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44話 憐れな女
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部屋の前に着いた男とマリーサだったが、男が立ち止まったまま扉を開けないので、マリーサは首を傾げ、どうしたの?と聞いた。
「マリー?無理矢理は嫌ですから、本当に僕でいいなら、ご自分で部屋を開けて先にお入り頂けますか?」
「あら、紳士なのね?いいわ、じゃあ先に入るわね?」
美しい容姿で女慣れしているのかと思えば、そんな可愛いことも言うんだと思うと、ギャップを感じたマリーサはさらに気持ちが高まった。
中に入ったマリーサは、男に甘え始める。
「ふふっ、もう2人だけよ?ルイ?その仮面、早く外してほしいわ?」
マリーサはその目が見たくてドキドキしていた。
「…少し恥ずかしいですね。もしよければマリーの方から外して頂けますか?」
「…いいわよ?でも驚かないでね?」
マリーサは婚約してから色々な社交界に顔を出していたので、貴族なら顔を見れば、自分が第二王子の婚約者であることがわかってしまうだろうと思っていた。
だから今日の相手は以前から知っている秘密を守れる者にしようと思っていたのだが、この男の姿を見て我慢できなくなった。
秘密を守れないならその時は消せばいいとも考えていたが、勿体無いので、できれば秘密を守って貰い、関係を長続きさせたいと思った。
「…はい」と返事をした男の前で、マリーサは仮面を脱ぎ捨てた。
「あ、あなたは…」
「ええ、そうよ。でも内緒にしてね?毎日毎日本当に王宮の生活って真面目なことばかりで退屈なの。こういう息抜きも大事だと思わない?」
マリーサは男の首に手を回して体を擦り付けながらそう言った。
「そう…ですね」
男は抱き寄せることなく、手はそのままだらんと落とし、されるがままになっていた。
マリーサは自分の身分が分かってしまって、男が遠慮しているのだと思い、リードを始める。
「ふふっ、そんなに難しく考えないで?ほら、楽しみましょう?」
素顔を見たくて仕方ないマリーサは、男の仮面を外そうとするが、
「あっ…」
と、男は小さく声を上げた。
「…まだ恥ずかしいの?…じゃあ少し慣れてからでもいいわ。先に後ろの紐外してくれる?」
マリーは長い髪をたくし上げて背中の編み上げた紐を見せた。
その紐におずおずと男の手が伸び、少しずつ編まれた紐を外していく。
そしてドレスが脱げかかった時、男はおもむろにマリーの正面に回った。
マリーは脱げかかったドレスを手で押さえて、どうしたの?と不思議そうに首を傾げた。
「やっぱり、僕の顔を見てほしい。マリーだけなんて男らしくないよね?」
「ふふっ、そうなの?それは楽しみだわ」
マリーサは胸を躍らせて仮面が外されるのを待った。
「じゃあ外すよ?」
そう言って、男はゆっくりと自分の仮面を取り去った。
「まぁ!やっぱり美しい顔!思った通りだわ」
マリーサは予想以上の男の美しさに脱帽した。
「……僕の顔…見たことありませんか?」
「え?…そうねぇ…どこかで見た気もするけど、…ごめんなさい、憶えてないわ」
マリーサは本当にわからなくて、困り顔で微笑んだ。
「…そうですよね……いいんです。気にしないでください。でも一つ教えて欲しいんですが、僕とこんなことするのは、初めてですよね?」
「ええ、もちろんよ?あなたのような美しい人との思い出なんて忘れるはずないもの。これが初めてだわ」
マリーサは多人数との経験を思い起こしても、本当にその男の顔には見覚えがなかった。
「そう、……初めてなんです……
聞いた通りだよ?よくわかっただろう?
…この女の本性が!僕は潔白だ!」
急に低い声で言った男の声にマリーサはきょとんとする。
しかし、次の瞬間マリーは青ざめた。
「ひっ‼︎マ、マクロス殿下‼︎…それに、陛下まで⁉︎」
「……マリーサ…君は…こんなことって…」
窓際の分厚いカーテンの裏から出てきたマクロスは力が抜けて、その場に膝をついてしまった。
その横で、王は驚くマリーサを見据え、大きな声で言った。
「マリーサよ!もう言い逃れは何ひとつできん!!
