59 / 72
59 戦場のお茶会
「いやー。懐かしいッスね」
休憩を始めて1時間ほど経った頃、背後から声を掛けられた。私と彼は南の方を向いて座っているので、王都側から来た者がいると、必然的に背後から声を掛けられることになるのだ。
「ラズ、何かあった?」
第0小隊のラズだ。イオブライの使いっ走りとしてよく使われている人物だ。私は前方から視線を外さずに尋ねる。
「せ、リーゼ様のご要望通り、騎士団長閣下と副長を連れてきました!プッ」
いや、私はそんな事を要望はしていない。話を聞いてきてくれと言っただけだ。で、その笑いは何?
「リーゼ様、御前失礼してもよろしいでしょうか?」
この声はヴァザルデス師団長ということは、その後ろにはクァドーラ魔術師長がいるのだろう。来てしまったのなら直接聞けばいいか。
「そこに座って」
私は空いているソファを指し示しながら言うと、ラズが一番に席に座って、クッキーに手を出している。
「ラズ、はしたないですよ」
そう言いながら次にイオブライが私の90度斜め前のソファに座った。
次いで、私の正面にヴァザルデス師団長が、魔王様の前にクァドーラ魔術師長が席についた。私はティーカップを取り出し、彼らの前にお茶を出し、追加でサンドイッチと菓子を並べる。
「この雰囲気は久しぶりですね。このお茶会、実は好きだったのですよ」
そう言いながらイオブライはサンドイッチに手を出している。別にお茶会ではないのだけど、長引くと休憩も兼ねて作戦会議をしたことは幾度かある。だから、お茶会ではない!·····はず。
「あの、せ····リーゼ様。そこの御仁はどなたですか?高ランクの冒険者に見えなくもないですが、そのような御仁は見聞きした記憶はありません」
ヴァザルデス師団長が彼を見ながら聞いてきた。確かに、冒険者ではない。っていうか、彼が側にいる限り皆に毎回聞かれるの?面倒くさい。
「戦力増強。そんなことより今はこの後のことを聞きたいのだけど?」
「すみません。はい、聖女ミエーヌから言われたことでありますね。ただ、私もクァドーラも詳しくは聞かされていないのです。明日の·····もう日付が変わりましたので、本日の夜明け前に北門に集合と言われました」
北門ね。
「それで?」
「以上であります」
は?それだけ?
「西門や東門については言われなかった?」
「いいえ。何も」
何も!何も言われていない!え?アルレット伯爵令嬢は聖女として今回のスタンピードの対応を命ぜられたのよね。そして、彼らは騎士達に命令を出す立場の者達だ。それが北門に来いと言っただけ?
なんか腹が立ってきた。私がなんでその国王に命令された討伐の指揮を取っているの?本当はそのアルレット伯爵令嬢がすべきじゃないの?
ガリっと思わず煙管を噛んでしまった。
そのフラグを私がバキッと折ってあげよう。私をタダ働きをさせたのだ。ヒロインかなにか知らないけど、魔力だけはクソチートな私をナメんなよ。
「ふふふっ。北門ねぇー。代わりに私が行ってあげる。だから、第4波は第1から4小隊に任せる。第5小隊の魔術師小隊は補助に回って」
「「はっ!」」
ヴァザルデス騎士団長 side
俺は遠目に見える光景に打ち震えていた。真夜中にも関わらず昼間のように光り輝くあの方の魔力。それが夜空に打ち上がり、恐らくイオブライから報告があったロードクラスの討伐のために打ち上げられた光の魔術。
心がとても高揚する。ああ、あの方の元に行き、剣を振るいたいと右手が震えている。
あの方に魅入られている者は皆、同じ気持ちなのだろう。
しかし、あの者は何者なのだろうか。あの方の側で剣を振るっている赤髪の男。俺の記憶にはあの様な男が存在していたなど見たことも聞いたこともない。
