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十五、黒を纏うドラゴン
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ここ数日、天候が悪く王国全体を分厚い雲が覆って不吉な雰囲気が漂っていた。私も薬草園の様子を見ながら空を見上げた。隣に立つ祖母も眉をしかめて同じように空を見上げている。
「何だか変な風も吹いてきましたね……」
「そうね。今日は早めにしまいましょう」
祖母もまわりにそう促し、作業の手を早める。私もそれにならって薬草の生育具合を確かめていたら雨粒が目の前に落ちてきた。まだ本降りではないが、これでは作業は続けられないだろう。
「作業は中断しましょう。みんな、片づけに入って……」
祖母の声が途切れた。不思議に思って顔を見上げれば何かを見つめているようだ。その視線をたどれば、暗雲の先で……。
「お祖母様? 雲が何だかおかしいです」
「ヨニ。至急、みなを城内に避難させなさい。ヤロは私と共に来なさい」
「お祖母様どこに……」
険しい顔の祖母はみんなを城内に避難させて、自分はどこへ向かうというのだろうか。私もメーリと一緒に避難するように言われ、ユッカにうながされて城に戻った。
「大奥様は大旦那様の元に向かわれるそうです」
「お祖父様はたしか、ネーベン家との領境にある東の森に向かわれる準備をしているのよね」
「はい、二家合同で魔獣討伐をされる予定です」
城内に避難し窓から外を見れば、まだお昼だというのに夜が近づいたように暗くなっている。打ち付ける雨が激しくなり、こんな状況でも魔獣は討伐しなくてはならない。私はみんなの無事を祈る。
怪我人がたくさん出るかもしれないから傷薬をたくさん準備しておこう。祖母に調合の許可をもらっている薬草を並べ、丁寧に傷薬を作っていく。毎日それを繰り返し、少し寝不足なのをメーリに心配されながら過ごしていたら、城での指揮を任されていた父に東の森での討伐は無事終わったと報告が入った。大きな怪我をした者達はすでに同行した医療班に治療されており、死者を出す事なく終わったようだ。
「よかった……」
一安心と言っていいのだろうか。まだ部隊は帰還していないのでわからないが、死者が出ていなくて幸いだ。それでも傷ついた者達がいるのだから、心配なのは変わらない。
「大旦那様と大奥様が同行されていたので心配などいりませんよ」
「そうです。むしろ大旦那様に出会った魔獣が不運だったというだけです」
イーロもユッカもみんなもそう言うが、私の祖父の方が魔獣より恐ろしいみたいではないか。たしかに騎士団の訓練で祖父は挑んでくる騎士達を千切っては投げと繰り返していたが、そんなまさか……まさかないよね?
妙な事を考えてしまったが、帰還した部隊を出迎えるため外へ向かう。先頭には馬に乗った祖父が見えたので手を振って迎える。
「お祖父さま、お祖母様、みんな!!」
「おぉ! アマリア~、帰ったぞ~!!」
大声で手を振り返してくれる祖父は元気そうだった。隣を馬で並走している祖母も笑っているのできっと大丈夫なのだろう。騎士達も包帯を巻いていたりするが悲壮感は漂ってなどおらず、すでに治療されているのは本当のようだ。
騎士団の訓練広場で隊列を組み、祖父の号令で解散となる。みんなそれぞれ動き出し、祖父母は父と報告のため話し合っている。今回は無事に帰還したが次も無事だという保証はない。待ち続けるのがこんなにもつらい事だなんて思わなかった。もっと私にもできる事はないのだろうかと考えるが、回復術士として修業中の私では部隊に同行はできない。薬師としてもまだ未熟では駄目だろう。やはり地道に積み重ねていくのが近道だ。
暗雲はまだ晴れない。曇り空ばかりだと植物が育たないし、気も滅入ってくる。出来上がった傷薬を騎士団に届け、訓練広場でみんなを眺める。ここにいる時はイーロとユッカも順番に打ち合いをしている。今はユッカの番だ。メーリは先程、イーロが打ち合いをしている時に熱心に見ていた。目がキラキラとしていたのはもしかしてそういう事なの?二人は仲がいいみたいだし、お似合いだと思うけど二人からは報告などはないから片思いなのかな。いや、イーロもなんだか意識しているような気もする。こういう話は何故、自分の事でもないのにドキドキしてしまうのだろうか。私から聞くのも違った時に申し訳ないから、報告してくれるまでは知らないフリをしておこう。こういう時だからか、ちょっとした発見で嬉しくなる。
「ふふふっ」
「お嬢様、どうかされましたか?」
「ううん、なんでもないのよ」
「そうでございますか。でも、お嬢様が楽しそうでようございました」
メーリも私が嬉しそうにしているのを見て、楽しんでいるのだと思ったのだろうか微笑んでくれた。
ふと、北東の方角から何かを感じた。みんなも手を止め、急に慌ただしくなる。
「え?どうしたの?」
「お嬢様!」
「わかりませんが、城内に戻りましょう!」
イーロに急かされメーリも慌てており、ユッカもこちらに駆け寄ろうとしている。その時、近くにあった緊急用の『転移の門』が光りだす。ここは騎士団が移動できるように大きな門が設置されており、急な事に驚き足を止めてしまう。何が起こっているの!?
