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夢のような出来事

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さあ登山開始。

ガムの後に着いて山道を登る。

前方に広がる道をひたすら前へ。道が無くなり草だらけになったら左に折れる。

これはガムが事前に仕入れた情報。それ以降はまったくの未知の領域。

とりあえず歩いてる人を捕まえて教えてもらうしかない。

だが目の前には人の姿が見えない。誰一人通る気配が無い。

さあどうすればいい?


左に折れると水の音がする。

川があるようだ。できれば飲み水があるといいんだけど。

急いで音の方に歩みを進める。

「どれどれ…… 大丈夫みたいですよ。ステーテルも早く」

ガムに倣い水を掬う。

「うーん! 美味しい」

「生き返りますね」

「もうガムったら…… 」

たらふく腹に入れて先を急ぐ。

とりあえず川沿いを登ることに。


一時間経過。

二人っきり。未だ通りかかる者はいない。

夕暮れが近づく。

さすがに今日中にコンプラ王国に着くのは困難。

これは野宿も考えなければならなくなってきた。

「どうしましょう? 野宿は絶対に嫌! ガム何とかして! 」

「大丈夫ですよ。少しきついですけど歩き続ければいい。夜通しで歩けば万事解決! 」

「そういう問題ではないんだけど…… 」


結局歩くのを諦め川沿いで野宿をすることに。

火をおこし冷えた体を温める。

もちろんこれは全てガムの仕事。ド・ラボーの私はただ見守るだけでいい。

うおおお!
ぎゃああ!

闇夜に響き渡る野生動物の雄たけび。恐怖で身がすくむ。

「大丈夫ですよ。彼らも火を怖がってますからね。危険はありません」

本当かしら?

疑り深い性分。ガムは大丈夫だって言うけど火を怖がらない獣もいるんじゃない?

恐怖が恐怖を呼び寄せる。さあ何が起こるのか?

「ねえ変な音がしない? ガム? ガム! 」

疲れたのかガムは眠ってしまった。

一人取り残された気分。


野宿は大変。

火が弱まり徐々に寒くなってきた。

もう嫌! どうして私がこんな目に遭わなくちゃいけないの!

ド・ラボーがたき火をしますか?

ド・ラボーが野宿しますか?

ガムは何も分かっていない!

ガムは何も反応してくれない!

不満が溜まる一方。


喉が渇いた。さっき飲んだばかりだと言うのになぜか喉が渇く。

我慢できずに小川へ。

うん。美味しい。でも何か物足りない。

食事もロクに出来なかった。何か食べられるものがあればいいんだけど。

あれ何? 光? 違う! 動物だ!

確かに獲物に違いはないが私はそんなに野蛮じゃない。

こう言うのはやっぱりガムに任せるのが一番。

 
まずい! こっちに来る。

ああどうしましょう。ガムは寝てるし……

夜行性のフォックス。

月に照らされて幻想的だ。体は大きくない。

隣にはそれよりも小さいのが。子供なのか二匹で小川に走ってくる。

二匹は水を飲むとすぐに行ってしまった。

続いて変な猿の仲間が木から降りてきた。

大勢でやってくる。家族かしら?

その後もタヌキやウサギにシカなんかも姿を現した。

ここは動物たちの楽園のようだ。

最後にワニが口を開ける。

これは危険。退散! 退散!

ガムの元へ戻る。


翌朝。

「ねえ。昨日水を飲みに行ったら動物たちがやって来てね…… 」

「はいはい。お話をした? 」

「ううん。する訳ないでしょう! 」

「みんなで仲良く踊った? 」

「違う違う! 」

「どちらが早いか競争をした? 」

「どうしたのガム? 」

「夢の話はいいですから急ぎますよ! 」

「ちょっと待ってよガム! 夢って何のこと? 」

昨夜の体験を鮮明に覚えている。確かに夢みたいだと自分でも思う。

でも…… あれどっちだったんだろう?

「さあ行きますよ! 」

ガムの後に続いて登山再開。

再び苦行のような山登り。道なき道を行く。

はあはあ
はあはあ

「もう動けない! 」

先に音をあげたのはガムの方だった。

「どうしたのガム? 」

「疲れました。もう歩けません! 」

「確かに少々疲れましたけどまだ歩けます。だらしないですよガムさん。これではお付としてやっていけませんよ」

ここぞと言う時にガムを責め立てる。

なぜ私がここまで歩けるのか?

それはエルス王子のおかげ。

特訓の成果が出ている。

                  続く

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