「ヴァザルデス騎士団長閣下」
この声はイオブライか。相変わらず影の者達は声を掛けられるまで、存在がわからない。
「何だ?」
「リーゼ様に報告に行っていた者が戻ってきまして、閣下に聞きたい事があると」
「聞きたい事?」
「はっ!リーゼ様から聖女と呼ばれている者を探るように言われまして、閣下に聞いて来いと」
俺の目の前に居たのは奇っ怪な仮面を被ったギルスだった。奇っ怪な仮面も、貴重な魔眼石もあの方が自ら与えた物だ。う、羨ましい。
「それで、夜明け前に北門に集合とはどういうことでしょうか?」
魔眼石の力を使ったのか。以前俺が使って欲しいと頼んでも『無理です』と断って来たのに。いや、あの方の崇拝者ならその態度は仕方がないのか。
「それは直接私がリーゼ様に報告をしよう」
あの方から失望されたままではいけない。そして、あの方の元で剣を振るいたい。
「この雰囲気は久しぶりですね。このお茶会、実は好きだったのですよ」
イオブライがサンドイッチを手に取りながらそんな事を口にした。
血と死の匂いが立ち込めている戦場で、腹が減っては戦はできぬと、作戦会議をしようと言いながらお茶の用意を唐突に始めるリーゼ様。俺も好ましく思っていた。荒んだ心に潤いを与えてくれるひととき。
しかし、俺はリーゼ様の隣にいる男が何故か気に食わない。
多分、隊服に似た衣服もギルスの仮面に似た仮面もリーゼ様から与えられたものなのだろう。しかし、その男の腰にある剣はどう見てもリーゼ様の剣だ。リーゼ様がこだわり過ぎるぐらいに、こだわって作った剣を他の誰かに渡すとは思えない。
だから、思いきって聞いてみた。
·····が、そんな事よりと一蹴されてしまった。確かにこの場では必要のない質問だったかも知れないが、気になるものは気になる。
「本日の夜明け前に北門に集合と言われました」
「それで?」
「以上であります」
「西門や東門については言われなかった?」
「いいえ。何も」
そう答えた瞬間、リーゼ様の雰囲気が変わった。怒っていらっしゃる。何か間違った答えをしてしまったのだろうか。
「ふふふっ。北門ねぇー。代わりに私が行ってあげる」
その言葉を聞いた瞬間理解した。聖女ミエーヌがリーゼ様の癇に障ったようだ。
そのリーゼ様の姿を眩しく見つめる。とても楽しそうに笑っているリーゼ様をまた目にする事ができる日が来るとは思っていなかった。
オレたちはリーゼ様の命令を実行するために、王都の方に戻る。
「あの聖女さん、殺されるんじゃないッスか?」
ラズがそんな事を言いだした。流石にあの方が人を手にかけるとは····いや、しかし、聖女ミエーヌはあの方の居場所を奪ったのだ。それ程のことをあの方にしている。
「それはないでしょう。リーゼ様は元から聖女モドキの事は相手にしていませんでしたから」
イオブライ!モドキは流石に言いすぎだろ!あれでも主神から選ばれたのだ!
「偽聖女がどうなろうと知ったことでは無い。リーゼ様からの信頼を取り戻すのが先決だ」
偽聖女!クァドーラ、ずっと黙ってると思ったら、そんな事を考えていたのか!
休憩を始めて1時間ほど経った頃、背後から声を掛けられた。私と彼は南の方を向いて座っているので、王都側から来た者がいると、必然的に背後から声を掛けられることになるのだ。
「ラズ、何かあった?」
第0小隊のラズだ。イオブライの使いっ走りとしてよく使われている人物だ。私は前方から視線を外さずに尋ねる。
「せ、リーゼ様のご要望通り、騎士団長閣下と副長を連れてきました!プッ」
いや、私はそんな事を要望はしていない。話を聞いてきてくれと言っただけだ。で、その笑いは何?
