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17.魔女の肖像
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「えーと、確かこの辺に……」
呟きながら、レオは一冊ずつ背表紙のタイトルを確認していく。
けれど、下の段では目的の本を発見できなかったのか、やがて彼は近くにあった梯子を持ってきて上の段にある本まで探し始めた。
「ねえ、レオ。一体、何の本を探しているの?」
「昔、俺が自由研究の資料にするために読んでいた本だよ。ほら、『魔女の歴史』っていう本があっただろ?」
「なんでまた、そんな本を……? まあ、いいわ。とりあえず、私も手伝うわね!」
そう声をかけると、私はレオと同じように梯子を持ってきて隣の本棚を漁り始める。
暫くの間、そうやって二人で探していると──
「あった! この本だ!」
どうやら、目的の本が見つかったらしい。
レオが梯子から下りてペラペラとページを捲り始めたので、一先ず私も梯子から下りることにする。
「確か、最後の方のページに……あったぞ! ここだ!」
レオが指さしたページを見た途端、思考が停止した。
「何よ……これ……」
私は言葉を失う。そのページには、魔女と呼ばれ無実の罪で処刑された悲劇の伯爵夫人──ガートルード・ファブレーの肖像が描かれていた。
けれども、ガートルードとされているその人物は、どう見ても前世の自分にしか見えない。
一体どういうことなのだろう。思考を巡らせてみるが、いくら考えてみても分からない。
そんな時、同じようにしばらく黙り込んでいたレオが助け舟を出すかのように口を開いた。
「これは、あくまでも憶測なんだけどさ……」
「え……?」
「その……言い難いんだけど、お前の正体って──」
「ちょ、ちょっと待ってよ! そんな訳ないでしょ?」
レオが言わんとしていることを察した私は、彼を制止するように否定した。
「いや、俺自身も馬鹿げたことを言っている自覚はあるよ。でもさ……そう考えると、全部辻褄が合うって言うか……」
レオは、言葉を選びつつも核心に迫ろうとしていた。
でも、そんな……まさか。そんなこと、ある訳が……。
「……つまり、私の正体はガートルードだって言いたいの? だからこそ、前世で身内全員から疎まれて殺害されたってこと?」
「ああ。信じられないだろうし、信じたくない気持ちも分かる。でもさ……じゃあ、なんでお前は転生できたんだ?」
「それは……」
「元々、そういう力を持っていたとしたら説明がつく。多分、ガートルードの処刑に関わった人間達は自分の家に彼女によく似た子供が生まれる度に殺し続けてきたんだよ。だからこそ、アメリアは前世で殺されたんだろうし、今世でも命を狙われているんじゃないか……?」
レオの推理は、確かに信憑性がある。
というか、そう考えるのが妥当だ。
──私の正体は魔女ガートルードで、転生を繰り返す度に報復を恐れた肉親に殺害されてきたのだ。
けれども……頭では理解できているのに、心が追いつかない。
「そんな……でも、仮にそうなら、どうしてわざわざ自分を殺した人間達の子孫として転生するの? そこに関しては、腑に落ちないわ」
「何か、制約がある術なのかもな。それなら、自分を殺した人間達の子孫としてしか転生できないのも納得がいくし……」
