27 / 92
27話 無効化の魔法
しおりを挟む
——コンコン
「はい」
ノックの音にエレナが返事をすると、
「フェリスです。所長をお連れしました」
と、扉の向こうで声がした。
アークが立ち上がって、扉を開けにいく。
「所長、御足労をおかけしました。どうぞ、中へお入りください。
フェリスもすまなかったな」
と2人に挨拶すると、中へ通した。
中ではルーカスと、不安気なエレナが立って待っていて、
所長とフェリスが入ってくるのを見ると、
公爵家の子息令嬢らしく、ルーカスは丁寧に礼を、エレナは簡単なワンピースだがカーテシーをして迎え入れた。
「ああ、目覚めたばかりなのに、そんな気を遣わなくてもかまわんよ、お嬢さん。さあ、どうぞ、ソファへ座って」
と、小太りで70代くらいの人の良さそうなお爺さんといった風体の所長は、ニコニコしながら、エレナにそう言った。
「ありがとうございます。今日はこんな夜にわざわざ足をお運び頂きまして、本当に申し訳ございません」
エレナは本当に申し訳なさそうに詫びたが、
所長は見たことのない魔法と聞いていたので、わくわくしていた。
「ああ、かまわん、かまわん」
と笑顔で言いながら、ソファへゆっくり腰掛けた。
それを見て、全員話を聞くために、神妙な顔をしながらソファへ座る。
アークとルーカスが、ささっとエレナを挟んで座ったのを見たフェリスは、呆れ顔で所長の隣に座った。
所長はたっぷりと蓄えた白い髭を触りながら話し始めた。
「それで、まぁ、大まかな話はこのフェリス殿下から聞いておりますが、
確かにそういうことは今までに例がないし、わしも初耳ですなぁ。
ぜひ研究させて貰いたいものです。
それに、調べないことには、使い道も扱い方もわからんでしょうしなぁ。
だいたい1年から2年ほどあれば、ある程度扱い方もわかるようになるかもしれませんが…
しかし、魔法の力を全て無効化してしまう魔法とは…
…この世界には、この世界にある元素を使った魔法が色々あるのはご存知の通り。
火、水、氷、風、岩などはもともとこの世界に多い元素で、割と扱える者が多いのですがな、
しかし、そこのアーク殿下がお持ちのような雷魔法などは、元素を集合させて起こす電流。
その魔法要素を持つものは少ない。
あとは、あまり知られていないところで言うと、闇と光がありますな。
闇魔法については文献が残っているだけで、この国には今は一人もおりませんし、世界的にもいるという報告は上がっておりません。
わしが知っておりますのは、人の脳内を操れるような、精神に作用する魔法だということくらいですな。
もう一つの光魔法の方は、これも非常に珍しい魔法で、
大体の魔法は攻撃や防御に特化しておりますが、光魔法は治癒の能力を持っております。
これは大変に貴重な魔法ですが、驚くことに、この国で、最近その光魔法を持つ少女が発見されましてな。
来年には魔法学園に入ることになっておるはず。
この国の希望の1人と言えるでしょうなぁ。
わしの知る魔法はここまで。
お嬢さんのその魔法。『無効化の魔法』とでも言っておきましょうか?
それはわしも生まれてこの方聞いたことがない。
非常に興味深いですなぁ。
ぜひ!明日からでも研究所へお越し頂きたいと思っております!」
所長は真面目な面持ちでエレナに言ったが、内心はその魔法が見たくて見たくて仕方ない研究馬鹿だった。
「はい」
ノックの音にエレナが返事をすると、
「フェリスです。所長をお連れしました」
と、扉の向こうで声がした。
アークが立ち上がって、扉を開けにいく。
「所長、御足労をおかけしました。どうぞ、中へお入りください。
フェリスもすまなかったな」
と2人に挨拶すると、中へ通した。
中ではルーカスと、不安気なエレナが立って待っていて、
所長とフェリスが入ってくるのを見ると、
公爵家の子息令嬢らしく、ルーカスは丁寧に礼を、エレナは簡単なワンピースだがカーテシーをして迎え入れた。
「ああ、目覚めたばかりなのに、そんな気を遣わなくてもかまわんよ、お嬢さん。さあ、どうぞ、ソファへ座って」
と、小太りで70代くらいの人の良さそうなお爺さんといった風体の所長は、ニコニコしながら、エレナにそう言った。
「ありがとうございます。今日はこんな夜にわざわざ足をお運び頂きまして、本当に申し訳ございません」
エレナは本当に申し訳なさそうに詫びたが、
所長は見たことのない魔法と聞いていたので、わくわくしていた。
「ああ、かまわん、かまわん」
と笑顔で言いながら、ソファへゆっくり腰掛けた。
それを見て、全員話を聞くために、神妙な顔をしながらソファへ座る。
アークとルーカスが、ささっとエレナを挟んで座ったのを見たフェリスは、呆れ顔で所長の隣に座った。
所長はたっぷりと蓄えた白い髭を触りながら話し始めた。
「それで、まぁ、大まかな話はこのフェリス殿下から聞いておりますが、
確かにそういうことは今までに例がないし、わしも初耳ですなぁ。
ぜひ研究させて貰いたいものです。
それに、調べないことには、使い道も扱い方もわからんでしょうしなぁ。
だいたい1年から2年ほどあれば、ある程度扱い方もわかるようになるかもしれませんが…
しかし、魔法の力を全て無効化してしまう魔法とは…
…この世界には、この世界にある元素を使った魔法が色々あるのはご存知の通り。
火、水、氷、風、岩などはもともとこの世界に多い元素で、割と扱える者が多いのですがな、
しかし、そこのアーク殿下がお持ちのような雷魔法などは、元素を集合させて起こす電流。
その魔法要素を持つものは少ない。
あとは、あまり知られていないところで言うと、闇と光がありますな。
闇魔法については文献が残っているだけで、この国には今は一人もおりませんし、世界的にもいるという報告は上がっておりません。
わしが知っておりますのは、人の脳内を操れるような、精神に作用する魔法だということくらいですな。
もう一つの光魔法の方は、これも非常に珍しい魔法で、
大体の魔法は攻撃や防御に特化しておりますが、光魔法は治癒の能力を持っております。
これは大変に貴重な魔法ですが、驚くことに、この国で、最近その光魔法を持つ少女が発見されましてな。
来年には魔法学園に入ることになっておるはず。
この国の希望の1人と言えるでしょうなぁ。
わしの知る魔法はここまで。
お嬢さんのその魔法。『無効化の魔法』とでも言っておきましょうか?
それはわしも生まれてこの方聞いたことがない。
非常に興味深いですなぁ。
ぜひ!明日からでも研究所へお越し頂きたいと思っております!」
所長は真面目な面持ちでエレナに言ったが、内心はその魔法が見たくて見たくて仕方ない研究馬鹿だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,098
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる