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26.戦い
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「うぅ……憎い……憎い……俺達を殺した連中が……王族が憎い……」
「もう、苦しいのは嫌だ……」
「私達は、お前達を絶対に許さない……」
船に乗っている死者の幻影達は、うめき声を上げながら口々に恨み節を言う。
初めて見る幻術に戸惑ったのか、騎士達は一斉に後ずさった。
「あの者達は一体……?」
「狼狽える必要はありません! あれは、ただの幻影です! さあ、体勢を立て直して矢を射るのです!」
「しょ、承知いたしました!」
セシル女王に命令された騎士は、言われた通りこちらに向かって矢を放った。
けれども──その矢は私達には当たらず、手前にいた幻影の一人に突き刺さった。
「へ、陛下! あの者に矢が刺さりました……!」
「そんな……! この者達は、ただの幻影ではないというのですか!?」
信じがたい光景を目の当たりにしたセシル女王は、大きく目を見開く。
彼女の言う通り、どうやら彼らはただの幻影ではないらしい。
にわかには信じがたい事だけれど、幻術で生み出された存在でありながら実体を持っているようだ。
「構いません! この者達が倒れるまで、ひたすら矢を射るのです!」
「かしこまりました! ……おい、お前ら邪魔だ! そこを退け!」
騎士達は、自棄になったように次々に矢を射る。
だが、乱射された数多の矢は一向に私達に届かない。
──まるで、幻影が私達を守ってくれているみたい……。
そんな攻防戦がしばらく続いた後。
痺れを切らしたセシル女王が、ある提案をする。
「このままでは、埒が明きません! あの遺物を使いましょう!」
「はっ、しかし……あの遺物は現代人には扱いが難しく、最悪暴発する可能性が……」
セシル女王の隣にいる騎士が、何やら口ごもる。
彼の態度に苛立ったのだろうか。セシル女王は、自らその場にしゃがみ込んで足元にある袋の中から「何か」を取り出した。
「何を恐れているのです! あなたは、目の前の敵をみすみす逃がすつもりなのですか!?」
怒号を上げると同時に、セシル女王は「何か」を構えた。
──あれは、もしかして……拳銃?
拳銃は、まだまだ世の中に普及していない武器だ。
けれど、一般人でも存在自体は知っている。遠い昔──それこそ、魔法文明が栄えていた時代はよく使われていたらしい。
「こんなことで、王族としての務めを放棄するわけにはいきません! 亡き父に代わって、必ずやこの私が使命を果たしてみせます!」
「ちっ、魔法銃か……あれはかなり厄介な代物だぞ」
拳銃を構えたセシル女王を見て、ハンスは切羽詰まった様子で舌打ちをする。
魔力に目覚めた異能力者を捕らえるために魔法文明の遺物に頼る──傍から見たらなんとも皮肉な光景ではあるが、当人達は恐らくその滑稽さに気づいていないのだろう。
「いいか? アメリア。何があっても、レオと一緒に対岸にたどり着くんだ。わかったな?」
「ハンスさん……?」
「魔法銃を使われたら、最悪この船は沈む。そうならないように、俺が時間稼ぎをするからお前らは自分の身を守ることだけ考えろ」
覚悟を決めた様子で顔を上げると、ハンスは私を庇うためなのか自分の後ろへ隠れるよう促した。
──このままだと、ハンスさんが危険だわ! 何か、私にできることはないの……?
そう考え、自分の無力さを痛感する。
直後、魔法銃を構えていたセシル女王が引き金を引いた。
──パァン!!
