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それから(二)最終回
皇宮の一角にある祭殿の壇上に新郎と新婦が立った。
壇上の奥には海の神と大地の神の大きな彫像が祀られている。
その前で、二人はお互いの愛を宣誓する。
それを一番前で座って見ているジェラールがエレンに言った。
「あの宣誓は、それぞれが考えた言葉なんだよ。だから人によって違うんだ」
「まぁ、そうだったの。とても感動的だわ。でも考えるのは大変よね。私だったらとても無理。こんな大勢の前で発表しなきゃならないんだもの、変なことは言えないし」
「君が大変だと思ったならきっと俺が君の分も考えていたよ」
「ふふふ、ありがとう」
「はぁ。兄上は相変わらずエレンさんに甘々だな」
式の終わりを告げる鐘の音が街に鳴り響いた。
初夏の空には小鳥たちが飛び交い、脇道に置かれた木箱の上で眠っていた猫が起きて伸びをした。
その横では犬が前足をクロスさせ落ち着いた様子で座っている。
街の喧騒はどこ吹く風だ。
パレードに行く二人を見送ったエレンとジェラールはジュリアに会いに行った。
本当はジェイジェイにも会いたかったが一昨年老衰で亡くなったという。
ジュリアはジェラールを見つけると興奮して嬉しそうにオキーオキーと鳴いた。
結構な年だが元気そうだ。
エレンはジュリアを見るなりなんて可愛いロバなのと頭を撫で回した。
「ところでお前は知っているかなぁ」
『なんでしょう?』
「レリアンが持っていた大地の神のコーラルカメオを見たことあるか? 結婚した時ジェロモンの母親があげたものだ」
『コーラルカメオのブローチなら見たことあります。夫婦で出かける時などつけておりましたよ』
「それって白っぽい薄いピンクの?」
『そうですね』
「ああ、やっぱりそうか。不思議な縁もあるもんだな……」
ジェラールがアレットとマクシミリアンの縁をしみじみと感じていると、気付いたらエレンの姿が見えない。
軽く見回したら彼女は馬小屋の近くでしゃがんでいた。
後ろからそっと近づくと、そこには五つの小さな墓標があった。
ジェラールは彼女の肩をポンとたたいた。
「ねえ、この子たちは幸せな人生だったわね」
「そうだな。セシールは動物が好きじゃなかったんだが最終的には仲良くなったみたいでびっくりだよ」
「今はウサギを七匹飼っているって」
それを言う時セシールは自慢げに“七匹”と強調した。
「エルネストが言うにはセシールは奇数に美を見出すみたいなんだ。中でも一と自分自身でしか割れない数がお気に入りみたいだ」
「私にはよくわからないけど、セシール様がそう仰るならきっと美しいんでしょうね」
「彼女は昔からちょっと変わっていたからな」
「でもセシール様が今大学の学長をなさっているなんて、凄いわ。時代も変わったのね」
「あの大学は彼女が心血を注いでいたからなぁ」
「おい、来たぞ! 皇帝と平民出身の皇后だ!」
通りをゆっくりと進む四頭立ての馬車の上で、マクシミリアンが震えるアレットの手をそっと握り締めた。
彼は子どもの頃からずっと目標にしていたこの日を愛する者と迎えることが出来て感無量だ。
自分たちを祝福する民を前に、この帝国にさらなる繁栄をもたらすことを心の中で改めて誓った。
そして何より今日は両親と生まれて初めて会った日。
これまでのことが思い出される。
彼は三歳の時に自分の生まれた意味と役割をマルセラン神から教えられた。
とてもびっくりしたが、それを胸に刻んで立派な人間になろうと誓った。
そしてマクシミリアンは三歳にして知っていた。
本当の両親が海の神の世界にいるということを。
赤ん坊の頃から持っている、金銀の粒が美しい白い楕円形の石から教えてもらったのだ。
それはエレンのペンダントだ。
彼の特別な能力は動物、そして鉱石と意思疎通ができる能力だった。
実子ではない事を知っていたという事を皇帝と皇后に告げたのは彼が十歳の時で、二人は彼が大人になるまで言わないことにしていてそれを隠し通せていると思っていただけにびっくりした。
知っていたのに会いたいと言って泣いたりしていなかった彼を、さすが他の子どもとは違うと周りは増々神聖視した。
