ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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牢いや!

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疑惑のロク。

「そんな王様…… 」
 
抵抗虚しく連れていかれてしまった。

第五王子が何者かによって連れ去られた。それも王子と知っての犯行。急いで助けなくては王子の身に危険が及ぶ。

一連の騒動。仮にロクが関わっていたとしても単独ではないだろう。

どう考えてもハッシャの連中が深く関係してるに違いない。


主要メンバーに私たち二人を加え緊急の話し合いが行われる。

「どうしましょう? 」

「俺は無理だな。顔が知られている。お前はどうだ? 」

「私だって同じです」

「助けたい気持ちはあります。ですが証拠がない」

「賛成! 」

皆好き勝手なことを言うのみ。これでは話がまとまらない。


痺れを切らした国王が一喝する。

「まったくお前らは揃いも揃って役に立たん! 」

「父上! 父上! 国王! 」

王子たちの合唱が始まる。

「おい本当に何も連絡はないんだな? 」

「ええ。今のところ何の動きはありません」

「どうすればいい? 」

頭を抱える国王。

「落ち着いてください! 」

部外者の私たちまで招集する。ただ邪魔になるだけにしか思えないんだけど。


「分かりました! 」

痺れを切らしたガムがとんでもないことを言いだす。

「第五王子を無事に取り返して見せましょう! 」

「ちょっとガム! 」

安易な口約束。国王を安心させるためとはいえこれはよろしくない。


早朝。

「ステーテル。さあ参りましょう」

結局顔を知られている国王以下は大人しく待っていることに。

冗談? なぜ無関係なか弱い乙女二人が責を負わねばならないの?

間違っている!


手掛かりもなく王子救出に向かうガム。

とりあえず国境付近まで探りを入れることに。

ローパ―を使い来た道を戻る。

もう! 本当にどうしたらいいの?

ガムが勝手に引き受けてしまった。私は関係ないわよね? 

しかしやはり放ってはおけない。

「ねえガム? 」

「静かに! もうこの辺からは慎重に願います」

コンプラ王国からローパーでおじさんのところまで戻り山道を下っていく。

過酷な山道。だが今回は下りなので半分の時間で目的地へ。

「ガムが余計なことに首を突っ込むものだから」

「何を言ってるんですか? 絶好のチャンス。強行突破あるのみです」

「ガムったらもう…… 」

太郎王子がヤ―チャットのどこかに閉じ込められているとの情報を得た。

間違いなくハッシャが関わっている。確かにそうだけどさ…… でも……

「さあ急ぎましょうステーテル! 」


「あれお前は? まだここでうろちょろしていたのか」

ナナチャットとの国境付近まで戻ってきた。

未だにこの辺をうろついていることに不信を抱いた男たち。

観光客にしてはおかしいとついに目をつけられてしまう。

「二人とも動くな! 」

当然警戒される。

「ナナチャットに戻るところでして…… 」

ダメだ。信じてもらえそうにない。

「怪しい奴らめ! そこを動くな! 」

取り押さえられる。

「ちょっと待ってよ! 誤解だってば! 」

「嘘を吐くな! 」

「吐いてない! 本当なんだから信じて! 」

見苦しい言い訳に終始。

結局牢屋にぶちこまれる羽目に。


「ふふふ…… 上手く行きましたね」

余裕の表情のガム。これも計画のうち? 笑うところじゃないけどね。

あとは太郎王子を見つけるだけ。

その後のことはまあどうにかなるでしょう。ガムに任せましょう。

「入れ! お前はこっちだ! 」

別々の牢屋に入れられる。これは計画に無かったこと。

「ちょっと! ガム! ガム! 」

「うるさい静かにしろ! 」


牢屋の中は当然静か。

寝息が聞こえるだけ?

おかしい……

「あなたは王子? 」

ぐっすりと寝息を立て気持ちよさそうに寝ている少年。

夢でも見ているのか。時折意味不明なことをつぶやく。

「これ以上は…… 」

叩き起こすのも忍びない。でも今はそんなこと言ってられない。

無理矢理揺すって起こす。


「何じゃ? 我は長旅で疲れておる! 寝かせてくれぬか? 」

困った…… 寝ぼけていて話にならない。

粗末な牢屋にもう慣れたのか緊張感が無い。

「救出に参りました。ステーテルでございます」

「おう! それはご苦労だった」

生意気なついでのお荷物。この王子を助けて思いっ切り恩を売るのも悪くない。


さあ第一の目的は果たした。あとは太郎捜索に全力を尽くすだけ。

「太郎! 太郎! 」

しかしいくら呼んでも反応が無い。

ここには居ないらしい。

さあどうする?

                    続く
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