【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない

かまり

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65話 フェリスの2度目の質問

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食堂へ3人が戻ると、授業が始まるため、今はひっそりと静まり返り、誰も居なくなっていた。

「…遅かったか」

フェリスは焦った。

「一度教室に戻ろう」

そう言ったフェリスと共に3人はひとまず教室へ戻った。



次の休憩時間、3人はアークの座っている席へ行った。

案の定、フェリス以外には冷たい視線を向けてくる。

エレナは覚悟していたとはいえ、今回こそ何とかなるかもしれないと淡い期待をしていただけに、余計に胸が締め付けられた。

「兄上、少し試させて頂きたいことがありまして。今お時間を頂いても構いませんか?」

フェリスは出来るだけ刺激しないように言った。

「なんだ?」

「はい、実は先程聖女さまが教えてくださったことを実践させて頂きたいのです」

「おお、聖女カトリーナが、何を教えてくれたのだ?」

アークはフェリスの作戦に上手く食いついた。

「それは、…やってみてのお楽しみです。

あっ、これは僕ではなく、女性でないとできないそうなので、

兄上に触ってもいい女性は婚約者のエレナだけですから、エレナに試して貰いますね?」

「なんだ?まぁ…いいが」

あからさまに嫌そうな顔をされてエレナは悲しくなったが、マーガレットとフェリスが頑張るように目配せしてきたので、アークの方へ一歩前に出た。

「殿下、すみません、では失礼します」

そう言って、あの時マーガレットにしたのと同じように腕を握り、目を閉じると、心を込めて

助けて!

と祈った。

念押しに何度も助けて!と心の中で繰り返し、そっと目を開くと、フェリスに目くばせする。

それを合図にフェリスがアークに質問した。

「兄上?ではお聞きします。

聖女カトリーナさまは素晴らしい方で、みんなが大好きな方ですよね?」

「…何言ってるんだ?」

3人はその言葉に目を輝かせた。

「当たり前だろ?何したのか知らないが、それだけなら忙しいから、またにしてくれ。

俺はちょっと今日の生徒会のことで、カトリーナに会いに行って来る」

そう言ってさっさと席を立って、アークは教室を出て行ってしまった。

「…やっぱりダメだった…」

そう言ったエレナの目には涙が溜まっていた。

「大丈夫だよ、エレナ。僕が何とかするから。そのために僕はここにいるんだから」

「…えっ?」

「あっ、いや、何でもない。さぁ、エレナ、涙を拭いておいで?」

「…そうね、エレナ。一緒にお手洗いにでも行って、顔洗ってすっきりして、また作戦を練り直そう!負けてちゃだめよ!」

マーガレットは自分の恋を応援してくれたエレナの恋も成就してもらいたかった。

「さ、行きましょ!じゃあフェリス、ちょっと行って来るわね」

「ああ、頼んだよ」

そうしてエレナはマーガレットに手を引かれてお手洗いへ向かった。
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