59 / 92
59話 生徒会
しおりを挟む
……これで、ついにあの女を追い詰められるかもしれないな。今回は僕1人じゃない。エレナもアークもカトリーナを危険視してくれている。
大丈夫だ…今度こそ、きっと…
救護室を出たフェリスは、エレナの幸せを願って前を向いて歩いた。
———それから1週間
マーガレットにも事情を説明すると、3人を大好きなマーガレットはすぐに信じてくれて、
エレナとフェリスとマーガレットはお料理クラブをやめ、アークの口利きで生徒会に入った。
これで先輩の役員を含めて生徒会役員の人数は埋まった。
だから4人は、特にエレナとフェリスは安心して気を緩めていた。
しかし、全員集まっているはずの生徒会の部屋の扉がノックされると、入ってきたのは教師と…カトリーナだった。
4人はゾッとした。
エレナは、ひっ、と小さく叫びながら怯え、
フェリスは氷のような目で睨みつけた。
アークは、目を見ない、目を見ない、と呪文のように唱え、
マーガレットは好奇心でカトリーナを眺め回す。
異様な4人の様子に気がついたカトリーナは、教師と壇上に立ちながら考えていた。
何なの、この人たち?
変な目で見たりコソコソしたり
…気持ち悪いわね。
これが国のトップの人たちなんて
ほんと、うんざりするわ。
だけど…私の未来はこいつらにかかってる。
やっぱり狙うは第一王子。王妃の座よね…
まずは、全員魅了してやるか…
カトリーナはそう思うと目を光らせた。
「伏せろ!」
それに気づいたフェリスは咄嗟に叫ぶ。
意味がわかった3人は素直に伏せた。
しかし、他の役員たちはフェリスの言葉の意味がわからず、そのままカトリーナを見続けていると、役員たちはいつの間にか惚っとなってカトリーナに釘付けになっていた。
何て言ったの?
第二王子、今、伏せろ、とか言わなかった?
…まさか、気づいたりしてないわよね…?
まさか、…よね?
何なの、ほんと、やりにくいわね。
カトリーナは内心4人のことを睨んでいたが、顔はニッコリ可愛く愛嬌たっぷりに笑っていた。
「カトリーナさんは、この国では現在唯一の光魔法士です。
この国を担う未来の王や、選ばれた精鋭たちとその距離を縮め、いずれ共にこの国のことを守っていくために、
カトリーナさんには特別に生徒会に入って頂きました。
カトリーナさん?お願いします」
教師から促され、カトリーナは自己紹介をした。
「はい、私は今年入学してきた1年のカトリーナ=メイデンです。
実は光魔法が使えるようになったのは最近のことで、まだまだ自分でもよくわからないことだらけですので、
こちらの学園で扱い方などをしっかり学び、いつか皆さんのお役に立てるようになりたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします」
4人は軽く拍手したが、他の役員たちは拍手喝采を送っていた。
紹介が終わると教師は出て行き、役員はそれぞれの仕事にとりかかる。
手持ち無沙汰になったカトリーナに気づいた役員たちは、カトリーナの周りに集まってちやほやし始めた。
4人はそれを無視して、仕事に取り掛かり、マーガレットはエレナに、フェリスはアークに付いて仕事内容を教えて貰っていた。
「アーク殿下?」
カトリーナがアークの座る机のそばへやってきた。
エレナはそれを見て恐くなり、俯いた。
「…兄上、絶対目を見ないでください。
僕は多分大丈夫なので、対応はこっちでやります」
隣にいたフェリスは、小声で言うと、
アークは目配せで了承の合図をした。
「何だい?兄上は忙しい。要件なら僕が聞こう」
フェリスは顔を上げず、机にある自分の仕事の書類を見たままで答えた。
「えっ、…あっ、はい、じゃあちょっとここがわからないので教えて頂けます?」
そう言って生徒会の資料を広げて見せた。
「ああ、これならそっちの役員に聞けばいい、誰にでもわかることだ」
フェリスは資料を手早く片付けカトリーナに押し返した。
「…はい、わかりました。あ、あのっ、フェリス殿下?」
「まだ何か?」
フェリスはまだ顔を上げない。
「ちょっとすみません。お顔に何か付いているのが見えて…」
と、カトリーナはフェリスの顔を下から覗き込んで、目を合わせようとしてきた。
その様子を見たアーク、エレナ、マーガレットは、やはり本当に目で何かしようとしていると確信した。
フェリスは望み通り目を合わせてやる。
カトリーナの目が鈍く光った。
「…何も付いてないなら、早く仕事に戻れ。ここは遊び場じゃない」
フェリスは冷たくそう言い放つと、またカトリーナを無視するように自分の書類に目を向けた。
……何?この人。
全然効かないじゃない。
そんな奴がいるなんて説明受けてないわよ?
まさか王族には効かないなんて言わないでしょうね?そんなことになったら私の計画が台無しじゃないの!