「…………」
「書いてあったんだよ。この本に」
言って、レオはページをペラペラと捲る。
「ほら、ここだ。『ガートルードと瓜二つの子供が生まれた際、一族は否応なしに子供を殺害した。そうして、事なきを得てきたのだ』って書いてある。もし、アメリアの前世の両親が未来のフローレス家に被害が及ばないよう上手いこと娘の婚約者を言い包めて殺害を依頼したのだとしたら──」
「つまり、私は今世でも殺される可能性が高いということ……?」
「ああ。というか、ほぼ確定だと思うぜ。さて、どうする? もうあまり時間はなさそうだし、せめて学校を卒業するまで……なんて悠長なことも言っていられないぞ。今すぐにでも逃げないと」
神妙な顔をしつつも、レオが逃亡を提案してきた。
「逃げるって言っても……一体、どこに逃げればいいの?」
「王家が関わっている以上、国外に逃げるしかないだろ。わざわざ騎士を使ってまで捜させているってことは、きっと女王陛下も関わっているんだろうし……」
「無茶だわ。成人しているならともかく、今の私はまだ十四歳なのよ? 国外逃亡なんて無理よ」
「でも、このままだと確実に奴らに殺されちまうぞ!」
言葉に詰まる。
こんな時、一体どうしたら……。
「ハンスさんに相談するわ。闇雲に行動したって、上手くいくはずがないもの」
「ああ、そうだな……そうしよう」
そんなやり取りを終えて、一先ず二人でペントハウスに向かおうとしていると。
先ほどの騎士と、見覚えのある中年の男女が前方から歩いてくるのが見えた。
あの二人は──
「お父様とお母様だわ……!」
「なんだって? あの二人が、アメリアの前世の両親なのか?」
「ええ、間違いないわ。歳をとって、外見は以前より大分老けたようだけれど……」
「おいおい、まじかよ。まさか、もう向こうは確信しているとか……?」
「分からないわ。でも──」
三人は、こちらに向かってずんずんと歩いてくる。
そして、私達の目の前に来ると、
「こんにちは、お嬢さん。少しお時間よろしいですか?」
先ほどの騎士が私に話しかけてきた。
警戒するあまり、思わず顔が強張ってしまう。
「ああ、そんなに固くならなくても大丈夫ですよ。ほんの少し、お話を伺いたいだけなので……」
「あの……どのようなご用件でしょうか?」
恐る恐る、聞き返してみる。
「突然、変な質問をして申し訳ないのですが……あなた、前世の記憶をお持ちではありませんか?」
「え……?」
まさか、こんなに直接的な質問をぶつけてくるとは思わず。
私は、その場で唖然としてしまう。
すると、前世の母──マリア・フローレスが突然私の手を握ってきた。
「その顔、仕草、話し方──ああ、本当にそっくり。ねえ、あなたうちのマージョリーよね? たとえ生まれ変わっても、私には分かるわ。だって、大切な娘ですもの」
言って、母は私を優しく抱きしめる。
「……!?」
「本当に、会いたかった。実はね、この国には稀に前世の記憶を持ったまま別人に転生する人間が生まれるらしいの。それで……あなたにそっくりな女の子がこの図書館によく出入りしているっていう目撃情報が入ってきたものだから、もしかしてって思ってね。居ても立っても居られなくなって、こうして会いに来たのよ」
訳が分からない。
仮に母の言っていることが真実だとしても。何故、王城の騎士なんかに私の捜索を依頼したのだろうか?