ローゼ川の中心に、耳をつんざくような発砲音が響き渡る。
セシル女王が打ち込んだ弾丸は、数人の幻影達の体を射抜き──あろうことか、私達が乗っているホバークラフトの船体に命中した。
「う、嘘でしょ……?」
ごくり、と固唾を呑みつつも身を乗り出して舷側を確認する。
幸い頑丈な造りだったお陰で穴は空いていないようだったが、無傷とまではいかなかったようでかなりへこんでいる。
「──今度こそ、絶対に外しません! あなた達は、この私が責任を持って全員処刑します!」
宣言とともに、セシル女王は再び引き金に手をかける。
その刹那──先ほどと同じように、辺りに銃声が響き渡った。
「もう、苦しいのは嫌だ……」
「私達は、お前達を絶対に許さない……」
船に乗っている死者の幻影達は、うめき声を上げながら口々に恨み節を言う。
初めて見る幻術に戸惑ったのか、騎士達は一斉に後ずさった。
「あの者達は一体……?」
「狼狽える必要はありません! あれは、ただの幻影です! さあ、体勢を立て直して矢を射るのです!」
「しょ、承知いたしました!」
セシル女王に命令された騎士は、言われた通りこちらに向かって矢を放った。
けれども──その矢は私達には当たらず、手前にいた幻影の一人に突き刺さった。
「へ、陛下! あの者に矢が刺さりました……!」
「そんな……! この者達は、ただの幻影ではないというのですか!?」
信じがたい光景を目の当たりにしたセシル女王は、大きく目を見開く。
彼女の言う通り、どうやら彼らはただの幻影ではないらしい。
にわかには信じがたい事だけれど、幻術で生み出された存在でありながら実体を持っているようだ。
「構いません! この者達が倒れるまで、ひたすら矢を射るのです!」
「かしこまりました! ……おい、お前ら邪魔だ! そこを退け!」
騎士達は、自棄になったように次々に矢を射る。
だが、乱射された数多の矢は一向に私達に届かない。
──まるで、幻影が私達を守ってくれているみたい……。
そんな攻防戦がしばらく続いた後。
痺れを切らしたセシル女王が、ある提案をする。
「このままでは、埒が明きません! あの遺物を使いましょう!」
「はっ、しかし……あの遺物は現代人には扱いが難しく、最悪暴発する可能性が……」
セシル女王の隣にいる騎士が、何やら口ごもる。
彼の態度に苛立ったのだろうか。セシル女王は、自らその場にしゃがみ込んで足元にある袋の中から「何か」を取り出した。
「何を恐れているのです! あなたは、目の前の敵をみすみす逃がすつもりなのですか!?」
怒号を上げると同時に、セシル女王は「何か」を構えた。
──あれは、もしかして……拳銃?
拳銃は、まだまだ世の中に普及していない武器だ。
けれど、一般人でも存在自体は知っている。遠い昔──それこそ、魔法文明が栄えていた時代はよく使われていたらしい。
「こんなことで、王族としての務めを放棄するわけにはいきません! 亡き父に代わって、必ずやこの私が使命を果たしてみせます!」
「ちっ、魔法銃か……あれはかなり厄介な代物だぞ」
拳銃を構えたセシル女王を見て、ハンスは切羽詰まった様子で舌打ちをする。
魔力に目覚めた異能力者を捕らえるために魔法文明の遺物に頼る──傍から見たらなんとも皮肉な光景ではあるが、当人達は恐らくその滑稽さに気づいていないのだろう。
「いいか? アメリア。何があっても、レオと一緒に対岸にたどり着くんだ。わかったな?」
「ハンスさん……?」
「魔法銃を使われたら、最悪この船は沈む。そうならないように、俺が時間稼ぎをするからお前らは自分の身を守ることだけ考えろ」
覚悟を決めた様子で顔を上げると、ハンスは私を庇うためなのか自分の後ろへ隠れるよう促した。
──このままだと、ハンスさんが危険だわ! 何か、私にできることはないの……?
そう考え、自分の無力さを痛感する。
直後、魔法銃を構えていたセシル女王が引き金を引いた。
──パァン!!
ローゼ川の中心に、耳をつんざくような発砲音が響き渡る。
セシル女王が打ち込んだ弾丸は、数人の幻影達の体を射抜き──あろうことか、私達が乗っているホバークラフトの船体に命中した。
「う、嘘でしょ……?」
ごくり、と固唾を呑みつつも身を乗り出して舷側を確認する。
幸い頑丈な造りだったお陰で穴は空いていないようだったが、無傷とまではいかなかったようでかなりへこんでいる。
「──今度こそ、絶対に外しません! あなた達は、この私が責任を持って全員処刑します!」
宣言とともに、セシル女王は再び引き金に手をかける。
その刹那──先ほどと同じように、辺りに銃声が響き渡った。
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