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ジェイジェイ
――神の世界に行く三週間前。
ギラギラと日差しが照りつける雲ひとつない快晴の朝、ジェラールは大勢の民衆の前で神の世界に行くことを発表した。
皆驚きはしたが多くは皇帝が神の世界に行くことを名誉なことと考えた。
自分たちを見捨てたと非難した民には、エルネストが自分を信じて着いてきてほしいと言うしかなかった。
貴族たちは神の世界へ行く皇帝に一時でも仕えられたことに感謝し、これまで通り民の為の政治を行うと約束した。
前皇帝は皇太后が話しかけても何も反応しなくなるほど気を落とし、皇太后も寂しがりはしたが、それが彼の幸せであり、エルネストが皇位につくならばと門出を祝うことにした。
アランはどうしてもっと前に教えてくれなかったのかと悲しみ延々と泣いて、リックはこれまでのことを深く感謝して立派な歴史学者となって恩返しをすると誓った。
―― 三日前。
エルネストの即位式が無事に終わってひと安心したジェラールは馬小屋にいるジェイジェイの頭を撫でている。
「お前と離れるのは寂しいが、これからはエルネストがお前を大事にしてくれる。あいつには神殿まで散歩に連れて行くように言っておくよ。これまで長い間本当にありがとう」
『とても寂しいですがどうかお元気で』
ジェイジェイは涙を流しながらジェラールに顔を擦りつけた。
ジェラールも、これまでのことを思うと感慨深い。
彼に“ジェイジェイ”と名付けたのはジェラールだ。
ふと同じ名前の前世の愛馬への懐かしさが込み上げてきた。
そんな風に思ったのも偶然なのだろうか。
次にお別れを言いに行ったジュリアから、自分はジェロモン皇帝の愛馬、ジェイジェイの生まれ変わりだと告白された。
百年前の事を知っているのだから嘘でないことはわかる。
しかしジェラールは、どうして自分がジェロモンの生まれ変わりだと知っているのか、その理由を尋ねた。
『オーラです』
「オーラが見えるのか? ジェイジェイが見えていたのは思い出したが、お前もそうだなんて凄いな」
ジュリアはジェラールと意思疎通ができるようになった頃、彼のオーラの中にジェロモン皇帝のオーラの痕跡が現れ出したのが見えた。
今は前世のオーラもはっきりしていて、ジェラールのオーラがそれを覆うように輝いているという。
「じゃあ俺のオーラは何色だ?」
『白く輝く銀色です。他の人間よりも大きくて、強い。今は金色から黄緑色のグラデーションがその内側で輝いていて、それがジェロモン皇帝のオーラです』
「へえ、魂が同じでも人間が違うとオーラの色は違うんだな。そうか、ありがとう。自分のオーラをお前から教えてもらうなんて、引き取った時は思いもよらなかったな」
『あの時見つけてもらったのは本当に幸運でした』
それで話は終わらなかった。
『私は寿命を終えたあと大地の神の世界に転生したのですが、アルマン神の導きでこの世界に再び転生することができました』
「アルマン神の導き? まさか俺がお前を助けたのは偶然ではなかったのか?」
『それは偶然です』
「だよな。神は人間の世界に介入しないから。……でもどうして神が……」
なぜ神がジェイジェイの転生に介入したのだろうか。
なんらかの介入をするとしたらコラリーヌの為だと思うが……と、ジェラールは首をひねる。
『神はこの時代にジェロモン皇帝の生まれ変わりがいることを教えてくれただけです』
「ん? お前は俺に会うために転生したのか?」
『はい。私は生まれた時から前世の記憶を持っていて、ジェラール様の記憶が蘇る時を待っていました。私はジェノワー様とレリアン様の言葉を伝えるために転生したのです』
「なんだって!?」
驚きと共に“彼女の願いは半分叶ったも同然だ”というマルセラン神の言葉が頭を過った。
これまでは半分叶った彼女の願いはジェラールとエレンが出会ったことで、残りが一緒になることだとジェラールは思っていた。
そうではなく、残りの半分はジュリアが握っているのだとしたらアルマン神がジェイジェイの転生に介入した理由も納得がいく。
