王太子殿下のやりなおし

3333(トリささみ)

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「王太子殿下、最近変わりましたわよね。」

 学園。
 アーデルハイトと彼女を慕う女子生徒たちが、離れたところにいるルシフを見ながらヒソヒソと話す。

「あんなに馴れ合っていた芋女とも関わらなくなって、最近ではソラとかいうあのパッとしない家柄の男にばかり会っている。」
「ええ、それになんだか明るくなりましたわね。芋女と一緒にいた頃でも、どこか影を落としていらしてたのに。」
「……」

 アーデルハイトは無言でルシフを見つめると、ふいと目を逸らした。

「一介の男爵令嬢に鼻の下を伸ばしているさまを、皆様にお見せすることがなくなった。それだけでも良いことでしょう。」
「まあ、アーデルハイト様ったら。」

 女子生徒たちはアーデルハイトのジョークに笑ったが、冗談を言った覚えのない彼女は首を傾げる。
 しかしそれが嘲笑ではないことを理解して流す。

「このまま、変わってくださるといいですわね…王太子殿下。将来立派な国王となるためにも。アーデルハイト様に相応しい伴侶となるためにも。」
「…そうですわね。」

 アーデルハイトは小さく頷いた。





「…で?どうなんだ?」
「ああ、バッチリだ。」

 ソラから証拠を受け取る。

「市井の目撃者たちの証言だね。宰相の息子フレド、近衛騎士団団長の息子のガッツ、豪商の息子ボンボン、魔導士庁のトップの息子のホーマ……よくこれだけの男を手玉に取れたものだよ。」
「そうだな。この中でもアンタはトップの金ヅルだった。」
「よせよ。」

 証拠を返却すると、ソラは僕に目をやる。

「で、アンタは?こないだの休日にちゃんと行けたのか?」
「うん、はい。」

 僕がを見せると、彼は軽く頷く。

「ああ、やっぱりな。」
「僕自身ショックだよ。まさかこんな…」

 書類を大切にしまった。

「あとは何か要るかな?」
「いや、粗方の書類はアーデルハイトやトリアトが用意してるだろ。一番重要なのはだ。」
「こんなので、本当にみんなが納得してくれるかな?」
「する。心配は要らねえ。」

 ソラがそう言い切ってくれるのは心強い。
 僕は自然と顔が綻んだ。

「信じて、いいんだね。」
「俺のことなら信用しなくていい。でもアンタがこれまで頑張ってきたことと、アンタ自身は信じてやれ。」
「……分かった。」

 涙が溢れる。
 こんなことを言ってくれる人間、初めてだ。

「泣くのは全てが終わった後だ。…卒業パーティー、楽しみだな。」
「ああ!」

 僕はソラに手を振って別れた。
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