彼にとってそれは自分の言動が正しいことを意味していた。
だから会いたいとか寂しいとか、子どもっぽい本当の気持ちを出したらいけない。
皇帝と皇后が心配しないように立派でいようと努力した。
マクシミリアンはそうやって成長していき、自分でも本当の両親のことなどなんとも思わなくなったはずだったが――。
今日、彼は両親に会って胸が燃えるように熱くなって幼い子どものように声を出して泣きたくなってしまった。
それをギリギリのところで我慢した。
そんな感情が自分には残っていたのかと、自分がおかしくて彼はアレットの顔を見た。
自分は皇后になることに大きな不安を抱いているこの女性の夫であり帝国の皇帝なのだからしっかりしなくてはいけないと、今一度胸に刻むように。
アレットは両親を四歳で亡くしてその後たった一人で花売りをしていた所をマクシミリアンの祖母に庭の花の水遣り係りとして拾われた。
平民に対して愛情があまりない祖母だったが、さすがに見るに見かねての事だった。
マクシミリアンとアレットは子どもの頃にそこで出会い、仲良くなっていったのだ。
「マックス様、明日も元皇帝陛下の離宮に遊びに行くのなら、早く寝ないといけませんよ」
「うん、そうだね! ねえねえウージェニー、母上のお話して」
「ふふふ。またですか。マックス様がこんなにお母君の話を聞きたがっているなんて、誰が想像できましょう」
「二人だけの秘密だよ! あ、違う。アレットも知ってるよ」
「そうでございますか」
「早く早く!」
「はいはい。ではベッドにお入りになってください」
「ふっ」
「マック、どうしたの?」
「いや……、ちょっと昔を思い出してね」
マクシミリアンは俄かに立ち上がった。
そして民衆に向かって大きく手を振ると、ひときわ大きな歓声が上がった。
再び神殿に入ることが出来る皇帝の誕生。
これまでも悪くは無かったが、民衆の今度の皇帝への期待はそれ以上に大きい。
マクシミリアン皇帝を見ながら男が小さく呟いた。
「なんだか新しい時代の幕開けって感じがするなぁ」
終わり
壇上の奥には海の神と大地の神の大きな彫像が祀られている。
その前で、二人はお互いの愛を宣誓する。
それを一番前で座って見ているジェラールがエレンに言った。
「あの宣誓は、それぞれが考えた言葉なんだよ。だから人によって違うんだ」
「まぁ、そうだったの。とても感動的だわ。でも考えるのは大変よね。私だったらとても無理。こんな大勢の前で発表しなきゃならないんだもの、変なことは言えないし」
「君が大変だと思ったならきっと俺が君の分も考えていたよ」
「ふふふ、ありがとう」
「はぁ。兄上は相変わらずエレンさんに甘々だな」
式の終わりを告げる鐘の音が街に鳴り響いた。
初夏の空には小鳥たちが飛び交い、脇道に置かれた木箱の上で眠っていた猫が起きて伸びをした。
その横では犬が前足をクロスさせ落ち着いた様子で座っている。
街の喧騒はどこ吹く風だ。
パレードに行く二人を見送ったエレンとジェラールはジュリアに会いに行った。
本当はジェイジェイにも会いたかったが一昨年老衰で亡くなったという。
ジュリアはジェラールを見つけると興奮して嬉しそうにオキーオキーと鳴いた。
結構な年だが元気そうだ。
エレンはジュリアを見るなりなんて可愛いロバなのと頭を撫で回した。
「ところでお前は知っているかなぁ」
『なんでしょう?』
「レリアンが持っていた大地の神のコーラルカメオを見たことあるか? 結婚した時ジェロモンの母親があげたものだ」
『コーラルカメオのブローチなら見たことあります。夫婦で出かける時などつけておりましたよ』
「それって白っぽい薄いピンクの?」
『そうですね』
「ああ、やっぱりそうか。不思議な縁もあるもんだな……」
ジェラールがアレットとマクシミリアンの縁をしみじみと感じていると、気付いたらエレンの姿が見えない。
軽く見回したら彼女は馬小屋の近くでしゃがんでいた。
後ろからそっと近づくと、そこには五つの小さな墓標があった。
ジェラールは彼女の肩をポンとたたいた。
「ねえ、この子たちは幸せな人生だったわね」
