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68 鉱山4
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上月先生が仕える神殿へ移動し、その一室に捕らえた五人の奉仕者が座らされていた。
分厚い扉と窓格子が逃げ道を塞いでいた。ぐったりしていたとはいえ、いくら聞き取りを行っても、彼らは頑なに口を割らなかった。
その余裕が一変したのは、浄化の力を込めた結界を再び張った瞬間だった。
五人は呻き声を上げ、身体をよじらせ、黒い靄がじわじわと皮膚の隙間から立ち昇っていく。
「やめろ……ぐ、苦しい……!」
私はさらに浄化を込めた。すると、一人が顔を歪めながら叫ぶ。
「わ、わかった!俺は……横流しの見張りをやってただけだ!詳しいことはわからねぇ!」
その途端、彼の表情から苦悶がすっと引き、呼吸が楽になったように見えた。
「……あれ?」
その様子に思わず手を止める。他の者たちは必死に黙り込んだり、嘘を並べたりする。
「俺は何も知らねえ!」
「俺たちは脅されて、従うしかなかったんだ!」
そう口にするたびに、彼らはますます苦しみ、結界に爪を立て、床に転げ回った。
その様子を見ていた光矢が、私の袖を引く。
「姉さま……わかったかもしれない」
「なにが?」
「この結界……本当のことを言うと痛みが軽くなるけど、黙ったり嘘をつくと逆にひどくなるんだ」
私ははっとした。確かに先ほど自分の役割を口にした奉仕者は、苦しみから解放されていた。
光矢は真剣な眼差しで結界を見据える。
「だから……真実を話さないと、ずっと苦しいままなんだ」
部屋の空気が張り詰めた。上月先生も頷き、厳しい声を放つ。
「すべて話せ。お前たちが横流しに関わったこと、誰の指示か……真実を話せば、この痛みから救われる」
奉仕者たちは互いに顔を見合わせ、恐怖に駆られたように次々と口を開き始めた。
「……わ、わかった! 俺たちに指示を出したのは、聖励修道院の鉱山担当の監督役だ!」
「鉱石は街に沿いの倉庫に隠してある……そこから商人に渡すんだ!」
言葉を吐くたびに彼らの表情から苦悶が消え、黒い靄が薄れていく。やがて五人は結界の中に崩れ落ちた。
私は深く息を吐き、今井与一の顔を見やった。この男は回帰前、佳乃を苦しめた。これで未来は変わるはず。
五人はここで拘束したまま、すぐに証言をもとに証拠を集めることになった。証拠隠滅を防ぐためにも、時間との勝負である。
叔父様と上月先生は、憲兵隊を伴い街道沿いの倉庫へ向かった。上月先生までも同行することに、叔父様は遠慮を示したが、彼は笑って肩をすくめる。
「まあまあ、一人でも信用できる者がいたほうがいいでしょう。それに、この辺りで上級神官という身分は、けっこう使えるのですよ。ほら、行きますよ」
そう言って先導を切って駆け出し、慌てて叔父様が追いかける。
私と光矢は、神殿内の客室で朗報を待つことになった。
これで鉱山の不正が白日の下にさらされる――そう信じながら。
分厚い扉と窓格子が逃げ道を塞いでいた。ぐったりしていたとはいえ、いくら聞き取りを行っても、彼らは頑なに口を割らなかった。
その余裕が一変したのは、浄化の力を込めた結界を再び張った瞬間だった。
五人は呻き声を上げ、身体をよじらせ、黒い靄がじわじわと皮膚の隙間から立ち昇っていく。
「やめろ……ぐ、苦しい……!」
私はさらに浄化を込めた。すると、一人が顔を歪めながら叫ぶ。
「わ、わかった!俺は……横流しの見張りをやってただけだ!詳しいことはわからねぇ!」
その途端、彼の表情から苦悶がすっと引き、呼吸が楽になったように見えた。
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その様子に思わず手を止める。他の者たちは必死に黙り込んだり、嘘を並べたりする。
「俺は何も知らねえ!」
「俺たちは脅されて、従うしかなかったんだ!」
そう口にするたびに、彼らはますます苦しみ、結界に爪を立て、床に転げ回った。
その様子を見ていた光矢が、私の袖を引く。
「姉さま……わかったかもしれない」
「なにが?」
「この結界……本当のことを言うと痛みが軽くなるけど、黙ったり嘘をつくと逆にひどくなるんだ」
私ははっとした。確かに先ほど自分の役割を口にした奉仕者は、苦しみから解放されていた。
光矢は真剣な眼差しで結界を見据える。
「だから……真実を話さないと、ずっと苦しいままなんだ」
部屋の空気が張り詰めた。上月先生も頷き、厳しい声を放つ。
「すべて話せ。お前たちが横流しに関わったこと、誰の指示か……真実を話せば、この痛みから救われる」
奉仕者たちは互いに顔を見合わせ、恐怖に駆られたように次々と口を開き始めた。
「……わ、わかった! 俺たちに指示を出したのは、聖励修道院の鉱山担当の監督役だ!」
「鉱石は街に沿いの倉庫に隠してある……そこから商人に渡すんだ!」
言葉を吐くたびに彼らの表情から苦悶が消え、黒い靄が薄れていく。やがて五人は結界の中に崩れ落ちた。
私は深く息を吐き、今井与一の顔を見やった。この男は回帰前、佳乃を苦しめた。これで未来は変わるはず。
五人はここで拘束したまま、すぐに証言をもとに証拠を集めることになった。証拠隠滅を防ぐためにも、時間との勝負である。
叔父様と上月先生は、憲兵隊を伴い街道沿いの倉庫へ向かった。上月先生までも同行することに、叔父様は遠慮を示したが、彼は笑って肩をすくめる。
「まあまあ、一人でも信用できる者がいたほうがいいでしょう。それに、この辺りで上級神官という身分は、けっこう使えるのですよ。ほら、行きますよ」
そう言って先導を切って駆け出し、慌てて叔父様が追いかける。
私と光矢は、神殿内の客室で朗報を待つことになった。
これで鉱山の不正が白日の下にさらされる――そう信じながら。
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