ヒナギクは彼の溺愛に気づかないー彼のとなりで大福を

白もふ

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姫さま、第十三回目のお見合いですよ。

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 一組の男女が、向い合わせで座っている。
青年は、優しい顔立ちをしており、頬を赤くして少女を見つめた。

 肌は雪のように白い。ぬばたまの黒髪は艶やかで、桜色の唇は小さくて可愛らしい。
何より、天藍石のような、ぱっちりした瞳が神秘的だ。 
少女も興味深そうに青年をーーではなく、

目の前にある和菓子にくぎづけだった。

「ゴホン。え~これより、第十三回目のお見合いを始めたいと思います。……ヒナギク様、よろしいですか?」
ばあやの眼光が鋭い。
「え!?は、はい!」
思わず、背筋を伸ばす。

「私のようなものが、姫さまとお見合いなどと…、こ、光栄です。あの、姫さまの好きなものは何ですか?」
青年が恥ずかしそうに俯く。
「あ、ばかっ」 
ばあやが慌てて叫ぶが、もう遅い。

ヒナギクの目が、らんらんと輝いた。

「よくぞ聞いてくれました!私が好きなものは、大福です!!あ、もちろん他の和菓子も大好きですよ」
彼女は、目の前にある大福をわしづかみ、青年につき出す。

「見てください、この丸いフォルム、もっちりとした肌ざわり!」
「一見素朴に見えて、中身はあんこがぎっしり詰まっているのですよ!素晴らしいと思いませんか!?」
「あ、は、はい…」
「しかも大福はあんこだけじゃないのです!かぐわしい抹茶や、生クリーム、最近では生チョコ大福……あれは衝撃的でした。もぐもぐー」 
そう言いながらも、彼女の頬は大福のように膨らんでいる。
「あ、これ新作ですね!甘じょっぱくておいひぃ~。しかもあえて、あんこの粒を残すとはっ……。サキチめ、惚れてまうやろ~もぐもぐもぐ」


こうして、第十三回目のお見合いは、青年が何も言えないまま、あっけなく幕を閉じるのだったーー。







 
初投稿作品です。
まだわからないことだらけで、手さぐりで進んでいます。
楽しんでいただけたら、幸いです(*^^*)
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