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378 何事も思い通りにはいかないものなのだよ
私はここから飛び降りたい衝動を我慢しながらワイバーンの背に乗っている。いや、黒いオーラが目視できるほど機嫌が最高潮に悪い魔王様にワイバーンの上で捕獲されている。
もし、私がここから飛び降りようものなら、ワイバーンごと腕輪を使って転移してきそうだ。
これは勿論、私が神父様に聖騎士としての名を与えたと同時に太陽の聖痕の焼付き現象を引き起こしたからだと言える。いや、それだけなら良かったのだ。
甲冑をまとっていても、機嫌が悪いのがヒシヒシと感じたので、諦めの境地でルディに聖騎士の名を与えた。
『天玄の聖騎士』と。
元は天地玄黄宇宙洪荒という言葉から取った。まぁ、天は黒く、地は黄色。宇宙は果てしなく広い。という意味になる。
ルディにこれを与えたのは、どんなに光り輝く太陽でも、宇宙の広さには敵わず全てを照らすことはないということを知って欲しいなっと思ったのだ。
王に立てば、黒を纏うルディは色々周りから言われることになると思う。
でも気にしないで寛容な心を持って欲しいと……そう、黒い甲冑の腕で私を捕獲し、不機嫌なことを隠しもせずに、殺気をばらまいているルディに……。
「ルディ。だから、最初から言ったじゃない。これは私の意思じゃないと」
「……」
無言の圧力!
ここまでくればわかるだろう。
私はルディに名を与えた。しかし、出したままになっている私の太陽の聖痕はうんともすんとも反応を示さなかった。
ルディに聖痕の焼印を入れるにはあたいしないと判断されたらしい。
私ではない何者かにだ。
「そもそも、太陽と月の聖痕って、普通の聖痕じゃないのだから、こういうところもあるんだよ」
天使の聖痕とまとめて言われる頭上に輝く聖痕は、そもそもがおかしいのだ。
なぜに空中に聖痕が浮いているのか。普通は身体の表面の何処かに現れるのにだ。
……反応がない。
もうこれはどうすればいいわけ?はぁ……。
「『乾いた心を慈雨の如く潤したもう』」
渇望する心に癒やしを与える言葉。
望んでも手に入らないものなどいくらでもある。
望んで手にいれたとしても、それを扱えきれなければ意味がない。
そして、私は名を与える努力はした。ここ大事だと思うんだよね!
「……俺の何がいけないんだ?」
やっと反応した。魔王化は先程の術で改善された。無言で突き刺さる殺気は押さえられたのだ!
だが、今度は逆に凹んでしまっている。
情緒不安定?こんな聖痕の謎の焼付き現象如きで、悩まなくていいと思うんだよ。そう、何の意味があるのかさっぱりわからない、太陽の聖痕の焼付き現象。
以前リザ姉がルディがいないときに一緒にお菓子を食べようと誘ってきたときに、ヴァルト様がいたから、その後右手の具合はどうですかとか、何か支障が起きていないですかと聞いてみた。返答は何も問題はないだった。
だから大した意味がないのだと思うよ。
「アンジュは俺のアンジュなのに、ヴァルトルクスどころか、リュミエール神父までも……」
ルディ。『俺のアンジュ』って何かな?言っておくけど、ほとんどルディとこの半年間は過ごしているのだからね。
「セイランとゲツエイの報告では、使えるようになってきているとあったから、ヴァルトルクスは排除できるだろう」
ん?青嵐と月影の報告?
私は何も報告なんて受けていないけど?
「問題はリュミエール神父だ。このままだと兄上と入れ替わりで王城に居座りそうだ。どうにかして……」
「ルディ。聖女の命令は聖騎士にとって絶対。そういうのは駄目だよ。特に!リザ姉とロゼを巻き込むのに、ヴァルト様は必須。ここ大事!それからチート神父様はいるいないで、全然違ってくるから排除は駄目」
ヤバい。このままだと、あの蛇共と結託して私の周りを蛇オンリーにされてしまう。
しかし、主である私に何も報告がなくて、何故にルディに報告なんてものをしているの!