カトリーナは青ざめながら自分の席へ戻って行った。
大丈夫だ…今度こそ、きっと…
救護室を出たフェリスは、エレナの幸せを願って前を向いて歩いた。
———それから1週間
マーガレットにも事情を説明すると、3人を大好きなマーガレットはすぐに信じてくれて、
エレナとフェリスとマーガレットはお料理クラブをやめ、アークの口利きで生徒会に入った。
これで先輩の役員を含めて生徒会役員の人数は埋まった。
だから4人は、特にエレナとフェリスは安心して気を緩めていた。
しかし、全員集まっているはずの生徒会の部屋の扉がノックされると、入ってきたのは教師と…カトリーナだった。
4人はゾッとした。
エレナは、ひっ、と小さく叫びながら怯え、
フェリスは氷のような目で睨みつけた。
アークは、目を見ない、目を見ない、と呪文のように唱え、
マーガレットは好奇心でカトリーナを眺め回す。
異様な4人の様子に気がついたカトリーナは、教師と壇上に立ちながら考えていた。
何なの、この人たち?
変な目で見たりコソコソしたり
…気持ち悪いわね。
これが国のトップの人たちなんて
ほんと、うんざりするわ。
だけど…私の未来はこいつらにかかってる。
やっぱり狙うは第一王子。王妃の座よね…
まずは、全員魅了してやるか…
カトリーナはそう思うと目を光らせた。
「伏せろ!」
それに気づいたフェリスは咄嗟に叫ぶ。
意味がわかった3人は素直に伏せた。
しかし、他の役員たちはフェリスの言葉の意味がわからず、そのままカトリーナを見続けていると、役員たちはいつの間にか惚っとなってカトリーナに釘付けになっていた。
何て言ったの?
第二王子、今、伏せろ、とか言わなかった?
…まさか、気づいたりしてないわよね…?
まさか、…よね?
何なの、ほんと、やりにくいわね。
カトリーナは内心4人のことを睨んでいたが、顔はニッコリ可愛く愛嬌たっぷりに笑っていた。
「カトリーナさんは、この国では現在唯一の光魔法士です。
この国を担う未来の王や、選ばれた精鋭たちとその距離を縮め、いずれ共にこの国のことを守っていくために、
カトリーナさんには特別に生徒会に入って頂きました。
カトリーナさん?お願いします」
教師から促され、カトリーナは自己紹介をした。
「はい、私は今年入学してきた1年のカトリーナ=メイデンです。
実は光魔法が使えるようになったのは最近のことで、まだまだ自分でもよくわからないことだらけですので、
こちらの学園で扱い方などをしっかり学び、いつか皆さんのお役に立てるようになりたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします」
4人は軽く拍手したが、他の役員たちは拍手喝采を送っていた。
紹介が終わると教師は出て行き、役員はそれぞれの仕事にとりかかる。
手持ち無沙汰になったカトリーナに気づいた役員たちは、カトリーナの周りに集まってちやほやし始めた。
4人はそれを無視して、仕事に取り掛かり、マーガレットはエレナに、フェリスはアークに付いて仕事内容を教えて貰っていた。
「アーク殿下?」
カトリーナがアークの座る机のそばへやってきた。
エレナはそれを見て恐くなり、俯いた。
「…兄上、絶対目を見ないでください。
僕は多分大丈夫なので、対応はこっちでやります」
隣にいたフェリスは、小声で言うと、
アークは目配せで了承の合図をした。
「何だい?兄上は忙しい。要件なら僕が聞こう」
フェリスは顔を上げず、机にある自分の仕事の書類を見たままで答えた。
「えっ、…あっ、はい、じゃあちょっとここがわからないので教えて頂けます?」
そう言って生徒会の資料を広げて見せた。
「ああ、これならそっちの役員に聞けばいい、誰にでもわかることだ」
フェリスは資料を手早く片付けカトリーナに押し返した。
「…はい、わかりました。あ、あのっ、フェリス殿下?」
「まだ何か?」
フェリスはまだ顔を上げない。
「ちょっとすみません。お顔に何か付いているのが見えて…」
と、カトリーナはフェリスの顔を下から覗き込んで、目を合わせようとしてきた。
その様子を見たアーク、エレナ、マーガレットは、やはり本当に目で何かしようとしていると確信した。
フェリスは望み通り目を合わせてやる。
カトリーナの目が鈍く光った。
「…何も付いてないなら、早く仕事に戻れ。ここは遊び場じゃない」
フェリスは冷たくそう言い放つと、またカトリーナを無視するように自分の書類に目を向けた。
……何?この人。
全然効かないじゃない。
そんな奴がいるなんて説明受けてないわよ?
まさか王族には効かないなんて言わないでしょうね?そんなことになったら私の計画が台無しじゃないの!
カトリーナは青ざめながら自分の席へ戻って行った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,096
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる