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58 巨大な魔力の矢
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西からはゴブリンの上位種。東からはオークの上位種。そして、夜明けぐらいに何かしらのフラグを持ったモノがやってくると。
騎士を動かすかどうか迷うところだ。しかし、無い袖は振れない。二手に分けるとしても、足りない火力をどう補うか。
空を見上げる。とてもとても美しい月夜だ。憎らしいほど美しい月が私を照らしている。
ふぅーと煙を吐き出し煙管を亜空間収納に入れて、隣を仰ぎ見る。
「ねぇ。少しここを任せてもいいかな?」
彼なら、ここを一人で任せられるぐらいの実力はあるだろう。
「駄目だ」
え?駄目なの?やっぱ無理なのか。それはそうだよね。こんな大群を一人で相手にするなんて狂気沙汰のことだろう。
「アリアが行くならついて行く」
私が行く?おお!私に付いてくるというのは、こういうときも有効なのか!いやいやいや、時と場合によるでしょ!
でも、私はここから動かないと言ったのを忘れてしまったのだろうか。
「私はここから動かないけど?」
「動かない?」
「そう、でも集中したいから、あの群勢の相手をしていられない」
「ここから動かない?絶対に?」
何を気にしているのか、私が動くと何か問題なのだろうか。
「信用がない·····それはそれで仕方がないけど」
まぁ、彼を拾って数日だし·····なんで数日で信用云々の話をしているのだろう。そもそも、彼がここにいるのがおかしい。
信用がないのも、手を貸してもらえないのも、仕方がないと前方の群勢を見る。出来ないこともないが、後始末が大変だなぁ。
「違う」
横から体を抱き寄せられた。何が違うのか知らないけど、ここ戦場。
「目を離した隙きにアリアが怪我をするのが嫌なんだ。血を流すのは見たくないんだ」
怪我ね。しても直ぐに治るし。
「ここを離れないというなら、大群の魔物の相手をしよう」
そう言って彼は私を放し、大剣を鞘から抜き横向きに構え、横に一振り薙ぎ払う。魔物が肉塊となり、飛び散って行く。ここ数時間で幾度か見ているけど、魔物ってあんなに簡単にバラバラになるものだっただろうか。
ここは彼に任せてもいいだろう。私はこの一帯に広げている魔力をもっと遠くまで広げる。私を中心に同心円状に広げて索敵魔術を構築していく。
王都の外にいる魔物の気配を探り当てる。確かにここから南西と南東の方角に小さな群れがある。しかし、気配が濃く感じることから、上位種の魔物と思われる。そのモノを中心に50体ほどか。それが2つ。
体の内に溜め込んでいる魔力を噴き出す。肉眼でも見えるほど濃く多く体に纏わす。
ターゲットに標的印を魔力で付けていき、空に向かって矢を構えるように腕を掲げた。そこに魔力で作り上げた弓で巨大な魔力の矢を引く。これは何も属性はないただの魔力の塊だ。その魔力の塊を空に向かって解き放つ。
巨大な魔力の矢は月に向かって飛んでいき、上空で2方向に別れて飛んでいった。私が付けたターゲットの印に向かって飛んでいったのだ。
ふぅーと大きくため息を吐く。これだけの魔力を込めても一割も減っていない。
遠くの方で爆音が響き渡る。あ、真夜中にこんな爆音は近所迷惑だった。
付けた印が全て消失したのを確認する。
これで、残りは何かしらのフラグを持つものか。
魔物の群勢がひしめき合っている方に顔を向けると、魔王様がこちらを見ていた。いや、魔物の群れは?
そのまま広げていた魔力で索敵を行うと、王都周辺には魔物の気配はなくなっていた。第3波はこれで終わったということか。恐らく次は夜明け前後に第4波とフラグ持ちが来るのだろう。
「少し休憩をしよう」
そう言って、私は亜空間収納から庭でお茶を楽しむ為のガーデンテーブルセットを取り出す。それもソファ型のくつろげるタイプの物だ。
そのテーブルの上にお茶と軽くつまめるサンドイッチやクッキー、マフィンなどを広げて長椅子の方に座る。
腹が減っては戦はできぬというから、小腹は満たしておこう。
なぜ、魔王様は私の隣に座るのですか?一人がけ用のソファがあと4つあるというのに。
「こんなところで、お茶をするのか?」
戦場だろうがどこだろうが、お腹は減るものだ。
「人には休憩とお腹と心を満たす物は必要だと思うけど?」
そう言いながら、私はマフィンを手に取る。頭に糖分は必要だ。久しぶりに色々考えたから、甘い物が欲しい。
「クククッ。アリアといると楽しいな」
笑いながらサンドイッチを手に取っている魔王様。それはどういう意味でしょうか?
