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水なし芳一
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芳一は常に脱水症状気味の男だ。
冬はいい。何とかなる。しかし夏はそうはいかない。
喉が渇かずとも多量の水を飲まなければ健康を保てない。
一時間おきの給水を怠れば即脱水症状になってしまう。
それも軽症ではなく重症だから本当に命に関わる。
体質とは言え改善の見込みがなければ命がいくらあっても足りない。
お医者様に相談しても首を振るばかり。
検査をしても何も悪いところが見つからない。
常識ではどうすることもできない芳一の症状。
病気でもないので入院することもできない。
ついにはお医者様もさじを投げてしまう。
「芳一は? 芳一はどうすればいいのでしょう? 」
「はい。一時間おきに水分補給するように心がけてください。
そうすれば特に問題ないかと」
「それで芳一はどのような病気なのですか? 」
「ですから病気ではありません。比較的安定してきているので様子を見ましょう」
どうやら大したことはないと思われてるらしい。
「母さん俺どうしたら? 」
「芳一! 芳一! 」
「はい。次の方どうぞ」
こうしてお医者様からも見捨てられてしまう。
現代医学は諦め怪しい占い師の元へ。
「あの先生実は…… 」
「ああ言わなくても分かるよ。相手が見つからないんだろう?
別に平凡な気もするがね。よし耳に金ぴかのピアスでもつけてみな」
「違います! 息子の芳一は喉が渇きやすい病なのです」
「ふむふむ。夏は命懸けだとな」
真面目に話を聞く占い師。それが商売なので誰よりも親身になり助言さえする。
「はい。それでどうすればいいかと」
「うーむ。ならば龍神村に行くがいい。
そこで龍神様に憑かれれば症状は劇的に改善されるであろう」
怪しげな占い師の勧めで龍神村に向かった親子。
「この村には龍神伝説があるとか…… 」
「はいはい。龍神様だね? ついて来て」
一軒の家を紹介される。派手な龍の落書きが壁一面にスプレーで施されている。
「儂は龍使い! いつでも龍を召喚できるぞ」
「ファンタジーですか? 」
「お母さん。芳一君を一晩この屋敷に泊めれば龍神様の力で一発で改善されます」
「トリックですか? 」
「何を言う! この方は霊験あらたかな龍使いじゃ!
失礼な発言は厳に慎むがよい! 」
どうやらイカレタ龍使いは周りからは崇め奉られているらしい。
「では芳一頑張りなさいね」
「母さん…… 」
こうして芳一は龍使いから手ほどきを受ける。
「よいか。難しいことは一つもない。この龍のシールを全身に貼るのだ。
ありとあらゆるところに。それこそつま先からてっぺんまで」
言われるまま貼れるだけ貼る。一枚百円のシールを千も万も貼る。
「貼ったな? シールは後払いでいい」
「ハイ」
「よしでは寝るがよい。今龍を召喚してやる。後は起きたらすべて解決だ」
こうして芳一は朝まで龍の攻撃を受けることに。
穴から入って穴に戻るを繰り返す龍。これで確実に症状は改善されるはず。
朝。起きると芳一は喉の渇きから水をがぶ飲み。
どうやら失敗したらしい。
「おかしいな? こんなはずはないのだが…… 」
龍使いは芳一の体を一つずつ見て行く。ううん? これは…… 」
「どうしました? 」
「馬鹿者! 耳にシールを貼らなかったな? これでは効果がないに決まってる」
どうやら芳一は癖ですぐに耳を掻いてしまったらしい。
「嘘…… どうすれば? 」
「諦めるな! もう一度やってみよう」
「はい! 」
「偉いぞ。よしまずはシールの資金集めから始めようか」
「そんな…… 」
その後芳一はどうにか耐え脱水症状を克服。
それは十度目の挑戦であった。
<完>
冬はいい。何とかなる。しかし夏はそうはいかない。
喉が渇かずとも多量の水を飲まなければ健康を保てない。
一時間おきの給水を怠れば即脱水症状になってしまう。
それも軽症ではなく重症だから本当に命に関わる。
体質とは言え改善の見込みがなければ命がいくらあっても足りない。
お医者様に相談しても首を振るばかり。
検査をしても何も悪いところが見つからない。
常識ではどうすることもできない芳一の症状。
病気でもないので入院することもできない。
ついにはお医者様もさじを投げてしまう。
「芳一は? 芳一はどうすればいいのでしょう? 」
「はい。一時間おきに水分補給するように心がけてください。
そうすれば特に問題ないかと」
「それで芳一はどのような病気なのですか? 」
「ですから病気ではありません。比較的安定してきているので様子を見ましょう」
どうやら大したことはないと思われてるらしい。
「母さん俺どうしたら? 」
「芳一! 芳一! 」
「はい。次の方どうぞ」
こうしてお医者様からも見捨てられてしまう。
現代医学は諦め怪しい占い師の元へ。
「あの先生実は…… 」
「ああ言わなくても分かるよ。相手が見つからないんだろう?
別に平凡な気もするがね。よし耳に金ぴかのピアスでもつけてみな」
「違います! 息子の芳一は喉が渇きやすい病なのです」
「ふむふむ。夏は命懸けだとな」
真面目に話を聞く占い師。それが商売なので誰よりも親身になり助言さえする。
「はい。それでどうすればいいかと」
「うーむ。ならば龍神村に行くがいい。
そこで龍神様に憑かれれば症状は劇的に改善されるであろう」
怪しげな占い師の勧めで龍神村に向かった親子。
「この村には龍神伝説があるとか…… 」
「はいはい。龍神様だね? ついて来て」
一軒の家を紹介される。派手な龍の落書きが壁一面にスプレーで施されている。
「儂は龍使い! いつでも龍を召喚できるぞ」
「ファンタジーですか? 」
「お母さん。芳一君を一晩この屋敷に泊めれば龍神様の力で一発で改善されます」
「トリックですか? 」
「何を言う! この方は霊験あらたかな龍使いじゃ!
失礼な発言は厳に慎むがよい! 」
どうやらイカレタ龍使いは周りからは崇め奉られているらしい。
「では芳一頑張りなさいね」
「母さん…… 」
こうして芳一は龍使いから手ほどきを受ける。
「よいか。難しいことは一つもない。この龍のシールを全身に貼るのだ。
ありとあらゆるところに。それこそつま先からてっぺんまで」
言われるまま貼れるだけ貼る。一枚百円のシールを千も万も貼る。
「貼ったな? シールは後払いでいい」
「ハイ」
「よしでは寝るがよい。今龍を召喚してやる。後は起きたらすべて解決だ」
こうして芳一は朝まで龍の攻撃を受けることに。
穴から入って穴に戻るを繰り返す龍。これで確実に症状は改善されるはず。
朝。起きると芳一は喉の渇きから水をがぶ飲み。
どうやら失敗したらしい。
「おかしいな? こんなはずはないのだが…… 」
龍使いは芳一の体を一つずつ見て行く。ううん? これは…… 」
「どうしました? 」
「馬鹿者! 耳にシールを貼らなかったな? これでは効果がないに決まってる」
どうやら芳一は癖ですぐに耳を掻いてしまったらしい。
「嘘…… どうすれば? 」
「諦めるな! もう一度やってみよう」
「はい! 」
「偉いぞ。よしまずはシールの資金集めから始めようか」
「そんな…… 」
その後芳一はどうにか耐え脱水症状を克服。
それは十度目の挑戦であった。
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