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最終章 命を救う魔剣
クリーヴの決断
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***クリーヴ
僕には三さいのいもうとがいる。
なまえはアベリア。
アベリアはお父さまのくろかみと、お母さまのピンク色の目をしている。
でも僕はぎんいろのかみと青い目でどちらにもにていない。
どうしてだろう。
僕はゆうきを出してお母さまにきくことにした。
そしたら僕のほんとうのお父さまはカラスティアの国王だと言われた。
しんじられない。
お父さまがお父さまじゃなかった!
へやにもどったらそれまでがまんしていた涙がどっと出てきた。
よくかんがえたら、ラミアおねえちゃんはたにんてことだ。
お母さまがあとからへやに入ってきて、お父さまは僕を本当のむすこのように愛していると言ってなぐさめてくれた。
安心したら、こんどはドキドキしてきた。
だってほんとうのお父さまは“ダキアごっこのえいゆうロータス国王”なんだから!
ダキアごっこではいちばん黒っぽいえだをもっている子がいちばん強くて、たたかったら黒っぽいえだの子に負けなきゃいけないきまりがある。
ぼくはまだかったことがない。
でもお父さまがロータス国王なんて、ぼくがいちばんすごくないか?
ともだちにじまんしたいけど、お母さまにだれにも言ったらいけないって言われちゃった。
次の日お父さまに、ロータス国王にてがみを書いてみるか? って言われた。
おてがみセットをカトリがもってきてくれて、いちばんかっこいいうまの絵がかいてあるびんせんをえらんだ。
『ロータス国王へいかへ
僕はクリーヴです。六さいです。……』
なんて書いたらいいかわからなくてこまっていたら、なんでもいいからその日にあったことでも書いてみたらとラミアおねえちゃんが言ったのでそうすることにした。
それからずっとロータスお父さまとぶんつうがつづいている。
僕は八歳になった。
「お母様、ロータスお父様からあそびに来ないかって手紙が来ました」
夕ごはんのテーブルで僕がうれしそうにそう言うと、お母様の顔が少し暗くなった。
なんかわるいこと言ったかな。
お母様はナイフとフォークをテーブルに置いて、ほほえんでいるんだけどなんとなく悲しそうな顔をして言った。
「……行きたいの?」
お母様がそんな顔をするから「はい!」って言えない。
行ってほしくないんだ。
うつむいてだまっていたら、お父様がお母様のかたをなでた。
「そうね……。社会見学がてらカラスティアに行ってみるのもいいわね」
「いいんですか」
「ええ。マリウスと一緒なら安心だけど」
「え、僕も?」
「嫌じゃなければね。なんてったってロータスの所だし……」
「僕はもう平気です。いくつだと思ってるんですか、十九ですよ」
「いいなー、私も行きたい」
「ラミアは駄目だ」
「けちー」
そうして僕はマリウスお兄ちゃんと一緒にカラスティアとサントリナを行き来するようになった。
カラスティアにいる間、僕たちは家では教えてもらえない剣術をなんとダキアのメンバーから習っているんだ。
お父さまはすっごくやさしくて、魔法の武具が置いてある保管室まで見せてくれて、僕はかんげきした。
さわらせてはもらえなかったけど、それでもじゅうぶんだ。
そして十三歳になった頃には、いつのまにか家よりもカラスティアの王宮にいる期間の方が長くなっていた。
***クリビア
カラスティアから帰って来たクリーヴを夫婦の部屋に呼んだ。
「あなた、ロータス国王から養子にならないかって言われているんでしょう?」
「……ご存知でしたか」
「私にも話があったのよ。本当の息子なのに養子なんて変な話だけど、あなたは戸籍上はランスの息子だからね。ロータス国王は今後王妃を迎える気は無いみたいだから、跡継ぎが必要らしいのよ」
「……」
「迷っているのは気付いていたわ。行きたいんでしょう?」
クリーヴは俯いて黙りこくった。
彼はランスの跡を継いで医師になるのが自分の道だと子どもの頃から思っていたから、裏切ることになるのではと遠慮しているに違いない。
「クリーヴ、医院のことは気にする必要は無い。私はお前に無理やり跡を継がせようとは思っていないよ」
優しくそう言われたクリーヴの肩がビクッと揺れた。
「でも……」
人には向き不向きというのがある。ロータスの血を色濃く受け継いでいるクリーヴは、やはり国王としての器を持って生まれたとしか言いようのないくらい行動力や弱者への思いやりが備わっている。
離れるのは寂しいけど、彼の能力が思う存分発揮できる場所へ送ることも親の務めだ。
「いいか、カラスティアへ行くという事はあの広大な国の国王になるという事だ。お前にその覚悟はあるか」
私にはランスのその言葉がクリーヴの進む道を後押ししているように聞こえた。
彼は本当にクリーヴの父親なのだ。
クリーヴは暫く考えた後、パッと顔を上げて答えた。
「お父様、お母様。僕は国王になってカラスティアでやりたいことがあります!」
なんだ、すでにやりたいことがあるのね。
キラキラ輝く彼の瞳から、未来を見据えた強い意志を感じた。
私とランスは見つめ合って微笑み、彼を送り出す決心をした。
ガルシア神よ。
私が手放さないと言ってもあの子はきっと自分の意志で私の手から離れて行ったでしょう。
私は彼の意志を尊重します。
そして陰ながら応援します。
……ロータス。
クリーヴをお願いね。
僕には三さいのいもうとがいる。
なまえはアベリア。
アベリアはお父さまのくろかみと、お母さまのピンク色の目をしている。
でも僕はぎんいろのかみと青い目でどちらにもにていない。
どうしてだろう。
僕はゆうきを出してお母さまにきくことにした。
そしたら僕のほんとうのお父さまはカラスティアの国王だと言われた。
しんじられない。
お父さまがお父さまじゃなかった!