騎士を動かすかどうか迷うところだ。しかし、無い袖は振れない。二手に分けるとしても、足りない火力をどう補うか。
空を見上げる。とてもとても美しい月夜だ。憎らしいほど美しい月が私を照らしている。
ふぅーと煙を吐き出し煙管を亜空間収納に入れて、隣を仰ぎ見る。
「ねぇ。少しここを任せてもいいかな?」
彼なら、ここを一人で任せられるぐらいの実力はあるだろう。
「駄目だ」
え?駄目なの?やっぱ無理なのか。それはそうだよね。こんな大群を一人で相手にするなんて狂気沙汰のことだろう。
「アリアが行くならついて行く」
私が行く?おお!私に付いてくるというのは、こういうときも有効なのか!いやいやいや、時と場合によるでしょ!
でも、私はここから動かないと言ったのを忘れてしまったのだろうか。
「私はここから動かないけど?」
「動かない?」
「そう、でも集中したいから、あの群勢の相手をしていられない」
「ここから動かない?絶対に?」
何を気にしているのか、私が動くと何か問題なのだろうか。
「信用がない·····それはそれで仕方がないけど」
まぁ、彼を拾って数日だし·····なんで数日で信用云々の話をしているのだろう。そもそも、彼がここにいるのがおかしい。
信用がないのも、手を貸してもらえないのも、仕方がないと前方の群勢を見る。出来ないこともないが、後始末が大変だなぁ。
「違う」
横から体を抱き寄せられた。何が違うのか知らないけど、ここ戦場。
「目を離した隙きにアリアが怪我をするのが嫌なんだ。血を流すのは見たくないんだ」
怪我ね。しても直ぐに治るし。
「ここを離れないというなら、大群の魔物の相手をしよう」
そう言って彼は私を放し、大剣を鞘から抜き横向きに構え、横に一振り薙ぎ払う。魔物が肉塊となり、飛び散って行く。ここ数時間で幾度か見ているけど、魔物ってあんなに簡単にバラバラになるものだっただろうか。
ここは彼に任せてもいいだろう。私はこの一帯に広げている魔力をもっと遠くまで広げる。私を中心に同心円状に広げて索敵魔術を構築していく。
王都の外にいる魔物の気配を探り当てる。確かにここから南西と南東の方角に小さな群れがある。しかし、気配が濃く感じることから、上位種の魔物と思われる。そのモノを中心に50体ほどか。それが2つ。
体の内に溜め込んでいる魔力を噴き出す。肉眼でも見えるほど濃く多く体に纏わす。
ターゲットに標的印を魔力で付けていき、空に向かって矢を構えるように腕を掲げた。そこに魔力で作り上げた弓で巨大な魔力の矢を引く。これは何も属性はないただの魔力の塊だ。その魔力の塊を空に向かって解き放つ。
巨大な魔力の矢は月に向かって飛んでいき、上空で2方向に別れて飛んでいった。私が付けたターゲットの印に向かって飛んでいったのだ。
ふぅーと大きくため息を吐く。これだけの魔力を込めても一割も減っていない。
遠くの方で爆音が響き渡る。あ、真夜中にこんな爆音は近所迷惑だった。
付けた印が全て消失したのを確認する。
これで、残りは何かしらのフラグを持つものか。
魔物の群勢がひしめき合っている方に顔を向けると、魔王様がこちらを見ていた。いや、魔物の群れは?
そのまま広げていた魔力で索敵を行うと、王都周辺には魔物の気配はなくなっていた。第3波はこれで終わったということか。恐らく次は夜明け前後に第4波とフラグ持ちが来るのだろう。
「少し休憩をしよう」
そう言って、私は亜空間収納から庭でお茶を楽しむ為のガーデンテーブルセットを取り出す。それもソファ型のくつろげるタイプの物だ。
そのテーブルの上にお茶と軽くつまめるサンドイッチやクッキー、マフィンなどを広げて長椅子の方に座る。
腹が減っては戦はできぬというから、小腹は満たしておこう。
なぜ、魔王様は私の隣に座るのですか?一人がけ用のソファがあと4つあるというのに。
「こんなところで、お茶をするのか?」
戦場だろうがどこだろうが、お腹は減るものだ。
「人には休憩とお腹と心を満たす物は必要だと思うけど?」
そう言いながら、私はマフィンを手に取る。頭に糖分は必要だ。久しぶりに色々考えたから、甘い物が欲しい。
「クククッ。アリアといると楽しいな」
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