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16 その依頼キャンセルで
「モナちゃん。ちょっとこっちに来てくれない?」
母さんがこっちを向いて手招きをしていた。しかし、私は首を横に振る。母さんの近くにフェリオさんがいる限り無理だ。
「モナちゃん。リアンに今度は何をされたのかな?」
あまりにもの私の拒否具合にフェリオさんは疑問に思ったのだろう。だから、答えてあげた。
「ひと月前に肋骨にヒビが入りました」
どういう状況でそうなったかと言えば、ひと月前、リアンと共にこのギルドに来ていた。前回は別の物を母さん達に送るために徹夜で作業していたことが祟って、ギルドに着いた時に荷馬車から降りようと立ち上がった。その時、立ちくらみがしたのだ。
リアンは荷物をギルド方に持って行っていたので、目の前には居なかったはずなのだ。しかし、立ちくらみがし、体が傾いたところで、リアンの顔が目の前にあったのだ。
そして、脇腹に唐突な痛みと目の前にリアンがいることで、パニックになる私。しかし、そこで暴れても怪我をするのは私の方なので深呼吸してなんとか落ち着いた。
どうやらリアンは傾いた私の体を脇の下を持って支えてくれたみたいだった。これは、リアンの気づかいだと理解をし、お礼を言って荷馬車から下ろしてもらった。ただそれからも、家に帰ってからも、痛みが収まらず、ばぁちゃんに見てもらったら肋骨にヒビが入っていたのだ。
勇者の力を舐めてはいけない。なぜ、私を支えただけで、骨にヒビが入るのか本当に意味がわからなかった。
「次はきっと肋骨が折れて、肺に突き刺さるんじゃない?実はそこのフェリオさんはリアンが化けていて、猛犬の様に突進してくるのではないの?と思ってしまう」
「モナちゃん。被害妄想が酷いわ」
母さんが困ったような顔をして言うが、抵抗力のない私としては、生きるか死ぬかの問題だ。
母さんは困ったわねと言いながら、フェリオさんから離れて、手招きをした。ビクビクしながら、ジュウロウザから離れ母さんのところに駆けていく。
「何?」
「これ、お小遣いね」
そう言ってジャラジャラと音がするパンパンの革袋を渡してくれた。お小遣い?私は受け取りながら首を傾げる。
「リリーちゃんとキールくんの結婚式に出るのは諦めるわ。村に着いてモナちゃんがいないと分かれば、リアンくんも村に留まるのは諦めるでしょ?で、そのまま一旦王都に戻るわ」
あ、うん。そうした方がいいと思う。あの三人は逃げ場が限られたダンジョンでは危険すぎる。
「騎獣だと、ここまで一日でなのよ。だから、モナちゃんがここにいるとリアンくんにまた遭遇するわけなの。それにまた村に寄りたいって言われそうだわ。
だから、さっき言っていた王都に依頼を出しに行かない?路線馬車なら今から昼の便に間に合うわ。それで王都まで2日かかるからリアンくんに会うことないと思うのだけど?」
私にはそれしか選択肢がないのだろうか。右手の重みのある革袋を見る。王都か。
「はぁ、わかったよ。リアンの仲間って言えばいいのかな?あのピンクの髪の人に回復魔術を使わせないのと、言うことを信じないでほしい。緑の髪の人は絶対に戦わせないで。それはフルプレートアーマーの人も同じ。」
彼女達の活躍の場はここではない。村の周りは強い魔物はいないので、戦うことはないと思いたい。
「あら?あの少しだけで全員視たの?」
母さんは私の真眼の事を言っているのだろうけど、残念ながら視てはいない。だけど、前世の記憶からなんて言えば、今より頭のおかしい子って思われるだろうから言葉を濁す。
「まあね。じゃ、私は武器を調達して王都に行くわ。絶対にリアンを王都で放逐しないでね!」
そう母さんに言えば困ったような顔をされ、『何かあったらキトーさんを頼るのよ』と言って、母さん達はギルドを出ていった。え?なんでジュウロウザと一緒に行動する事が決まっているの?
私の中ではジュウロウザを置いていくことは決まっている。
王都に行くのに準備をしなければならない。踵を返して、依頼受付カウンターに向かう。
「すみません。先程渡した魔石を一部返却してもらうことは可能ですか?」
王都で依頼をするのに良質な魔石は必要だ。
「ええ、大丈夫ですよ。まだ、依頼受領の手続きは終えていませんから。『翠玉の剣』と『金の弓』の方々ならこれぐらいでしょうか?」
そう言って半分ほどの魔石を戻してくれた。『翠玉の剣』はSランクで『金の弓』はAランクの冒険者達なのだ。やはり、半分は必要か。
「ありがとうございます。因みに王都行きの路線馬車は何時に出ますか?」
「13時に出発ですね」
そう言われ、ギルドの壁に掛かっている魔時計を見る。12時05分!一時間も無い!
急いで依頼の受領手続きをしてもらい、近くの武器屋を教えてもらったので、そこに向かうためギルドを出る。
何故か。なぜか隣にジュウロウザが歩いている。
「キトウさんは何故、私についてくるのですか?」
「モナ殿のお父上とフェリオ殿からモナ殿の護衛の依頼を受けた」
何だって!!私が母さんと話していた時にそんな事をしていたの!