「ドラゴンが来る! 急ぎ退避せよ!!」
門から飛び出してきたのはフェルン様と騎士の方々で、焦る様に叫んでいる。
「フェルン様? 何故ここに……」
「アマリア嬢!? とにかく今はここから急いで離れてくれ!!」
離れるよう促されるが、どこに行けというのか。いや、今ドラゴンと言わなかっただろうか。
「エドヴァルド様、空が!!」
北東の空が黒く染まっていき、蠢く何かがこちらに近づいて来る。大気が揺れ動き雷鳴が響き渡り、同時に吹き荒れた風が襲い掛かる。
「きゃあぁっっ!!!」
「お嬢様っ!!」
「アマリア嬢! くそっ! 遅かったか!!」
メーリが私を呼ぶ声やまわりが叫ぶ声の中、吹き飛ばされそうになった私をしっかりと腕に抱きしめて守ってくれたのはフェルン様だった。瞑っていた目を開けてまわりを確認すれば、みんな何とか風に飛ばされないように姿勢を低くして耐えている。メーリもイーロに支えられて無事のようだが動けないみたいだ。
「フェルン様、あれは……」
「すまん。もっと早く知らせに来れたなら……」
震える声で尋ねれば、悔しそうに謝ってくださる。
空を闇に包んだあの黒い嵐のようなあれがドラゴンだというのか。あれがこちらにまっすぐ向かって来る。すべてを巻き上げるように吹き荒れる黒い風が、キルッカ領を飲み込んでいく。絶望に突き落とされたように何も考えられない。ただ、私を守るように抱きしめてくださるこの方に縋る事しかできなかった。
「くおらぁぁあぁっっ!! 儂の可愛い孫を怖がらせておるのは貴様かぁぁっ!!!」
耳にビリビリと響く大きな声。それが祖父のものだと認識するのと同時に断末魔のような鳴き声が聞こえ、大地に何かが沈むような轟音と揺れを感じ、そして静まる。
「…………は?」
何が起きているの?未だ抱きしめてくださっているフェルン様に確認したいが、腕が緩む事はない。
「いや、まじかよジジイ……ありえねぇ」
あ、フェルン様は結構口が悪いのですね。
吹き荒れていた風もなくなり、暗かった空も明るくなっている。まわりの状況も見たいが、やはり腕はしっかりと私を抱きしめたままだった。
「何だか変な風も吹いてきましたね……」
「そうね。今日は早めにしまいましょう」
祖母もまわりにそう促し、作業の手を早める。私もそれにならって薬草の生育具合を確かめていたら雨粒が目の前に落ちてきた。まだ本降りではないが、これでは作業は続けられないだろう。
「作業は中断しましょう。みんな、片づけに入って……」
祖母の声が途切れた。不思議に思って顔を見上げれば何かを見つめているようだ。その視線をたどれば、暗雲の先で……。
「お祖母様? 雲が何だかおかしいです」
「ヨニ。至急、みなを城内に避難させなさい。ヤロは私と共に来なさい」
「お祖母様どこに……」
険しい顔の祖母はみんなを城内に避難させて、自分はどこへ向かうというのだろうか。私もメーリと一緒に避難するように言われ、ユッカにうながされて城に戻った。
「大奥様は大旦那様の元に向かわれるそうです」
「お祖父様はたしか、ネーベン家との領境にある東の森に向かわれる準備をしているのよね」
「はい、二家合同で魔獣討伐をされる予定です」
城内に避難し窓から外を見れば、まだお昼だというのに夜が近づいたように暗くなっている。打ち付ける雨が激しくなり、こんな状況でも魔獣は討伐しなくてはならない。私はみんなの無事を祈る。
怪我人がたくさん出るかもしれないから傷薬をたくさん準備しておこう。祖母に調合の許可をもらっている薬草を並べ、丁寧に傷薬を作っていく。毎日それを繰り返し、少し寝不足なのをメーリに心配されながら過ごしていたら、城での指揮を任されていた父に東の森での討伐は無事終わったと報告が入った。大きな怪我をした者達はすでに同行した医療班に治療されており、死者を出す事なく終わったようだ。
「よかった……」
一安心と言っていいのだろうか。まだ部隊は帰還していないのでわからないが、死者が出ていなくて幸いだ。それでも傷ついた者達がいるのだから、心配なのは変わらない。
「大旦那様と大奥様が同行されていたので心配などいりませんよ」
「そうです。むしろ大旦那様に出会った魔獣が不運だったというだけです」
イーロもユッカもみんなもそう言うが、私の祖父の方が魔獣より恐ろしいみたいではないか。たしかに騎士団の訓練で祖父は挑んでくる騎士達を千切っては投げと繰り返していたが、そんなまさか……まさかないよね?