もう、国家総ぐるみで私を殺そうとしているようにしか思えない。
「私も会いたかったよ、マージョリー。君は、今はどこの家の子供なんだ? 身なりから察するに、良家の娘のように見えるけれど」
前世の父トマも、母に続くように涙ぐみながら話しかけてきた。
……あまりにも、白々しい。とはいえ、今世の私がクロフォード家の子供として生まれたこと自体は本当に知らないかのように思えた。
ひょっとすると、ギュスターヴは私の死後両親とは交流がほとんどなかったのかもしれない。
もし交流があれば、今世の私もアメリアとして必然的に二人と顔を合わせることになっていただろうから。
──もしかして……お互い襤褸が出ないように、交流を控えていたのかしら? 身内で私の殺害計画を練っていた上に本当にそれを実行してしまったなんてことが世間に知れたら大変だものね。
そんな疑念が、頭をよぎる。
さて、どうやって切り抜けようか……。
そう思った次の瞬間。隣に座っていたレオがガタッと椅子から立ち上がり──
「あの、すみません。多分だけど、勘違いだと思います。俺、こいつの幼馴染なんですけど、そんな話過去に一度も聞いたことがないんで……それじゃ、失礼します!」
呆然としている三人に向かって一礼すると、レオは私の手を取り──一目散に出口に向かって走り出した。
呟きながら、レオは一冊ずつ背表紙のタイトルを確認していく。
けれど、下の段では目的の本を発見できなかったのか、やがて彼は近くにあった梯子を持ってきて上の段にある本まで探し始めた。
「ねえ、レオ。一体、何の本を探しているの?」
「昔、俺が自由研究の資料にするために読んでいた本だよ。ほら、『魔女の歴史』っていう本があっただろ?」
「なんでまた、そんな本を……? まあ、いいわ。とりあえず、私も手伝うわね!」
そう声をかけると、私はレオと同じように梯子を持ってきて隣の本棚を漁り始める。
暫くの間、そうやって二人で探していると──
「あった! この本だ!」
どうやら、目的の本が見つかったらしい。
レオが梯子から下りてペラペラとページを捲り始めたので、一先ず私も梯子から下りることにする。
「確か、最後の方のページに……あったぞ! ここだ!」
レオが指さしたページを見た途端、思考が停止した。
「何よ……これ……」
私は言葉を失う。そのページには、魔女と呼ばれ無実の罪で処刑された悲劇の伯爵夫人──ガートルード・ファブレーの肖像が描かれていた。
けれども、ガートルードとされているその人物は、どう見ても前世の自分にしか見えない。
一体どういうことなのだろう。思考を巡らせてみるが、いくら考えてみても分からない。
そんな時、同じようにしばらく黙り込んでいたレオが助け舟を出すかのように口を開いた。
「これは、あくまでも憶測なんだけどさ……」
「え……?」
「その……言い難いんだけど、お前の正体って──」
「ちょ、ちょっと待ってよ! そんな訳ないでしょ?」
レオが言わんとしていることを察した私は、彼を制止するように否定した。
「いや、俺自身も馬鹿げたことを言っている自覚はあるよ。でもさ……そう考えると、全部辻褄が合うって言うか……」
レオは、言葉を選びつつも核心に迫ろうとしていた。
でも、そんな……まさか。そんなこと、ある訳が……。
「……つまり、私の正体はガートルードだって言いたいの? だからこそ、前世で身内全員から疎まれて殺害されたってこと?」
「ああ。信じられないだろうし、信じたくない気持ちも分かる。でもさ……じゃあ、なんでお前は転生できたんだ?」
「それは……」
「元々、そういう力を持っていたとしたら説明がつく。多分、ガートルードの処刑に関わった人間達は自分の家に彼女によく似た子供が生まれる度に殺し続けてきたんだよ。だからこそ、アメリアは前世で殺されたんだろうし、今世でも命を狙われているんじゃないか……?」
レオの推理は、確かに信憑性がある。
というか、そう考えるのが妥当だ。
──私の正体は魔女ガートルードで、転生を繰り返す度に報復を恐れた肉親に殺害されてきたのだ。
けれども……頭では理解できているのに、心が追いつかない。
「そんな……でも、仮にそうなら、どうしてわざわざ自分を殺した人間達の子孫として転生するの? そこに関しては、腑に落ちないわ」
「何か、制約がある術なのかもな。それなら、自分を殺した人間達の子孫としてしか転生できないのも納得がいくし……」
「…………」
「書いてあったんだよ。この本に」
言って、レオはページをペラペラと捲る。
