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絶体絶命
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厳重警戒の中、王子と共に処刑場となっている広場までやって来た。
後は国王の命令一つ。今すぐにでも処刑されると思うと血の気が引く。
太郎は震えているが私も緊張で冷や汗が止らない。こんな時ガムがいてくれたら……
「国王陛下のお成り! 」
ついに始まる処刑。
「遅くなってすまんのう」
国王が姿を現した。
「おおお! 国王様だ。国王様! 」
兵士たちの士気が上がる。
「国王に申し上げます! 逃亡していたランを捕えました! 」
「そうか。ご苦労。下がるがよい」
最後の希望のランもあっさり捕まってしまう。
万事休す。
もう後は祈るのみ。絶体絶命のピンチ。
過去最大の危機的状況。
何と言っても助ける者がいないのだ。
ガムもドッドもニ―チャット。
たとえ引き返したとしても近づくことさえ不可能。
今日は太郎王子の処刑の日。厳重警戒で臨む警備に穴などあるはずがない。それは火を見るよりも明らか。
兵士が集結しているこんな場所に突撃する馬鹿もいない。
冷静に考えれば分かること。王子を処刑するのだ。
「おい! 」
薄ら笑いを浮かべた国王が耳打ち。
「それはいくら何でも危険すぎます! 」
「よい。できることなどない。彼女を放してやれ! 」
「本当によろしいのですか? 」
「早くしないか! 」
国王の寛大な処置によりランは解放される。
「おい! どう言うつもりだ? 」
ランは国王や兵士の前でも動じない。興奮して言葉使いも乱暴になる。
彼女の目的はただ一つ。王子奪還。
「ランさん。君には迷惑をかけたね。この王子の為に随分尽くしてくれたようだ。もう十分だ。任を解く」
「はああ? 馬鹿言うな! 誰があんたの命令を聞く? 」
「こら! 国王に向かって無礼な! 」
「よい。よい。ほっほっほ…… 」
「笑ってるんじゃねえ! お前の息子だろうが! 」
「威勢のいいお嬢さんだ。さあどこへでも行きなさい。ああ。処刑されるところを見たいなら招待するがの」
「この冷血野郎! 覚えてろよ! 」
捨て台詞を吐き姿を消すラン。
「国王? やはりまずかったのでは? 」
「まあ良かろう。あやつの武器も奪った。やれることは何一つない」
「国王様…… 」
「うむ。さあそろそろ始めるとするか」
バンバン
バンバン
手を叩くと猟銃を持った男たちが姿を現した。
すぐに猟銃を構え撃つ動作にかかる。
準備完了。後は国王の合図を待つ。
ざわざわ
ざわざわ
処刑場には大勢の見物人が押し掛け今か今かと騒ぎ出す。
中には王子派の人物もおり反対を叫ぶ命知らずの者とそれを諭す者とで揉めごとが起きる。
さあこれで準備は整った。的は太郎とこの私。
「フフフ…… 巻き込んで悪いね。でも王子が選んだと言うではないか。大人しく一緒に散ってくれるな? 」
国王は完全にイカレテいる。王子だけでなく無関係な私まで巻き添え。それを止めようともしない。
魔王の親書が何を意味するのか? 守らなければどうなるのか? 想像力もないの? 哀れでならない。
「本当によろしいんですか? 魔王を敵に回すと言うことがどれだけ恐ろしいことか。あなたも分からない訳ではないでしょう? ここは私たちを大人しく解放すべきです」
魔王を交渉の材料に使うのは決して本意ではない。しかしゴールドカードを失った今手段など選んでいられない。
「フフフ…… あやつに何ができる? 余計な心配をせずに祈るんだな」
ダメ! 魔王でも無理。最後の望みを託すには無理がある。
「では開始する! 」
国王の号令で処刑がスタート。
「もうダメ! さようならガム。ううう…… 」
「泣くなよスティ―」
「うるさい! 震えてるくせに太郎の馬鹿! 」
「さあ一緒に行こう」
太郎は速攻で諦める。情けない王子。だがもう本当に打つ手がない。
「もう知らない! 」
「スティ―! 」
「太郎! 」
二人はきつく抱き合った。