「教えてくれ、ジュリア。二人の言葉を」
ギラギラと日差しが照りつける雲ひとつない快晴の朝、ジェラールは大勢の民衆の前で神の世界に行くことを発表した。
皆驚きはしたが多くは皇帝が神の世界に行くことを名誉なことと考えた。
自分たちを見捨てたと非難した民には、エルネストが自分を信じて着いてきてほしいと言うしかなかった。
貴族たちは神の世界へ行く皇帝に一時でも仕えられたことに感謝し、これまで通り民の為の政治を行うと約束した。
前皇帝は皇太后が話しかけても何も反応しなくなるほど気を落とし、皇太后も寂しがりはしたが、それが彼の幸せであり、エルネストが皇位につくならばと門出を祝うことにした。
アランはどうしてもっと前に教えてくれなかったのかと悲しみ延々と泣いて、リックはこれまでのことを深く感謝して立派な歴史学者となって恩返しをすると誓った。
―― 三日前。
エルネストの即位式が無事に終わってひと安心したジェラールは馬小屋にいるジェイジェイの頭を撫でている。
「お前と離れるのは寂しいが、これからはエルネストがお前を大事にしてくれる。あいつには神殿まで散歩に連れて行くように言っておくよ。これまで長い間本当にありがとう」
『とても寂しいですがどうかお元気で』
ジェイジェイは涙を流しながらジェラールに顔を擦りつけた。
ジェラールも、これまでのことを思うと感慨深い。
彼に“ジェイジェイ”と名付けたのはジェラールだ。
ふと同じ名前の前世の愛馬への懐かしさが込み上げてきた。
そんな風に思ったのも偶然なのだろうか。
次にお別れを言いに行ったジュリアから、自分はジェロモン皇帝の愛馬、ジェイジェイの生まれ変わりだと告白された。
百年前の事を知っているのだから嘘でないことはわかる。
しかしジェラールは、どうして自分がジェロモンの生まれ変わりだと知っているのか、その理由を尋ねた。
『オーラです』
「オーラが見えるのか? ジェイジェイが見えていたのは思い出したが、お前もそうだなんて凄いな」
ジュリアはジェラールと意思疎通ができるようになった頃、彼のオーラの中にジェロモン皇帝のオーラの痕跡が現れ出したのが見えた。
今は前世のオーラもはっきりしていて、ジェラールのオーラがそれを覆うように輝いているという。
「じゃあ俺のオーラは何色だ?」
『白く輝く銀色です。他の人間よりも大きくて、強い。今は金色から黄緑色のグラデーションがその内側で輝いていて、それがジェロモン皇帝のオーラです』
「へえ、魂が同じでも人間が違うとオーラの色は違うんだな。そうか、ありがとう。自分のオーラをお前から教えてもらうなんて、引き取った時は思いもよらなかったな」
『あの時見つけてもらったのは本当に幸運でした』
それで話は終わらなかった。
『私は寿命を終えたあと大地の神の世界に転生したのですが、アルマン神の導きでこの世界に再び転生することができました』
「アルマン神の導き? まさか俺がお前を助けたのは偶然ではなかったのか?」
『それは偶然です』
「だよな。神は人間の世界に介入しないから。……でもどうして神が……」
なぜ神がジェイジェイの転生に介入したのだろうか。
なんらかの介入をするとしたらコラリーヌの為だと思うが……と、ジェラールは首をひねる。
『神はこの時代にジェロモン皇帝の生まれ変わりがいることを教えてくれただけです』
「ん? お前は俺に会うために転生したのか?」
『はい。私は生まれた時から前世の記憶を持っていて、ジェラール様の記憶が蘇る時を待っていました。私はジェノワー様とレリアン様の言葉を伝えるために転生したのです』
「なんだって!?」
驚きと共に“彼女の願いは半分叶ったも同然だ”というマルセラン神の言葉が頭を過った。
これまでは半分叶った彼女の願いはジェラールとエレンが出会ったことで、残りが一緒になることだとジェラールは思っていた。
そうではなく、残りの半分はジュリアが握っているのだとしたらアルマン神がジェイジェイの転生に介入した理由も納得がいく。
「教えてくれ、ジュリア。二人の言葉を」
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