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59話 生徒会

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……これで、ついにあの女を追い詰められるかもしれないな。今回は僕1人じゃない。エレナもアークもカトリーナを危険視してくれている。
大丈夫だ…今度こそ、きっと…

救護室を出たフェリスは、エレナの幸せを願って前を向いて歩いた。



———それから1週間


マーガレットにも事情を説明すると、3人を大好きなマーガレットはすぐに信じてくれて、

エレナとフェリスとマーガレットはお料理クラブをやめ、アークの口利きで生徒会に入った。

これで先輩の役員を含めて生徒会役員の人数は埋まった。

だから4人は、特にエレナとフェリスは安心して気を緩めていた。

しかし、全員集まっているはずの生徒会の部屋の扉がノックされると、入ってきたのは教師と…カトリーナだった。

4人はゾッとした。

エレナは、ひっ、と小さく叫びながら怯え、
フェリスは氷のような目で睨みつけた。

アークは、目を見ない、目を見ない、と呪文のように唱え、

マーガレットは好奇心でカトリーナを眺め回す。

異様な4人の様子に気がついたカトリーナは、教師と壇上に立ちながら考えていた。

何なの、この人たち?
変な目で見たりコソコソしたり
…気持ち悪いわね。
これが国のトップの人たちなんて
ほんと、うんざりするわ。
だけど…私の未来はこいつらにかかってる。
やっぱり狙うは第一王子。王妃の座よね…

まずは、全員魅了してやるか…

カトリーナはそう思うと目を光らせた。

「伏せろ!」

それに気づいたフェリスは咄嗟に叫ぶ。
意味がわかった3人は素直に伏せた。

しかし、他の役員たちはフェリスの言葉の意味がわからず、そのままカトリーナを見続けていると、役員たちはいつの間にか惚っとなってカトリーナに釘付けになっていた。


何て言ったの?
第二王子、今、伏せろ、とか言わなかった?
…まさか、気づいたりしてないわよね…?
まさか、…よね?
何なの、ほんと、やりにくいわね。

カトリーナは内心4人のことを睨んでいたが、顔はニッコリ可愛く愛嬌たっぷりに笑っていた。

「カトリーナさんは、この国では現在唯一の光魔法士です。

この国を担う未来の王や、選ばれた精鋭たちとその距離を縮め、いずれ共にこの国のことを守っていくために、

カトリーナさんには特別に生徒会に入って頂きました。

カトリーナさん?お願いします」

教師から促され、カトリーナは自己紹介をした。

「はい、私は今年入学してきた1年のカトリーナ=メイデンです。

実は光魔法が使えるようになったのは最近のことで、まだまだ自分でもよくわからないことだらけですので、

こちらの学園で扱い方などをしっかり学び、いつか皆さんのお役に立てるようになりたいと思っています。

どうぞよろしくお願いします」

4人は軽く拍手したが、他の役員たちは拍手喝采を送っていた。

紹介が終わると教師は出て行き、役員はそれぞれの仕事にとりかかる。

手持ち無沙汰になったカトリーナに気づいた役員たちは、カトリーナの周りに集まってちやほやし始めた。

4人はそれを無視して、仕事に取り掛かり、マーガレットはエレナに、フェリスはアークに付いて仕事内容を教えて貰っていた。

「アーク殿下?」

カトリーナがアークの座る机のそばへやってきた。

エレナはそれを見て恐くなり、俯いた。

「…兄上、絶対目を見ないでください。
僕は多分大丈夫なので、対応はこっちでやります」

隣にいたフェリスは、小声で言うと、
アークは目配せで了承の合図をした。

「何だい?兄上は忙しい。要件なら僕が聞こう」

フェリスは顔を上げず、机にある自分の仕事の書類を見たままで答えた。

「えっ、…あっ、はい、じゃあちょっとここがわからないので教えて頂けます?」

そう言って生徒会の資料を広げて見せた。

「ああ、これならそっちの役員に聞けばいい、誰にでもわかることだ」

フェリスは資料を手早く片付けカトリーナに押し返した。

「…はい、わかりました。あ、あのっ、フェリス殿下?」

「まだ何か?」

フェリスはまだ顔を上げない。

「ちょっとすみません。お顔に何か付いているのが見えて…」

と、カトリーナはフェリスの顔を下から覗き込んで、目を合わせようとしてきた。

その様子を見たアーク、エレナ、マーガレットは、やはり本当に目で何かしようとしていると確信した。

フェリスは望み通り目を合わせてやる。

カトリーナの目が鈍く光った。

「…何も付いてないなら、早く仕事に戻れ。ここは遊び場じゃない」

フェリスは冷たくそう言い放つと、またカトリーナを無視するように自分の書類に目を向けた。


……何?この人。
全然効かないじゃない。
そんな奴がいるなんて説明受けてないわよ?
まさか王族には効かないなんて言わないでしょうね?そんなことになったら私の計画が台無しじゃないの!

カトリーナは青ざめながら自分の席へ戻って行った。
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