これが二人の運命。覆すことは不可能。たとえ奇跡が起きても何も変わらない。
運命を受け入れるしかない。
続く
後は国王の命令一つ。今すぐにでも処刑されると思うと血の気が引く。
太郎は震えているが私も緊張で冷や汗が止らない。こんな時ガムがいてくれたら……
「国王陛下のお成り! 」
ついに始まる処刑。
「遅くなってすまんのう」
国王が姿を現した。
「おおお! 国王様だ。国王様! 」
兵士たちの士気が上がる。
「国王に申し上げます! 逃亡していたランを捕えました! 」
「そうか。ご苦労。下がるがよい」
最後の希望のランもあっさり捕まってしまう。
万事休す。
もう後は祈るのみ。絶体絶命のピンチ。
過去最大の危機的状況。
何と言っても助ける者がいないのだ。
ガムもドッドもニ―チャット。
たとえ引き返したとしても近づくことさえ不可能。
今日は太郎王子の処刑の日。厳重警戒で臨む警備に穴などあるはずがない。それは火を見るよりも明らか。
兵士が集結しているこんな場所に突撃する馬鹿もいない。
冷静に考えれば分かること。王子を処刑するのだ。
「おい! 」
薄ら笑いを浮かべた国王が耳打ち。
「それはいくら何でも危険すぎます! 」
「よい。できることなどない。彼女を放してやれ! 」
「本当によろしいのですか? 」
「早くしないか! 」
国王の寛大な処置によりランは解放される。
「おい! どう言うつもりだ? 」
ランは国王や兵士の前でも動じない。興奮して言葉使いも乱暴になる。
彼女の目的はただ一つ。王子奪還。
「ランさん。君には迷惑をかけたね。この王子の為に随分尽くしてくれたようだ。もう十分だ。任を解く」
「はああ? 馬鹿言うな! 誰があんたの命令を聞く? 」
「こら! 国王に向かって無礼な! 」
「よい。よい。ほっほっほ…… 」
「笑ってるんじゃねえ! お前の息子だろうが! 」
「威勢のいいお嬢さんだ。さあどこへでも行きなさい。ああ。処刑されるところを見たいなら招待するがの」
「この冷血野郎! 覚えてろよ! 」
捨て台詞を吐き姿を消すラン。
「国王? やはりまずかったのでは? 」
「まあ良かろう。あやつの武器も奪った。やれることは何一つない」
「国王様…… 」
「うむ。さあそろそろ始めるとするか」
バンバン
バンバン
手を叩くと猟銃を持った男たちが姿を現した。
すぐに猟銃を構え撃つ動作にかかる。
準備完了。後は国王の合図を待つ。
ざわざわ
ざわざわ
処刑場には大勢の見物人が押し掛け今か今かと騒ぎ出す。
中には王子派の人物もおり反対を叫ぶ命知らずの者とそれを諭す者とで揉めごとが起きる。
さあこれで準備は整った。的は太郎とこの私。
「フフフ…… 巻き込んで悪いね。でも王子が選んだと言うではないか。大人しく一緒に散ってくれるな? 」
国王は完全にイカレテいる。王子だけでなく無関係な私まで巻き添え。それを止めようともしない。
魔王の親書が何を意味するのか? 守らなければどうなるのか? 想像力もないの? 哀れでならない。
「本当によろしいんですか? 魔王を敵に回すと言うことがどれだけ恐ろしいことか。あなたも分からない訳ではないでしょう? ここは私たちを大人しく解放すべきです」
魔王を交渉の材料に使うのは決して本意ではない。しかしゴールドカードを失った今手段など選んでいられない。
「フフフ…… あやつに何ができる? 余計な心配をせずに祈るんだな」
ダメ! 魔王でも無理。最後の望みを託すには無理がある。
「では開始する! 」
国王の号令で処刑がスタート。
「もうダメ! さようならガム。ううう…… 」
「泣くなよスティ―」
「うるさい! 震えてるくせに太郎の馬鹿! 」
「さあ一緒に行こう」
太郎は速攻で諦める。情けない王子。だがもう本当に打つ手がない。
「もう知らない! 」
「スティ―! 」
「太郎! 」
二人はきつく抱き合った。
これが二人の運命。覆すことは不可能。たとえ奇跡が起きても何も変わらない。
運命を受け入れるしかない。
続く
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