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魔王城の次期当主アルカンダラ王子

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絶対に負けられない戦いがそこにはある。

「ルールを説明する。君はここから動かないこと。勝手に出て行かれては困る。だから鍵を掛けさせてもらったよ」

「ふざけないで! どうやって脱出すればいいのよ? 」

「もっともな意見だ。だがこれも君の為だ。ここで大人しく待つんだ。そうすれば晴れて我が息子アルカンダラと結ばれるのだ。」

嘘でしょう…… 最悪!
 

「今から我が息子を紹介する」

小さな魔王様が部屋へ。

「ほら挨拶をしなさい! 」

「はいパパ。アルカンダラです。よろしく」

「アルカンダラ? 変な名前ね…… 」

「この子が我が息子だ。この魔王城次期当主でありクールシチャット王子」

多少幼さが残る情けない感じの見た目。作り笑顔でこちらを見る。

「このクールシチャットもここの世界に倣って王子としている。この子と一緒になってやってはくれないか」

「あなたは本当にそれでいいの? 」

「父上がそう言うのであればただ従うのみです」

物わかりのいいアルカンダラ王子。聡明で従順。立派な息子。でもこちらにとっては迷惑でしかない。

「分かりました。ですがやはりお受けできません」

「ふざけるな! お前に選ぶ権利など無いわ! 」

ついに本性を現した魔王様。

「お前はこのアルカンダラ王子と結ばれるかただ果てるかしかないのだ。よく考えれば分かることではないか! 」


究極の選択。

このままこの王子と結ばれればある程度の自由は保障される。一方で断れば一生ここから出れないかもしれない。

「私…… 」

「どうしたはっきりしろ! 」

「ちょっと待って…… 」

魔王が睨みつける。

何て恐ろしい。ついに本性を現した。やはり魔王は魔王。

断わったら何するか分からない。無言の圧力を受ける。

「もう分かったわよ! 」

「良いのだな? 」

「その代り約束は必ず守ってください」

「ああ。明日までにここに辿り着いたら諦めてやる。まあそんなことはあり得んがな」

自信満々。

もう困ったなあ……

食事を終え眠れない夜を過ごす。


ざわざわ
ざわざわ

夜遅くに魔王城までやって来たドッドたち。

「おいどうだ? 」

「へい。仕掛けは無いかと思われます」

「おい! 本当にここでいいんだな? 」

「なんで俺がこんなところに? 冗談じゃない! 俺は帰るぞ! 」

「いいから答えろ! 」

「見ればわかる。ここは間違いなく魔王城さ」

クールシチャット唯一の生き残り。案内役として無理矢理連れてこられた。ステーテル救出には彼の協力が不可欠。

「どうやって入ればいい? 」

「知るかよ! 俺は関係ないね! 」

逃げ腰の男。いい加減に観念して協力してもらいたいものだ。

「誰がこんなところ! 」

不気味な雰囲気と吹き付ける風に緊張が走る。

夜になりより一層不気味に見えてくるから敵わない。

「出入り口が見当たらないんだが? 」

「だから知るか! 」

捜索は難航。

夜までかかることに。


どんどん
どんどん

敷地内まで侵入。壁と言う壁を叩き突破口を探すが上手く行かない。

これでは時間ばかり浪費して成果が得られない。

「くそ! くそ! 」

「おい! 何か手はないのか? 」

「知らない! 俺は関係ないだろ! 」

これ以上は進展は見られない。奪還作戦に向けてドッドを中心に話し合いが行われる。

「誰か分かる奴? 」
 
「元から入れないのでは…… 」

「どういうことだ? 」

「だから横から無理なら上からとか? 」

「おお! それは盲点だった」

魔王城攻略の糸口が見えてきた。


「おいどうした震えて? 」

「だってこの辺は魔王の土地だろ。どんな化け物が現れても不思議ではない」

「ははは! お前らは何も知らないんだな。あそこには魔王とその家族以外はあの怪鳥ジャスラしか存在しない。
奴にはそれほどの力も仲間もいない。もうおしまいなのだ。ははは! 」

「はああ? 本当かよ」

「それよりもどうやって中に入るかだ。誰か案はないのか? 」

皆考えることは同じで炙り出すで一致した。

「よし火を用意しろ! 」

待ってろよスティ―! 今助けてやるからな。


ドッド……

窓にドッドの姿が映し出される。

もう来てくれたのね。これでここから脱出できる。

「さあドッド。私はここよ。助けに来て! 」

「ふふふ…… 馬鹿め! 」

まだまだ夜は長い。

                 続く
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