせよ狙われたのは確か。
危うくすべてを失うところだった。
理性を保たなくてはダメだ。
自分にいくら言い聞かせたところでリンが本気を出せば逃れることは不可能。
「リン! 」
「お兄ちゃん! 」
「お前は妹だよな? 」
「うん。お兄ちゃんがそう言うなら」
「だから俺はお前に変な気を起こそうとは思わない。リンも協力してくれ」
どうにか説得に成功。
「うーん。抱き着くのは? 」
「危険だから止めろ! 」
「おはようのキスは? 」
「嬉しいが極力抑えてくれ」
「もーう。つまんない! 」
リンはむくれる。
妥協案を探る。
「一緒に泳ぐぐらいはいいぞ」
「やった! じゃあ。さっそく…… 」
ビーチに戻る。
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