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380 海という概念が違った!
「何度、ワイバーンから飛び降りるなと言えばいいんだ?」
私は黒い甲冑に見下されている。それも背後の景色が歪んでいる背景付きで。
ここは水の上に浮いている水上の町と現在なっているオラン……ディ?っというところだ。
とは、言っても元々は山の中腹にあった町だったらしく、現在は山の麓に町があり、すぐそこまで水が迫ってきているという状況だ。
最初はここに逃げてきた人も多くいたらしいけど、食料も水もない状況では流石に住み続けられないと、ここを離れていったらしい。
これだけ周りに水があって水がないとはどういうことかとなるのだけど、結局のところこの水は神の力で存在している水だ。普通の水ではない。
この水を飲んだものは三日以内に血を吐いて死ぬらしい。この話を聞いた時、さっき水を口に含んでごっくんと飲み込まずに良かったと、一人安堵していた。
これを話すとまた小言が増えるのが目に見えるから黙っておくことにする。
「アンジュ!聞いているのか!」
「聞いているよ。でも必要があれば飛び降りるって私も言ったはずだよ」
言ったはず。私は今後ワイバーンから飛び降りないなんて言うはずはないもの。
「アンジュ!」
「ルディ。おかけでわかったことがあるから、報告しようか。寒いからどこかの室内に入れないかな?」
「アンジュ。こちらの空き家を使っていいと言われましたよ」
ここに降り立って姿が消えたと思っていたら、神父様は町の中を回っていたらしい。この町に着いてから、人の姿は殆ど見ていない。いや、聖騎士しか見ていないと言える。恐らくその聖騎士から情報を得ていたのだろう。
「それからシュレイン。アンジュがおかしな行動をとるのはいつものことです。以前も言いましたが、行動を押さえるのではなく、理解することですよ」
流石、長年多くの子供達を騎士として育ててきただけはある。こういう寛容さをルディも見習って欲しい。
「それであまりにも馬鹿な行動を取るようなら、甘いものをちらつかせて引き止めればいいのですよ」
「神父様酷い……って『レメリーゼ』のお菓子!」
レメリーゼのお菓子の袋を、どこからとも無く出してきた神父様のところに行って、両手を差し出す。
「シュレインが納得しないようなので、ワイバーンから飛び降りた理由を言ってください」
「報告では海だってあったけど、何を基準にして海って言っているのかわからなくて、突然海水が現れるより、真水の方が理由付けできると思ったから」
「海と同じ波があるからですね」
「……それ大きな湖でも波は起こるよ」
大きな湖でも波が発生するって知らないの?いや、この国にある湖って星が降ってできた穴に水が溜まっただけだから、そこまで大きな湖がないのか。
「これは、これは、海という概念を変えなければならないという意味ですかね?」
「あれ?波があると海というのが普通だった?」
ヤバい。異世界との常識の食い違いが起こってしまっている。そう言えば、この世界で海が塩辛いか飲んでみたことはなかった。波があることが海というならば、琵琶湖は海だ!
「シュレイン。頭ごなしに怒るのではなくて、アンジュは理由無く突拍子もない行動はとりませんから、理由を聞き出しなさい」
神父様はそう言いながら、私に紙袋を渡してくれた。中を見ると白い大きな塊があった。
「シュトーレンだ!これ見ると冬だねって思う。後で切って食べよう」
クリスマスという概念はこの世界は無いけど、菓子屋の親父が冬の名物を作りたいと言ったから、発酵菓子を教えてあげたのだ。
「はぁ……アンジュ。甘いものを見せられると誰にでも手を出すのは危険だからやめろ」
「ルディ。知らない人からはもらわないよ。あっ、ドライフルーツ入りの焼き菓子も入っている」
冬は、保存食を食べることになるから、お菓子もドライフルーツを使うことが多い。
「はぁ……取り敢えず、室内に入ろう。そこにツヴァイ第七部隊長がいるのだろう?」
ルディに連続でため息を吐かれた。
お菓子に罪はない。ならば、食べるべき。
そう言えば第七部隊長の名前を初めて聞いた。ツヴァイというのか。
そして私はルディに抱えられて、一つの建物に連れてこられた。これは私に勝手な行動を起こさせないぞというルディの思惑が感じ取られる。
第七部隊長に初めて会って思ったことが、誰かに似ている気がするだ。いや、正確には会議室の中にいたのだろうけど、私の記憶には残っていない。
だから初めて見たと言っていい。
「来てもらって悪いのだけど、もうどうしようもない状態だから、何もできること無い……はぁ」
目の下のクマが現しているとおり、昼夜問わず現れる異形に対処しきれていない感が酷い。第七部隊長と思われる紫色の髪の男性が怪しい液体が入った鍋をかき回している。
鍋の中身の色が怪しすぎて、食べれるとは思えないのだけど。なに?このドドメ色の液体は?
