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25 悲しき存在
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私は拘束している腕から抜けだそうとするが、全く動くことができない。痛くはないけど、動くことができない。不思議だ。
「起きたいのだけど?」
起きているかわからないけど、声をかけてみる。圧迫感が増した。どうやら起きてはいるらしい。
しかし、私の内側からの圧迫感も増している。まだ、別に体に影響があるわけではないけれど、不快ではある。
「ジクジクするから、そろそろ一服吸いたいのだけど?」
そう、訴えてみると、勢いよく解放された。
「何処か痛むのか?」
心配そうな黒く濁った目が私を見て来た。私は体を起こし、煙管を取り出し、煙を肺いっぱいに満たす。
ふぅと息を吐き魔力の籠もった煙を外に出す。赤髪の男は相変わらず黒い鱗紋様を纏っている。痛むのは自分自身だろうに。
「別に不快感があるだけ。で、なぜ私はココで寝ているのか聞いても良い?昨日も一昨日も私は居間で寝ていたはずだけど?」
長椅子では無く床で寝ていた可能性の方が高いので、そう聞いてみた。
「大丈夫なら良かった」
········私の質問の答えはどうした!寝ぼけて私がベッドに潜り込んだということはないはず。例え寝相が相当悪かろうが、夢遊病の癖はない。そんなものがあれば、魔物討伐時に致命的になってしまう。その前に誰かが指摘をしてきたはずだ。だから、そこまで酷くはないはず。
「なぜ、私はここで寝ていた?」
煙管を咥え同じことを聞いてみる。まぁ、床で寝ていたので連れてきたというところだろうか。
答える様子がないので、日課を行う為にベッドを下り寝室を出ていった。
今日はいつもの白いワンピースではなく、昨日作ってもらった黒い戦闘服に袖を通す。白いシャツを着て、その上に黒い短パンと黒い軍服にも見える上着を着る。そして、ニーハイソックスにショートブーツ。黒い髪はそのまま背中に流す。完璧にコスプレだね。
室内では黒に見えるが、光の加減では赤にも見える。なぜ、赤なのだろう。目立たないようにするなら、緑とか青の方が目立たないと思うのになぁ。
そして、朝日が横から差し込んでいる畑に出て日課の魔力の放出を行う。ああ、ドラゴンの長老にここを出ると言っておかなければならない。
シヴァ Side
どう答えようかと迷っていると、アリアは部屋を出ていってしまった。そのまま言ってもよかったのだろうか。
夜中にドサッというモノが落ちる音がしたと思ったら、ドカッとモノがぶつかる酷い音がして、不審に思って様子を見に行けば、テーブルの脚に蹴りを入れているアリアが居たと答えてもよかったのだろうか。
いや、自覚はあるのだろう。回復の陣と思える物が常時展開されていたのだから。
ここに世話になってからは時々モノが落ちる音がしていたが、どうやらアリアが寝ていた長椅子から床に落ちた音だったらしい。
それで、納得ができた。部屋の大きさには不釣り合いなほど大きなベッドがある理由だ。多分、あの大きさでないと不都合があるのだろうと。
目の前で寝返りと打とうとしてるアリアは今度は長椅子に裏拳を叩き込もうとしているところで、その手を受け止めた。
贅沢に回復の陣を発動をしておかないと、確かにこれは痛いだろう。
それで、ベッドに運んだのだが、駄目だったのだろうか。
いや、側に居たかったというのが本音だ。アリアの側にいると苦しみが和らぐような気がするからだ。回復の陣のおかげかもしれないが、アリアの魔力はキラキラして心地よい。
あの妖精女王も言っていた。アリアが食事を作ると言って消えたあとのことだ。
『そなたは銀の姫に側に居るつもりかのぅ』
「ああ」
『そうかそうか。なら妾が懸念することはないのぅ。銀の姫は悲しき存在じゃ。妾は友としてしか居れぬ。』
悲しき存在?なんだそれは?