「リーゼ様、御前失礼してもよろしいでしょうか?」
この声はヴァザルデス師団長ということは、その後ろにはクァドーラ魔術師長がいるのだろう。来てしまったのなら直接聞けばいいか。
「そこに座って」
私は空いているソファを指し示しながら言うと、ラズが一番に席に座って、クッキーに手を出している。
「ラズ、はしたないですよ」
そう言いながら次にイオブライが私の90度斜め前のソファに座った。
次いで、私の正面にヴァザルデス師団長が、魔王様の前にクァドーラ魔術師長が席についた。私はティーカップを取り出し、彼らの前にお茶を出し、追加でサンドイッチと菓子を並べる。
「この雰囲気は久しぶりですね。このお茶会、実は好きだったのですよ」
そう言いながらイオブライはサンドイッチに手を出している。別にお茶会ではないのだけど、長引くと休憩も兼ねて作戦会議をしたことは幾度かある。だから、お茶会ではない!·····はず。
「あの、せ····リーゼ様。そこの御仁はどなたですか?高ランクの冒険者に見えなくもないですが、そのような御仁は見聞きした記憶はありません」
ヴァザルデス師団長が彼を見ながら聞いてきた。確かに、冒険者ではない。っていうか、彼が側にいる限り皆に毎回聞かれるの?面倒くさい。
「戦力増強。そんなことより今はこの後のことを聞きたいのだけど?」
「すみません。はい、聖女ミエーヌから言われたことでありますね。ただ、私もクァドーラも詳しくは聞かされていないのです。明日の·····もう日付が変わりましたので、本日の夜明け前に北門に集合と言われました」
北門ね。
「それで?」
「以上であります」
は?それだけ?
「西門や東門については言われなかった?」
「いいえ。何も」
何も!何も言われていない!え?アルレット伯爵令嬢は聖女として今回のスタンピードの対応を命ぜられたのよね。そして、彼らは騎士達に命令を出す立場の者達だ。それが北門に来いと言っただけ?
なんか腹が立ってきた。私がなんでその国王に命令された討伐の指揮を取っているの?本当はそのアルレット伯爵令嬢がすべきじゃないの?
ガリっと思わず煙管を噛んでしまった。
そのフラグを私がバキッと折ってあげよう。私をタダ働きをさせたのだ。ヒロインかなにか知らないけど、魔力だけはクソチートな私をナメんなよ。
「ふふふっ。北門ねぇー。代わりに私が行ってあげる。だから、第4波は第1から4小隊に任せる。第5小隊の魔術師小隊は補助に回って」
「「はっ!」」
ヴァザルデス騎士団長 side
俺は遠目に見える光景に打ち震えていた。真夜中にも関わらず昼間のように光り輝くあの方の魔力。それが夜空に打ち上がり、恐らくイオブライから報告があったロードクラスの討伐のために打ち上げられた光の魔術。
心がとても高揚する。ああ、あの方の元に行き、剣を振るいたいと右手が震えている。
あの方に魅入られている者は皆、同じ気持ちなのだろう。
しかし、あの者は何者なのだろうか。あの方の側で剣を振るっている赤髪の男。俺の記憶にはあの様な男が存在していたなど見たことも聞いたこともない。
「ヴァザルデス騎士団長閣下」
この声はイオブライか。相変わらず影の者達は声を掛けられるまで、存在がわからない。
「何だ?」
「リーゼ様に報告に行っていた者が戻ってきまして、閣下に聞きたい事があると」
「聞きたい事?」
「はっ!リーゼ様から聖女と呼ばれている者を探るように言われまして、閣下に聞いて来いと」
俺の目の前に居たのは奇っ怪な仮面を被ったギルスだった。奇っ怪な仮面も、貴重な魔眼石もあの方が自ら与えた物だ。う、羨ましい。
「それで、夜明け前に北門に集合とはどういうことでしょうか?」
魔眼石の力を使ったのか。以前俺が使って欲しいと頼んでも『無理です』と断って来たのに。いや、あの方の崇拝者ならその態度は仕方がないのか。
「それは直接私がリーゼ様に報告をしよう」
あの方から失望されたままではいけない。そして、あの方の元で剣を振るいたい。
「この雰囲気は久しぶりですね。このお茶会、実は好きだったのですよ」
イオブライがサンドイッチを手に取りながらそんな事を口にした。
血と死の匂いが立ち込めている戦場で、腹が減っては戦はできぬと、作戦会議をしようと言いながらお茶の用意を唐突に始めるリーゼ様。俺も好ましく思っていた。荒んだ心に潤いを与えてくれるひととき。
しかし、俺はリーゼ様の隣にいる男が何故か気に食わない。
多分、隊服に似た衣服もギルスの仮面に似た仮面もリーゼ様から与えられたものなのだろう。しかし、その男の腰にある剣はどう見てもリーゼ様の剣だ。リーゼ様がこだわり過ぎるぐらいに、こだわって作った剣を他の誰かに渡すとは思えない。
だから、思いきって聞いてみた。
·····が、そんな事よりと一蹴されてしまった。確かにこの場では必要のない質問だったかも知れないが、気になるものは気になる。