今日、この仮面舞踏会に集まった男たちは、皆そなたと関係を持った者。男たちは皆自白している!
そなたとその者たちとの今日の会話を、私もマクロスも聞いた。
その自白の裏付けと言えるような会話をだ‼︎
そして今日まさに‼︎
誰ともわからぬ男を部屋に誘い、自ら部屋に入った!これだけでも大きな罪だ!
しかし‼︎
お前の最大の罪は‼︎
誰の子ともわからぬ腹の子を、第一王子カイルの暴行により出来た子と偽り、カイルを追い詰め、処刑に導いたのち、第二王子マクロスの子として産み落とそうとし、いずれ自分が王妃の座に就こうとしたことだ‼︎」
「そ、それは…それは本当なんです。遊んでいた事は本当でも、それは…本当なんです」
嘘が全部わかってしまったマリーサは、混乱して泣きじゃくった。それでもまだ嘘を吐こうとする。
「黙れ‼︎
一緒に部屋に入ってきた男、お前は初めて会ったと言ったな⁇
会っていたとしても憶えていないとも言っただろう。
この無礼者‼︎ その男を誰だと思っているのだ‼︎
顔もわからぬ王子に罪を着せるなど、以ての外‼︎
この女を捕らえよ‼︎‼︎」
その声を合図に、王直属の私兵がなだれ込んで来た。
マリーサはカイルを見る。
「…僕はルイじゃない。カイルだ。君が殺そうとした第一王子のカイルだよ」
カイルは憐れな女の末路を哀しい目で見ながらそう言った。
「そ、そんな…」
マリーサは真っ青になってカイルを見つめ続ける。
「大人しく自分の罪を償え。
弟を傷つけたこと…アイリスを陥れたこと…
絶対に許さない」
それを聞いたマリーサは、助けを乞うようにマクロスを見た。
「マクロス様…助けて…」
マクロスはもうマリーサを見ることはなく、俯いたまま動かなかった。
「マリー?無理矢理は嫌ですから、本当に僕でいいなら、ご自分で部屋を開けて先にお入り頂けますか?」
「あら、紳士なのね?いいわ、じゃあ先に入るわね?」
美しい容姿で女慣れしているのかと思えば、そんな可愛いことも言うんだと思うと、ギャップを感じたマリーサはさらに気持ちが高まった。
中に入ったマリーサは、男に甘え始める。
「ふふっ、もう2人だけよ?ルイ?その仮面、早く外してほしいわ?」
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「…少し恥ずかしいですね。もしよければマリーの方から外して頂けますか?」
「…いいわよ?でも驚かないでね?」
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だから今日の相手は以前から知っている秘密を守れる者にしようと思っていたのだが、この男の姿を見て我慢できなくなった。
秘密を守れないならその時は消せばいいとも考えていたが、勿体無いので、できれば秘密を守って貰い、関係を長続きさせたいと思った。
「…はい」と返事をした男の前で、マリーサは仮面を脱ぎ捨てた。
「あ、あなたは…」
「ええ、そうよ。でも内緒にしてね?毎日毎日本当に王宮の生活って真面目なことばかりで退屈なの。こういう息抜きも大事だと思わない?」
マリーサは男の首に手を回して体を擦り付けながらそう言った。
「そう…ですね」
男は抱き寄せることなく、手はそのままだらんと落とし、されるがままになっていた。
マリーサは自分の身分が分かってしまって、男が遠慮しているのだと思い、リードを始める。
「ふふっ、そんなに難しく考えないで?ほら、楽しみましょう?」
素顔を見たくて仕方ないマリーサは、男の仮面を外そうとするが、
「あっ…」
と、男は小さく声を上げた。
「…まだ恥ずかしいの?…じゃあ少し慣れてからでもいいわ。先に後ろの紐外してくれる?」
