上 下
1 / 2

プロローグ

しおりを挟む
地獄のような暑さだった夏がようやく終わり、秋の風を感じるようになった満月の夜。

オレはいつものように10万円で購入した傷だらけの軽自動車を駐車場に停め、半額弁当の入ったレジ袋を手にぶら下げて、74歳の母と一緒に暮らしている築40年以上も経つ平屋のボロアパートに向かってトボトボ歩く。

薄暗い路地には隣りのババアが放し飼いをしている数匹の猫が我が物顔で辺りをうろつき、ところ構わず糞尿を撒き散らしていて心底うんざりする。
しおりを挟む

処理中です...