「本日の夜明け前に北門に集合と言われました」
「それで?」
「以上であります」
「西門や東門については言われなかった?」
「いいえ。何も」
そう答えた瞬間、リーゼ様の雰囲気が変わった。怒っていらっしゃる。何か間違った答えをしてしまったのだろうか。
「ふふふっ。北門ねぇー。代わりに私が行ってあげる」
その言葉を聞いた瞬間理解した。聖女ミエーヌがリーゼ様の癇に障ったようだ。
そのリーゼ様の姿を眩しく見つめる。とても楽しそうに笑っているリーゼ様をまた目にする事ができる日が来るとは思っていなかった。
オレたちはリーゼ様の命令を実行するために、王都の方に戻る。
「あの聖女さん、殺されるんじゃないッスか?」
ラズがそんな事を言いだした。流石にあの方が人を手にかけるとは····いや、しかし、聖女ミエーヌはあの方の居場所を奪ったのだ。それ程のことをあの方にしている。
「それはないでしょう。リーゼ様は元から聖女モドキの事は相手にしていませんでしたから」
イオブライ!モドキは流石に言いすぎだろ!あれでも主神から選ばれたのだ!
「偽聖女がどうなろうと知ったことでは無い。リーゼ様からの信頼を取り戻すのが先決だ」
偽聖女!クァドーラ、ずっと黙ってると思ったら、そんな事を考えていたのか!
あなたにおすすめの小説
聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!
碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった!
落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。
オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。
ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!?
*カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
追放された令嬢は記憶を失ったまま恋をする……わけにはいかないでしょうか?
ツルカ
恋愛
前世を思い出したら、婚約破棄の現場でした。あれよあれよというまに国外追放。
日本人の記憶しかないまま異世界での放浪生活をはじめたものの、あれ、何の問題もなく毎日楽しい!
拾った傭兵に恋をして、生きることが楽しくて、なのに、令嬢の記憶……思い出さなくちゃ、駄目ですか?
出会った男は訳ありの能力者。私も魔法が使えるみたい。
悪役令嬢であることが思い出せない少女の異世界転生恋愛譚
姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚
mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。
王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。
数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ!
自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
【完結】フェリシアの誤算
伽羅
恋愛
前世の記憶を持つフェリシアはルームメイトのジェシカと細々と暮らしていた。流行り病でジェシカを亡くしたフェリシアは、彼女を探しに来た人物に彼女と間違えられたのをいい事にジェシカになりすましてついて行くが、なんと彼女は公爵家の孫だった。
正体を明かして迷惑料としてお金をせびろうと考えていたフェリシアだったが、それを言い出す事も出来ないままズルズルと公爵家で暮らしていく事になり…。
還俗令嬢のセカンドスローライフ
石田空
恋愛
「神殿にいたんだから大丈夫だろう。頑張れ」
「神殿育ちは万能調味料じゃありませんけど??」
幼い頃から、流行病が原因で顔に斑点があり、「嫁のもらい手はいないだろう」とシルヴィはそのまんま神殿に放り込まれていた。
そんな中、突然実家に呼び戻され、訳あり伯爵の元に嫁ぐように言われる。
呪われている土地だからとおそれられているため、姉は流行病(仮病)で別荘に籠城してしまい、神殿育ちなら大丈夫だろうと、そこに送られてしまうこととなった。
しかしそこの伯爵様のジルは、農民たちに混じって元気に田畑を耕している人だった。
「神殿出身だったら、なにやら特産品はつくれないかい?」
「ええっと……待っててくださいね……」
呪われている土地と呼ばれる謎と、町おこしで、彼女のセカンドライフはせわしない。
サイトより転載になります。