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僕の天使には羽がない 5
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一度懐に入った人には、気を許すのだろうか。
あれから大翔の呼びかけに湊は少しずつ変化があった。
次の日から目を合わせる、小さく会釈をする……よく見ていないとわからないような変化だけど、大翔はそれでも嬉しくてしょうがなかった。
そして昨日は小さく手を振り返してくれた。
まるでゲームのクエストを一つ一つクリアしていくような達成感に満たされる。
それに湊が三年生と分かってからは、彼が通りそうな廊下を選んでいくようになった。
たまにすれ違うのが嬉しい。
特段何かを話すわけではないが、それでも授業の合間に彼の顔を見るのが嬉しくなっていた。
昼休みも終わり、満腹感から眠気が襲ってくる午後の授業。
1番後ろの窓際の席に座っている大翔は欠伸をしながら外を見た。
(あ、湊先輩だ)
2階の教室の窓から大翔は校庭を見下ろすと湊の姿を見つけた。
何を言っているのか分からない英語の授業に、大翔は教科書に落書きをするのも飽きたところだった。
(フットサルかー、いいなぁ楽しそう)
校庭では体育の授業でフットサルをしている。
ちょうど湊のいるチームが試合をしているところだ。タイミングがいい、と大翔は英語の授業を完全に放棄することを決めた。
汗を拭いながら湊はノロノロとボールを追いかけている。
(がんばれー湊先輩)
自分より年上なのになぜか可愛く思えてしまう。
後ろから颯真が湊の背中を叩いた。
湊は颯真に疲れた、と嘆いているように見えた。
(颯真先輩の前だとなんか、全然違う……)
嬉しい、辛い、疲れた、といろんな表情が見える。
自分と一緒にいるときの湊は、というとなぜかいつもじっと大きな瞳で見つめてくるだけだ。
何を考えているのか分からない。
この前はちょっと笑ってくれたけどそれだって颯真がそばにいたからだ。
それだけ颯真に心を許しているのだろう。
(いいな……)
心にじわ、と不快な気持ちが疼いた。
湊と同じクラスにいればもっといろんな彼を見れるのだろうか。
いや、颯真くらい仲が良くないとそこまで心を開かないんじゃないか。
(いいなぁ、超羨ましい)
率直に思った。
唇を尖らせて校庭を見る。
湊は体操着の裾で顎の汗を拭って、ボールを追いかけている。
真剣な湊の顔もいいけど、もっといろんな顔が見たい。
(もっと見たいなぁ)
自分にしか見せてくれない顔があったらいいのに。
笑った顔、怒った顔、照れた顔、拗ねた顔……。
「にひひ」
彼のいろんな顔を勝手に想像してしまう。
どんな顔をしていたって彼は綺麗なんだろう。
彼のいろんな表情を見たいと妄想する。
ただ妄想していただけなのにーー気がつけば頭に浮かんできたのは大きなシャツを肩までずり下げて頬を赤く染めた姿だった。
すっぽりと大翔の腕の中に収まり、薄く開いたピンクの艶やかな唇から甘い吐息が漏れる。
(はぁ?!な、なんでっ)
しかし、一度頭に浮かんでしまった妄想は止められない。
艶やかな薄い唇がもの欲しげに薄く開く。
(やめろやめろ、ばか!何考えてるんだ)
自分の妄想映像を慌てて止めようと頭をガシガシと掻き回す。
先輩をえっちな妄想にしてしまった罪悪感に机に突っ伏した。
「うー、俺のばか……」
小さく呟いて気持ちを吐き出す。
隣の席のクラスメイトが「どしたん?」と首を傾げている。
「俺はおかしくなったのかもしれん」
そういって大きなため息をついた。
ただでさえ右から左に流れるように頭に入らない英語の授業も、チャイムの音も、何一つ大翔の耳には入らなかった。
あれから大翔の呼びかけに湊は少しずつ変化があった。
次の日から目を合わせる、小さく会釈をする……よく見ていないとわからないような変化だけど、大翔はそれでも嬉しくてしょうがなかった。
そして昨日は小さく手を振り返してくれた。
まるでゲームのクエストを一つ一つクリアしていくような達成感に満たされる。
それに湊が三年生と分かってからは、彼が通りそうな廊下を選んでいくようになった。
たまにすれ違うのが嬉しい。
特段何かを話すわけではないが、それでも授業の合間に彼の顔を見るのが嬉しくなっていた。
昼休みも終わり、満腹感から眠気が襲ってくる午後の授業。
1番後ろの窓際の席に座っている大翔は欠伸をしながら外を見た。
(あ、湊先輩だ)
2階の教室の窓から大翔は校庭を見下ろすと湊の姿を見つけた。
何を言っているのか分からない英語の授業に、大翔は教科書に落書きをするのも飽きたところだった。
(フットサルかー、いいなぁ楽しそう)
校庭では体育の授業でフットサルをしている。
ちょうど湊のいるチームが試合をしているところだ。タイミングがいい、と大翔は英語の授業を完全に放棄することを決めた。
汗を拭いながら湊はノロノロとボールを追いかけている。
(がんばれー湊先輩)
自分より年上なのになぜか可愛く思えてしまう。
後ろから颯真が湊の背中を叩いた。
湊は颯真に疲れた、と嘆いているように見えた。
(颯真先輩の前だとなんか、全然違う……)
嬉しい、辛い、疲れた、といろんな表情が見える。
自分と一緒にいるときの湊は、というとなぜかいつもじっと大きな瞳で見つめてくるだけだ。
何を考えているのか分からない。
この前はちょっと笑ってくれたけどそれだって颯真がそばにいたからだ。
それだけ颯真に心を許しているのだろう。
(いいな……)
心にじわ、と不快な気持ちが疼いた。
湊と同じクラスにいればもっといろんな彼を見れるのだろうか。
いや、颯真くらい仲が良くないとそこまで心を開かないんじゃないか。
(いいなぁ、超羨ましい)
率直に思った。
唇を尖らせて校庭を見る。
湊は体操着の裾で顎の汗を拭って、ボールを追いかけている。
真剣な湊の顔もいいけど、もっといろんな顔が見たい。
(もっと見たいなぁ)
自分にしか見せてくれない顔があったらいいのに。
笑った顔、怒った顔、照れた顔、拗ねた顔……。
「にひひ」
彼のいろんな顔を勝手に想像してしまう。
どんな顔をしていたって彼は綺麗なんだろう。
彼のいろんな表情を見たいと妄想する。
ただ妄想していただけなのにーー気がつけば頭に浮かんできたのは大きなシャツを肩までずり下げて頬を赤く染めた姿だった。
すっぽりと大翔の腕の中に収まり、薄く開いたピンクの艶やかな唇から甘い吐息が漏れる。
(はぁ?!な、なんでっ)
しかし、一度頭に浮かんでしまった妄想は止められない。
艶やかな薄い唇がもの欲しげに薄く開く。
(やめろやめろ、ばか!何考えてるんだ)
自分の妄想映像を慌てて止めようと頭をガシガシと掻き回す。
先輩をえっちな妄想にしてしまった罪悪感に机に突っ伏した。
「うー、俺のばか……」
小さく呟いて気持ちを吐き出す。
隣の席のクラスメイトが「どしたん?」と首を傾げている。
「俺はおかしくなったのかもしれん」
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