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黒い世界
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「どこ、ここ・・・」
呆然と立ち尽くし、周りを見渡す。
見れど見れど、黒。黒。黒。
触って初めて、壁だとわかる。
歩いて初めて、床だとわかる。
見上げても、天井はわからない。
ふと、自分の手を見る。黒い。
どこを見ても、黒い。
天から黒いペンキが降ってきたかのように、なにもかもが、黒い。
ただなんとなく、ここが学校の廊下のような感じがした。
歩くと、何かに当たった。
三角の、ネームプレートのようなもの。
手の腹で拭ってみる。
その下も黒かった。
そして、拭った先からも黒いペンキが降り掛かってくる。
読むのを諦めて、床に置く。
床には、なにか人間の形をした物が倒れていた。
「お母さん」
それは、真っ黒でなんなのかわからないけれど、確かに自分の母親であることに間違いはなかった。
悲しいことに、それだけは確信がもてた。
真っ黒なそれを、抱き上げる。
なにもかも、目も、鼻も、口の中まで真っ黒。
でも、お母さん。
「どういうこと・・・」
泣いて、その涙を拭っても、それすらも黒い。
「黒」以外の色が存在しないかのように。
気持ちの整理がつかず、その場を離れてスライド式の扉を開ける。
たぶん、教室。
やはり、どこを、どうみても、なにもかも、ぜんぶ、真っ黒。
人もいる。黒い人。みんながこっちを見ている。
それで悟った。
この状況を作り出した原因の1部が、自分にある事を。
そして・・・それを全く覚えていないことを。
呆然と立ち尽くし、周りを見渡す。
見れど見れど、黒。黒。黒。
触って初めて、壁だとわかる。
歩いて初めて、床だとわかる。
見上げても、天井はわからない。
ふと、自分の手を見る。黒い。
どこを見ても、黒い。
天から黒いペンキが降ってきたかのように、なにもかもが、黒い。
ただなんとなく、ここが学校の廊下のような感じがした。
歩くと、何かに当たった。
三角の、ネームプレートのようなもの。
手の腹で拭ってみる。
その下も黒かった。
そして、拭った先からも黒いペンキが降り掛かってくる。
読むのを諦めて、床に置く。
床には、なにか人間の形をした物が倒れていた。
「お母さん」
それは、真っ黒でなんなのかわからないけれど、確かに自分の母親であることに間違いはなかった。
悲しいことに、それだけは確信がもてた。
真っ黒なそれを、抱き上げる。
なにもかも、目も、鼻も、口の中まで真っ黒。
でも、お母さん。
「どういうこと・・・」
泣いて、その涙を拭っても、それすらも黒い。
「黒」以外の色が存在しないかのように。
気持ちの整理がつかず、その場を離れてスライド式の扉を開ける。
たぶん、教室。
やはり、どこを、どうみても、なにもかも、ぜんぶ、真っ黒。
人もいる。黒い人。みんながこっちを見ている。
それで悟った。
この状況を作り出した原因の1部が、自分にある事を。
そして・・・それを全く覚えていないことを。
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