私は黒い甲冑に見下されている。それも背後の景色が歪んでいる背景付きで。
ここは水の上に浮いている水上の町と現在なっているオラン……ディ?っというところだ。
とは、言っても元々は山の中腹にあった町だったらしく、現在は山の麓に町があり、すぐそこまで水が迫ってきているという状況だ。
最初はここに逃げてきた人も多くいたらしいけど、食料も水もない状況では流石に住み続けられないと、ここを離れていったらしい。
これだけ周りに水があって水がないとはどういうことかとなるのだけど、結局のところこの水は神の力で存在している水だ。普通の水ではない。
この水を飲んだものは三日以内に血を吐いて死ぬらしい。この話を聞いた時、さっき水を口に含んでごっくんと飲み込まずに良かったと、一人安堵していた。
これを話すとまた小言が増えるのが目に見えるから黙っておくことにする。
「アンジュ!聞いているのか!」
「聞いているよ。でも必要があれば飛び降りるって私も言ったはずだよ」
言ったはず。私は今後ワイバーンから飛び降りないなんて言うはずはないもの。
「アンジュ!」
「ルディ。おかけでわかったことがあるから、報告しようか。寒いからどこかの室内に入れないかな?」
「アンジュ。こちらの空き家を使っていいと言われましたよ」
ここに降り立って姿が消えたと思っていたら、神父様は町の中を回っていたらしい。この町に着いてから、人の姿は殆ど見ていない。いや、聖騎士しか見ていないと言える。恐らくその聖騎士から情報を得ていたのだろう。
「それからシュレイン。アンジュがおかしな行動をとるのはいつものことです。以前も言いましたが、行動を押さえるのではなく、理解することですよ」
流石、長年多くの子供達を騎士として育ててきただけはある。こういう寛容さをルディも見習って欲しい。
「それであまりにも馬鹿な行動を取るようなら、甘いものをちらつかせて引き止めればいいのですよ」
「神父様酷い……って『レメリーゼ』のお菓子!」
レメリーゼのお菓子の袋を、どこからとも無く出してきた神父様のところに行って、両手を差し出す。
「シュレインが納得しないようなので、ワイバーンから飛び降りた理由を言ってください」
「報告では海だってあったけど、何を基準にして海って言っているのかわからなくて、突然海水が現れるより、真水の方が理由付けできると思ったから」
「海と同じ波があるからですね」
「……それ大きな湖でも波は起こるよ」
大きな湖でも波が発生するって知らないの?いや、この国にある湖って星が降ってできた穴に水が溜まっただけだから、そこまで大きな湖がないのか。
「これは、これは、海という概念を変えなければならないという意味ですかね?」
「あれ?波があると海というのが普通だった?」
ヤバい。異世界との常識の食い違いが起こってしまっている。そう言えば、この世界で海が塩辛いか飲んでみたことはなかった。波があることが海というならば、琵琶湖は海だ!
「シュレイン。頭ごなしに怒るのではなくて、アンジュは理由無く突拍子もない行動はとりませんから、理由を聞き出しなさい」
神父様はそう言いながら、私に紙袋を渡してくれた。中を見ると白い大きな塊があった。
「シュトーレンだ!これ見ると冬だねって思う。後で切って食べよう」
クリスマスという概念はこの世界は無いけど、菓子屋の親父が冬の名物を作りたいと言ったから、発酵菓子を教えてあげたのだ。
「はぁ……アンジュ。甘いものを見せられると誰にでも手を出すのは危険だからやめろ」
「ルディ。知らない人からはもらわないよ。あっ、ドライフルーツ入りの焼き菓子も入っている」
冬は、保存食を食べることになるから、お菓子もドライフルーツを使うことが多い。
「はぁ……取り敢えず、室内に入ろう。そこにツヴァイ第七部隊長がいるのだろう?」
ルディに連続でため息を吐かれた。
お菓子に罪はない。ならば、食べるべき。
そう言えば第七部隊長の名前を初めて聞いた。ツヴァイというのか。
そして私はルディに抱えられて、一つの建物に連れてこられた。これは私に勝手な行動を起こさせないぞというルディの思惑が感じ取られる。
第七部隊長に初めて会って思ったことが、誰かに似ている気がするだ。いや、正確には会議室の中にいたのだろうけど、私の記憶には残っていない。
だから初めて見たと言っていい。
「来てもらって悪いのだけど、もうどうしようもない状態だから、何もできること無い……はぁ」
目の下のクマが現しているとおり、昼夜問わず現れる異形に対処しきれていない感が酷い。第七部隊長と思われる紫色の髪の男性が怪しい液体が入った鍋をかき回している。
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