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ルーアの町
ふってわいた…
しおりを挟むガルドさんと共に門番をしているガルドさんの仲間の所へ向かう。皇都のような装飾が施された綺麗で立派な門があるわけではなく、見た目よりも頑丈性など機能性を重視した作りをしている。
「バロールはこれをいとも簡単に壊したんですね…」
「あぁ…バロールは最低でも2mはあるかなり大きな魔物だ。ただ歩いているだけでも地面が揺れるからな、立っているのも至難の技だ。警備団も善戦したみたいなんだがな…はっきり言ってこんな田舎の警備団が狩れる相手じゃない。それに奴が手にしている斧も凶器だ。なんの強化もしていない人には受け止めることすらできない。逃げるしかないんだ。だからお嬢さんもすぐに逃げろよ?」
「はい…危険を感じたらすぐに逃げます…」
話しているうちに仲間の所へ着いたようだ。ガルドさんが声をかける。
「おつかれ。バロール討伐だが、こいつらも手を貸してくれることになった。早速作戦を立てるぞ!」
……え?いきなり?まずは自己紹介とかじゃなくていいの?連携とか大事じゃないの…?
そう思ったのは私だけじゃないらしい。ガルドさんのパーティーメンバーが次々に抗議の声をあげる。
「いやいやガルドちょっと待てよ!俺らまだこいつらのことなんも知らないんだけど!?どんな攻撃手段使うかもわからないのに作戦なんて立てられるか!!」
「そうだな…ガルドまずは自己紹介からしよう。お互いのことがわからないのは命取りだ」
「僕も賛成です。一緒に戦うのであれば、最低限のことは知っておきたいです。その方が連携もとりやすいですから」
「俺も…賛成…流石に…何も知らないのは……ちょっと…」
仲間から反対されて流石にダメだと思ったんだろう。ガルドさんが説明を始める。
「いやいやすまなかったな。紹介せずともいけるかと思った!
1番最初に声をあげたのがヒューズだ。武器は短刀使っていてこのパーティーのコックもしている。
次に声をあげたのはイヴ。魔法を使う。魔物を見つけるのはお手の物だ。
3番目の敬語で話すのはニヨルだ。片手剣を扱っている町での情報収集が仕事でもあるな。
最後がロズト。無口なだがいい奴なんだ、ニヨルと幼馴染でもある。武器は弓。魔法弓も得意だから遠距離攻撃は任せていい。
これが豪傑のメンバーだ!改めてよろしく頼む!」
そう言って豪快に笑う。細かいことは絶対気にしないタイプだ。
ヒューズさんは金髪に茶色の目をしたチャラそうな見た目の人だ。ルトラス様には及ばないが…
イヴさんは真っ直ぐで長く、黒に近いほどに濃い青色の髪を後ろで一つに結んでいる。つりあがり気味の紫色の目にかけられた眼鏡と相まって知的な印象を受ける。
ふわふわのミルクティー色の髪、水色の瞳のとても優しそうな人がニヨルさん。細身の体型をしていてまるで騎士のようだ。
ロズトさんは深緑色の髪に、こげ茶の瞳をしていてなんだか穏やかそうだ。
皆それぞれにタイプは違うけれど整った見た目をしている。
「こちらこそ宜しくお願い致します。私はノワールと申します。こちらにおられますセーレ様の執事で御座います。武器はなんでも扱えますが、今回は鞭を使わせて頂きます」
ノワールは鞭の扱いが上手だ。茨をモチーフにされた鞭を使って、戦うところを見たことがあるが本当に凄い。まるで自分の手足かのように自由自在に操るのだ。
というか今初めて知ったが、外では執事設定だったのか…神の眷属だと知られるのは面倒だからなのかもしれないが、それにしたって事前に伝えてほしい…先程からファミリーネームは伝えていないが言わない方がいいのかな…
「は、初めて…セーレ…です。魔法を扱……います。後は…魔法薬でみ、みな皆さんのサ、サササ…サポートをさせて頂けたら……う、嬉しく…思います….か肩に乗っているのはディアルマ。私達の家族なんです……」
盛大に詰まりながらではあるが自己紹介はした。だが豪傑の皆さんの反応がおかしい。た、確かに…スムーズにはできなかったが…そんなにおかしいですか…?結構頑張ったのに……落ち込んでいるとディアルマが頬を擦り寄せてくる。その温もりになんとかこれ以上は落ち込まずに済みそうだ。
「いやぁ~すまないな! 別にお嬢さんの自己紹介がダメだったわけじゃないんだ! 魔法薬を作れるのは珍しいだろう?だから驚いただけだ!」
「いえ……お気になさらず…そ、それより…作戦会議…は?」
「あぁ!そうだったそうだった! ありがとうお嬢さんつい話こんじまったな」
……細かいところどころか大事なことも気にしない御仁のようだ。仲間の皆さんもやれやれ言いたげだ。ノワールなど飽きれて半目だ。 ちなみにまだ門の前だ。いい加減場所を移動とした方がいいのでは…
ノワールも同意見だったようで「場所を移動致しませんか?」と提案してくれたおかげでやっと移動することができた。どうやらパーティーでテントを張っているらしく大きなテントで机があったりなど普通に生活できそうだ。
皆で机の周りに集まって作戦をたてる。
「バロールなんだが、奴はもう一度この町を襲うと思う。エサが近くにあると分かっていて見逃すような魔物じゃないからな。問題は何処で迎え撃つか…町に被害がでることは避けたいな」
「かといって森の中で戦うのも避けたいところだ…奴は大きい。故に森の中ならある程度の動きの制限はできるかもしれないが、俺たちも戦いにくくなる」
「ではこの先にある草原で戦えばよろしいのでは?町に襲いに来たところで、草原まで魔法で飛ばして戦えば町に被害はないかと」
「それは…かなり無理があると思います。イヴなら飛ばすことは可能だと思いますが、その先が…」
「ニヨルの言う通りだ。飛ばすことは可能だが、戦闘前にかなり魔力を消費するだろう。そうなるとバロール戦でかなりキツくなる」
「何か勘違いされているようですが、私は最初からイヴさんにやってもらうつもりはありませんよ。主にやって頂きたいのです」
………え?
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