いったい誰が主だと思っているのか、あの蛇共。あとで絶対に締めてやる。物理的にだ。
「そうやって、アンジュはリュミエール神父を特別扱いしているよな」
「はぁ、ルディ。今も昔も同じことを言うけど、神父様は怒らせてはいけない人。これは変わらない。それに、今まで私は神父様に勝ったことが一度もない。私より強い人ってそれだけでも凄いんだよ」
「……それは、アンジュに昔負けた俺への当てつけか?」
「それ、幻影で私が巻いた話?別にそれはルディが負けたわけじゃないよ」
私はルディと直接勝負をしたのは、ここに来る前の私が腹いせに聖痕をぶっ放したときと、お遊びのような騎士団の養成学校の時のみだ。
最初は私が慌ててトンズラをしたし、二回目は私が負けた。
だから、ルディが負けたということではない。ということは、ルディと最初に会って、幻影で私がルディを巻いたときの話になってくる。
だけどあれは勝負なんてしていなかった。だからルディは私には負けてはいない。
はぁ、もう一つ術を重ねかけしておこうかな。これは私への独占欲が強すぎるのが問題なのだよ。
「『泰然自若の心は穏やかな海の如し』」
取り敢えず、落ち着いて欲しい。
もし、私がここから飛び降りようものなら、ワイバーンごと腕輪を使って転移してきそうだ。
これは勿論、私が神父様に聖騎士としての名を与えたと同時に太陽の聖痕の焼付き現象を引き起こしたからだと言える。いや、それだけなら良かったのだ。
甲冑をまとっていても、機嫌が悪いのがヒシヒシと感じたので、諦めの境地でルディに聖騎士の名を与えた。
『天玄の聖騎士』と。
元は天地玄黄宇宙洪荒という言葉から取った。まぁ、天は黒く、地は黄色。宇宙は果てしなく広い。という意味になる。
ルディにこれを与えたのは、どんなに光り輝く太陽でも、宇宙の広さには敵わず全てを照らすことはないということを知って欲しいなっと思ったのだ。
王に立てば、黒を纏うルディは色々周りから言われることになると思う。
でも気にしないで寛容な心を持って欲しいと……そう、黒い甲冑の腕で私を捕獲し、不機嫌なことを隠しもせずに、殺気をばらまいているルディに……。
「ルディ。だから、最初から言ったじゃない。これは私の意思じゃないと」
「……」
無言の圧力!
ここまでくればわかるだろう。
私はルディに名を与えた。しかし、出したままになっている私の太陽の聖痕はうんともすんとも反応を示さなかった。
ルディに聖痕の焼印を入れるにはあたいしないと判断されたらしい。
私ではない何者かにだ。
「そもそも、太陽と月の聖痕って、普通の聖痕じゃないのだから、こういうところもあるんだよ」
天使の聖痕とまとめて言われる頭上に輝く聖痕は、そもそもがおかしいのだ。
なぜに空中に聖痕が浮いているのか。普通は身体の表面の何処かに現れるのにだ。
……反応がない。
もうこれはどうすればいいわけ?はぁ……。
「『乾いた心を慈雨の如く潤したもう』」
渇望する心に癒やしを与える言葉。
望んでも手に入らないものなどいくらでもある。
望んで手にいれたとしても、それを扱えきれなければ意味がない。
そして、私は名を与える努力はした。ここ大事だと思うんだよね!
「……俺の何がいけないんだ?」
やっと反応した。魔王化は先程の術で改善された。無言で突き刺さる殺気は押さえられたのだ!
だが、今度は逆に凹んでしまっている。
情緒不安定?こんな聖痕の謎の焼付き現象如きで、悩まなくていいと思うんだよ。そう、何の意味があるのかさっぱりわからない、太陽の聖痕の焼付き現象。
以前リザ姉がルディがいないときに一緒にお菓子を食べようと誘ってきたときに、ヴァルト様がいたから、その後右手の具合はどうですかとか、何か支障が起きていないですかと聞いてみた。返答は何も問題はないだった。
だから大した意味がないのだと思うよ。
「アンジュは俺のアンジュなのに、ヴァルトルクスどころか、リュミエール神父までも……」
ルディ。『俺のアンジュ』って何かな?言っておくけど、ほとんどルディとこの半年間は過ごしているのだからね。
「セイランとゲツエイの報告では、使えるようになってきているとあったから、ヴァルトルクスは排除できるだろう」
ん?青嵐と月影の報告?
私は何も報告なんて受けていないけど?
「問題はリュミエール神父だ。このままだと兄上と入れ替わりで王城に居座りそうだ。どうにかして……」
「ルディ。聖女の命令は聖騎士にとって絶対。そういうのは駄目だよ。特に!リザ姉とロゼを巻き込むのに、ヴァルト様は必須。ここ大事!それからチート神父様はいるいないで、全然違ってくるから排除は駄目」
ヤバい。このままだと、あの蛇共と結託して私の周りを蛇オンリーにされてしまう。
しかし、主である私に何も報告がなくて、何故にルディに報告なんてものをしているの!
いったい誰が主だと思っているのか、あの蛇共。あとで絶対に締めてやる。物理的にだ。
「そうやって、アンジュはリュミエール神父を特別扱いしているよな」
「はぁ、ルディ。今も昔も同じことを言うけど、神父様は怒らせてはいけない人。これは変わらない。それに、今まで私は神父様に勝ったことが一度もない。私より強い人ってそれだけでも凄いんだよ」
「……それは、アンジュに昔負けた俺への当てつけか?」
「それ、幻影で私が巻いた話?別にそれはルディが負けたわけじゃないよ」
私はルディと直接勝負をしたのは、ここに来る前の私が腹いせに聖痕をぶっ放したときと、お遊びのような騎士団の養成学校の時のみだ。
最初は私が慌ててトンズラをしたし、二回目は私が負けた。
だから、ルディが負けたということではない。ということは、ルディと最初に会って、幻影で私がルディを巻いたときの話になってくる。
だけどあれは勝負なんてしていなかった。だからルディは私には負けてはいない。
はぁ、もう一つ術を重ねかけしておこうかな。これは私への独占欲が強すぎるのが問題なのだよ。
「『泰然自若の心は穏やかな海の如し』」
取り敢えず、落ち着いて欲しい。
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