マリーは長い髪をたくし上げて背中の編み上げた紐を見せた。
その紐におずおずと男の手が伸び、少しずつ編まれた紐を外していく。
そしてドレスが脱げかかった時、男はおもむろにマリーの正面に回った。
マリーは脱げかかったドレスを手で押さえて、どうしたの?と不思議そうに首を傾げた。
「やっぱり、僕の顔を見てほしい。マリーだけなんて男らしくないよね?」
「ふふっ、そうなの?それは楽しみだわ」
マリーサは胸を躍らせて仮面が外されるのを待った。
「じゃあ外すよ?」
そう言って、男はゆっくりと自分の仮面を取り去った。
「まぁ!やっぱり美しい顔!思った通りだわ」
マリーサは予想以上の男の美しさに脱帽した。
「……僕の顔…見たことありませんか?」
「え?…そうねぇ…どこかで見た気もするけど、…ごめんなさい、憶えてないわ」
マリーサは本当にわからなくて、困り顔で微笑んだ。
「…そうですよね……いいんです。気にしないでください。でも一つ教えて欲しいんですが、僕とこんなことするのは、初めてですよね?」
「ええ、もちろんよ?あなたのような美しい人との思い出なんて忘れるはずないもの。これが初めてだわ」
マリーサは多人数との経験を思い起こしても、本当にその男の顔には見覚えがなかった。
「そう、……初めてなんです……
聞いた通りだよ?よくわかっただろう?
…この女の本性が!僕は潔白だ!」
急に低い声で言った男の声にマリーサはきょとんとする。
しかし、次の瞬間マリーは青ざめた。
「ひっ‼︎マ、マクロス殿下‼︎…それに、陛下まで⁉︎」
「……マリーサ…君は…こんなことって…」
窓際の分厚いカーテンの裏から出てきたマクロスは力が抜けて、その場に膝をついてしまった。
その横で、王は驚くマリーサを見据え、大きな声で言った。
「マリーサよ!もう言い逃れは何ひとつできん!!
今日、この仮面舞踏会に集まった男たちは、皆そなたと関係を持った者。男たちは皆自白している!
そなたとその者たちとの今日の会話を、私もマクロスも聞いた。
その自白の裏付けと言えるような会話をだ‼︎
そして今日まさに‼︎
誰ともわからぬ男を部屋に誘い、自ら部屋に入った!これだけでも大きな罪だ!
しかし‼︎
お前の最大の罪は‼︎
誰の子ともわからぬ腹の子を、第一王子カイルの暴行により出来た子と偽り、カイルを追い詰め、処刑に導いたのち、第二王子マクロスの子として産み落とそうとし、いずれ自分が王妃の座に就こうとしたことだ‼︎」
「そ、それは…それは本当なんです。遊んでいた事は本当でも、それは…本当なんです」
嘘が全部わかってしまったマリーサは、混乱して泣きじゃくった。それでもまだ嘘を吐こうとする。
「黙れ‼︎
一緒に部屋に入ってきた男、お前は初めて会ったと言ったな⁇
会っていたとしても憶えていないとも言っただろう。
この無礼者‼︎ その男を誰だと思っているのだ‼︎
顔もわからぬ王子に罪を着せるなど、以ての外‼︎
この女を捕らえよ‼︎‼︎」
その声を合図に、王直属の私兵がなだれ込んで来た。
マリーサはカイルを見る。
「…僕はルイじゃない。カイルだ。君が殺そうとした第一王子のカイルだよ」
カイルは憐れな女の末路を哀しい目で見ながらそう言った。
「そ、そんな…」
マリーサは真っ青になってカイルを見つめ続ける。
「大人しく自分の罪を償え。
弟を傷つけたこと…アイリスを陥れたこと…
絶対に許さない」
それを聞いたマリーサは、助けを乞うようにマクロスを見た。
「マクロス様…助けて…」
マクロスはもうマリーサを見ることはなく、俯いたまま動かなかった。
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