「その依頼キャンセルで」
「報酬は既に受け取ってしまったから無理じゃないだろうか?」
ぐふっ!!
母さんがこっちを向いて手招きをしていた。しかし、私は首を横に振る。母さんの近くにフェリオさんがいる限り無理だ。
「モナちゃん。リアンに今度は何をされたのかな?」
あまりにもの私の拒否具合にフェリオさんは疑問に思ったのだろう。だから、答えてあげた。
「ひと月前に肋骨にヒビが入りました」
どういう状況でそうなったかと言えば、ひと月前、リアンと共にこのギルドに来ていた。前回は別の物を母さん達に送るために徹夜で作業していたことが祟って、ギルドに着いた時に荷馬車から降りようと立ち上がった。その時、立ちくらみがしたのだ。
リアンは荷物をギルド方に持って行っていたので、目の前には居なかったはずなのだ。しかし、立ちくらみがし、体が傾いたところで、リアンの顔が目の前にあったのだ。
そして、脇腹に唐突な痛みと目の前にリアンがいることで、パニックになる私。しかし、そこで暴れても怪我をするのは私の方なので深呼吸してなんとか落ち着いた。
どうやらリアンは傾いた私の体を脇の下を持って支えてくれたみたいだった。これは、リアンの気づかいだと理解をし、お礼を言って荷馬車から下ろしてもらった。ただそれからも、家に帰ってからも、痛みが収まらず、ばぁちゃんに見てもらったら肋骨にヒビが入っていたのだ。
勇者の力を舐めてはいけない。なぜ、私を支えただけで、骨にヒビが入るのか本当に意味がわからなかった。
「次はきっと肋骨が折れて、肺に突き刺さるんじゃない?実はそこのフェリオさんはリアンが化けていて、猛犬の様に突進してくるのではないの?と思ってしまう」
「モナちゃん。被害妄想が酷いわ」
母さんが困ったような顔をして言うが、抵抗力のない私としては、生きるか死ぬかの問題だ。
母さんは困ったわねと言いながら、フェリオさんから離れて、手招きをした。ビクビクしながら、ジュウロウザから離れ母さんのところに駆けていく。
「何?」
「これ、お小遣いね」
そう言ってジャラジャラと音がするパンパンの革袋を渡してくれた。お小遣い?私は受け取りながら首を傾げる。
「リリーちゃんとキールくんの結婚式に出るのは諦めるわ。村に着いてモナちゃんがいないと分かれば、リアンくんも村に留まるのは諦めるでしょ?で、そのまま一旦王都に戻るわ」
あ、うん。そうした方がいいと思う。あの三人は逃げ場が限られたダンジョンでは危険すぎる。
「騎獣だと、ここまで一日でなのよ。だから、モナちゃんがここにいるとリアンくんにまた遭遇するわけなの。それにまた村に寄りたいって言われそうだわ。
だから、さっき言っていた王都に依頼を出しに行かない?路線馬車なら今から昼の便に間に合うわ。それで王都まで2日かかるからリアンくんに会うことないと思うのだけど?」
私にはそれしか選択肢がないのだろうか。右手の重みのある革袋を見る。王都か。
「はぁ、わかったよ。リアンの仲間って言えばいいのかな?あのピンクの髪の人に回復魔術を使わせないのと、言うことを信じないでほしい。緑の髪の人は絶対に戦わせないで。それはフルプレートアーマーの人も同じ。」
彼女達の活躍の場はここではない。村の周りは強い魔物はいないので、戦うことはないと思いたい。
「あら?あの少しだけで全員視たの?」
母さんは私の真眼の事を言っているのだろうけど、残念ながら視てはいない。だけど、前世の記憶からなんて言えば、今より頭のおかしい子って思われるだろうから言葉を濁す。
「まあね。じゃ、私は武器を調達して王都に行くわ。絶対にリアンを王都で放逐しないでね!」
そう母さんに言えば困ったような顔をされ、『何かあったらキトーさんを頼るのよ』と言って、母さん達はギルドを出ていった。え?なんでジュウロウザと一緒に行動する事が決まっているの?
私の中ではジュウロウザを置いていくことは決まっている。
王都に行くのに準備をしなければならない。踵を返して、依頼受付カウンターに向かう。
「すみません。先程渡した魔石を一部返却してもらうことは可能ですか?」
王都で依頼をするのに良質な魔石は必要だ。
「ええ、大丈夫ですよ。まだ、依頼受領の手続きは終えていませんから。『翠玉の剣』と『金の弓』の方々ならこれぐらいでしょうか?」
そう言って半分ほどの魔石を戻してくれた。『翠玉の剣』はSランクで『金の弓』はAランクの冒険者達なのだ。やはり、半分は必要か。
「ありがとうございます。因みに王都行きの路線馬車は何時に出ますか?」
「13時に出発ですね」
そう言われ、ギルドの壁に掛かっている魔時計を見る。12時05分!一時間も無い!
急いで依頼の受領手続きをしてもらい、近くの武器屋を教えてもらったので、そこに向かうためギルドを出る。
何故か。なぜか隣にジュウロウザが歩いている。
「キトウさんは何故、私についてくるのですか?」
「モナ殿のお父上とフェリオ殿からモナ殿の護衛の依頼を受けた」
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ぐふっ!!
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