ですげーむデス!

アフロヘッド

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通称「ジム」

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キィィィ……。先程までグンドウが探っていた通気口の真下のロッカー、その扉が開く。そこにはアリスとアキバがギュウギュウに体を押しつけあって隠れていた。


ロッカーの中から弾けるように飛び出すと同時に、2人とも床にドッと倒れ込んだ。
「あ、危なかった、すげぇ危なかった……。」
アキバは今まで喉元で堪えていた緊張感と二酸化炭素を一気に吐き出した。
「正直、あの大男がロッカーの目の前に来たときは死ぬかと思ったぜ。」
「……同感よ。」
アリスも額から冷や汗をダラダラと流しながらアキバの呟きに反応した。
「それにしても上手くいってよかったな、あの作戦。」
「ええ。多少は相手の出方を予測できていたとはいえ、本当にあの作戦は運頼みだったからね……。」
アリスとアキバの作戦……それは作戦とも呼べるか怪しいような至極単純なもので、簡単に言えば『自分たちが通気口から逃げた』と思わせてその上であえてロッカーに隠れる、というだけのものだった。

まずは照明を破壊して視界を悪くさせ、その隙にアキバが移動、そして閃光玉の罠の設置を行う。あとは敵が近づいてきたタイミングで、アキバがアリスの元へと全力でダッシュしながら敵を罠にひっかけ、目を潰す。仕上げに靴でロッカーを蹴り、弾切れになった銃を通気口に、あえて壁に銃がぶつかる音が大きく反響するように投げ込む。最後に2人でロッカーに隠れる。終わり。
 ただ、これだけである。
「あのときにちょっとでもロッカーを調べられたら終わってたな……。」
「相手が短絡的な奴で本当によかったわ。まあ、目を潰されて動揺していたっていうのもあると思うけど。」
「にしても、お前よく冷静に動けたな。首輪つけられて動揺しまくってたとはえらい違いだ。」
アキバはムクリ、とゆっくり体を起こしながら話した。
「言ったでしょ?だって。」
アリスは胸を張り、自慢げに答える。
は想定外だったってだけよ。いつもはこんな感じでババッと動けるわ。」
「なるほどなるほど。それは頼もしいことで。」
アキバとアリスはそんな軽い話をしつつ息を整えていた。


そして体力を回復させたアキバはアリスに話しかけた。
「なあ、これからどうする?」
「そうね……。」
アリスはライトのスイッチを入れ、白い円状の光で天井を照らす。そこには穴だらけの天井が広がっていた。
 コンクリートの壁は跡形も無く破壊し尽くされており、壁の穴から見えるパイプや通気口の金属板は至る所が見事にへし折られ、あるいはベコベコに変形したかグチャグチャに潰されていた。そして同時にこのボロボロとなった部屋の様子が、あの大男の人外レベルのパワーを、あり得んばかりの危険性をこれでもかというぐらいに主張していた。
 ……恐らくあの時、通気口の中に逃げ込んでいたら俺とアリスは壁越しに殴られたダメージで体の至る所がへし折られて死んでいただろう。危なかった。
 アキバは天井を見つめながら、冷や汗を流した。そんなことを考えていると、アリスが口を開く。
「あの大男が思いっきり暴れてくれたおかげでこの部屋の通気口は潰れちゃったし、一旦部屋の外に出るしかないわね。」
「部屋の外に出るって言ったって……。その後はどうするんだよ?」
「とりあえず、この御弁棟から一旦出る。」
「え?御弁棟ここから?」
「ええ。多分DEDはすぐに御弁棟のこのフロアを封鎖して、増援を送ってくるわ。その包囲網に囚われたら私たちは袋の鼠よ。そんな状況で別の部屋に逃げ込んだところですぐに見つかる。」
「なるほどな、訳はわかった。……で、具体的な場所は?」
「行き先は……ソウ・デスゲーム棟よ。」
「ソウ・デスゲーム棟?どこだそれ?」
「御弁棟から延びている4つの建物の一つよ。『ジム』と呼ばれているわ。」
「『ジム』?一体なんの施設なんだ?」
「それは行けばわかるわ。」
アリスはスッと立ち上がり、アキバの方を向く。
「さあ、もう話してる暇はないわ、とっとと行くわよ。」
「お、おう。」
アキバはドアに向かって歩き出すアリスの後をついて行った。


「とりあえず御弁棟と『ジム』の繋ぎ目にあるドアに行くわ。……段取りはさっき言った通り。ミスらないでね。」
「わかってる。」
「それじゃあ‥‥レッツゴー!」
アキバとアリスはタイミングを合わせて、一気に扉から走り出した。

「こちらグンドウだ!聞こえるか?」
一方グンドウとパッドは通気口に逃げた敵を探すため、3階を走り回って部屋を手当たり次第調べていた。グンドウは次の部屋、また次の部屋へと走りながら、ポケットに入れておいた無線を取り出し大声でそう呼びかけた。
「ああ。そんな大声出さなくても聞こえる。どうした?」
無線に出たのは気だるげな声をした男だった。男はグンドウの大声を鬱陶しがりながらも用件を聞いた。
「増援が欲しい、今すぐにだ!」
「増援?なんで?」
「敵を捕まえるためだよ、当たり前だろ!?」
男はグンドウの焦った声に微塵も反応せず、マイペースで答える。
「捕まえるためだぁ?さっさと追いかけて捕まえればいいだけだろうが。お前だったらどうってことないだろ?くだらんこと報告してないで、ちゃっちゃと捕まえてこい。」
「どうってことあるからこうやって無線使ってるんだろうが!」
グンドウはグアッと思いっきり大声でツッコミを入れる。
「ええ?……どうしたんだよ一体?」
あまりにも慌ただしいグンドウの様子に、男は少し動揺していた。
「通気口から逃げられたんだ。通気口は狭いから俺たちは入れねぇし、出口も無数にある。おまけに自動ドアやシャッターもすり抜けられちまう。俺たちだけじゃ捕らえられねぇ!」
「なるほど、通気口ね。確かにそれはマズイな……。わかった、増援を送ろう。お前たちは今どこに居る?」
「御弁棟の3階だ。まだ奴らもこのフロアのどこかに居るはずだ。今手当たり次第探してる。」
「じゃあ、あいつに頼んで3階の階段とエレベーターを一時的に封鎖させておこう。それと、窓は別の奴らに見張らせておく。グンドウ、御弁棟の中央部に階段とエレベーターがあるのはわかるな?」
「ああ。」
「そこの階段だけ封鎖しないでおく。そこから増援を送るためにな。お前たちは増援が来るまで、そこの階段を見張っておけ。」
「探さなくていいのか?」
「手当たり次第探したところでどうせ見つけられんさ。それに、その階段を使う以外は3階から動くことはできないからな、そこを守れば取り逃すことはないだろう。増援が到着次第、そいつらと協力して敵を追い詰めろ。」
「……了解した。感謝する。」
「あ、そうだ。言っておくがこっちはただでさえ人手不足なんだ。増援の人数はあまり期待するなよ。」
「ああ、わかっている。」
「じゃ、頼んだぞ。」
「ああ。」
グンドウは無線を切ってポケットにしまい込んだ。

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