ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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バッドエンド イーチャット編 <完>

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国王の配慮によって五分の猶予が与えられた。

「よし一緒に祈ろう! 」

まだ何か言ってる太郎。困った人……

「もう! だから悔い改めることなんか…… ねえ祈るのもいいけどまずは歌いましょう」

「歌うの? 」

「そう。歌を捧げるの。祈りはそれからでも遅くないわ」

「分かったよスティ―。君の好きにするといい」

なぜか笑顔の太郎。もう震えも止まっている。諦めの境地?


アアア…… ラララ……
ゼッダ…… ゴンナ…… クジー
シンジ…… カナラ…… アイッツー カーン


「さあ太郎も一緒にお願い! 」


アアア…… ラララ……
ゼッタ…… カンナ…… クジー
シンジ…… カナラ…… アイッツー カーン


「さあもう一回! 」

「分かった。分かった。でもちょっと間違えたような気がする…… 」

「適当でいいの。歌うことが大事なんだから。ほら早く! 」


ざわざわ
ざわざわ

「何をやってるんだあいつら? 」

「かわいそうに現実を受け止めきれないあまり狂っちまったみたいだ」

「それも仕方ない話さ」

「しかし国王様もなぜすぐにやらねえんだ? 」

「まあ反逆者とは言え王子。辛いんだろ。お気持ちは分かる」

処刑場に集まった民衆が騒ぎ始めた。


「国王そろそろお願いします」

「うむ。もう時間かな」

風が格段に強くなった。雲が厚く、遠くの空で雷が発生。

急に寒気が…… 何か物凄く嫌な予感がする。

いつの間にか暗くなった空。まるで天変地異の前触れだ。


ざわざわ
ざわざわ

民衆が騒ぎ出した。

「おい! どうしたと言うんだ? 」

「それが国王様…… どうやら聞こえるとか何とか…… 」

「聞こえる? 一体何が聞こえると? 」

「さあ訳が分かりません」

空から突如何かが降ってきた。

雨でも雪でもない奇怪な生物。

ギャア! 
ギャア!

「何だ? 一体どうしたと言うんだ? 」

「上を! 」

翼を広げた不気味な化け物。

「何だこいつは…… 」

国王は恐怖の余り固まってしまう。


ギャア!
ギャア!

怒り狂った怪鳥ジャスラが襲ってくる。

「危ない! 」

咄嗟に身を伏せた為国王は事なきを得る。

ジャスラはロックオン。奇声を上げ王子に突っ込む。

「ジャスラお願い! 言うことを聞いて! 」

怒り狂う怪鳥ジャスラを説得するのは不可能。

ジャスラはなぜか目前でストップ。盾となる。


国王の無事を確認した兵士たちが散弾銃を構える。

「撃て! 」

ジャスラに向けて乱射が始まる。

「危ない! 」

ジャスラは避けることなく盾になり私たちを守ってくれた。

ダダダ!

ギャア!
ギャア!

ダダダ!
 
「止め! 」

全てを打ち尽くしてから様子を見る。

ギャア!
ギャア!

ジャスラは無敵。この程度の攻撃ではダメージを負わない。

躊躇なく私と太郎を両手に抱え飛び立つ。

ギャア!
ギャア!

「撃て! 撃て! 」

「ダメです。もう弾がありません! 」

ジャスラ作戦成功?

ついに太郎と共に処刑場から脱出。

こうして太郎王子の処刑は回避された。


「どうします国王? 」

「まあこれでは王子たちも助からん。放っておけばよい! 」

うおおお! 王子! 王子!

興奮した民衆が歓声を上げ走り回る。

王子コールが鳴り止むことはなかった。


イーチャット編 <完>


エピローグ。


魔王城。

「パパ準備できたよ」

「よしイーチャットに向かうぞ! 」

これまでイーチャットの一国支配に甘んじてきた近隣諸国。

国家間の争いに勝利してきた強国の側面もあるが実は魔王の不気味な沈黙があったからと言われている。

魔王の強さ恐ろしさは知っての通り。

だが魔王は他国を尊重する姿勢を崩さなかった。

特に王族には決して手を出さない。外交を重視してきた。

その為イーチャットが実質支配した時も無反応。

だがそれもお終い。


報告が入った。

ステーテルの身の安全を保障するように迫った親書をこともあろうに国王自ら破り捨てた。

それだけならばまだ我慢しようもある。

だがステーテルを処刑場に送り王子と共に葬ろうとしたことは何があっても許されない。決して許してはならない。

魔王がステーテルの身を案じ書き添えた書状。

国王はどんなことがあっても決してステーテルに手を出してはいけなかった。

国王には驕りがある。


魔王は怒りの炎を燃やし旅立つ。

「今こそ! 」

魔王の怒りがイーチャットを飲み込んだ。

あっと言う間にイーチャットは滅んでしまう。

当たり前だ。魔王と人間。人間如きが魔王と対等に戦えるわけがない。


「パパ…… 」

魔王によって世界地図は劇的な変化を見せた。


今、魔王の怒りも収まり魔王城に。魔王親子は再び静かに暮らす。

こうして世界にも再び平和が訪れた。

                  最終話に続く
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