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6話 私の幸せは
しおりを挟む「ルーシェ様はバカです」
私は生きていました。おかしいですね。あそこの空間は魔術が使えないように特殊な魔道具を置いていましたから、光の魔術は使えないはずでしたのに。
「聞いていますか?」
「ユーリア。もう5回目です」
私は王宮の一室で療養を言われていますが、右胸に剣が刺さったとは思えないほど、快調なんですけど?別に、日課の訓練ぐらいしてもいいと思います。
「本当に、本当に無理をしないでくださいませ。血だらけで倒れていたルーシェ様を見た瞬間、胸が押しつぶされる思いだったのですからね」
それも5回目です。
どうやらユーリアがお祖母様とお祖父様のところに着いたとき、丁度、聖女様のお披露目の日だったそうです。お祖父様の機転で聖女様に来ていただいて、私の治癒をしてくださったそうなのです。
しかし、そこで聖女様とお祖母様が私の治療の為に取り引きをしたらしく。長期間、国には戻れないことになったそうです。
普通、聖女様って無償で治療を行ってくれないのですか?
「そう言えばヴァレンティーノ殿下とマリアンヌ様はどうなっているのかしら?」
「ルーシェ様。その事は陛下から直接話したいと申されています」
「そう、いつお伺いすればいいのかしら?」
「いいえ、ルーシェ様の体調次第でこちらに来られると」
「じゃ、陛下のご都合がつけば今からでも構わないわ」
「では、そう伝えて参ります」
ユーリアが部屋から出ていき、私は長椅子に座り、部屋から外を眺めます。ここはバラの庭園が見渡せる部屋で、来客用の一室となっているところに私の療養部屋として宛行われたました。
私の処分はどのようになるのでしょうか。しかし、一時の良い夢は見ることができました。私の一撃に耐えることができる人なんて滅多にいません。それを何度も打ち合えるなんてお祖父様ぐらいです。お父様でさえ、私の3撃目で膝を着いてしまうというのに、あの方は何度も剣を交えることができた。
ああ、あの瞬間。窓から月明かりが降り注ぐ、あの空間が私の一番の幸せでした。
コンコンコンコンと扉をノックする音で現実に引き戻されました。
「はい。どうぞ」
ユーリアが扉を開けて入って来て、その後ろから陛下と・・・ラディウス様!左目には眼帯をされています。聖女様に癒やしてもらわなかったのですか?
私は慌てて立ち上がろうとしましたが、陛下にそのままでいいと言われてしまいました。
「今回のことで、幾人かの処分が決まった」
「はい」
「まずはヴァレンティーノだが廃嫡にすることになった。その愛妾であるマリアンヌも同じく籍を抜く。ただ、ヴァレンティーノがマリアンヌを娶った時の誓いは守ってもらうこととなっている」
誓いってあれですか。何があってもマリアンヌと共に一生過ごすというものですか。それはお好きにすればよろしいかと思いますが、マリアンヌの方が守らないかもしれませんね。王族でなくなったヴァレンティーノ殿下は彼女にとって価値があるとは思いません。
「では、私の処分はどのようになりましたか?」
「処分?」
「ええ、陛下のご命令を守ることができませんでした」
私のその言葉に陛下はニヤリと笑いました。何かおかしなことでも言いましたか?
「そうだな。シュトラール王に嫁いでもらおうか」
そうですか。シュトラール王にとつぐ・・・嫁ぐ?え?
ああ、顔がにやけてしまいそうです。私の表情筋よ頑張れ!
「あの、それはどういうことでしょうか?」
陛下はニヤニヤとした顔で私を見ています。
「表向きは、こちらのバカがやらかした賠償の一つとして、王太子妃を嫁がせるということだ」
「表向き・・・裏があると?」
陛下は横に一歩ずれ、私の前にラディウス様が!私の足元に跪いて・・・ああ、この床はきれいなのかしら?ユーリアが掃除をしてくれているはずだけど。
ラディウス様は私の手を取り
「私の妻となってくれないか?ルチルクレシェ。貴女をひと目見た時から貴女をどうすれば手に入れられるか考えていた。因みにこの返事は一つしかない」
はぅー。ルチルクレシェって呼び捨ても捨てがたいですが
「どうか、ルーシェと呼んでくださいませ」
「ルーシェ。返事は?」
「はい。喜んで嫁がせていただきます」
私の幸せはまだ続くようです。
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ここまで読んでいただきましてありがとうございました。
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