妙な事を考えてしまったが、帰還した部隊を出迎えるため外へ向かう。先頭には馬に乗った祖父が見えたので手を振って迎える。
「お祖父さま、お祖母様、みんな!!」
「おぉ! アマリア~、帰ったぞ~!!」
大声で手を振り返してくれる祖父は元気そうだった。隣を馬で並走している祖母も笑っているのできっと大丈夫なのだろう。騎士達も包帯を巻いていたりするが悲壮感は漂ってなどおらず、すでに治療されているのは本当のようだ。
騎士団の訓練広場で隊列を組み、祖父の号令で解散となる。みんなそれぞれ動き出し、祖父母は父と報告のため話し合っている。今回は無事に帰還したが次も無事だという保証はない。待ち続けるのがこんなにもつらい事だなんて思わなかった。もっと私にもできる事はないのだろうかと考えるが、回復術士として修業中の私では部隊に同行はできない。薬師としてもまだ未熟では駄目だろう。やはり地道に積み重ねていくのが近道だ。
暗雲はまだ晴れない。曇り空ばかりだと植物が育たないし、気も滅入ってくる。出来上がった傷薬を騎士団に届け、訓練広場でみんなを眺める。ここにいる時はイーロとユッカも順番に打ち合いをしている。今はユッカの番だ。メーリは先程、イーロが打ち合いをしている時に熱心に見ていた。目がキラキラとしていたのはもしかしてそういう事なの?二人は仲がいいみたいだし、お似合いだと思うけど二人からは報告などはないから片思いなのかな。いや、イーロもなんだか意識しているような気もする。こういう話は何故、自分の事でもないのにドキドキしてしまうのだろうか。私から聞くのも違った時に申し訳ないから、報告してくれるまでは知らないフリをしておこう。こういう時だからか、ちょっとした発見で嬉しくなる。
「ふふふっ」
「お嬢様、どうかされましたか?」
「ううん、なんでもないのよ」
「そうでございますか。でも、お嬢様が楽しそうでようございました」
メーリも私が嬉しそうにしているのを見て、楽しんでいるのだと思ったのだろうか微笑んでくれた。
ふと、北東の方角から何かを感じた。みんなも手を止め、急に慌ただしくなる。
「え?どうしたの?」
「お嬢様!」
「わかりませんが、城内に戻りましょう!」
イーロに急かされメーリも慌てており、ユッカもこちらに駆け寄ろうとしている。その時、近くにあった緊急用の『転移の門』が光りだす。ここは騎士団が移動できるように大きな門が設置されており、急な事に驚き足を止めてしまう。何が起こっているの!?
「ドラゴンが来る! 急ぎ退避せよ!!」
門から飛び出してきたのはフェルン様と騎士の方々で、焦る様に叫んでいる。
「フェルン様? 何故ここに……」
「アマリア嬢!? とにかく今はここから急いで離れてくれ!!」
離れるよう促されるが、どこに行けというのか。いや、今ドラゴンと言わなかっただろうか。
「エドヴァルド様、空が!!」
北東の空が黒く染まっていき、蠢く何かがこちらに近づいて来る。大気が揺れ動き雷鳴が響き渡り、同時に吹き荒れた風が襲い掛かる。
「きゃあぁっっ!!!」
「お嬢様っ!!」
「アマリア嬢! くそっ! 遅かったか!!」
メーリが私を呼ぶ声やまわりが叫ぶ声の中、吹き飛ばされそうになった私をしっかりと腕に抱きしめて守ってくれたのはフェルン様だった。瞑っていた目を開けてまわりを確認すれば、みんな何とか風に飛ばされないように姿勢を低くして耐えている。メーリもイーロに支えられて無事のようだが動けないみたいだ。
「フェルン様、あれは……」
「すまん。もっと早く知らせに来れたなら……」
震える声で尋ねれば、悔しそうに謝ってくださる。
空を闇に包んだあの黒い嵐のようなあれがドラゴンだというのか。あれがこちらにまっすぐ向かって来る。すべてを巻き上げるように吹き荒れる黒い風が、キルッカ領を飲み込んでいく。絶望に突き落とされたように何も考えられない。ただ、私を守るように抱きしめてくださるこの方に縋る事しかできなかった。
「くおらぁぁあぁっっ!! 儂の可愛い孫を怖がらせておるのは貴様かぁぁっ!!!」
耳にビリビリと響く大きな声。それが祖父のものだと認識するのと同時に断末魔のような鳴き声が聞こえ、大地に何かが沈むような轟音と揺れを感じ、そして静まる。
「…………は?」
何が起きているの?未だ抱きしめてくださっているフェルン様に確認したいが、腕が緩む事はない。
「いや、まじかよジジイ……ありえねぇ」
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