「ほら、ここだ。『ガートルードと瓜二つの子供が生まれた際、一族は否応なしに子供を殺害した。そうして、事なきを得てきたのだ』って書いてある。もし、アメリアの前世の両親が未来のフローレス家に被害が及ばないよう上手いこと娘の婚約者を言い包めて殺害を依頼したのだとしたら──」
「つまり、私は今世でも殺される可能性が高いということ……?」
「ああ。というか、ほぼ確定だと思うぜ。さて、どうする? もうあまり時間はなさそうだし、せめて学校を卒業するまで……なんて悠長なことも言っていられないぞ。今すぐにでも逃げないと」
神妙な顔をしつつも、レオが逃亡を提案してきた。
「逃げるって言っても……一体、どこに逃げればいいの?」
「王家が関わっている以上、国外に逃げるしかないだろ。わざわざ騎士を使ってまで捜させているってことは、きっと女王陛下も関わっているんだろうし……」
「無茶だわ。成人しているならともかく、今の私はまだ十四歳なのよ? 国外逃亡なんて無理よ」
「でも、このままだと確実に奴らに殺されちまうぞ!」
言葉に詰まる。
こんな時、一体どうしたら……。
「ハンスさんに相談するわ。闇雲に行動したって、上手くいくはずがないもの」
「ああ、そうだな……そうしよう」
そんなやり取りを終えて、一先ず二人でペントハウスに向かおうとしていると。
先ほどの騎士と、見覚えのある中年の男女が前方から歩いてくるのが見えた。
あの二人は──
「お父様とお母様だわ……!」
「なんだって? あの二人が、アメリアの前世の両親なのか?」
「ええ、間違いないわ。歳をとって、外見は以前より大分老けたようだけれど……」
「おいおい、まじかよ。まさか、もう向こうは確信しているとか……?」
「分からないわ。でも──」
三人は、こちらに向かってずんずんと歩いてくる。
そして、私達の目の前に来ると、
「こんにちは、お嬢さん。少しお時間よろしいですか?」
先ほどの騎士が私に話しかけてきた。
警戒するあまり、思わず顔が強張ってしまう。
「ああ、そんなに固くならなくても大丈夫ですよ。ほんの少し、お話を伺いたいだけなので……」
「あの……どのようなご用件でしょうか?」
恐る恐る、聞き返してみる。
「突然、変な質問をして申し訳ないのですが……あなた、前世の記憶をお持ちではありませんか?」
「え……?」
まさか、こんなに直接的な質問をぶつけてくるとは思わず。
私は、その場で唖然としてしまう。
すると、前世の母──マリア・フローレスが突然私の手を握ってきた。
「その顔、仕草、話し方──ああ、本当にそっくり。ねえ、あなたうちのマージョリーよね? たとえ生まれ変わっても、私には分かるわ。だって、大切な娘ですもの」
言って、母は私を優しく抱きしめる。
「……!?」
「本当に、会いたかった。実はね、この国には稀に前世の記憶を持ったまま別人に転生する人間が生まれるらしいの。それで……あなたにそっくりな女の子がこの図書館によく出入りしているっていう目撃情報が入ってきたものだから、もしかしてって思ってね。居ても立っても居られなくなって、こうして会いに来たのよ」
訳が分からない。
仮に母の言っていることが真実だとしても。何故、王城の騎士なんかに私の捜索を依頼したのだろうか?
もう、国家総ぐるみで私を殺そうとしているようにしか思えない。
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前世の父トマも、母に続くように涙ぐみながら話しかけてきた。
……あまりにも、白々しい。とはいえ、今世の私がクロフォード家の子供として生まれたこと自体は本当に知らないかのように思えた。
ひょっとすると、ギュスターヴは私の死後両親とは交流がほとんどなかったのかもしれない。
もし交流があれば、今世の私もアメリアとして必然的に二人と顔を合わせることになっていただろうから。
──もしかして……お互い襤褸が出ないように、交流を控えていたのかしら? 身内で私の殺害計画を練っていた上に本当にそれを実行してしまったなんてことが世間に知れたら大変だものね。
そんな疑念が、頭をよぎる。
さて、どうやって切り抜けようか……。
そう思った次の瞬間。隣に座っていたレオがガタッと椅子から立ち上がり──
「あの、すみません。多分だけど、勘違いだと思います。俺、こいつの幼馴染なんですけど、そんな話過去に一度も聞いたことがないんで……それじゃ、失礼します!」
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