『そなたの内なるモノは解放してはならぬ。じゃが、そなたはその内なるモノと共に在らねばならぬ。それがそなたがその姿で生きながらえた罪じゃ』
生きながらえた罪。まるで俺が生きていること自体がおかしいと言われているみたいだ。
「女王は俺の意識を乗っ取るモノがどんなモノかご存知なのか?」
『知っておるといえば知っておる。知らないといえば知らぬ。妾の祝福はソレを外に出さぬようにしているが、ただそれだけじゃ。ソレとはそなたが死ぬまで付き合わなければならぬ。逆に言えば死ねば解放される。そう全てじゃ』
そう、妖精女王は言った。何を知っており何を知っていないのかは教えてもらえなかった。
『銀の姫の側にいるのなら、ソレも抑えられよう。銀の姫の魔力は心地よい。キラキラしたものは妾も好きじゃ』
妖精女王も俺と同じくアリアのキラキラした魔力が好きなようだった。
イヤ、チガウ
アレがホシイ
アリアは俺を人としては扱ってくれる。
キラキラしたアノモノがホシイ
アリアは不快な目で俺を見ることはなかった。
アレが側にイルと心地ヨイ
アリアの側はとても居心地がいい。
アア、アノ柔ラカイ腹ヲ食イ破ッテ、血肉ヲ啜レバ此ノ渇キガ満タサレルダロウカ
「起きたいのだけど?」
起きているかわからないけど、声をかけてみる。圧迫感が増した。どうやら起きてはいるらしい。
しかし、私の内側からの圧迫感も増している。まだ、別に体に影響があるわけではないけれど、不快ではある。
「ジクジクするから、そろそろ一服吸いたいのだけど?」
そう、訴えてみると、勢いよく解放された。
「何処か痛むのか?」
心配そうな黒く濁った目が私を見て来た。私は体を起こし、煙管を取り出し、煙を肺いっぱいに満たす。
ふぅと息を吐き魔力の籠もった煙を外に出す。赤髪の男は相変わらず黒い鱗紋様を纏っている。痛むのは自分自身だろうに。
「別に不快感があるだけ。で、なぜ私はココで寝ているのか聞いても良い?昨日も一昨日も私は居間で寝ていたはずだけど?」
長椅子では無く床で寝ていた可能性の方が高いので、そう聞いてみた。
「大丈夫なら良かった」
········私の質問の答えはどうした!寝ぼけて私がベッドに潜り込んだということはないはず。例え寝相が相当悪かろうが、夢遊病の癖はない。そんなものがあれば、魔物討伐時に致命的になってしまう。その前に誰かが指摘をしてきたはずだ。だから、そこまで酷くはないはず。
「なぜ、私はここで寝ていた?」
煙管を咥え同じことを聞いてみる。まぁ、床で寝ていたので連れてきたというところだろうか。
答える様子がないので、日課を行う為にベッドを下り寝室を出ていった。
今日はいつもの白いワンピースではなく、昨日作ってもらった黒い戦闘服に袖を通す。白いシャツを着て、その上に黒い短パンと黒い軍服にも見える上着を着る。そして、ニーハイソックスにショートブーツ。黒い髪はそのまま背中に流す。完璧にコスプレだね。
室内では黒に見えるが、光の加減では赤にも見える。なぜ、赤なのだろう。目立たないようにするなら、緑とか青の方が目立たないと思うのになぁ。
そして、朝日が横から差し込んでいる畑に出て日課の魔力の放出を行う。ああ、ドラゴンの長老にここを出ると言っておかなければならない。
シヴァ Side
どう答えようかと迷っていると、アリアは部屋を出ていってしまった。そのまま言ってもよかったのだろうか。
夜中にドサッというモノが落ちる音がしたと思ったら、ドカッとモノがぶつかる酷い音がして、不審に思って様子を見に行けば、テーブルの脚に蹴りを入れているアリアが居たと答えてもよかったのだろうか。
いや、自覚はあるのだろう。回復の陣と思える物が常時展開されていたのだから。
ここに世話になってからは時々モノが落ちる音がしていたが、どうやらアリアが寝ていた長椅子から床に落ちた音だったらしい。
それで、納得ができた。部屋の大きさには不釣り合いなほど大きなベッドがある理由だ。多分、あの大きさでないと不都合があるのだろうと。
目の前で寝返りと打とうとしてるアリアは今度は長椅子に裏拳を叩き込もうとしているところで、その手を受け止めた。
贅沢に回復の陣を発動をしておかないと、確かにこれは痛いだろう。
それで、ベッドに運んだのだが、駄目だったのだろうか。
いや、側に居たかったというのが本音だ。アリアの側にいると苦しみが和らぐような気がするからだ。回復の陣のおかげかもしれないが、アリアの魔力はキラキラして心地よい。
あの妖精女王も言っていた。アリアが食事を作ると言って消えたあとのことだ。
『そなたは銀の姫に側に居るつもりかのぅ』
「ああ」
『そうかそうか。なら妾が懸念することはないのぅ。銀の姫は悲しき存在じゃ。妾は友としてしか居れぬ。』
悲しき存在?なんだそれは?
『そなたの内なるモノは解放してはならぬ。じゃが、そなたはその内なるモノと共に在らねばならぬ。それがそなたがその姿で生きながらえた罪じゃ』
生きながらえた罪。まるで俺が生きていること自体がおかしいと言われているみたいだ。
「女王は俺の意識を乗っ取るモノがどんなモノかご存知なのか?」
『知っておるといえば知っておる。知らないといえば知らぬ。妾の祝福はソレを外に出さぬようにしているが、ただそれだけじゃ。ソレとはそなたが死ぬまで付き合わなければならぬ。逆に言えば死ねば解放される。そう全てじゃ』
そう、妖精女王は言った。何を知っており何を知っていないのかは教えてもらえなかった。
『銀の姫の側にいるのなら、ソレも抑えられよう。銀の姫の魔力は心地よい。キラキラしたものは妾も好きじゃ』
妖精女王も俺と同じくアリアのキラキラした魔力が好きなようだった。
イヤ、チガウ
アレがホシイ
アリアは俺を人としては扱ってくれる。
キラキラしたアノモノがホシイ
アリアは不快な目で俺を見ることはなかった。
アレが側にイルと心地ヨイ
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