へやにもどったらそれまでがまんしていた涙がどっと出てきた。
よくかんがえたら、ラミアおねえちゃんはたにんてことだ。
お母さまがあとからへやに入ってきて、お父さまは僕を本当のむすこのように愛していると言ってなぐさめてくれた。
安心したら、こんどはドキドキしてきた。
だってほんとうのお父さまは“ダキアごっこのえいゆうロータス国王”なんだから!
ダキアごっこではいちばん黒っぽいえだをもっている子がいちばん強くて、たたかったら黒っぽいえだの子に負けなきゃいけないきまりがある。
ぼくはまだかったことがない。
でもお父さまがロータス国王なんて、ぼくがいちばんすごくないか?
ともだちにじまんしたいけど、お母さまにだれにも言ったらいけないって言われちゃった。
次の日お父さまに、ロータス国王にてがみを書いてみるか? って言われた。
おてがみセットをカトリがもってきてくれて、いちばんかっこいいうまの絵がかいてあるびんせんをえらんだ。
『ロータス国王へいかへ
僕はクリーヴです。六さいです。……』
なんて書いたらいいかわからなくてこまっていたら、なんでもいいからその日にあったことでも書いてみたらとラミアおねえちゃんが言ったのでそうすることにした。
それからずっとロータスお父さまとぶんつうがつづいている。
僕は八歳になった。
「お母様、ロータスお父様からあそびに来ないかって手紙が来ました」
夕ごはんのテーブルで僕がうれしそうにそう言うと、お母様の顔が少し暗くなった。
なんかわるいこと言ったかな。
お母様はナイフとフォークをテーブルに置いて、ほほえんでいるんだけどなんとなく悲しそうな顔をして言った。
「……行きたいの?」
お母様がそんな顔をするから「はい!」って言えない。
行ってほしくないんだ。
うつむいてだまっていたら、お父様がお母様のかたをなでた。
「そうね……。社会見学がてらカラスティアに行ってみるのもいいわね」
「いいんですか」
「ええ。マリウスと一緒なら安心だけど」
「え、僕も?」
「嫌じゃなければね。なんてったってロータスの所だし……」
「僕はもう平気です。いくつだと思ってるんですか、十九ですよ」
「いいなー、私も行きたい」
「ラミアは駄目だ」
「けちー」
そうして僕はマリウスお兄ちゃんと一緒にカラスティアとサントリナを行き来するようになった。
カラスティアにいる間、僕たちは家では教えてもらえない剣術をなんとダキアのメンバーから習っているんだ。
お父さまはすっごくやさしくて、魔法の武具が置いてある保管室まで見せてくれて、僕はかんげきした。
さわらせてはもらえなかったけど、それでもじゅうぶんだ。
そして十三歳になった頃には、いつのまにか家よりもカラスティアの王宮にいる期間の方が長くなっていた。
***クリビア
カラスティアから帰って来たクリーヴを夫婦の部屋に呼んだ。
「あなた、ロータス国王から養子にならないかって言われているんでしょう?」
「……ご存知でしたか」
「私にも話があったのよ。本当の息子なのに養子なんて変な話だけど、あなたは戸籍上はランスの息子だからね。ロータス国王は今後王妃を迎える気は無いみたいだから、跡継ぎが必要らしいのよ」
「……」
「迷っているのは気付いていたわ。行きたいんでしょう?」
クリーヴは俯いて黙りこくった。
彼はランスの跡を継いで医師になるのが自分の道だと子どもの頃から思っていたから、裏切ることになるのではと遠慮しているに違いない。
「クリーヴ、医院のことは気にする必要は無い。私はお前に無理やり跡を継がせようとは思っていないよ」
優しくそう言われたクリーヴの肩がビクッと揺れた。
「でも……」
人には向き不向きというのがある。ロータスの血を色濃く受け継いでいるクリーヴは、やはり国王としての器を持って生まれたとしか言いようのないくらい行動力や弱者への思いやりが備わっている。
離れるのは寂しいけど、彼の能力が思う存分発揮できる場所へ送ることも親の務めだ。
「いいか、カラスティアへ行くという事はあの広大な国の国王になるという事だ。お前にその覚悟はあるか」
私にはランスのその言葉がクリーヴの進む道を後押ししているように聞こえた。
彼は本当にクリーヴの父親なのだ。
クリーヴは暫く考えた後、パッと顔を上げて答えた。
「お父様、お母様。僕は国王になってカラスティアでやりたいことがあります!」
なんだ、すでにやりたいことがあるのね。
キラキラ輝く彼の瞳から、未来を見据えた強い意志を感じた。
私とランスは見つめ合って微笑み、彼を送り出す決心をした。
ガルシア神よ。
私が手放さないと言ってもあの子はきっと自分の意志で私の手から離れて行ったでしょう。
私は彼の意志を尊重します。
そして陰ながら応援します。
……ロータス。
クリーヴをお願いね。
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