欺瞞と嘘と虚偽と白旗

ライム(こげ茶)

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欺瞞と嘘と虚偽と白旗

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春の雪解け前、攻防は一進一退。先の見えない戦いに兵士達の士気は上がらず戦果も出せないでいた。

泥と血に汚れた軍服の替えもなく、寒さを凌ぐための防寒具も足りていない。食べる物はもっと悲惨な有様だ。
戦車などとうの昔に使い果たした

そんなことお構いなしに上は前進しろと言ってくる。人間を適当なエサだけ与えておけば育つ家畜か何かとでも思っているのだろう。でなければこんな無茶苦茶なことを立案し実行させはしない。

「………やめさせろ」

「え?何をです」

「突撃をやめさせろ!」

「ですが今攻めなければ占領地を増やすチャンスがなくなり…」

聞き分けのよくない部下に苛立った私は更に声を荒げた

「いいから!
今すぐに!
突撃をやめさせろ!!」

「同志大佐了解であります」

慌てて突撃をやめさせる部下を苦々しく思いながら私は作戦に使う地図を見た。

地図には我が軍が抑えた兄弟国の領土に色がつけられていた。兄弟国、聞こえはいいが勝手にこちらがそう思っているだけにすぎない。

向こうからすればただの敵だ

この侵攻に意味などない。
あまりに犠牲が多すぎた。人、物、金、兵器あらゆるものが大量に消費され我々はジリ貧だ。

前線に移動する兵士は戦車や装甲車もなく馬や徒歩で移動している者もいる。こんなことをして勝機などあるはずがない。敵の的になるだけだ。
そこまで恥を晒しながら戦うことになんの意味がある?

「もう耐えられない限界だ」
頭から額からとめどなく溢れる冷や汗を手で拭う。身体は五体満足でも心が限界だった。

「同志大佐?」

「投降しよう、白旗はあるな」
その言葉に安堵した表情を部下は見せた。
ありありとようやく休めるという態度だった。督戦隊の者は少し前皆、突撃させて消耗してやったから投降を見張る厄介な者もいない。


他の将校のように司令部や安全な場所から指示を出しているだけではわからない戦場の現実を見れば戦意を喪うことは容易にわかるだろうに…
上の連中はいまだそれを知らないフリをしている。私はその現実をまざまざと見せつけられ深く絶望したのであった、

おわり
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