「そうだな。セシールは動物が好きじゃなかったんだが最終的には仲良くなったみたいでびっくりだよ」
「今はウサギを七匹飼っているって」
それを言う時セシールは自慢げに“七匹”と強調した。
「エルネストが言うにはセシールは奇数に美を見出すみたいなんだ。中でも一と自分自身でしか割れない数がお気に入りみたいだ」
「私にはよくわからないけど、セシール様がそう仰るならきっと美しいんでしょうね」
「彼女は昔からちょっと変わっていたからな」
「でもセシール様が今大学の学長をなさっているなんて、凄いわ。時代も変わったのね」
「あの大学は彼女が心血を注いでいたからなぁ」
「おい、来たぞ! 皇帝と平民出身の皇后だ!」
通りをゆっくりと進む四頭立ての馬車の上で、マクシミリアンが震えるアレットの手をそっと握り締めた。
彼は子どもの頃からずっと目標にしていたこの日を愛する者と迎えることが出来て感無量だ。
自分たちを祝福する民を前に、この帝国にさらなる繁栄をもたらすことを心の中で改めて誓った。
そして何より今日は両親と生まれて初めて会った日。
これまでのことが思い出される。
彼は三歳の時に自分の生まれた意味と役割をマルセラン神から教えられた。
とてもびっくりしたが、それを胸に刻んで立派な人間になろうと誓った。
そしてマクシミリアンは三歳にして知っていた。
本当の両親が海の神の世界にいるということを。
赤ん坊の頃から持っている、金銀の粒が美しい白い楕円形の石から教えてもらったのだ。
それはエレンのペンダントだ。
彼の特別な能力は動物、そして鉱石と意思疎通ができる能力だった。
実子ではない事を知っていたという事を皇帝と皇后に告げたのは彼が十歳の時で、二人は彼が大人になるまで言わないことにしていてそれを隠し通せていると思っていただけにびっくりした。
知っていたのに会いたいと言って泣いたりしていなかった彼を、さすが他の子どもとは違うと周りは増々神聖視した。
彼にとってそれは自分の言動が正しいことを意味していた。
だから会いたいとか寂しいとか、子どもっぽい本当の気持ちを出したらいけない。
皇帝と皇后が心配しないように立派でいようと努力した。
マクシミリアンはそうやって成長していき、自分でも本当の両親のことなどなんとも思わなくなったはずだったが――。
今日、彼は両親に会って胸が燃えるように熱くなって幼い子どものように声を出して泣きたくなってしまった。
それをギリギリのところで我慢した。
そんな感情が自分には残っていたのかと、自分がおかしくて彼はアレットの顔を見た。
自分は皇后になることに大きな不安を抱いているこの女性の夫であり帝国の皇帝なのだからしっかりしなくてはいけないと、今一度胸に刻むように。
アレットは両親を四歳で亡くしてその後たった一人で花売りをしていた所をマクシミリアンの祖母に庭の花の水遣り係りとして拾われた。
平民に対して愛情があまりない祖母だったが、さすがに見るに見かねての事だった。
マクシミリアンとアレットは子どもの頃にそこで出会い、仲良くなっていったのだ。
「マックス様、明日も元皇帝陛下の離宮に遊びに行くのなら、早く寝ないといけませんよ」
「うん、そうだね! ねえねえウージェニー、母上のお話して」
「ふふふ。またですか。マックス様がこんなにお母君の話を聞きたがっているなんて、誰が想像できましょう」
「二人だけの秘密だよ! あ、違う。アレットも知ってるよ」
「そうでございますか」
「早く早く!」
「はいはい。ではベッドにお入りになってください」
「ふっ」
「マック、どうしたの?」
「いや……、ちょっと昔を思い出してね」
マクシミリアンは俄かに立ち上がった。
そして民衆に向かって大きく手を振ると、ひときわ大きな歓声が上がった。
再び神殿に入ることが出来る皇帝の誕生。
これまでも悪くは無かったが、民衆の今度の皇帝への期待はそれ以上に大きい。
マクシミリアン皇帝を見ながら男が小さく呟いた。
「なんだか新しい時代の幕開けって感じがするなぁ」
終わり
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